Fate/unlimited codes

登録日:2012/05/15(火) 00:57:46
更新日:2024/03/25 Mon 13:23:15
所要時間:約 13 分で読めます





それは語られなかった物語。

  ――第五次聖杯戦争、再び。



TYPE-MOONの『Fate/stay night』を原作とした3D格闘ゲーム。
製作はカプコン/キャビア、開発はエイティング。
稼働日は2008年6月11日。家庭用としてPS2・PSPに移植されている。



○ゲーム概要


『Fate』の第五次聖杯戦争が舞台であり、登場キャラクターは第五次聖杯戦争のサーヴァントやマスターが中心。
家庭版ではバゼット・フラガ・マクレミッツ第四次ランサーなどがゲスト参戦している。

参戦キャラ

サーヴァント

マスター

家庭版追加


※黒桜、綺礼、ルヴィアはアーケード版の隠しキャラクター。また、セイバー・リリィはセイバーのカラーバリエーション扱いで、性能などはセイバーと同じ。

ストーリーモードは選択したキャラクターで第五次聖杯戦争を勝ち進む形式になっており(金髪ドリルお嬢様など例外もあり)、
「もしあのキャラクターが聖杯戦争を勝ち残ったら」のIFストーリーが楽しめる。
掛け合いなどでも原作ファンならニヤリとできるものが多く、キャラゲーとしての出来は良い方。

また、本作ではカプコンのデザイナー日暮竜二氏と本家TYPE-MOONのイラストレーター武内祟氏が分担してCG等を描いているが、
原作ファンをして「武内先生と日暮氏の絵の見分けが付かない」と言わしめるほど武内氏の作風などを忠実に再現した絵を描いており、
(例を挙げればOPやEDのイラストは全て日暮氏が担当)
「日暮氏は投影魔術の使い手か」等の賞賛の声が上がっていた。


○システム

グラフィックは3Dで描写されているがその内容は従来の2D格闘ゲームに近く、
型月原作の格闘ゲームとしては先輩に当たる『メルティブラッド』と似たコンボゲー仕立ての内容。

弱・中・強・リフレクトガードの4ボタン制で、弱>中>強のチェーンコンボが可能。
4ボタン目のリフレクトガードは所謂攻性防禦やブロッキングであり、相手の飛び道具を除く攻撃をタイミングよく発動することで弾き返し、硬直させることができる。
またこれ単体でもあらゆる硬直をキャンセルする性質があり、これをリフレクトキャンセルと呼ぶ。

画面下には3ゲージストック可能なパワーゲージ「魔力ゲージ」が存在。
リフレクトガードを始めとする様々な特殊動作によって消費され、ゲージが一本以上あるときに「魔力開放」が可能。
魔力開放中は体力が回復し続ける他、ガードの上から通る削りダメージなど様々な恩恵が得られる。
また、キャラによっては固有の付加効果が発動する。
開放は技をキャンセルして出すことも可能だが、その場合は硬直をキャンセルできる代わりに一部の恩恵を受けられない。
攻撃を食らっている途中に出すことでゲージを2本消費するが、相手を吹き飛ばして体勢を立て直せる緊急回避技として発動することもできる。

本ゲーム最大の特徴が、タイムカウントの下にある聖杯ゲージ
これは互いのダメージの蓄積によって増加し、聖杯を満たした側のプレイヤーは一定時間「聖杯の使用権」が得られる。
この時最大までゲージを貯めた状態で魔力開放を行うと「聖杯開放」となり通常時より強力な恩恵を得られる他、
この時に限り発動できる強力な必殺技「聖杯必殺技」を発動できるようになる。
この聖杯必殺技はコンボの補正を一部無視するなど強力無比な威力を誇り、つまるところはテーレッテーとかDESTROYED(即死技ではないが)。

この他にもガードキャンセルや相手を遠ざけるアドバンシングガード、回り込みなど格闘ゲームとしてはオーソドックスなシステムが搭載されている。


○世紀末聖杯戦争、開幕

このゲームは当初は「所詮キャラゲー」「キャンセル要素の多いコンボゲー」として認識されており、
ややコンボ難度は高いもののそこまで変わったゲームとは認識されてはいなかった。
しかし、やり込み勢が研究を進めていくにつれ、その認識がすこしずつ変わっていった。


