高岩成二

登録日:2011/02/28(月) 22:37:47
更新日:2024/01/22 Mon 11:56:53
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高岩成二……

仮面ライダーのスーツアクターとして知らぬ者は居ない。

ネット版 仮面ライダーディケイドオールライダー超スピンオフ
File13 どれだ!高岩成二の恐怖?より




高岩(たかいわ) 成二(せいじ)は、俳優、スーツアクター、スタントマン。
ジャパンアクションエンタープライズ(通称JAE)所属を経て、現在はフリーランス。

1968年11月3日生まれ。身長は175cm。埼玉県出身。

主に仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズなど東映特撮ヒーローでの活躍で知られる。


○経歴

俳優・真田広之に憧れJAEに入所。
当初はヒーロー作品はやりたくないとまで思っていたのだが、研修の一環として渋々見せられたヒーローショーで主演を務めていた岡元次郎の動きに魅せられ興味を持つように。
その後しばらくは後楽園遊園地のアトラクションショーなどで活躍していた。
1989年に『仮面ライダーBLACK RX』にライダーマン役でテレビ初出演。

1992年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のドラゴンレンジャーで本格デビュー。
以降は東映特撮のヒーロー役で活躍していく事になる。

1994年、『忍者戦隊カクレンジャー』で初の主役級としてニンジャレッドを演じた。

平成ライダーシリーズには2001年の『仮面ライダーアギト』から主役アクターとして参加し、
アギトの前である2000年の『クウガ』と、2005年の『響鬼』を除く平成ライダーで主役アクターを担当した*1ことから、ミスター仮面ライダー、あるいはミスター平成ライダーと呼ばれている。

2021年11月1日に長らく所属していたJAEからの退所を発表。
今後はフリーランスとして活動していくとのこと。

そして2022年4月、坂本浩一監督作品、『グッドモーニング、眠れる獅子』にて初主演を飾った。*2
更に翌年2023年、『グッドモーニング、眠れる獅子2』の放送が決定。*3今なお伝説を残し続けられるお方である。

○スーツアクターとして

平成仮面ライダーシリーズで主人公ライダーや主役の影の面と言えるダークライダーやモモタロスのようなコメディリリーフの役を担当していた。

一方でスーパー戦隊シリーズへの参加は少なく、2000年代以降は2005年の『魔法戦隊マジレンジャー』(マジレッド、マジフェニックス)、
2011年の『海賊戦隊ゴーカイジャー』、2015年の『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(どちらもニンジャレッド)のみである。

仮面ライダーゴースト』にて平成ライダーでは初めて、眼魔の幹部・ジャイロとしてレギュラーで顔出し出演を果たした(モブ役でなら何度かある)。
元々このジャイロ役ですら1話限定のゲストキャラとして予定されていたが、強敵感を出すために継続して登場するに至った。このため、ジャイロとしてタケルと闘った後ゴーストの中身としてジャイロの眼魔ウルティマと闘うという事態に。
ただこの顔出し出演がきっかけで一時期引退説のデマが広まってしまう。本人の耳にも届いたのか、インタビューにて何度もこれを否定している。

それから3年後、平成ライダー最終作である『ジオウ』をもって主役ライダーのスーツアクターからは引退した。
改元というきっかけもあるが、「主演(ソウゴ/ジオウ役の奥野壮氏)が自身の長男より歳下」ということに気付いて本格的に世代交代を考えたとか。
ただ、スーツアクター業自体の引退でない事は明言しており、実際に令和ライダー1作目である『仮面ライダーゼロワン』には仮面ライダー滅のスーツアクターとして出演した。

スーツを着た時はパッと見気にならないが、着てない時の画像を見るとたまに次郎さん級のお腹の時がある。
着痩せするタイプなのか、それともたまたま太っていた頃の画像がヒットしたのかは不明。


○演技の特徴

キャラクター毎の演技分けに定評があり、演じる人物が変わればアクションの傾向もキッチリ変えてくる。
仮面ライダー龍騎以降はより変身人物の特徴を反映出来るようにアクションの中に特徴を持たせるようにしている。
  • 変身後にファイティングポーズ(龍騎)
  • 手首を軽くスナップさせる(555)
  • 天の道を往くポーズ(カブト)
  • 頻繁に手をはたく(ディケイド)
  • 武器の刀身を撫でる(ディケイド)
  • 腕時計を直す(W)
  • 腕が考える人のポーズ(W)
基本的に「変身するヒーローの外見が頻繁に変わる」「変身する人間の個性を強調する必要がある」場合に顕著になる模様。

