Steam

登録日:2011/06/30(木) 18:08:28
更新日:2024/01/09 Tue 00:25:08
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◆概要

Steam(スチーム)とは、PCゲームのダウンロード販売、マルチプレイのサポート、ユーザーの交流、著作権管理などを目的にしたプラットフォームである。運用開始は2003年9月13日。*1
大体ストア自体もそう呼ばれている。開発・運営はValve Software。

日本ではPCゲームが浸透していなかった頃から、既に海外ではPCゲームのDL販売サービスは非常に大きな市場・業界となっており、なかでも飛び抜けて売り上げを伸ばした最大手といえるのがSteamである。
ゲームを販売するサイトにログインするのではなく、専用のクライアントアプリをインストールして、そこから購入・プレイを行うというシステムを採用している。

最大手だけあってゲームの質・量ともに充実しており、配信・発売しているゲームは52,000本を超える(2021年4月時点)。
Valve社自作のゲームを始め、Activision(CoDシリーズ等)、Bethesda(FallOut,TES等)、Rockstar(GTAシリーズ等)、他多数の大手、
日本からもコーエー、カプコン、スクエニ、セガなど有名処がそろっている。
また、近年はインディーズゲームや同人ゲームも販売されており、小規模な開発スタジオからも意欲作が多数販売されている。

なお、エロゲーは一部だが販売されている。特に『屋上の百合霊さん』*2が販売された際には結構な話題となった。
まだ数は少ないものの、無修正のエロゲーの販売が公式に許可された。ただ日本では……(後述)
また、制度が変わる前からも元18禁の作品を全年齢向け*3に販売し、外部サイトの公式パッチで18禁化するなどの抜け道も用意されており、この形は運営側からも黙認されている。

◆説明

ゲームの購入にはアプリケーションをインストールした後にアカウントを作成する必要がある。
購入したゲームはすぐにそのアカウントの「ライブラリ」に登録され、ダウンロード終了後にプレイできる。
すぐダウンロードしなくてもライブラリ一覧に並んでいていつでもDLできるため、とりあえず入手だけしておく「積みゲー」も可能。
この管理方法により、Steamをインストールして自分のアカウントにログインすれば、異なるPCからでも一度購入したゲームはダウンロード、プレイ可能である。
クラウドセーブ対応ゲームならセーブデータの引き継ぎも可能。
一応規約上は「2つのPCで同時にログインしなければOK」となっている。
(アカウントの売買は規約で禁止されている)

通常のPCゲームでは面倒なインストール・アップデート作業をSteamクライアント側で全部やってくれる上に、プレイヤー同士のフレンド、コミュニティ、実績機能など、現代の他の家庭用ゲーム機もこぞって採用している機能はだいたい持っている。
もちろん各ゲームに対してのPCスペック条件は満たす必要はある

また発売前のゲームをプリロード(起動に必要な一部を除き、ほとんどのデータをダウンロードしておく)することにより、
発売日が来た瞬間に残りの少しをダウンロードしてすぐにプレイすることも可能である。
ただ予約しても(結構ギリギリまで)プリロード不可のタイトルもかなり多い。

最近のPCゲームはパッケージ版でもSteamなどのオンラインサービスに登録と認証を済まさないとプレイできないなものも相当増えてきたため、PCゲーマーには不可欠なオンラインサービスとなっている。


◆価格

Steamストアはかつては米ドル(USD)建てだったが、2014年8月あたりから日本からの購入は円(JPY)建てになっている。
現在は(主に後述の理由で)販売元が個別に価格を設定している場合は別だが、1USDは101JPY~105JPYで設定されており、換算手数料も掛からない分市場レートより若干有利。「2,050円」とかいう中途半端な値段設定はその証拠(USDだと$19.99)。
2018年4月からドル円レートが120~130円以上と年々円安ドル高になってきているので、常に2~3割引販売と考えるとかなり太っ腹だった。

Steamの値段設定は基本的に新しいものほど高価と言う傾向にあり、リリースから半年もたてば割引セールが行われるようになる。
最終的には定価が永続的に半額以下になることもあり、セール時は更に安価で購入が可能。
いわゆる往年の名作は1000円切るレベルで購入可能な物も少なくないため一般的な店舗で購入するより格安である。

特にValve自社ゲームはセール時にとんでもない割引をかけることも多く、いわゆるAAA級タイトルでも75%以上割引されることも。
またサマーセール・ウィンターセールでは上記よりももっと大規模にセールを行う。
この規模のセールとなると、発売から相応の年月がたったり、オンラインの旬が過ぎ去った古いタイトルには「-90%」や「-95%」等の滅茶苦茶な値引きがつくことも。

会社やシリーズとかの複数タイトルをまとめたお得パックも存在する。このセット販売には大抵多少の割引がついている。
例えばValve Complete Packと呼ばれるValve社製ゲーム全部入りパックでは、単品で個別に買うよりも約169USDくらい割安になる。さらにこれらの収録作は上述の大型セールで凄まじい値引きが行われるものも多いので…。
近年から、パックの一部をすでに持っている場合その分の値段が差し引かれる「バンドル」というタイプも追加導入されている。

セット販売とは別の制度として、新発売の製品に強気なおまけをつけるとか、予約/早期購入特典として一部DLCなどの製品を同梱するということにも対応している。(例:Portal2は予約特典として前作Portalがタダでついてきていた)
ちなみにすでに持っている場合に重複購入をやってしまったとか、あるいは友達に超おすすめのゲームを投げつけたい場合はギフトアイテムの一つとして購入し、フレンドにプレゼント(ゲームの所有権を譲渡)することも可能。
かつてはゲーム本体とそのコピーのギフトアイテム×1~3個をセット販売するようなマルチ対応タイトルもあったが、今の新作には殆ど見かけない。