おかしい。
このゲームは、何かがおかしい。


プレイヤーの予想を超えて繋がっていくコンボ。ワンチャンスで消えていく体力。
広がっていくキャラ差。常軌を逸した起き攻め。

そう。このゲームは当初のプレイヤーたちの予想を超えた超絶的なコンボゲーになっていったのだ。

まず、ほとんどのキャラにループ・またはそれに似たコンボがあるという時点でその異常性が理解できるだろう。
ループコンボ自体は他の格ゲーにもチラホラ見られるものなのだが、
ほとんどが一部のキャラに許された特権のようなもので常識的に考えれば全キャラが持っていて当然のものではない。
しかもこのループが数十秒以上続くのだ。当然ダメージ量も凄まじく、モノにもよるが大抵のキャラは2回+αコンボが入ったら死ぬ。

ゲームセンターに通う人ならば、連環腿で相手を延々とドリブルする麻婆神父とか竜巻で延々と相手をカチ上げて拾い直すセイバーを見たことのある人も多いはず。

その上、先述した開放抜けを防ぐためにコンボに魔力ゲージを減らす技を組み込めるキャラクターもいるので、
場合によっては「開放抜けすらできず、延々とボコられてなぶり殺される」という事も起こりうる。
開幕十割とはいかないものの、開幕5割~7割ぐらいはザラに起こるのがこのゲームの恐ろしい所だ。

そんな「殺るか殺られるか」のゲーム内容に、あの世紀末スポーツアクションとの共通点を見出したプレイヤーは少なくなかった。
開発元のエイティングつながりで3D対戦格ゲ「ブラッディロア」シリーズも思い出したのもいたとか……。

そして、誰が呼んだかこのゲームについたあだ名が世紀末聖杯戦争
多くのプレイヤーに「死ななきゃ安い」と言わせ、ゲーム雑誌からも「一度のミスも許されない」と評されるなど、はっきり言って世紀末と言われてもしょうがない。

ここまでの解説を読んだ人なら分かる通りぶっちゃけ公平な対戦ツールとしてみると破綻している部分も多く、
キャラゲーとしても敷居が高すぎてファンを呼び込むことに失敗した。
そんな評価のためか多くのゲーセンでは割と早く撤去が進んだものの、
歪みない原作再現度、酷い時は酷いキャラ差など世紀末の先輩である『北斗』や戦国陸上との共通点も多く、
やっぱりというかその壊れたゲーム性に魅せられた中毒者も生み出した。
彼等は今日もどこかのゲーセンの片隅で、余人には理解できない高次元の戦いを繰り広げている…。

ただ、バスケや宇宙旅行、『触られたら負け』など笑えるネタになるような要素には欠けるため、世紀末の先輩や戦国陸上と比べると派手さやネタ度では劣る…かもしれない。
ま、比較対象がこの2つの時点で十分おかしいが。


○キャラクター

操作可能なキャラクターは原作に登場したサーヴァント+英雄王。
加えてマスターサイドから士郎・凛・言峰・黒桜、加えて何故かルヴィアが使える。家庭版ではセイバーオルタ・バゼット・リズ・ZEROランサーも追加。
…真アサシンは気配遮断のし過ぎでスタッフに気づいてもらえなかったのか、参戦していない。
ぶっちゃけ宝具が直接戦闘向きじゃないからリストラされたのもしょうがないんだが

キャラバランスは前述したとおりあまり良くはない。
特にそのバランスを物語るのが「2強」のランサーとギルガメッシュと、「3弱」の黒桜・アサシン・キャスター。

ランサー隙のない高性能が特徴であり、その原作通りの長いリーチに加えて、
万能キャラ並みの発生速度・追撃可能な投げ・高い機動力・高速中段・そして当てれば相手ゲージを減らす技の一つ、かつキャンセルで追撃が可能な超性能C昇龍を有しており、ほとんど隙がない。
一応火力面は平均クラスで他のキャラに比べると見劣りするが、決して低いわけではないので明確な弱点とは言い難い。

