ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君

登録日:2009/08/24(月) 01:26:38
更新日:2024/03/03 Sun 13:53:15
所要時間:約 10 分で読めます






見わたす限りの世界がある



ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』(Dragon Quest VIII: Journey of the Cursed King)とは、ドラゴンクエストシリーズのナンバリング8作目である。

ハード:PlayStation2
発売日:2004年11月27日
開発元:レベルファイブ
販売元:スクウェア・エニックス

【概要】

シリーズ初のPS2作品。
エニックスがスクウェアと合併してから初めてのドラクエタイトルで、開発をレベルファイブが手掛けるのも本作が初。

鳥山明デザインのキャラクターがそのまま立体化したような美麗な3Dグラフィックが特徴。
“全編3Dのドラクエナンバリング作品”としては本作の数ヵ月前に発売されたDQ5(PS2リメイク版)があるが、あちらは(魔物はともかく)キャラクターのモデリングにはさほど力が入っていなかったため*1、本作の3Dモデルのクオリティの高さは驚きをもって迎えられた。

また、『空と海と大地と~』というサブタイトルや、『見わたす限りの世界がある』というキャッチコピーの通り、(当時のゲームとしては)広大なフィールドを冒険できるのも本作の売りの一つ。
DQ1~7までは見下ろし型の視点でフィールドが俯瞰できるのがシリーズの特徴だったが、本作では操作キャラの背後にカメラを置いた三人称視点のゲームになり、フィールドが俯瞰できない代わりに作り込まれたマップを隅々まで探索する楽しみが増えた。

システム面でもスキル、テンション、錬金釜等初めての試みが多い。
シリーズとしては珍しく発売日が延期されなかった作品で、開発側がかなり冒険した異色作……と当時はされていたが、その後発売されたDQ9DQ10とマルチ要素がある独特な作品が連続したこともあり、DQ11が発売される頃には“DQ8は王道作品”という認識が一般的になっていた。*2

後にアメリカをはじめとする5ヶ国でも発売され、世界全体で一番売れたドラクエ。
ちなみに商標問題が解決して本作から向こうでも「Dragon Quest」になった。
売上本数としては前作DQ7には届かなかったものの、それでも国内370万本という売上本数は日本のPS2ソフトとしてはFF10を抑えてトップの数字である。

地味に定価がやや高く、初期定価が8,800円+税。
この定価は6,800円で通常版が買える作品の限定版の値段である。



2015年8月にニンテンドー3DSにてリメイク版が発売。
携帯機であるためグラフィックや演出などのクオリティ面ではオリジナルにややおよばないものの、それを補って余りある追加要素があり評判は上々。

+ 3DS版の主な追加・変更要素
  • パーティーに新たな仲間が2名追加され、それに伴う「いれかえ」システムを導入。
    • ヤンガスと旧知の仲である女盗賊『ゲルダ』
    • モンスターバトルロードの主催者『モリー』
  • キャラクターにCVが付き、イベント中はフルボイスで喋る。
  • ストーリー面がテコ入れされ、原作になかった追加シーンや新エンディングが新規収録。
    • 追加シーンは主人公やドルマゲス、マルチェロあたりがメイン
    • 印象的な敵キャラクターだったマルチェロは、原作から設定・描写が変更された部分も。
  • やり込み要素として、新たなボスやダンジョンを追加。
    • 特に新ダンジョン『追憶の回廊』は鬼畜な難易度で名高い。
  • 戦闘面のバランスを調整。
    • オリジナルで強すぎたゼシカの『双竜打ち』などが弱体化
    • 代わりに呪文などの威力が上昇
    • ヤンガスのステータスが強化され、『ちから』が主人公に抜かれなくなった
    • 戦闘アニメーションを高速化するモードを追加
  • 装備するとキャラクターの見た目が変わる防具を新規追加。
  • 時間経過で中身が復活する宝箱を追加。
  • ランダムエンカウント形式からシンボルエンカウント形式に変更。
  • 錬金釜が大幅強化。
    • 時間経過なしで即座にアイテムを生成可能
    • 一度の錬金で99個の生成も可能に
  • 写真システム、写真クエストを追加(スクリーンショットの撮影や特定の人物、建物の撮影など)
  • BGMが海外版と同じくオーケストラ音源に変更。

PS2版から見るとかなり変化しており、一度クリアした人も問題なく楽しめる。
一方で、CERO対策のためか特定のキャラクター・シーンの表現が変更されてしまった箇所など残念な部分も少々ある。
ゼシカの乳揺れがかなり控えめにされたりとか。ゲルダが短パンになってしまった!クソッ!!

