グロスフス MG42

登録日:2011/09/05 Mon 11:08:40
更新日:2024/01/15 Mon 21:58:23
所要時間:約 6 分で読めます




MaschinenGewehr 42


諸元

全長 1220mm
重量 11.5kg
口径 7.92mm×57
装弾数 50(ドラム)/250(ベルト給弾)
発射形式 フルオート
発射速度 1200発/m
製造 グロスフス社(ドイツ)



概要

第二次世界大戦で破竹の勢いのドイツ軍。しかし、ある悩みを抱えていた。
MG34は素晴らしい機関銃なのだが…部品の大半が職人の削り出しでコストが高い、精密過ぎて泥や埃に弱いといった悩みである。
これを解消しようと手を挙げたグロスフス社によってコンセプトを変えず、生産効率の向上と構造の単純化を図ったものがMG42である。



特徴

MG34の後継として採用されたMG42はコストカットの為、削り出しをやめ大量生産のしやすいプレス加工を多用している。
作動方式を旧来からの「ロータリーロックボルトによるショートリコイル」から「ローラーロッキングボルトによる(ry」に替えたことで、
泥や埃に強くなり動作不良も少なくなった。

また「発射速度を高めると、個々の敵兵を撃つための時間が短くなる」という理由から単射機能はなく、
リコイルブースターを付けたことにより発射速度も毎分1200発という高速射撃が可能となっている。



長所と実戦

  • 毎分1200発の高速射撃
  • 二脚含め11.5kgと個人で携行できる
  • その為、分解運搬が必要無くすぐに戦闘に投入できる
  • 銃身の交換が簡単(熟練者は数秒)
  • 持ってよし、置いてよしと汎用性が高い(一人で運用すれば軽機関銃、三脚なら重機関銃や対空機関銃、車両にも搭載可)
  • 寒冷地や熱帯地でも使える頑丈さ

実戦テストとして投入されたアフリカ戦線がデビュー戦。砂漠の中でもバリバリ働き兵士の評判も上々で正式にMG34の後継となり終戦までに42万挺が生産された。
1200発の発射速度は他国のそれよりずば抜けており、敵兵を真っ二つに引き裂いたと言われている。
その威力と個々の発射音は聞き取れず「ブォーッ」と連続音に聞こえる独特の発射音から「ヒトラーの電動鋸」と渾名された。*1

動画サイトに行けば当時の機関銃を比較した動画がいくつか見つかるが、それを見ても分かる通り正に圧倒的な速さがうかがえる。
優秀だったが、戦線を拡大しすぎた為に生産が追い付かず、全てがMG42に置き換わることは無かった。



欠点

  • バレル交換の際には耐熱グローブが必要
  • マズルブラストが激しい
  • 射撃手がよく難聴になる
  • あまりの発射速度でどれだけ弾薬を用意してもすぐに使い果たす
等々現代の汎用(軽)機関銃と比べると物足りない点はあるが、「ドイツの技術は~世界一ィィィ!!」をよく体現している銃である。



第二次世界大戦後

連合軍に鹵獲され、その後の軽機関銃や汎用機関銃の大きな影響を与えた。
冷戦がはじまり兵器生産などの制限が緩和された西ドイツでは、ラインメタル社がNATO制式の7.62mm×51弾仕様の「MG1」に改良し、西ドイツをはじめ西側諸国の制式装備となった。
その後も長い間ドイツ連邦軍で改良を重ねた「MG3」として現役だったが、2001年以降はH&K社の「MG4」や「MG5」に置き換えられている。
他にも、オーストリア、イタリア、デンマーク、トルコ、チリ等がMG3や改良型を採用した。



