複写眼(アルファ・スティグマ)

登録日:2010/08/08(日) 05:31:02
更新日:2023/06/21 Wed 20:05:54
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αは破壊だ。

我は何も生み出さない。

恵まない。

救わない。

ただ消すだけ。

真っ白に。






伝説の勇者の伝説』に登場する設定。
主人公であるライナ・リュートを始めとする複数の人物が持つ特殊な瞳。



朱の五芒星が浮いた瞳。
普段は薄くしか見えないので、顔を覗き込まれでもしなければ気付かれる事はそうそうない。
しかし発動時には朱の色が強く輝く為、ある程度の距離を置いても視認が可能。

基本的に世界中で忌み嫌われる瞳。
ローランド帝国では、複写眼保持者を発見した場合、すぐに軍に通報するという法律まで存在する。


その能力は、文字通り魔法の「複写」
空間上に展開した魔法を解析・模倣し、自分のものとしてしまう能力である。
どの国の、どんな魔法であっても、ただ「見る」だけで解析し、使えるようになってしまう。
どれだけ複雑な魔法でも、それが使えるものであれば使えるようになる。

相当な実力者でも他国の魔法を実戦レベルに使えるようになるまで1年はかかるのだが、この瞳はそれを一瞬で出来るのである。

ただし、威力や精度は完全に術者の技量に依存する。
加えてその魔法を自己流に改良したりするというのは、また別種の才能が必要となる。

ついでに言えば、術者に特定の要素を要求する魔法は使えない。
作中ではルーナ帝国という国の魔法が「神への信仰」を必要とすると言われていた為、当初ライナは使えないと思っていた。
……実際には信仰なんぞこれっぽっちも関係なかったので使えたが。


前述した能力から、魔法という技術上において最大クラスの脅威とされる。
が、この瞳が忌み嫌われる理由は別にある。

それが暴走、或いは覚醒と呼ばれる現象。
保持者の極度の精神的負担がかかると瞳が暴走を始め、周囲にあるあらゆる物を破壊し始める。
それ故に複写眼保持者は「破壊を撒き散らす化物」として、世界中で忌み嫌われている。


尚、この瞳は遺伝する。
親が保持者なら、子供も保持者になる。
とはいえ、開眼という能力発現が起きるかは別の話。

開眼のタイミングは、五〜六歳とされる。
その後は何かしらの切っ掛けで魔法が使えるようになるが、保持者と判明した場合、行き着く先は二つ。
暴走した果てに殺されるか、人体実験に利用されて死ぬか。
その為、生きて成人する保持者は極めて稀。


もっとも、ライナの場合は事情が異なる。
彼の瞳は外見こそ複写眼だが、実際にはほとんど別物。

例を挙げれば、
  • 複写眼保持者は、暴走すると元には戻れない→戻れる。
  • 複写眼保持者は、暴走しても兵が一部隊もいれば殺せる→国家最強部隊50人でも殺せない。
  • ライナの複写眼は、暴走時に空から声が「降って」くる。
……といったような特異性を持っている。
その特異性故に、ライナは珍しい個体として生かされ続けてきた。


……「忌み嫌われてるなら、目を抉ればいんじゃね?」と考えそうになるが、この瞳は通常の手段では傷つけられない。


現在使われているような魔法や現象であればそれが何であれ解析できるが、
魔法とは別の機構で力を発揮する忘却欠片(勇者の遺物)は一切解析出来ない。




【以下、ネタバレ注意】














朱の紋様を持つ、『魔眼』と呼ばれるものの一つ。魔眼の中では最も数が多いとされる。
メノリス大陸の北に行く程多く存在し、逆に南に行く程少なくなる。
南大陸周辺では複写眼くらいしか存在しない為、魔眼=複写眼と捉えている国も多い。
なので、時に他の魔眼が現れても、「複写眼の一種」と考えてしまう場合がある。

魔眼は現状で五種類存在し、それぞれ、
  • 複写眼(アルファ・スティグマ)
  • 夢置眼(エブラ・クリプト)
  • 未来眼(トーチ・カース)
  • 怨嗟眼(ウィルノ・ヘイム)
  • 殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)
と呼ばれる。

