八手三郎

登録日:2011/04/17 Sun 07:34:25
更新日:2024/03/10 Sun 18:49:16
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もし、君が日本で生まれ育ったならば一度はこの名前を目にした事はあるのではないだろうか?



八手三郎


え、知らない?
ま、まぁ芸能人の類じゃないから仕方ないか……







さて、八手三郎とは東映特撮の原作者として頻繁にクレジットされている人名である。
現在だと爆上戦隊ブンブンジャーのオープニング冒頭に名前が連ねられてるので、機会が有ったらチェックしてみてくれ。

日本版スパイダーマンも含めて東映作品なら“原作”としてほぼ最初に表示されるが、実在の人物ではない。
実際はその作品の制作を指揮している東映プロデューサーのペンネームである。
サンライズの“矢立肇”と似たような感じ。

天装戦隊ゴセイジャー』や『機界戦隊ゼンカイジャー』、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』では脚本家名として使われたが、その正体はそれぞれの担当プロデューサーであると視聴者の大半から考えられている。
まず間違い無い。

正式な読み方は「やつで さぶろう」だが、「はって さぶろう」と読まれる事もある。
名前の由来には幾つかの説があるが、全て「平山亨」という監督・演出家が関わっている。

基本的には名前がクレジットされるのは特撮のみだが、例外的に『超電磁ロボ コン・バトラーV』のような東映が制作を指揮していたテレビアニメ作品のスタッフにも名前が載る事もあった。



さて、この八手三郎だが仮面ライダーやスーパー戦隊といった特撮ドラマの制作において非常に重要な役割を持つ。
何故なら1シリーズのストーリーの流れを管理する「シリーズ構成」の立場に置かれるからである。

シリーズ構成と言うとアニヲタの諸兄は脚本家の仕事と考えるだろう。
そして「なんでプロデューサーが脚本家みたいな事するんだ?」なんて思うかもしれないが、ドラマ制作のプロセス上、どうしてもこうならざるを得ないのだ。

まずアニメーションの場合、プロデューサーは最初の企画段階で番組の方向性を指示するだけで話の内容については監督を始め、スタッフ達の話し合いで決まる。
番組の世界観の構成や話の整合性は「シリーズ構成」と呼ばれる役職に着いた人間が行うため、よっぽどの事がないと内容にプロデューサーが直接口出しをするという事はない。

では、東映特撮の場合は?
東映特撮は放送サイクルが厳しいため、複数の撮影班に分かれて撮影する形式を取っている。
だから、番組は複数の監督がローテーションで撮影する、という形になる。

場合によっては脚本家も変わるため、番組の方向性を調整する役割としてプロデューサーが制作会議に参加する必要性が出てくる。
そして本来ならシリーズ構成が出す脚本のプロットを会議の結果プロデューサーが作り、脚本家が脚本にするわけだ。

制作の遅延の可能性からシリーズ構成による脚本制作の介入を入れる手間が取れず、整合性の調整についてもプロデューサーが担当する事になる。

番組の世界観についてはプロデューサー、メイン脚本家、パイロット監督による話し合いで決められ、それらからパイロットフィルム(近年ではテレビ放映分の第1~2話が該当する場合が多い)が作られる。
以後はそれを基準に番組が制作されていく。

こういった制作のプロセス上、番組の内容はプロデューサーの好みが反映された物になり、クセが強くなる物も多い。

余談

●八手の正体が知られていなかった時期には、『仮面ライダー』シリーズへの関わりなどから石ノ森章太郎の別名や石ノ森の隠し子と思う者もいた。

●意外と東映特撮の制作方法は知られていない。
 なので番組の内容の批判があった場合、知名度やイメージの問題なのか、プロデューサー特有のクセによる物だとしても批判が脚本家に向く事が多い。
 アニメーションでも良くある事であるが。

●念のために言っておくが平成・令和の仮面ライダーシリーズも同様の制作方法である。
 石森プロが原作を担当しているためか番組クレジットには名前がないが。




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最終更新:2024年03月10日 18:49