今から買うのであれば基本的にリメイク版がオススメ。


【あらすじ】

本編開始の少し前……。
トロデーン城を訪れた道化師ドルマゲスが、城内に安置されていた「暗黒神の杖」の封印を解いてしまう。

ドルマゲスは止めに入ったトロデ王とミーティア姫を杖で怪物と馬に変え、続いて空高く飛び上がり城全体に茨の呪いをかける。

そして封印の間にいたおかげで茨からは助かった王と姫、
何故か唯一呪いから免れた主人公を残しドルマゲスは去っていった……。

(実際にはドルマゲス探しの途中から唐突に物語が始まり、上記の経緯は序盤の回想で語られる)


【主な登場人物】

声優は主人公を除き全て3DS版。

cv:梶裕貴(スマブラSP)
トロデーン城の近衛兵、18才。
幼少時代に記憶喪失状態で城を訪れ、以来住み込みで仕えるように。
子供の頃はミーティア姫の遊び相手だったので、トロデからの信頼も厚い。

何故か1人だけドルマゲスの呪いが効かなかった。
トロデとミーティア、城にかかった呪いを解く為ドルマゲス探しに付き添う。

「呪いが効かない」という体質はゲームシステムにも反映されており、彼のみが呪われた装備を呪われずに装備することが出来る。また戦闘ではモンスターからの呪い攻撃*3が効かない。

cv:立木文彦
悪人面の元山賊。
物語開始時から同行しており、主人公をアニキと慕う。
加入の経緯は本人曰く「涙無しでは語れない」らしい。
少年時代は異世界のダンジョンを冒険していたみたいよ。

cv:竹達彩奈
名家であるアルバート家のおっぱい。
何者かに兄を殺害されて以来、家訓に従い喪に服している。
勝ち気な性格で魔法の腕は確か。

cv:細谷佳正
端正な顔立ちの聖堂騎士。
女好きのギャンブル好きで、それを隠そうともしていない。
その不真面目さから聖堂騎士団では厄介者扱いされている。

cv:岩崎ひろし
呪いで緑色の怪物に姿を変えられた王。
偉そうで頑固者だが嫌味さは余りなく、多趣味で意外と人格者。
本来の姿はハンサムらしい。

cv:種田梨沙
呪いで白馬に姿を変えられた姫。地味。

昔から主人公と行動を共にするネズミ。
空気だった前作トカゲと違い、戦闘中に主人公が各種チーズをあげると強力な攻撃を繰り出す。

  • モリー
cv:中田譲治
モンスターのチームを作って、闘技場で戦わせる「モンスターバトルロード」の主催者。
主人公にモンスターチームのオーナーとしての才能を見出し、バトルロードのオーナーにスカウトする。
リメイクではバトルロードランクS制覇後に仲間になる。

cv:生天目仁美
ヤンガスの幼馴染である女盗賊。
勝気な性格で、ヤンガスは彼女に頭が上がらない様子。
リメイクでは海賊の洞窟イベント後に仲間になる。

cv:子安武人
とある魔術師の弟子だった道化師で、杖の封印を解いた元凶。
追っていくなかで殺人を重ねていき、徐々に目的が明らかになっていく。狂気じみた笑い声は必聴モノ。
リメイク版では彼の過去について掘り下げたイベントが追加されている。

【システム】

今作は新システムが多数組み込まれており、いくつかは後の作品でも採用された。

  • スキル
本作でキャラの特色を決める要素。
剣・槍など武器やキャラごとの持ち味にスキルポイントを振っていき、
特技習得やボーナスといった形でその武器の扱いがどんどん上手くなる。

全てのスキルを制覇することは(廃人プレイやチートしない限り)できないので、好みのメイン武器と固有スキルに絞るのが吉。
なお、スキルポイントによって習得した特技や特殊効果は固有スキルや呪文を除き、他の系統の武器を装備した場合には使用することが出来ない。

この点は武器の決定に威力と攻撃範囲以外の選択肢を増やした好例といえる。
PS2版ではスキルポイントを獲得したときに全て割り振る必要があったが、3DS版では保留しておけるようになった。