さらに外部サイトでSteamゲームのキーのみを正規に販売や配布などをしていることもあり、場合によっては格安で購入できる場合もある。
(中には一部怪しい販売サイトもあるため信頼のできる所を選ぶ必要があるが)


◆問題点

便利さを強調してきたがダウンロード専売やPCゲーム故の問題点も多々あり、
  • ネットに接続しないとオフ専ゲームでも起動できない場合がある(現在は「一度オンラインでゲームを起動して認証すればオフラインでも起動可能」に緩和された、もちろんクラウドセーブは使用不可)
  • ゲームのアップデート・パッチを自動かつ強制的に行うため、新パッチに問題があった場合問題を食い止めることが困難
  • 地雷をつかんでも中古販売不可(ただし購入2週間以内かつプレイ時間2時間未満なら返金可、またレビューなどを参考にして購入の判断が可能)
  • ログインIDとパスワードが漏れるとアカウントを乗っ取られる危険性がある(スマホ二段階認証などでセキュリティを上げることが可能)
  • PCへの最適化が出来ておらずプレイに支障が出るゲームの存在(家庭用ハードの移植作やマルチプラットフォームに顕著)
  • (今のところ心配はなさそうだが)Valveが倒産した場合(またはSteamのサービスが終了した場合)買ったゲームはどうなるのか
など。

また販売(メーカー)側のモラルの問題でもあるが、「アセットフリップ」に代表される粗製濫造なゲームも多数販売されている。
このようなゲームはValve側からも悪質と判断されて、結構な数が削除されたが根絶には至っていない。

SteamやValveの問題点とは言えないが、古いオンラインゲームやマイナーなオンラインゲームの場合は過疎化が進行しているケースもある。

◆おま国

上記の問題はユーザー側で対処できる場合も多いのだが、特に問題視されるのがこれ。
「売ってるがお前の国が気に入らない」もしくは「お前の国には売ってやんねーよ」などの略。「おまくに」と読む
かなり有名なタイトルはおろか、むしろ国産タイトルにも平気でかかっている(CoDWaW,BFBC2、テイルズやNARUTO、ドラゴンボールなど)リージョン規制によって日本からのみ購入ができないゲームタイトルがある事を揶揄する言葉として定着している。
更に派生があり、
  • お前の国にはDLCだけ売ってやる/DLCは売るけど本編は売ってやらない
  • お前の国には絵だけ見せてやる(※セール開催のバナーがあるのに肝心の対象ソフト掲載数が0)
  • お前の国にも売ってやるただし割高で
  • お前の国の言語だけ抜いてやる(※日本語版は家庭機用のみ)
  • お前の国の言語はアプデで消してやる
  • お前の国の言語だけ有料追加DLCで売ってやる
  • お前の国の言語でPVは流すけどゲームには入れねー(同人ゲームの海外パブリッシャに顕著)

といった多数のバリエーションがある。

おま国については外部キー購入などで突破できる場合もあるが、この場合もリージョン制限が掛かっている場合も少なからずあり、リスクはある。
CoD MW2のキーが通らない、VPNでごまかしてギリギリ、そして強制アップデートで日本語化という事件は深い闇を残した。
英語しか分からない在日米軍の人がガチギレしたとか…(日本か海外かはIPでしか判断されなかったため)。

この手の問題はバンナムとセガが悪名高く、日本発のゲームなのに日本では買えない、無理矢理キーを通しても日本語が入っていない等がザラだった。
今ではテイルズオブアライズやスパロボ30、ソニックとかの代表シリーズ新作はCSと同時発売、同価格になっているとかでだいぶ緩和されてはいるが、定期的に出てくる中身が空っぽのドラゴンボールのセールページはもはや風物詩。というかバンナム絡みの集英社版権ゲーはほとんど日本人締め出し仕様である
コエテクは結構前からSteamに参加している。老舗PCゲーの意地といったところだが、PS4/PS5版と同時発売しない、PCだけやたら不具合が多い等結構微妙なとこが今ほど増えてきて、やる気が無いとか言われる事も。
それ以外の国産大手企業のタイトルも十中八九、為替相対的な値段が軒並み相当高めになる「おま値」が日常茶飯事である。
家庭用ハードとSteamでのソフトの価格観の違いや、国内市場における様々な利権などから来るしがらみが影響しているとされるが、これによって国内のユーザーが損を被るとして、多くのユーザーから批判されている。

また販売側に非はないためおま国とは少々異なるが、無修正アダルトゲームが許可され、意外な事に日本からも購入できるが「日本では刑法175条の影響で無修正の販売が不可のため日本からは商品として登録できない」という新たな問題が浮上した。
そういう作品にレビューなどで公式パッチへの外部リンクが貼られているのはだいたいそのせい。
また、ユーザー側も作品のスクリーンショットなどを(Steam内も含む)SNSなどにアップロードすると、アカウントの凍結や最悪わいせつ画像の頒布として取り締まられる可能性があるので注意すること。


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最終更新:2024年01月09日 00:25

*1 ソースは公式サイトの記述によるもの。同日にクライアントソフトの正式版もリリースされている。

*2 タイトル通りの百合ゲーであり18禁。マイノリティに関するあれこれが厳しい海外向け販売ということもあって。

*3 当該シーンを削除したもの。