雨生龍之介

登録日:2009/06/18(木) 18:24:07
更新日:2024/04/06 Sat 07:44:59
所要時間:約 9 分で読めます






神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、
それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。
でなけりゃぁ生き物のハラワタが、あんなにも色鮮やかな訳がない。




雨生(うりゅう) 龍之介(りゅうのすけ)は『Fate/Zero』の登場人物。

目次

【プロフィール】

CV:石田彰
身長:174cm
体重:65kg
血液型:B型
誕生日:1月31日
イメージカラー:紫
特技:軽妙なトーク・証拠隠滅
好きな物:退屈・人殺し
苦手な物:家族愛




【概要】

第四次聖杯戦争でのキャスターのマスター。
明朗快活。他人の心情の機微をよく読みつつも細かい事に拘らず、常にポジティブで建設的。
失敗にめげる事もなく、持ち前の探求心と好奇心の旺盛さで人生を精一杯に楽しむ好青年。










──ただし趣味は拷問、殺人、死体遺棄。人の「」の意味を知る為に殺人を繰り返す、根っからの快楽殺人者(シリアルキラー)
その殺人方法も、「犠牲者の死をじっくり堪能する」ためにあっさり殺すことはせず、時間をかけて嬲り殺しにするのが基本であり、
犠牲者がどのような死を迎えるかはもちろん、死を目前にした犠牲者が錯乱したり、命乞いする様も楽しむ、まさに外道。
そのイカレっぷりは、担当声優の石田氏から「なんだこのキ○ガイ*1」と言わしめ、
それと同時に龍之介役の話を最初に聞いた際に「(こういう役が来るという事は)自分はそういうキャラだと見られてる」とショックを受けた程。

キャスターを召喚する以前に、既に42人もの人間を殺しておきながら、一度も容疑者として警察の捜査線上に上がったことすらなく、
当然彼が起こした殺人事件は全て迷宮入りしており、中には犠牲者の遺体が発見されない等でそもそも殺人事件として立件されていないものもあるという。

こんな猟奇趣味の殺人者である龍之介であるが、別に幼少期に性格を歪ませるようなトラウマがあったわけでもなく、持って生まれた悪性らしい。

計画性など皆無な快楽殺人鬼でありながら、証拠隠滅と捜査攪乱の手際は卓越したものがあり、野生動物と一緒で殺しやすいヤツを殺すのに長けている。
プロの暗殺者(一般人限定)として旗揚げしていれば伝説的な存在になれたかもしれない逸材。
だが当人は趣味と実益に一線を引く主義だった為、犠牲者の金品にも一切手をつけず、平素は地味なバイトを転々として生計を立てていた。
尤も、犠牲者の金品に手を付けていたらそこから足がついた可能性もあり、この龍之介の姿勢も結果として警察の追及を躱し続けた一因となっていたかもしれない。

動物愛好家でサファリパークとか自然科学系の番組が大好き。
が気に入っているらしく、常に出歩く時は豹柄の物を一つは必ず所持している。
ただ、鮫や肉食獣に憧れはしてもそれに生まれ変わりたいとは思っていない。何故なら人間を最も上手く狩るハンターは同じ人間だからである。


聖杯戦争に参加するきっかけは、「趣味に対するモチベーションの低下」に悩まされたことをきっかけに「儀式殺人」の手法を取り入れようとしたこと。
5年前に姉を殺害した実家の倉で見つけた*2書物を元に「儀式殺人」を試そうとした龍之介は、
侵入した家の家族を息子一人残して惨殺し、「儀式」を行ったが、それが聖杯戦争におけるサーヴァントを召喚するものだったことと、
龍之介の身体の、先祖から受け継いだ魔術回路が生きていたことから、偶然にもキャスターを召喚。
聖杯戦争がどういうものなのか知らないまま、キャスターのマスターとして聖杯戦争に参加することとなった。

そんな経緯なので聖杯に託す願いも何もないが、召喚時にキャスターが行った殺人のやり方とその美学に感服し、
彼を殺人の師と仰ぎ、彼が行う「COOL」な殺しを見るために、共に聖杯戦争に参加している。
キャスターもそんな龍之介に好感を抱いており、「リュウノスケ」「旦那」と呼び合うなど仲が良い。

……が、実際の所ジャンヌへの思慕と神への憎悪から凶行に走ったキャスターと天性のシリアルキラーである龍之介では、
互いの趣味・嗜好は相当異なるようで、一見仲良く見えるものの実は全くと言っていい程に噛み合っていない*3
本編では一周して逆に意気投合してしまったものの、
奈須きのこによるとヘタをすれば召喚後すぐに決裂していた(=龍之介が殺害されていた)可能性もあったとの事。

