コルト M1911(コルトガバメント)

登録日:2011/04/25(月) 20:46:27
更新日:2024/01/15 Mon 21:56:01
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風穴開けるわよっ!!


諸元
全長 216mm
重量 1077g
口径 .45ACP(.38Super)
装弾数 7+1(9+1)
発射形式 シングルアクション
製造 コルト社(アメリカ)

大口径主義のアメリカを象徴するシングルアクション自動拳銃
最初期の米軍採用モデルは「Automatic Pistol,Caliber.45,M1911」(自動拳銃.45口径1911年製)
日本では「コルトガバメント」が一般的だが、「Colt Government Model」(コルト社製政府採用モデル)に由来する。
M1911、Caliber.45、ガバメントなど色々な愛称がある。



○誕生の経緯
スペインをやっつけたアメリカは独立意識に芽生えたフィリピンと米比戦争に突入する。
この戦争で当時採用していた.38ロングコルト弾(リボルバー)の威力不足を痛感した陸軍はストッピングパワーの高い拳銃を模索する。
この要求に応えたコルト社はブラウニング設計のM1900を改良した拳銃と.45ACP弾を用意した。
これを1911年に「M1911」の名前で採用、さらに現場の要望を取り入れ「M1911A1」に発展させる。その後1985年にM92にその座を譲るまで半世紀以上活躍した。

シンプルで信頼性が高いバランスの取れた完成度の高い銃である。



○構造のお話
この銃は射撃時の反動を利用して次弾を装填するショートリコイル式を採用している。銃身とスライドが動く距離が短いから「ショート」リコイル。
これは現代の自動拳銃のスタンダードな作動方式であり、ハンマーをコック(起こした)状態にしたままかける「コック&ロック」というセイフティとともに評価されている。
小さな排莢口とトリガーガード、今では珍しいグリップセイフティなど設計の古さを残しながらも今なお人気で現代オートのお手本とも言える。



○二つの世界大戦
制式拳銃だが第一次世界大戦では供給が間に合わず全軍配備には至らなかった。高い威力と信頼性から評判は上々だったそうだ。
この時に前線から出た意見などを取り入れたのが「M1911A1」である。
二つの見分け方はグリップ後部の下部の膨らみの有無で見分けられる。あればM1911A1、無ければM1911である。
グリップセイフティとハンマーの間に指の付け根が挟まる事故もあった為その辺も形状が変更されているらしい。
それでも全軍には行き渡らず、第二次世界大戦中にコルト社以外にも機械系のメーカー(タイプライターの工場等)で臨時生産されていた。
…というかレミントンランド(タイプライターの会社)製の方が、本家であるコルトよりも約2.25倍多い90万丁を生産している。
他はイサカ(散弾銃の会社)製とコルト製が約40万丁ずつ、ユニオンスイッチ&シグナル(信号機の会社)が約5万丁。
そしてシンガーMFG.CO(ミシンの会社)製のものは500丁しか存在しないため、恐ろしい値段で取引されている。。
なおアメリカ軍はこれ以降新規発注せず、部品の交換で旧品を維持していたとか。つまりWW2以後M1911A1の完成品は作られていないということ。
なんか「アメリカ軍制式拳銃」とは言ったものの、なんだか華々しい経歴とは言い難い拳銃である。メインウェポンではない拳銃だからだろうか。



○その後のガバメント
制式の座をM92に譲った後も民間用の拳銃としての人気は高く、護身用・競技用として広く使われている。
1986年にパテントが失効してからはアメリカ国内に限らず、カスタムガンが発売されている。
この中には単純なコピー品以外にも、ダブルカラムマガジン化したSTi2011シリーズやマグナム弾に対応させたLARグリズリー・ウィンマグなど、創意工夫を凝らした物もあり、バリエーションは星の数ほどある。
製造は下請けから大手メーカー、民間カスタムショップからライバル社まで色々。

