和田光司

登録日:2011/11/22(火) 23:02:48
更新日:2023/10/29 Sun 06:37:41
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和田光司
1974年1月29日~2016年4月3日。享年42。
京都府福知山市出身。


概要

あまり詳しくない人でも「デジモンのOPの人」と言えば大概通じるほどメジャー(勿論、カーロボット等の他のアニメや番組の歌も歌っている)。
そのためデジモン以外の印象も強いかもしれないが、「デジモンシンガーと呼ばれる」と呼ばれることも多く、この項目ではデジモン関連を主体に紹介する。

メジャーデビュー前はバラードを得意としており、デモテープを各所に送っていた。が、どこに送っても相手にされず、中には聞かれもせずにゴミ箱に捨てられるなど辛い時期があった。
しかし、ある時このデモテープが拾われてデジモンでのメジャーデビューに繋がる。
このエピソードを聞いた『FIRE!』の作詞家が「ゴミ箱を飛び越えた先にある未来」として採用している。
歌う曲が名曲揃いであるため人によってNo.1が意外と異なる場合が多いので、友人同士と語り合うのも面白いかもしれない。

宮崎歩・声優AiM(前田愛)と共に多くのデジモンファンに愛されている。
和田光司という歌手ががどれほど同ファンに愛されているかは、この項目のタグとコメント欄を見ていただければ分かると思う。
しかしその技量と歌声の素晴らしさを嘲笑うかのように、彼の歌手人生は咽頭癌との戦いであった。
だが数度の休止と復活を繰り返して活動していたことから、「不死のアニソンシンガー」という二つ名を同業者から与えられた。
死後もデジモン絡みで楽曲がリバイバルされることが多く、その名は彼がこの地球上から去っても決して色褪せることなく、不死蝶としての輝きを放ち続けている。


来歴

メジャーデビュー後の初の楽曲となったデジモンアドベンチャーOP『Butter-Fly』は多くの人に衝撃と感動を与え、
以降アニソンシンガー、もといデジモンシンガーとしての地位を確立させる。
先の通りバラードが得意だったが、デジモンでその時始めて歌ったというロック調の曲が見事にその歌声にハマり、同曲のヒット後はメインに歌うようになった。

以降、デジモンフロンティアまでデジモン絡みの曲を主にして活動していた。しかしその最中に咽頭癌が発覚。5年後の生存率は40%と言われる厳しい宣告をうける。
この癌治療のため、デジモンシリーズ休止ライブを最後に、同じく活動休止を余儀なくされる。
手術と放射線治療で、声すら出ない時期すらあった程深刻で、歌手にとってそれは致命傷とも言えるものだった。最早活動復帰は絶望とすら思われていた。

しかし熱心な治療により声が出るようになり、2005年頃に小規模に活動を再開した。
それでも本調子でなかったこともあり、デジモンセイバーズがスタートした際はOP等の楽曲を担当しなかった。
ところが、「デジモンのOPと言えば和田光司!!」という声が番組に殺到。
これを受けて半ば想定外に後期OPが作られることが決定し、デジモンセイバーズ後期OP「ヒラリ」でメジャー活動へと復帰した。
同曲は和田光司が作詞も担当しており、復帰を願ったファンと自分の療養生活からの復帰等を組み込んだ「アンサーソング」となっている。

デジモンクロスウォーズでは主題歌ではないものの、挿入歌シンガーとしてデジモンシリーズに継続参加。
同時に、咽頭癌で闘病していたことを改めてインタビューで告白している。
なお同作では、一作品に提供する楽曲としては恐らく最多とも言えるほどの数を歌い上げている。
だが同時にこの頃から再び体調を崩し始め、同作の3期では担当しなくなる。

2011年には二度目の活動休止を発表。AiMこと前田愛と『KALEIDO☆SCOPE』というユニットを一時的に結成し、大成功に終わった矢先のことで、ファンは大きな衝撃を受けた。
この時、医師から咽頭癌の完治を告げられた直後のことであり、何よりも本人が一番ショックを受けており、引退も考えたという。
2013年に2年ぶりに復帰。知り合いに「使命感でなく、歌える時に歌えば良い」と諭されたことで、自分のペースで改めて活動することを決めた。
しかしこの二度目の復帰の際、咽頭癌は完治しておらず、治療をしながらの活動であった。それもあって、年を追うごとに声量が目に見えて落ちていくこととなる。

2014年、影山ヒロノブなどが所属するSOLID VOXへと移籍。この頃に和田の来歴を受けて「不死蝶のアニソンシンガー」という二つ名で呼ばれる。
この間、和田はこれまでの抗がん剤治療等に疲弊しきっており、そういった薬に頼らない自然治療法に切り替えていったという。
しかしこれにより病状が好転することはなかった。
2015年にはミニアルバムを発売したり、ソロライブを企画するも体調不良を理由に中止。以降の活動は大きく縮小されるも、ブログを始めとした活動でファンとの交流は続けていた。
同年、生涯最期となる『Butter-Fly~tri.Version~』をレコーディングする。


逝去

こうして病と闘いながらも活動を続けていた和田だったが、2016年4月3日に上咽頭がんのため、42歳の若さで亡くなった。
デジモン関係者の皆さんもブログやTwitterで哀悼の声を上げ、渡辺けんじは追悼イラストを公表した。
ご冥福をお祈りします。