因みにその時の召喚の仕方は

「♪閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ(みったせーみったせーみったしてみったせー)。繰り返すつどに四度――あれ、五度?
えーと、ただ満たされるトキをー、破却する……だよなぁ? うん」

「♪閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ(みったせーみったせーみったしてみったしてみったっせっ)っと。はい今度こそ五度ね。オーケイ?」

と、かなりいい加減。CMだと一節だけではあるがまともに詠唱していたが。
こんな適当なやり方でも召喚できたのは、上述のように彼の身体に魔術回路があったことと、あまりにもキャスターを呼ぶマスターがいなかった為。
特定の英霊を召喚するための触媒がない状態で召喚したため、「一番龍之介に近い英霊」として『Zero』におけるキャスターが召喚されてしまったが、
それまで魔術とは縁遠い生活を送っていたとはいえ、龍之介はキャスターを現界させられるだけの魔力は持っていたらしい。

また、聖杯戦争の前に実家で発見した儀式で何を呼び出すか自体分かっていなかった為、召喚時は悪魔を呼び出す儀式だと勘違いしていた。
まあ結果的には(一般人、特に中性的な子供にとっては)悪魔を呼び出したので、合ってるっちゃ合ってる。


劇中では饒舌で(目は濁っているが)感情表現豊かなひょうきん者として描かれているが、
彼がこのように振る舞うのは基本的に殺人・拷問の時、犠牲者を目の前にした時だけで、
平素は話すことも億劫だと感じるほど無気力で、退屈が好きというほどの人物とのこと。

ただ、幾人もの犠牲者の「死」をカクテルでも吟味するかの如く楽しみ、味わってきたことで、独特の雰囲気・余裕を纏っており、
原作の地の文で語られるところでは、夜の町で龍之介に惹き付けられる異性は多くおり、自らに引き寄せられた異性と一夜の関係を持つことも多々あるという。
よほど気に入った相手であれば、血みどろの肉塊にしてしまうほど深い関係になることもあるらしい。


何十人もの人を嬲り殺しにしている時点である意味当然と言えば当然だが、道徳や倫理観は完全に破綻しており、
自分の所業の芸術性や哲学性が世間に認められないことを不思議に思っているフシもある。
実際、ライダーに自分の作品を破壊された時は、

「ヒデェ……あんまりだ……ッ!」
「精魂込めて俺たちが仕上げてきたアートが……酷すぎる!こんな、こ、これが人間のやることかよォッ!!」

と慟哭する姿を見せたが、そのシーンを初めて見た読者や視聴者はほぼ間違いなく「お前が言うな」と突っ込んだことだろう。

ちなみに、彼の言う『アート』とは、「人間の遺体を加工した日用品」あるいは「芸術品」という、直視したウェイバーが思わず嘔吐してしまうほどのシロモノで、
キャスターと組むまでは「失血や痛みのショック、感染症等で容易く死んでしまう」人間の(材料としての)脆弱さから、遺体を加工するしかなかったが、
彼によって「犠牲者を(治癒魔法などで)生かしたまま加工する」ことが可能となり、彼のインスピレーションは大いに刺激されることになった。
劇中では彼の工房を急襲したライダーが、「殺してやる方が情けだ」と称するような有様の生存者を発見し、『アート』諸共宝具で轢き、死なせてやる一幕があったが、
その中にはおそらく、龍之介によって『人間オルガン』にされた少女のように、生きたまま人間以外の『家具』等にされた犠牲者もいたことだろう。


しかし、あくまで一般的な道徳や倫理観から外れているだけで、何も考えていない快楽殺人者というわけではなく、
何気なく言った「(神の)罰が当たったのかもしれない」という発言がキャスターの逆鱗に触れてしまった*4際には、
彼が一般人では対抗することすら敵わないサーヴァントであることを理解していながら、そんな存在を怒らせたことに恐怖を感じることなく、
むしろ彼がここまで豹変してしまうほど深いトラウマを抱えていることに哀しさを感じ、「神は人間を玩弄するだけ」という言に「それでも神様はいる」と返した。

キャスターに「信仰もなく、奇跡も知らない貴方が何故そう思うのか」と問われた龍之介は、
自分がいる世界を「至るところに楽しみや伏線が仕込まれた、これ以上ないエンターテインメント」と称し、
そんな世界を創り、登場人物五十億人の大河小説を書いているエンターテイナーを『神』だと定義した上で、
その持論をしばし吟味するかのように沈黙したキャスターに「神は人間を愛していると思いますか?」と問いかけられると、