9mmが主流の今でも高威力のためこれを使う特殊部隊や警察官は多い。民間でもシューティングでは定番中の定番。
アメリカ市場向けに銃を作るメーカーは「M1911に近い操作系にする」「.45ACPを使用する」などといった方針を重要視するところもある。

自衛隊の前身である保安隊でも11.4mm拳銃として制式採用され1982年に9mm拳銃が採用されるまで使用されており
戦後すぐの日本警察にも米軍の余り物のこれが大量に供与されたため昔の警官は比較的馴染みがあり
ルパンの銭形警部が愛用しているが彼の経歴的に昔から使い慣れていてもおかしくない銃である。

〇現代銃と比較して
1.ダブルアクションではないため、ハンマーが落ちていれば引金を引くだけでは発射出来ない。
2.シグP220シリーズやUSPのようにハンマーを安全にデコックする機能がない。
3.現代のダブルカラム式拳銃が10発以上の装弾数を誇るのに対してM1911では最大でも8発しか装填出来ない。
と欠点があるように思えるが、
M1911はコック&ロックで携帯することを想定した銃なので、ハンマーが落ちているという状況は存在しない。
デコックしなくても暴発しないように、サムセイフティとグリップセイフティという二つの安全装置によってハンマーが固定されるため引金を何かに引っ掛けても暴発することはない。
(ただしAFPBがないので、落としたら暴発する可能性があるので、M45A1といった改修されたM1911にはAFPBが組み込まれる。民生用にもシリーズ80と呼ばれる後期生産型からAFPBが追加されたのだが、トリガープルが重くなると殺している人も多いとか。)
レバーを下ろし過ぎるとハンマーをデコックしてしまうUSPや指が届きにくい所にレバーがあるベレッタ92と違い、M1911はレバーを下ろし過ぎるということも指が届きにくいこともない。
少ないと思える装弾数についても、拳銃の場合は大抵10発以上撃つ前に勝負が決するとされているため、そこまで装弾数が不利にはならない。
と海兵隊が2010年に新たにM1911系を要求するだけのポテンシャルを秘めている


○主バリエーション‐コルト社製
  • ディフェンダー(全長171mm)
  • ダブルイーグル(DAモデル)
  • ソーコム・プロト(M1911A2、ソーコム向けだがMK23に敗れる)
  • デルタエリート(10mm口径モデル)
  • .380ガバメント(.38スーパー弾を使うモデル)


○主バリエーション‐他社製
  • MEU(海兵遠征隊向けモデル)
  • S&W 945
  • S&W SW1911
  • AMTハードボーラー(ターミネーターのT-800が使用)
  • AMTオートマグ(長銃身)
  • LARグリズリー
  • SIGSAUER P238(.380ガバメントの再設計)
  • SIGSAUER GSR(SIGが製造しているM1911のクローン)
  • ラドムVISws1935(1930年代にポーランド軍採用)
  • トカレフ TT-33
  • インベルモデル911
バリエーションだけで項目が作れるぐらい色々ある。

それまでもコピーが多く作られていた。名銃と呼ばれるシロモノには付き物である(M16シリーズ、AK-47等々)



○余談
トリビアの泉で日本刀に弾を一刀両断された拳銃。
まあ銃弾はほとんどが鉛(後は鉛を覆う銅)なので致し方なし。
というか日本刀以外にもコンバットナイフで同種の実験をやっても切れる。

シングルアクションなので
ハンマーが起きていないと撃てない

銃に詳しくない作者が、ハンマーが起きていない(弾が出ない)のに銃を構えてしまうというミスがしばしば見られるらしい。

グリップセイフティという、握ると解除されるセイフティがあるので手の小さい人は使いにくいはず。


ラドム、トカレフ、インベルモデル911等、機構をコピーしながら形状等を新規デザインした銃と、
本家M1911との部品の互換性がある「ガバメントクローン」は同列ではないがここでは併記する。



○登場作品



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最終更新:2024年01月15日 21:56