サウザンド・カスタム(MS)

登録日:2012/07/12(木) 19:01:47
更新日:2023/10/29 Sun 11:40:24
所要時間:約 13 分で読めます




俺たちは――サウザンド・カスタム

一機当千機なんだよ





概要

サウザンド・カスタム(通称・サーカス)とは一騎当千の言葉を体現するように、理論上は百対一、千対一でも戦える事をコンセプトに設計された7種の高性能な特務機の総称である。
元々は木星ユピテル財団タカ派へのガス抜きとして開発認可された経緯があり、開発を難航させるためにわざと極めて高い要求性能が設定された。
…しかし困った事に一定の成果を上げてしまい、開発者は使う機会を執拗に狙っていた。
そしてサーカス団長クォ・グレーの下で【天使の呼び声】を巡る戦いに投入される。
認可が下りた7機以外に、機能が宇宙向きで無く認可が下りなかった地球侵攻モデルの3機が存在する(なおそちらも中々の曲者揃いである)。

機体性能、パイロット共に一級品であり、リガ・ミリティアのモビルスーツ27機+ザンスカールのモビルスーツ10機(内1機は「Vガンダム外伝」でウッソを苦戦させたザンスカール製ジオング『ジョング』である)を四機のみで苦もなく壊滅させるほどの戦闘力を誇る。

機体の放熱には木星にとって忌々しい、クロスボーンガンダムと同じフェイスオープン式が採用されている
のだが、どいつもこいつも不気味な面をしているので、クロスボーン・ガンダムのようにカッコイイというよりは怖さを感じさせる。

綴りはCircusではなくthousand-custom、略してthou-cus。
サーカスの名の通り、大道芸人をそれぞれデザインモチーフとしている。

ザンスカール戦争後、サーカスを受け継いだクォ・グレーの息子たちによって量産化が進められていたが、サーカス自体が賛美歌の国に取り込まれ、機体も戦力として加わった。
しかし、手練れの者達にはあっさりとやられている。再生怪人の宿命。
重要なのは高性能な機体を十分に操れる優れたパイロットだったということだろう。
「マシンがよくても、パイロットが性能をひき出せなければ!」


▼所属機体


●EMS-TC01 ラロ

ピエロの様な見た目と球体状のサポートメカ、ライドボールが印象的な機体。パイロットは小柄な男ロナルド。
小型化を突き詰めており、大きさはサウザンド・カスタム最小の10m足らずである。(サイズだけで言えば、ゾンド・ゲーも同規格であるが)
先端に車輪のついたサブアームが両肩に一つずつ付いており、丸みを帯びた頭部の形状と合わせて、まるでピエロの被るジェスターキャップの様な外観となっている。
ライドボールに乗る事で機動力を高め、ライドボールの影に隠れて攻撃を防ぐという、ライドボールありきのMS。
主な武器はライドボールによる体当たりと、上下対称の特徴的な形状を持つビームライフル。ビームライフルは2つに分割する事でビームサーベルとして使用でき、ライドボールにも複数のビームカッターが内蔵されている。

他を凌駕する機動力が目をひくが、本来の役割は「盾」でありライドボールによる守りに重きを置いている。
当初は量産機として開発されていて性能も申し分なかったが、ライドボールの扱いが非常に難しいため、量産許可が下りずサーカスで運用されている。

顔を見れば分かるがフェイスオープンするとかなり不気味。

月での戦いでX-0Vガンダム3機を相手に大立ち回りし、多くのMSを撃破した。
南米マチュピチュでの戦いでは裏切り者となったジャックに「一人で来い」と1対1での戦いを吹っ掛け、当の自分はバンゾを援護に付けていた。
ジャックのデスフィズを激しい戦いの末に切り刻む事に成功するが、ジャックを倒す為に彼が庇ったマーメイドのデスフィズ・モールごと殺そうとした事が裏目に出てしまい、デスフィズ・モールに乗り換えたジャックに撃破される。