ギルガメッシュもギルガメッシュで大概であり、壊れ具合はランサーよりも酷い。
リーチが短く迎撃戦に強い「エアモード」と、宝物庫から武器を取り出して戦う中距離戦向けの「バビロンモード」を使い分けるテクニカルキャラなのだが、
ループコンボではなく、真の永久を有していることを筆頭に、バビロンモード時の高性能飛び道具「冥府の門」、
ほぼノーモーションで設置でき、射出時もほぼノーモーションで放てる設置飛び道具「天の鎖」など射撃技が充実しており、止めとばかりにコンボ火力も高い。
こちらも一応弱点はあり、バビロンモード時に切り返しの手段がガーキャンしかないことと遅い機動力がネックとなる…が、
前者は飛び道具をうまく使って相手を近づけないこととエアモードへの換装である程度カバーできてしまう。
英雄王との対戦は半分シューティングゲーム状態であり、一部の下位キャラは弾幕されると詰むレベル。
ことさらにバーサーカーは機動力の低さと巨体から対ギルガメッシュとなると悲惨極まりなく、原作でも致命的な相性の悪さゆえに負けたが、このゲームでも見事に原作通りになる。自重しろ英雄王。
ただしランサーと比べると非常に扱いづらく、真価を発揮するためには相応の腕前が要求されるキャラでもある。慢心するな英雄王。

3弱も3弱で酷い。

キャスターは原作さながらのひ弱さな上に肝心要の飛び道具の性能があまりよろしくなく、設置技と使い辛い通常技で頑張るしかない。
その上ゲージを吐かないと火力が伸びにくく、逃げ主体で戦わざるをえない彼女は火力を伸ばす機会に恵まれ難い。
機動力は高めだが切り返しの手段が少なく、一度相手に接近を許してしまうと大抵ボコボコにされ続けて終わる。
だが起き攻めだけは全キャラどころか格ゲー界の中でも屈指の強さを誇り、はっきり言って常人には見切れないレベル。
それを加味しても、原作再現要素として突進技に魔術無効がついている(本来なら何もしていなくてもノーダメ)上にそれが素早いので安直な起き攻めも逃げも手軽に咎めて火力もあるセイバー相手は詰みではないもののきついってレベルを凌駕しているなどの相性の悪さも存在。
原作でよく何度もセイバーに勝利したものだと感心すると同時に色々な意味でセイバーやばいと言いたくなる。

黒桜も似たようなもので、低体力・低火力・鈍足という三重苦を背負って戦わねばならない。
技性能はキャス子よりマシだが火力がゲーム中最低クラスで、起き攻めでターンを握り続けないとワンチャンスであっさり逆転されることも。
ただ、こちらも起き攻めの苛烈さはトップクラス。世紀末ゲーは起き攻めも世紀末である。
立ち回りは一切ダメだがセットプレイだけは極悪、というその性能は
原作黒桜の「ケンカのセンスは絶無だが一方的に攻撃した時のパワーだけは超絶」
という仕様の見事な再現と言えるのかもしれない。

アサシンはリーチが武器のキャラクターなのだがランサーの下位互換状態であり、火力も伸びにくいと良い所がない。
リーチも長めではあるが巨大な獲物を思い切り振り被るキャラなどもいるので大体見劣りするし、全体的に硬直長めでガードされて大丈夫な状況や技が少ないのでかなり繊細なプレイングが求められる。
…とはいえ、ランサーが強すぎるだけで普通の格ゲーなら十分強い…はず
もっともそれもコマンド入力の関係上、必須コンボの難易度があまりに高すぎる&相手に与えるゲージ量が多いという欠点があるので使いこなすのが難しいというオチもつく。


〇余談

そんな苦行を積んだ末、ついに迎えるスタッフロール。
スキップしようとボタンを押した途端にミニゲームが始まる。
内容は、イリヤが次々に襲い来る竜牙兵(キャスターが波動拳コマンド(236+A)で召喚するスケルトン)をリフレクトガードで弾き返すというもの。
成功すればイリヤがアッパーを決め、失敗すると普通のガードでしゃがみこんでしまうが、どちらもモーションがかわいい
このモードはアーケードだけでなく家庭用でもEXミッションでできるぞ!

また本作に登場するサーヴァントのアクションは、その大半が『Fate/Grand Order』に後からモーション改修アップデートで逆輸入されている。


天地乖離す追記・修正(ツイキシュウセイ)
コマンド:236236+A

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最終更新:2024年03月25日 13:23