  • テンション
気力を漲らせることで次の行動に限りダメージ量・回復量を増やす。
5→20→50→100(スーパーハイテンション)の4段階で、溜めるごとに跳ね上がる。
見たまんま界王拳・スーパーサイヤ人を意識したらしい。
DQMJやⅨにも採用された。

  • かしこさ
本作以前のナンバリングでも存在するパラメータだが、一番大きいのは「かしこさが上がると使用する呪文の効果が上がる」こと。
これにより、下級呪文でもキャラが育つとちゃんと強くなる。
上記のテンションシステムと合わせ、「今のはメラゾーマではない、メラだ・・・」がようやく再現できるようになった。
Ⅸ以降は「こうげき魔力」「かいふく魔力」とさらに細分化された。

  • 錬金釜
複数の道具・装備をブチこんでそれらを合成する。
材料以外の消費・制限がなく便利。
Ⅸでは錬金釜が喋る。
リメイク版では大幅に使いやすくなった。

  • スカウト
各地にいる存在感アリアリ(シンボルエンカウント)のモンスターと拳で語り合ってスカウトする。
(謎のイケメン中年モリーに会ってからでないとスカウトできないので注意)

スカウトしたモンスターはバトルロード(闘技場)に参加させたり、戦闘中に呼び出すとターン制限付で戦ってくれる。

後にアーケードのカードゲーム「モンスターバトルロード」シリーズとして独立した。

  • キラーパンサー
システムというほどではないが、今作ではキラーパンサーの背に跨り移動できる。(サブイベント後)
エンカウントはするが徒歩より少なく、疾走感を味わえる。


【余談】

  • ドラクエの3D化については当時、古参ファンから否定的な声も多かったようだが、本作の高いクオリティによって発売後は多くのファンに受け入れられた。
    とはいえ、なまじグラフィックがリアルなせいもあって、とあるイベントにおいては「助けられる状況でありながら棒立ちで見殺しにしているようにしか見えない」と批判されることも。

  • シナリオに関しては後半のグダグダっぷりが指摘されることも多いが、開発スタッフは「ドラクエらしさ」を崩さないよう細心の注意を払っており、本作のストーリーやキャラクター、世界観を評価する声も多い。

  • BGMに関して、カジノ等は歴代作品の楽曲を使っており、特にDQ3からのあの曲はEDでファンサービスにもなっている。

  • 歴代最高クラスにメタル狩りが楽なので、あまりメタル達と戯れてると終盤の主人公達のインフレが凄いことになる。
    • 一応それを考慮した為か隠しボスは強めだが、やはりやりこむと普通に倒せる。
    • ただし、これは普通にプレイした場合の話。
      本作のバランス調整は普通にゲームを進めるとシリーズ経験者ならそれほど苦戦しない難易度なのだが、これが低レベルクリアなどの縛りプレイをするととたんに難易度がはね上がる。
      というのも、スキルシステムの関係上、低レベルクリアの抜け道が多く潰されているためである。またこれらが充実していない序盤の難易度はぶっちゃけPS2版では高めだったりするのはあまり知られていない。


  • 同じPS2ソフトでも、海外版は日本版と違いが多かった。
    • BGMがオーケストラ
    • イベントボイスあり
    • UIが大幅に変更
    • 技の追加
    • テンションMAXで本当にスーパーサイヤ人化する

  • 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIALにはDLCファイター「勇者(DQ11)」のモデルチェンジとして本作の勇者が登場している。
    声優もこの時初めて起用されており、およそ15年の月日を経てDQ8のパーティ全員のボイスを聞けるようになった。



追記・修正は裏ボスを素手で倒した方がお願いします。

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最終更新:2024年03月03日 13:53

*1 PS2版DQ5はキャラクターの等身が低く、またフィールドで歩いていないときにも常に足踏みしているなど動きの表現も乏しかった。DQ8と違い、戦闘中には魔物しか画面に映らないため、魔物の3D化にリソースを割いたと思われる。実際、生き生きとした魔物たちの動きは評判がよく、戦闘のテンポの良さはシリーズ屈指だった。

*2 DQ8から導入された新要素(スキルや錬金釜など)が後のシリーズ作品でも形を変えて導入され、ファンにとって馴染み深いシステムになっていった点も大きい。

*3 1ターン行動不能になる