ライドボールは蛇の足に回収され、バタラの盾として改造された。

モチーフは見た目通りの玉乗り。

●EMS-TC02 ファントム

神の雷計画」において木星が盗んだミノフスキードライブ搭載機のデータを、木星ガンダムことアマクサと掛け合わせて開発された機体。
コンセプトは"光の翼"ミノフスキー・ドライブを用いた「惑星間高速移動用試験機」、つまりは木星から地球までの足である。
しかし木星の技術ではミノフスキー・ドライブを再現できなかったのでIフィールドで無理矢理制御した結果、光の翼が炎のように揺らめき、ビームに対する高い防御力を得た。

詳しくは項目参照。


●EMS-TC03 バイラリナ

女性的な細いシルエットが特徴的な機体。
パイロットは美しさを度々口にする仮面の女性コーシャ。
両腕には近接戦闘用のビーム・ファンが搭載されているが、これは自衛や牽制程度の武装。
最大の特徴は、脚部が銃身になっているニードル・ヴェスバー。
ビームを絞ってエネルギーを抑える事のできるV.S.B.R.で、攻撃範囲が狭まった半面、連射が可能なうえ貫通力が高まっている。そして最大収束時のビーム圧は容易にコロニーを貫通するらしい。

モチーフはバレリーナ。

詳しくは項目参照。


●EMS-TC04 デスフィズ

帽子とトレンチコートを纏った様な外観が特徴の機体。パイロットは自らのルールに殉じる傭兵ジャック・フライデイ。
爆発的な加速力で敵の懐に飛び込み、相手を破壊する事を目的に作られた近接戦闘力異常特化機。
主な武装はビームファング。両手の先に三本ずつ装備され、ズゴックの爪の様に展開する。
これはサーベル・シールド・ローター(ヘリコプターの翼)と必要に応じて使い分ける多機能型のシステムで、サーベル時には手先の高速回転(秒間24回転)によって、敵の装甲はおろかビームサーベルなども巻き込んで粉砕、両断してしまう。
ビームバルカンも手先の中央に備えているがあくまで牽制用。
その設計思想は木星にとっての仇敵とほぼ同じ…というか多分参考にしている。
モチーフはナイフ投げ。

詳しくは項目参照。


●EMS-TC05 ガラハド

大きなボディと、Iフィールド発生器を持つ巨大な左腕が特徴的な機体。パイロットは大柄で凶暴な荒くれ者ゴードン。
左腕はバーニア等がついており射出可能。またワイヤーによって本体と繋がっており、掴んだMSが爆発しても問題なく稼働するほど頑丈。
この左腕で敵MSを捕まえ、振り回した挙句他の敵MSにぶつけて諸共に破壊するというとんでもない戦法を得意とする。
ゴードン曰く「地獄のメリーゴーランド」。なんだそりゃ。
この頑丈な左腕は「敵MSを盾にしたり射撃武器代わりに投げつければ残弾気にしなくても大丈夫じゃね?(弾切れ=敵全滅)」という斜め上の発想から生まれたもの。
また、捕獲により他の敵に攻撃をためらわせたり、MSを振り回すというデタラメな戦法で混乱させるなど、敵への心理的ダメージも大きい。そして腕のバーニアの凄まじい推進力により、並みのMSでは掴まれたが最後、為す術なく地獄のメリーゴーランドに乗る羽目になる模様。

右腕の武装はビームチェインガン。ビームチェーンソーとマシンガンの機能を持つこれまたゲテモノ武器。
他にも両膝から出すサブアームから高圧ビームによるシールドを出し、主戦法時の隙を無くす事ができる。

月での戦いでザンスカール兵を血祭りにあげた後、コロニー「ミート オブ トゥーン」において投入された。
起動しないはずのファントムが動いている事に動揺しつつも交戦するが、同じくIフィールドを持つファントムには右腕のビーム兵器が通じず苦戦した上、地獄のメリーゴーランドで振り回すはずが逆に振り回されて叩きつけられる。
その後、冷却で動けないファントムを狙った際に付近にいた子供を守ろうとしたジャックの行動で阻止され、右腕もX-0に斬り落とされて戦闘不能、ゴードンは致命傷を負う。
その後ジャックが介錯を行なった際に機体も破壊された。サーカス最初の脱落者でもある。
素人が初めて乗った未完成機に敗北するという情けない戦果だが、「ファントムを壊さずに無力化しろ」という命令を受けていて、最初から全力を出せなかったという背景も敗北の遠因である。