バリエーション

  • MG45(又はMG42V)
資材不足の為材料を減らし9kgまで減量。量産には間に合わず、試作品が10挺のみ…だが、発射速度は脅威の1800発

  • MG42/59・MG1
7.62mmNATO弾仕様。

  • MG3
上と同口径だが連射速度が変更可能。

  • M53
旧ユーゴが戦後補償で得た製造機械で生産した。口径は7.92mm

  • T24
アメリカのコピー品。各部寸法をインチに直す際のミスで寸法が合わずジャムを頻発し失敗。
だからメートル法を採用しろと(ry



登場作品

他のドイツ製銃火器と同じく完成度・実用性共に高く大人気である。
時代背景が戦中だったり、過激派ネオナチのような組織が出てきたら大抵出てくる。

  • ケルベロスサーガ
人狼 JIN-ROHでは首都警特機隊の制式装備。ただし、作品によっては「MG34」だったりする。実写映画ではバレル交換シーンまであるこだわり。

単行本3巻でリコが使用。

  • 魔導兵装クラインハーゼ
「精密・制圧射撃兼用特殊ライフル」としてロゼが携行。

  • ソ・ラ・ノ・ヲ・ト
6話でノエル伍長が所持。

  • ハヤテのごとく!
アニメ第二十五話にて綾崎ハヤテが使用。

  • ストライクウィッチーズ
ウィッチ専用モデル「MG42S」として登場。カールスラント(ドイツ相当)とスオムス(フィンランド相当)のウィッチが主に使用する。
中には両手に持って二挺同時発射する強者も。実物のMG42では装備できないMG34の様なサドルマガジンを装備している。

松下(第1話と第8話にて)。

  • Battlefield Ⅴ
兵科の一つ援護兵の武器カテゴリ「MMG(ミディアムマシンガン)」の一種として登場。スキルの振り方次第では実物同様の圧倒的なファイアレートを誇る。

「ライトマシンガン」の名目で登場。カテゴリはヘビーガン(重火器)。
かつては総火力がヘビーガンの中でも取り分け低く不遇だったが、現在はアップデートにより十分に一線級を張れる武器に進化した。

  • FarCryシリーズ
そのまんま「MG42」の名目で『4』からLMGカテゴリーで登場。
元ネタ通り他の武器を遥かに上回る発射速度とえげつない弾薬消費を併せ持つ。FPSなので射撃音がめちゃくちゃ五月蝿い。
跳ね上がる銃身を制御する為に一定のリコイルコントロールも必要になるので、バースト射撃で使うのが主。
瞬間的な火力はピカイチだが、近年では反動が凄まじくなる弱体化を受けつつある。
寧ろその反動のお陰で胴体を狙っても頭に飛ぶのでヘッドショットを決めやすくもなっているが。

第二次世界大戦が舞台のシリーズでは大体登場する。
フィールド上に二脚で固定されたものとプレイヤーが携行してブッ放せるものの二種類がある*2
CoD WAWではこいつで敵兵を撃つと四肢や頭が吹き飛ぶ。

明らかに本銃がモデルの機関銃が登場している。
アームドブレイカーのものはメカニカルなセンサーが装備されていたり、排莢口がある位置に弾倉を装備しているなどのアレンジが入っている。


トイガン

日本では松栄製作所がブローバックガスガンを発売しており、香港ではS&Tが電動ガンの発売を予定している。
松栄製作所製ブローバックガスガンは強烈な反動を誇るが、価格も約20万円と強烈である。
持っているだけでヒーローになれるだろうが、250発というマシンガンとしては少ない装弾数、外部ソース式とASCSユニットという癖の強い動力源と作動機構のため、
初心者には手に余るだろう。
S&T製電動ガンは、価格は約10万円とお求めやすくなっている上に、2500発という火力支援に向いた装弾数となっている。
もっとも、両者とも凄まじい重量であるため、サバイバルゲームでは使いづらいだろう。実物よろしく二人で運用してみてはどうだろうか。



余談と豆知識

◆創作ではMG34が装備しているのと同型・同系統のサドルマガジン(ドッペル・トロンメル)を装着している事がよくあるが、実際のMG42は使用できない。

◆アニメや漫画では横向きに排莢される事が多いが正しくは下向きである。

◆ボルトにアルミホイルとベーコンを巻き付けて射撃するといい匂いがするらしい。



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最終更新:2024年01月15日 21:58
添付ファイル

*1 そのあだ名のせいか、キノの旅文庫本7巻「何かをするために・a」にて、キノの師匠が木を切るのに使用している。

*2 携行タイプにはドラムマガジンを使用している