木村達也(はじめの一歩)

登録日:2011/04/04(月) 02:11:06
更新日:2024/02/15 Thu 00:09:51
所要時間:約 12 分で読めます




何度…

もう何度サンドバッグを叩いただろう

ジャブ・フック・ストレート……

何百回何千回気の遠くなるほど数を打ち込んだ

全ては……

全ては――――この一撃のために――――!!

木村達也とは、はじめの一歩の登場人物である。


鴨川ジム所属。階級はジュニアライト級。日本ランカー。
主人公、幕之内一歩から見ると頼れる(?)先輩にあたる。


同ジムの青木とは仲が良く、二人合わせて「青木村」と呼ばれている。
ちなみに幼稚園時代からの腐れ縁。
脳が鷹村な女性ファンからの人気も高く、同じアウトボクサーの宮田や板垣当たりとつるまされることも多い

余談であるが、野球をやらせれば甲子園級の実力も持っている。
頭の回転も速く、話も面白い上、纏まった金もあり顔だって悪くはないので、女性にはモテる要素満載。(板垣曰く「モテない方がおかしい」)

……のはずなのに、片思いしていたれーコに振られ、近所の魚屋の女の子との仲を誤解されるなどなぜか振るわないのはご愛敬。

◆データ◆
出身:東京都
所属:鴨川ボクシングジム
階級:ジュニアライト級*1
受賞歴:無冠
タイプ:アウトボクサー
身長:171cm
生年月日:1971年10月10日
血液型:A型
好きな物:アロワナ
苦手な物:バイクの運転
副業:花屋(実家の手伝い)


◆ボクサーになるまで◆

小さい頃は至って普通の男の子だった。
しかし小学校時代に上級生とトラブルになり、父親と共に相手の家に押し掛けたが、向こうの親に言いくるめられ逆に木村親子が相手に謝るハメになった。

そのことをキッカケに木村は両親と不仲になり、やがては家庭内暴力も日常化するほどの問題児となった。
……相方が不良になった原因と比較するとエラい違いである。



◆鴨川ジム入門◆

ある日木村と青木は当時鴨川ジム生の鷹村と殴り合いの喧嘩をする。
大方の予想通り見事に完敗した二人はボクシングと鷹村に憧れを抱き、後に鴨川ジムに入門することとなった。

その後プロテストを受ける際、青木との直接対決を避ける為に本来の階級のライト級ではなく、一つ下のジュニアライト級を選択している。(このため、減量は青木以上に苦しいらしい)
この事を指して青木は「一つ勝つために俺より倍苦労している。(だからこそ)勝ってほしい」と発言しており二人の友情の厚さがうかがえる。
なお、鴨川ジム入門をキッカケに木村は家庭内暴力も止め、不良の世界から足を洗った。


◆ボクサーとしての木村◆

野生と科学の融合体の鷹村、意外性の青木、必殺の一撃と打たれ強さの一歩、フットワークの板垣と、個性派揃いの鴨川ジム。

木村はそんな中で唯一の正統派オールラウンダーと言える。
木村自身はまとまったバランスの良い能力と鴨川ジム一クレバーな頭脳の持ち主でもあるが、一方で決め手という物が存在しない。
また、手堅く勝利を取りにいく分やや派手さに欠ける試合展開も多い。

そのせいか、ランキングも上位には食い込むがチャンピオンにはなったことがない。



◆対間柴戦◆

原作31〜33巻にて対戦。
当時の木村のランキングは3位。
1位2位が王者間柴との試合を恐れ、断った事により木村に試合の誘いが回ってきた。
木村はこれをこの先二度と来ないチャンスとし、試合を承諾した。
それと同時に、勝てなければ引退の覚悟も固める。

初のタイトルマッチということで積極的に練習相手になろうとする青木。しかし間柴の特徴であるフリッカージャブへの対策にはならないとその申し出を断る。
木村の知り合いかつフリッカーを使えそうな人物…ということで元鴨川ジム生でもある宮田とスパーを組むことに。
宮田の圧倒的実力を前に怯む木村だが、諦めずにスパーを続ける。
一歩や鷹村ほどの肉体を持たずとも異常なまでのタフネスを誇る間柴を倒すには弱点のアゴを狙うしかないと考える木村。
しかし長身である間柴のアゴを狙うにはリーチが足りない。そのため間柴のフリッカーを掻い潜りボディを集中攻撃することで間柴のアゴを下げさせる作戦を考える。

…のだが、その際に宮田に「実力自体は国内チャンピオン級だが、木村さんは決め手に欠ける」と指摘される。
鷹村さんは例外として一歩にはデンプシー・ロール、宮田は電光石火のカウンター、青木でさえもカエルパンチという決め手がある。
自分でも気付いていた壁に直面させられ、己のボクシングについて模索し始める。

距離を取って戦えば圧倒的なリーチと変幻自在の軌道を描くフリッカージャブを持つ真柴にはまず勝てない。
しかし懐に飛び込んだとしても、長身を活かした強烈な打ち下ろしがある。

いずれにせよ勝つ見込みは薄い。
だが、木村にはそれ以外の道は無かった。

宮田との特訓を経て、どうにかフリッカーを掻い潜ることに成功。
懐に飛び込んで、


飛び込んで――どうすればいい?