なお、彼の死後にも、生前のライブラリを利用したアレンジ版楽曲もいくつか製作されている。
彼がともに歩んできた「デジモンシリーズ」が歩みを止めない限り、和田光司は「不死蝶のアニソンシンガー」として、この世界で歌い続けるのである。


主な楽曲一覧

デジモンアドベンチャー
メジャーデビューで、和田光司を語る上で欠かせない「Butter-Fly」。
劇場版デジモンアドベンチャーのラストで、太一とグレイモンをバックにアカペラのサビが流れる。
という思いきった方法も相まって多くの子供達のハートを掴んだ。
劇場版はBGMがクラシック曲一曲のみの(音楽的に)静かな構成だっただけに、このエンディングは一層印象に残ったのではないだろうか。
本編のOPでは通常の一番が流された。

そして最終回のラスト…劇場版と同様にアカペラのサビが流され、
『「Butter-Fly」で始まった“デジモンアドベンチャー”が「Butter-Fly」によって幕を閉じる』という演出により、
子供達は心に“デジモン”“和田光司”“Butter-Fly”を刻んだ。また、02の最終回を締めたのもこの曲であったりする。

そのため、すべての始まりとして特別視する者も多く、和田光司の歌唱曲の中でも未だに根強い人気を誇る(特に二十代や十代後半の男性)。
またデジモンユニバース アプリモンスターズの初代OP「DiVE!!」の二番の歌詞の出だしの
「あの日の蝶はまだ風に乗って 残した夢を 紡ぎ続けてる」という歌詞はこの曲への思いが込められた歌詞でもある。


主題歌「Butter-fly」
挿入歌「Seven」


きっと 飛べるさ
On My Love




デジモンアドベンチャー02
主題歌
「ターゲット~赤い衝撃~」
挿入歌
「僕は僕だって」
「僕らのデジタルワールド」(&デジモン声優陣&AiM)

前作に引き続いて歌い続けている。
OPは珍しく抑えめだが、しっかりとした熱さを感じる曲。


立ち上がれ天使は
僕の傍にいる




デジモンテイマーズ
主題歌「The Biggest Dreamer」
挿入歌
「風」(作詞も和田氏)
「Starting Point」(&AiM&太田美知彦)

02の曲に比べて勢いがある曲。
この歌が一番好きだという者も少なくない。


夢見ることが全て始まり
それが答えだろ




デジモンフロンティア
主題歌「FIRE!!」
挿入歌
「With The Will」(進化曲)
「遥かな贈りもの」(&AiM)
ED
前期「イノセント~無邪気なままで~」
後期「an endless tale」(&AiM)

ご覧の通り、最初から最後まで歌いまくっている。

走り続けるんだ
“君”を連れて




そして月日は流れて、


デジモンセイバーズ
放送開始。
…OP、挿入歌、ED。
決して悪い訳ではないが、物足りなさを感じる者は少なくなかった。

……しかし、後期OP……








傷ついた羽が

キセキを呼び起こして

再び舞うよ


後期主題歌「ヒラリ」

そう、待ちわびた和田光司のデジモンアニメシリーズ復活である。
作詞は和田光司で、自身を支えてくれたファンへのアンサーソングとなっている。

治療によって声が変わったため離れるファンも少なくなかったが、それ以上に多くのファンが復帰を喜んだ。




そして数年後、


デジモンクロスウォーズ
挿入歌
「WE ARE クロスハート!」
「WE ARE クロスハート! ver. ×7」(&谷本貴義&宮崎歩)
「×4B THE GUARDIAN」
「空舞う勇者×5」
「Evolution & Digixros ver. TAIKI」(&谷本貴義)
「Evolution & Digixros ver. KIRIHA」(&谷本貴義)

フロンティア同様、ひたすら歌っている。


仲間の絆が切り札さ
命を燃やして ほ・え・ろ!




これらの他にもDigimon 10th Anniversary等のイベントで歌われた曲や、アニソン歌手としてではなくシンガーソングライターとしての曲など、
テレビを見ているだけでは分からない(あまり知られていない)名曲が存在する。


そしてAiMとコンビを(一時的に)組み、《カレイド☆スコープ》として活動。
様々な場所で活動していたが、3.11の震災によって予定を変更して震災復興ライブを行った。

コンビ解消後も様々なイベントに参加した。作詞、作曲能力も上がってきた矢先…












和田光司を再び病魔が襲った。




自身のブログ《光司広場U》
2011年 10月04日 15:01
「急病による活動休止のお知らせ」

内容は急病による活動休止と、その理由。
そして、イベントを楽しみに待っていたファンへの謝罪と約束。

8年前、上咽頭と首のリンパ腺に悪性腫瘍が発見された(今回初めて詳細を語った)。
化学療法と手術によって最近完治されたと思われたが、今回異変を感じて検査したところ転移していたとのこと。
それ故、治療に専念するため休止することなり、ファンには申し訳ないと思っており、「傷ついた羽がキセキを呼び起こして再び舞う」ことをファンに誓った。


そして、多くのファンも「ヒラリ」と帰ってくることを信じている。










止まることのない


明日への Love Song


ずっと届けて行くんだろ?




ちなみにこの歌は『bravery』
2008年にリリースされた氏のミニアルバム『ever』に収録されている。
あまり知られていないが、やはり名曲揃いの名盤であるため一度手にとって聴いてみるのもいかがだろうか?




天国での和田さんの活躍を願いながら、追記・修正お願いします。

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最終更新:2023年10月29日 06:37