「神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。
でなけりゃぁ――生き物のハラワタが、あんなにも色鮮やかなわけがない。だから旦那、きっとこの世界は神様の愛に満ちてるよ」

と、彼独自の哲学と信仰から来る「神様は人間をぞっこんに愛している」という答えを返し、信仰に絶望し、神を呪ったキャスターを敬服させた。



【作中の活躍】

第四次聖杯戦争では、そもそも龍之介に聖杯への望みどころか「聖杯戦争に参加する」という意識すらなく、
キャスターもキャスターで、セイバーをジャンヌと誤認して「既に聖杯は自らを選んだ」として他のマスター・サーヴァントと争う気がなかったため、
龍之介は敬愛するキャスターの協力のもと、聖杯戦争そっちのけで幼児誘拐・拷問・殺人に勤しんでいた。
その行動がやがて監督役の言峰神父に問題視され、他のマスターに令呪一画の報酬付きで指名手配(ただし逮捕目的ではなく殺害目的で)されていたが、
本来龍之介が捜査撹乱に長けていたことと、彼の持つ幸運(悪運?)が幸いし、中盤まで他のマスターには捕捉されないまま凶行を続けていた。

しかし、龍之介との語らいを通じて「彼に『最高のCOOL』を見せる」と張り切ったキャスターが大海魔を召喚して大混乱を引き起こした際、
逃げ惑う周囲の野次馬の様子に目もくれず、大はしゃぎして一連の騒動を見ている龍之介を『キャスターのマスター』と断定した切嗣に遠距離からまずは腹部を狙撃される。
この銃撃で龍之介は膝をついて行動不能に陥ったが、これによって自らの血と臓物の色を見た彼は探し求めていた「死」の実感を初めて味わい、
その場から逃げ出すどころか感激して自らの臓物を抱きしめた直後、切嗣によって今度は頭部を狙撃され、喜びに包まれ笑顔のまま死亡した。

第四次聖杯戦争中、唯一苦難を味わわずに最期も喜びながら逝ったことから、『Zero』で一番幸せな終わり方をした人物かもしれない。



【余談】

言わずと知れた、アニメ放送の最大の難関。
下手しなくても真っ当な所から叩かれて放送中止になるのでは?とビクビクした視聴者も多かった。
機転を効かせたアニメスタッフの采配により、幸いにも彼が作った「アート」はほとんど画面には映らず終いだった。
そして、結局何事もないままに2期の14話で退場した為、そこでとりあえず安堵した視聴者もいたことだろう。

オリジナル展開だった1期10話では、キャスターから貰ったブレスレットで子ども達を次々誘拐。
集めた子ども達を「パーティー」と称して○そうとした。
親友を助けに来たも暗示でアヘ顔にしたが、ブレスレットを壊されてしまい子ども達には逃げられた。
視聴者的には安心したような残念だったような。


漫画版では初登場時にこれまで彼が殺した被害者の死に様が描かれたが、やはりというか絵面はとてつもなくグロい。
耐性の無い人が見たら吐き気を催すこと請け合いの、凄惨な遺体や拷問場面のオンパレードである。
本編で描かれた『人間オルガン』の下りも、原作では「興奮したキャスターが材料とされた少女の頭部を握り潰してしまった」くらいの描写しかないのだが、
こちらでは犠牲者が生きながらに下の歯から上を握り潰される様子もしっかりと描写され、凄惨極まりないことになっている。
18禁の残虐系のゲームかと突っ込みたくなる。ぶっちゃけ原作でもここまで酷くねぇ。


虚淵氏曰く龍之介(というかキャスター組)は『仮面ライダー龍騎』における浅倉威を、という発想で生まれたキャラであるらしい。浅倉だってそんな趣味悪くねーよ
そのためか常に豹柄の物を一つは必ず所持しているという設定は浅倉威が着ていた豹柄のジャケット*5からきている。







COOL! 最高だ! 超COOLだよアニヲタ!
これからももっともっとCOOLな追記・修正で、オレを魅せてくれ!

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最終更新:2024年04月06日 07:44

*1 公式での第6回トークセッションより。実際の配信では「ピー音」が入ったためもしかしたら違う発言をしたかもしれないが、規制が入った以上似たようなニュアンスの言葉を発した事には違いない。

*2 誰も管理していないのか、姉の遺体はそのまま放置されている。

*3 本編でも、「質より量」で大量殺人をしようとするキャスターに「量より質」が信条の龍之介が難色を示すなど、二人の違いが描かれたシーンがある。

*4 「神は人を玩弄するだけで愛していない」という、ジャンヌが無残な死を迎えたトラウマから来る考え

*5 実は蛇皮のジャケットだが。ちなみに浅倉役を演じた萩野崇氏の私物である。