一般的な厄介さ……というか狩り易さで言うと、
殲滅眼>怨嗟眼>夢置眼>複写眼>未来眼
らしい。

魔眼保持者達の中には、魔眼という蔑称を嫌い、
上位種の証である『神の目』と考える者も存在する。

以下、各魔眼の解説。

◆殲滅眼
ティーア・ルミブルなどが持つ、朱の十字が浮いた瞳。
魔法の力の源である金色の粒子を喰らい、自らの身体能力に還元する。
魔法を直接吸収するだけでなく、人間を喰らってその中にある力を得る事もできる為、平然と一人で一軍を皆殺しにする事も可能。
開眼するタイミングは母親の腹の中であり、臨月に達すると降ってくる謎の声に従い、母親を内部から喰らい尽くす。
元々はリューラ・リュートルーを始末する為に、『司祭』と呼ばれる存在が生み出した眼。

◆怨嗟眼
作中で唯一、その能力が明かされていない瞳。
開眼するタイミングは生後二ヶ月程であり、殲滅眼同様に謎の声を聞く事が出来る。

◆夢置眼
ラフラ・リフラなどが持つ、朱の点が浮いた瞳。
他人が寝ている時に見る「」を、自らの夢の中に「置換」する。
つまり、他人の夢を覗き見る能力。
他人の深層意識に踏み込むも同然の能力であり、情報収集に適している。
とはいえ、あまり効率は良くない。

◆複写眼
前述した内容を参照。

◆未来眼
魔眼保持者のリーダー、エーネ・ルネなどが持つ、鳥が羽ばたくような紋様を持つ瞳。
文字通り「未来」を見る魔眼。
ただし未来を見るというのは『女神』にも出来ない禁忌とされ、能力を使うごとに身体を蝕まれ、いずれ死に至る。
「予測」ではなく正真正銘の「予知」なので、見てしまった未来は基本的に絶対。
未来眼保持者自身がその未来に干渉する事で、初めて未来を変える事が可能。



【以下、重大なネタバレ】



















◆α
複写眼が生まれた元凶。
『女神』が『全ての式を解く者』を殺す為にかけた呪いである。外観は、人の顔を持った超巨大な蜘蛛
本来ならばライナが暴走した時点で彼を呪い殺すはずだったが、ライナの母が生贄となる事でその暴走を留めていた。
ライナが暴走した際に空から降ってくる声は、異界に棲むコイツの声。
コイツ単体でも通常の複写眼とは桁違いの力を持つが、
実際にはライナの『全ての式を解く』力を利用して暴れていただけ。

散々偉そうにしていたが、ライナが『全ての式を解く者』として覚醒するとその力に怯えて逃げ出し、挙句ライナに一撃で消滅させられた。
とんだチキンである。




◆涙の紋様の瞳
ライナが持つ本来の力。
七色に明滅する、涙の紋様が浮かんだ瞳。正式名称は不明。
複写眼を奪われ、『全ての式を解く者』として覚醒した事で発現した。

『全ての式(=構成)』を見通す瞳であり、対象が何であろうと解析できる。
全ての物質、霊体、魔法、忘却欠片だけでなく、『女神』や『司祭』といった異次元の存在さえも解析可能。
そして、その存在を解除(=消滅)させてしまう事が可能な悪魔の瞳。

ただし、対象を解析できてもライナ自身が理解できるかは別。
例えるなら、設計図とそれをバラす方法が分かっても、それ自体が何か理解するのはライナ自身の問題。
なので、作中では『司祭』が遣わした『再生の剣(グロウヴィル)』の構成と解除方法は理解できても、それ自体が何かは理解できなかった。

一撃で数百万の命さえ奪う『再生の剣』を相殺(途中でアルファの邪魔が入ったので不明だが、或いは消滅)
出来る程の力を持つが、当然ながら大規模な力の行使には代償が必要。
その代償は、ライナにとって大切な人間の命。初回の大量虐殺の際は、ライナの母親が犠牲となった。
ある意味、身体の一部を捧げる『再生の剣』よりもリスキーな能力と言える。

ありとあらゆるものを見通す眼だが、常時発動している訳ではないので、あらかじめ強大な呪いをかける事で一瞬だが眩ませる事が可能。
それを利用してライナの父リューラは母親が犠牲になった事実を、謎の怪物レムルスはシオンに化けていた幻術を隠した。









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最終更新:2023年06月21日 20:05