モチーフは怪力芸。

●EMS-TC06 バンゾ

ガラハドよりも大型のサイズで、土偶の様な見た目が印象に残る機体。パイロットは物腰穏やかでふくよかなスキンヘッドの黒人、ラーザブ。
主な武器は腹部の管に内蔵された多数の小型ミサイル「ミサイルストーム」とマニュピレーターに搭載されたビームサーベル。
小型ミサイルの一発一発は大した威力がない上にろくに誘導しないがこれは意図的なもの。このミサイルの嵐の中に反転やその場で旋回するミサイルがランダムで仕込まれていて、こちらが本命。
これでビームシールド装備のMSなどにおいて守りの薄くなりがちな背部(のバーニア)を狙い、
敵MSが機動性を失った所にビームサーベルなどで止めを刺していく、的確かつ確実に撃破する戦い方を想定している。
その設計上、多数のミサイルの搭載による体積の増加と機動力の低下による被弾増加・自分のミサイルの被弾の恐れなども織り込み済みであり、強力な装甲で欠点を補っている。両腕にビームシールドも確認できる。
ビームサーベルはマニュピレーター自体が発振器のため、使用すると片腕に隙ができる。
明確な欠点として、大量のミサイルをばら撒くという戦闘スタイルなので、味方が居る状態での乱戦には弱い。

そのコンセプトから、強敵相手よりは数で圧倒する量産機に対しての活躍が多く、蛇の足陣営との直接戦闘は描かれなかった。
キゾとの最終決戦では焼夷ミサイルを用いて、【天使の呼び声】焼却に勤める。(サーカスで【天使の呼び声】を独占するため)
しかし、バイラリナ同様ミダスの光を浴びて動作停止、カオスレルのビットに貫かれラーザブは溶解、カオスレルの支配下に入る。
そしてバイラリナと共にミダスと対峙するX-0と交戦し自爆させられるが、咄嗟に自身の分厚い装甲を盾にされた結果、あまりダメージはなかった。

モチーフは火吹き芸。また遮光器土偶の様なデザインは『無敵超人ザンボット3』のバンドックのオマージュ。

●EMS-TC07 グレゴ

パイロットはサーカス部隊の団長クォ・グレー。
サーカスの内、ファントム除いた5機の能力を総括したサーカス中最強の機体。
能力統合を無理やり実現しようとしたため、機体容積は通常の3倍、エンジン出力は2倍という小型MS全盛のご時世からすれば相当にデカい機体に仕上がっている。
しかも機体の外観については全く考慮していなかったらしく、大きく張り出した肩にリング状の大型アームを持つ両腕と、腹部に短めの副腕の4本腕になっており、横幅が非常に広いためにかなり短足に見える。

木製のゲテモノMSでも見た目の奇矯さはトップクラスだが、一騎当千を謳うサーカスのMSの機能統合機という肩書は伊達ではなく、
両腕の大型リングアームは強力なIフィールド発生器を備えることでガラハドのIフィールドハンドとラロのライドボールの機能を掛け合わせており、腹部の副腕にはデスフィズのビームファング、両肩にバンゾのミサイルストーム、両足にニードル・ヴェスバーを搭載するという超重武装。

クォ・グレー曰く「理論上は千機どころか五千機はいける」とのことだが、上記の通りとんがった武装・機能てんこ盛りなゲテモノの極みといえるMSであるため、使いこなすには相当な腕前が要求される事は間違いないだろう。

キゾとの最終決戦ではキゾのミダスと互角の戦いを繰り広げる。
しかし、ミダスの光により動作停止。クォ・グレーの最後のあがき(コクピットを開けて生身でバズーカ発射)によりミダスの左目を破壊するも、機体ごと切り裂かれて宇宙の塵となった。

モチーフはピエロ。
↓の地球侵攻モデルと同様、グレゴも読者応募のデザインコンテストによって生まれた。


▼地球侵攻モデル

完成度の問題ではなく、地球侵攻ぐらいにしか使えないという理由でタカ派のガス抜き以前の機体だったため開発認可の下りなかった3機。
しかし実際に製作され更に扱ったのは正規軍ではないものの結果的に全てジャブロー戦に投入された。
3機とも読者応募のデザインコンテストから生まれた。