また、アドリブも多い事でも有名。龍騎の「折れたぁっ!」やオーズの「ハイ、変わったー」もエグゼイドの任天堂がやるなって言ったカセットフーフーも高岩氏のアドリブである。
さらに恐ろしいことに電王クライマックスフォームの電仮面が勝手に動いて喋りだすのも全てアドリブだそうだ。

そういった特徴的な演技は変身前の役者が自身のキャラクターを掴むキッカケになる事も多い。
声優・関俊彦がモモタロスのキャラクター造形を突き詰めるヒントになったのは有名な話。

インタビューで本人は「ブレイドのような型にはまった感じのアクションよりも龍騎、ファイズのようながむしゃら系の動きのほうが得意」と発言している。
また、手や指の特徴的な構え方にも定評があり、極まったファンは指の構え方だけで氏が入っているかどうかを見抜けるとも言われている。
ガシャットやスマホを持つ時みたいな形の開き手が高岩さん。
歩き方や銃の構え方にも特徴あり。歩き方はカブトや滅、銃はバッシャーフォームやWのトリガー系、ウィザードが顕著。

様々なアクションをこなす高岩成二だが、彼も万能ではなく3つの欠点がある。
それは「高所恐怖症」「ダンス」「悪役の演技」。

高い場所でのロケは「面を着ければ怖くない」そうだが、『カブト』の撮影中は高所*4にヘタれて上手く跳べなかったり手すりから手が離せず監督*5に冷たい対応をされたり、ダンスに関しては『マジレンジャー』のEDや仮面ライダー電王ガンフォームの演技で相当苦労した様子。
『電王』のオープニングのラストでは高岩さんの素と思われるダンス能力が見られる。これはこれで萌える。
また悪役としてダークキバを演じた際も「今後の課題」とするほど納得がいかなかったそうな。後のゼロワンで悪役になったが。

ちなみにつらかったパワーアップフォームは全身鎧であり、モーターギミックが仕込まれた事で重く、片手で持てない剣を使用するブレイド・キングフォーム。
さらなる集大成として「これはもう戦隊ロボだろ! と思いました(笑)」なエグゼイド・マキシマムゲーマー レベル99とのこと*6
また、長物武器を両手にそれぞれ持って片腕で振るうアギト・トリニティフォーム、
中央の銀色の部分に伸縮性が無く動きにくかったW・サイクロンジョーカーエクストリーム、
キングフォームの如く全身にレリーフが設置されたため、動きにくさこそ無かった(!)ものの歴代最重量を誇るグランドジオウも苦戦したらしい。
なおVシネマ「ゲイツ、マジェスティ」でのグランドジオウは高岩さんではないが、キングラウザーをグランドジオウが持つというシーンが。…大丈夫だろうか?



○電王とそれ以降

高岩は仮面ライダー電王の各フォーム毎に人格と戦い方が変わるという設定を、演技で見事に演じ分けてみせたことで注目を浴びる。

その様は七変化*7と言ってもよく、彼の実力の評価・スーツアクターへの注目が集まる起爆剤となった。

本人は「電王では20年近いキャリアの全てを出しきった。もう振ってもなにも出ない」とのこと。お疲れさまでした。

以降は番組スタッフの彼への傾倒はより大きくなり、『仮面ライダーW』ではWを彼が演じる前提で企画が練られ*8
メモリの組み合わせで変わるアクションに関して彼に一任するほどであった。

視聴者の関心も深まり、
「高岩さんなら高速移動したり、空飛んだり、体が真っ二つになっても大丈夫だったり、腕を曲げたり伸ばしたり50人に分身するくらい楽勝!」と、
彼に対して冗談めいた意見が飛び交うようになったのもこの時期。

余談だがネット版仮面ライダーフォーゼ*9で他のスーツアクターから弄られた時の動作はまんまモモタロスだった。

ちなみに二輪免許を持っておらず、バイクアクションのシーンでは代役。毎年の目標は「バイクの免許を取ること」である。
「ブレイドのときに皆と一緒に取っていればなぁ」とTwitterでボヤいていた。

オールライダーものでの彼の優先順位は「モモタロス>最新ライダー」。


【代表的な役】

※雑魚怪人などは割愛
※主役ライダーも省略する。

  • ライダーマン(仮面ライダーBLACK RX)
  • 仮面ライダーG3-X(翔一装着時)(仮面ライダーアギト)
  • ウルフオルフェノク、センチピードオルフェノク(第14・15話のみ)、ワームオルフェノク、ホースオルフェノク(草加ファイズ戦闘時)、仮面ライダーカイザ(第21・22話ホースオルフェノクとの共闘、劇場版啓太郎時)
  • 仮面ライダーダークカブト(仮面ライダーカブト)
  • モモタロス(仮面ライダー電王)
  • ガルル、仮面ライダーダークキバ(キング変身時)(仮面ライダーキバ)
  • 仮面ライダーディケイド(仮面ライダーG
  • 仮面ライダー滅(仮面ライダーゼロワン
  • 仮面ライダー1型(仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション

  • ドラゴンレンジャー(恐竜戦隊ジュウレンジャー)
  • ニンジャレッド、レッドサルダー、バトルサルダー、ゴッドサルダー、隠大将軍、ニンジャマン(忍者戦隊カクレンジャー)
  • メガブルー、デルタメガ(電磁戦隊メガレンジャー)
  • ギンガレッド、ギンガレオン、合身獣士ブルタウラス(星獣戦隊ギンガマン)
  • ゴーレッド、グランドライナー、冥王ジルフィーザ、龍冥王サラマンデス(救急戦隊ゴーゴーファイブ)
  • タイムレッド、ブイレックス(未来戦隊タイムレンジャー)
  • マジレッド、マジフェニックス(魔法戦隊マジレンジャー)
  • ニンジャレッド(海賊戦隊ゴーカイジャー)
  • ブルービート(アクション時)(ビーファイター)
  • ビーファイターカブト(アクション時)、ビーファイターヤンマ、フリオ・リベラ/ビーファイターゲンジ(変身前後兼役)(ビーファイターカブト)

余談

高岩氏としてはスーツアクションもあくまで役者業の一環として考えており*10、スーツアクターやアクション俳優として別に括る考え方には違和感があるという。
なのでスーツアクターに憧れる若者に向けては「動きの練習もいいけど、まずは役者として芝居を磨く意識を持つべき」と語っている。
一方で、近年の撮影現場では自分の出た作品を見て業界入りしたスタッフとも出会うようになり、これについては「自分は遠い誰かにも影響を与えられたんだなあ」と嬉しくなったという。

また本人としては仮面ライダーのアクターよりも戦隊シリーズの方がやりたかったらしく、アギトに参加したのは不本意だったとか。
もっとも、アギトの撮影中にやる気が出たらしい。そしてその翌年の作品鏡の世界を演出するために利き手利き足の逆側を使うとんでもない演技を要求されることになるのだが。

『仮面ライダーW』の続編漫画『風都探偵』では、スーツアクターを題材としたエピソードで高岩をモデルとしたゲストキャラクター「鷹岩降雄(たかいわふりお)」が登場。
姓は本人、名は高岩が変身前後両方を演じたビーファイターゲンジ=フリオ・リベラが由来*11で、服装もフリオと似た服で描かれている。
高岩成二氏本人としても第11巻の巻末で顔写真付きでインタビューに答えている(本項目の内容もそこから抜き出したものがある)
風都探偵のアニメ化においても高岩氏の存在は仮面ライダーWの原典の一つとしてスタッフからリスペクトされており
「Wの描写は高岩さんの感じがあるように意識した」と椛島監督がメイキング動画で語っている。



追記・修正は指の動きでスーツアクターを見抜いてからお願いします。

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最終更新:2024年01月22日 11:56

*1 『ディケイド』においてカメンライド形態のスーツアクターもすべて担当したため、クウガと響鬼のスーツにも入って演技してはいる。

*2 当然顔出し。なお、出演者には坂本監督作品なのもあって椿隆之氏や西銘駿氏を始めとした歴代ライダー(全員悪役)や中村浩二氏といったスタントマン歴のある俳優さんなど錚々たる顔触れとなっている。

*3 城戸真司の須賀氏や乾巧役半田氏等と対決。そしてついに『ミスター・ウルトラマン』岩田栄慶と共演決定。ただし岩田氏は仮面ライダーセイバーに奥さんや御子息とちょっとだけ登場していたりする。

*4 ちなみにロケーションは木造ジェットコースターの上。乗ったことのある人にはわかるかもしれないが木造のコースターはガタガタ揺れる上にその音がよく聞こえる。

*5 厳しい演技指導で有名な石田監督。ちなみに彼は高岩さんのことを「成二」と呼ぶらしい。

*6 スーツ内にサングラスや飲み物、台本が置けるサイズだったという

*7 劇中良太郎は、モモ・ウラ・キン・リュウ・ジーク・デネブ・ゴーストイマジンの7イマジンに憑依される文字通りの七変化をしている。デネブ以外は憑依された上での変身を行っており、素の良太郎が出るライナーを合わせると変身後も七変化である。

*8 クライマックスフォームで本気を出したアドリブを行った為。

*9 第18話 人・物・造・形

*10 作品映像には入らないものの、マスクの中では台詞も緩急をつけて喋っているとのこと

*11 後者は単行本11巻の巻末に掲載されたロングインタビューの注釈で明言されている。