自分には鷹村の熊殺しパンチや一歩の必殺デンプシー、青木のカエル飛びアッパーのような決め手は、無い。

分かっていたはずの壁が、ここに来てより大きく木村の前に立ちはだかる。
そんなある日、愛魚のアロワナであるれ~コの餌の食べ方を見て必殺技であるドラゴンフィッシュブローを思い付く。
独自に鍛練を積み、その必殺技で宮田を驚愕させる事が出来た。(木村がダウンしたものの、スパーの内容自体は宮田が負けを認めた)

後の青木とのスパーでは(完成度80%だが)見事に成功させている。



※ここからネタバレ注意※



●試合開始●

1R目から果敢に飛び出すも、フリッカーの嵐がそれを拒む。
間柴は防衛戦後の世界を意識し左のみで試合の組み立てを図る。
間柴にとって目の前の挑戦者は単なる実験台、死神の鎌で命を落とす獲物に過ぎなかった。
フリッカーをもらい続け、顔は腫れ上がり蓄積したダメージにより何度も意識が飛びそうになる。
しかしその眼はただ勝利だけを見据えていた。

試合が動いたのは7R。
真柴の左を見切り、執拗にボディを連打する木村。
今まで攻撃を受け続けたのは彼の作戦だったのだ。
サンドバッグの様に打たれ続けていたのは間柴の打ち疲れを待つ為。
それは消極的な作戦をとる事の多い木村が初めて見せた、剥き出しの闘志の表れでもあった。
決定打を放つことは出来なかったが、観客の期待は大いに高まる。
そして第8R。
なおも止むことの無いボディの連打に間柴はガードを下げる。

――次の瞬間。

鳴り響くレフリーのカウント。なぜか間柴は天井を見上げていた。
そう、木村の必殺ドラゴンフィッシュブローが炸裂したのだ。

ドラゴンフィッシュブローとはボディを攻撃し続けることで相手のガードを下げさせ、開いた顎を死角からの渾身の一撃で叩く、頭脳派の一面を持つ木村らしい技である。

木村の五年間の想いを乗せた一撃を受け、満身創痍の真柴はそれでも尚立ち上がる。
混乱しながらも必死に上のガードを固める真柴、そのガードを下げさせる為に木村はひたすらボディを打ち続ける。
強烈な一撃に思わず跳ね上がる真柴の顎。
そして炸裂する二発目のドラゴンフィッシュブロー。

――お兄ちゃん!!

倒れ行く真柴を支えたのは妹の声援だった。
限界を越え、勝利への執念のみで戦う真柴。
木村を最強の挑戦者と認め、生き延びる為に右を解禁。
リング中央で意地と意地とをぶつけ合う。
壮絶な打ち合いの中、放たれる三度目のドラゴンフィッシュブロー。


この腕が伸びきれば――


リングに倒れ伏す男。
倒れていたのは……木村だった。

苦し紛れに出した真柴の右がクロスカウンターとなって木村を襲ったのだ。
ドラゴンフィッシュブローは、下に意識を向けさせた相手に対し、死角から山なりの弧を描く一撃を繰り出す技。
その軌道がアダとなり、真柴のストレートの方が先に木村に届いたのだ。
実は宮田を驚愕させた際に木村がダウンしたのも伏線となっており、その原因は全く同じ混乱して思わず出したストレートが直撃したからだった。
右と右のクロス、ましてや一方は渾身の一撃。
立つ事などままならない筈、下手すれば取り返しのつかない事になる。タオルを投げ込もうとするセコンド。

しかし、それを止めたのは、立ち上がる木村の姿だった。

ファイティングポーズを取り、一歩を踏み出す。
しかし、この時既に木村は意識を失っていた。


鳴り響くゴングの音。こうして木村の挑戦は終わったのだった。

脇役同士の戦いであったが、ファンの間ではベストバウトと名が高い。



◆その後……◆

「あと3センチ……たった3センチの根性が俺には足りなかったんだ…」


試合後、はじめてボクシングが自分の生き甲斐だったことに気が付き、木村達也としては引退したものの、木村タツヤとして再デビュー?を果たした。

しかし、大きな目標もなく間柴を追い詰めた満足感からモチベーションが低下し、うだつが上がらない中堅ボクサーに戻ってしまった。
板垣・青木と共に出場したA級トーナメントでの敗戦以降は、
スタミナ不足で老人のように疲弊する
減量のために全身の毛を一歩に剃られる
摂生を徹底して河童のような髪型になる
といった具合にギャグキャラとして扱われている。

なお、人をあまり誉めない間柴も木村を「最強の挑戦者」と認め、クロスを貰ったにも関わらず立ち上がる木村を見て恐慌状態にまで陥った。
試合終了後には勝利者インタビューにも出ず会場を立ち去った。
本当の主役は自分ではないことを分かっていたのだ。
尤もその後の不甲斐ない試合内容に腹を立てており、木村を「雑魚」呼ばわりし、苦戦した事を「汚点」と評している。

余談だが、彼が死に物狂いで習得したドラゴンフィッシュブローは、後に沢村が間柴とのタイトルマッチで開始早々に使用している
しかし、ボディブローを連打する事で目線を下に集中させる伏線を張っていない為かあっさりとかわされてしまった。






「なんだこりゃ随分古い情報だな。よーし、『近年では女に振られすぎて幼女にまで手を出し警察沙汰に』……」
「鷹村さんそのネタも4年位前ですよ!!」
「板垣……突っ込むところはそこじゃねえ……」
「つ、追記・修正よろしくお願いします、みなさん」

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最終更新:2024年02月15日 00:09

*1 現在はスーパーフェザー級と呼ぶ