●EMS-TC-G01 キルジャルグ

パイロットは元木星軍少尉アニマーレ・ヴェルヴァ。
どのような不整地でも高い機動力を発揮できる事をコンセプトに作られた可変MS。
MA形態ではライオンに襟を付けた様な姿となり、4足歩行による安定した素早い動きで相手を翻弄する。
武装は襟に付いた10本のビームサーベルと電撃鞭以外は装備していない。これは起伏の多い不整地では遠距離武器が効果的でない事にもよる。

素早い動きと不整地を活かし、カーティスを窮地に陥らせるも、カーティスの機転により開けた場所へ誘導され、破壊された。

モチーフは猛獣使いと火の輪くぐり。

●EMS-TC-M01 カルメロ

パイロットはガラハドのパイロットであるゴードンの妹、マーメイド。
「水中用なのにMS本体は水上に出て戦う」という奇怪なMS。
通常の足の先に身長より長い超シークレットブーツ追加足をつけているのが特徴。普段は背中側に折り畳んでいるが、攻撃時には伸ばした足で水底に接地したまま(体勢を安定させて)湾岸都市を長距離射撃するという、なんとも大胆な発想が取り入れられている。
作中で使用された武装はクロスボーン・ガンダムX2改にも採用されたバスターランチャーのみだが、長い足に組み込まれている移動用の水流ジェットを稼動させて水流をめちゃくちゃにしたり、遠心力を乗せた長い足による蹴りなど、今までに無い様な攻撃手段を持っている。

デスフィズと対峙、水中用MSではないデスフィズの水中での鈍さと、そのパイロットであるジャックの不慣れもあって優位に立つが、
この機体の弱点(武装が貧相・水流利用も知ってた)もバレていたため隙を突かれた結果、川底が抜けてジャブローの地下空洞に落とされた後に、デスフィズによって破壊された。
パイロットはジャックが回収した。

モチーフは竹馬。


●EMS-TC-S01 エスピラル

パイロットはファントムの本来の正規パイロット、ディーバ・ダッダ。
コルニグスを簡略化する方向で作られており、縦横無尽に飛び回って全方位への攻撃が可能というのがコンセプト。
見た目に関しては特に異質で、よく見ると腕・足・一対の追加アームがどれもMS本体に繫がっておらず、胴体左右の大型リングに片側3本ずつ通されている。(以下、腕と足も含めてアームと称する)
…おそらくファントムの変形と同様に絵で見なければ全く想像がつかない異形さであり、初見ではMSなのかどうかも疑うレベル。
これらのアームにはビーム発射口と推進装置が備わっており、各アームを方向自在のスラスターとして用いる事で、高い機動力を得ている。
ビームは一発辺りは普通の威力だが、自在なアーム移動でほぼ全方向への射撃が可能なうえ、全アームを1点集中させるとファントムのIフィールドですら防ぐのが危険なレベルの高火力となる。
∞の形に機体を開いて縦横無尽に飛び回ったり、落ちてくる瓦礫を超絶コントロールで避けきったり、地上を走る時に気持ち悪い走り方をしたりと、インパクト抜群。
これで強いのだからタチが悪い。

だが、推進剤の搭載量問題がどうしようもなかった。
しかもパイロットが使いこなせばこなす程、更に推進剤の消費が激しくなり稼働時間が減るというジレンマ。
これは空気圧縮式のジェット推進に変更し周囲から取り込む事で解消はできたものの、本来想定していた宇宙用MSでは無くなってしまった。

とはいえフォントも言及した様に宇宙で使えない点を除けば完成度は高く、更にこんな機体を操作して無傷で居続けるパイロットの腕前も一流。
高い機動力と火力でファントムを追い詰めるも、フォントが当機の弱点を見抜き、更にその弱点は単騎でもファントムならば突けたので善戦虚しく破壊された。
その弱点とはスラスターとアームが一体化しているので、ビームを集中させればさせるほど運動性が低下してしまう事。





追記・修正は一騎当千してからお願いします。

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最終更新:2023年10月29日 11:40