ICHI-市-

登録日:2010/11/17(水) 21:57:18
更新日:2024/01/03 Wed 21:33:36
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2008年からイブニングKCに隔週で連載された篠原花那による時代劇漫画。全7巻。

座頭市をモデルにした作品であり、綾瀬はるか主演・曽利文彦監督の映画『ICHI』のコミカライズ版でもある。





◆あらすじ
時は1861年(文久元年)。

幕府が長い鎖国時代を終えて開国して数年。

桜田門外の変、尊王攘夷の思想、公武合体策などによって荒れる国内。


その動乱の時代の中で、ひとりの瞽女、市は生きていた。



◆登場人物

今作の主人公。
年齢、出生地一切不詳。
瞽女であり、三味線の演奏を得意とする。
物静かで丁寧な性格で、普段あまり喋らない。
しかし、やや天然が入っているような一面も。

盲目のためずば抜けた感覚を持ち、人の心を読む。
また非凡なの使い手で、居合いを最も得意とする。
その速さは神速であり、これを見切ったのは現時点で十馬のみ。

、三味線にを仕込んでいる。
『不二心流』だが、不二心流には居合いがない。


  • 藤平十馬
脳天気な性格で、極度の方向音痴。
その顔とは裏腹にの腕は超一流であり、劇中では市の居合いを見切った。

また、ある男を探している。

『柳生流』


  • 近藤勇
天然理心流四代目宗家。
厳格だが、木刀を折って焦るなどコミカルな一面も。

  • 土方歳三
天然理心流。荒々しい性格だが、近藤を敬い慕っている。
しかし、自身の剣の腕を磨こうと裏仕事に手を染めていたりする。


  • 沖田総司
天然理心流。基本的にマイペース。
塾頭を勤める実力を誇り、劇中においても市の背後を取っている。


  • 十内
もうひとりの盲目の剣士。
うまく喋れず、髪飾りを大事にしている。
市と真正面からやり合って生き残った唯一の人物。

柳生流。


長州藩。
殺し好きで、人の歯を用いて作りものをしたりと悪趣味。


  • 清河八郎
北辰一刀流免許皆伝。攘夷思想を持ち、その中心人物でもあることから、幕府が血眼になって探している人物。
市に完敗している。


  • 桂小五郎
長州藩の有望株。長州藩をうまく纏める政治力もあるが、剣の腕も超一流。


  • 伊庭八郎
心形刀流伊庭道場宗家の嫡男。
刀を握って一年だが、沖田に「強い」と言わしめた。
徳川家に対しての忠義は人一倍強い。

また、市に惚れている。


  • 大場明宗
ロリコン
以上。


  • 中村棗
市に惚れ込む、不二心流開祖の孫。
若いが実力もある。
元気で明るいが、ちゃんと機転も利く。


  • 中村一心斎
市に剣術を教え込んだ。
不二心流開祖。


  • 辻村洸庵
市の刀を手がけた名工。


  • 大親分
一ノ瀬組組長を締める女性。
男勝りの姉御肌で、口が悪い。


  • 市の母
村離れで市をひとりで育てていた。
しかし、その仕事は……?


  • 斎藤一
とある事情から放浪の旅をする剣士。
刀が好きで、さらに剣術も一流。


◆物語(単行本)

単行本一巻

『……名前を市―――通り名を、座頭市と申します』

横浜、神奈川宿での仕事を受けた市と十馬。
その地で、彼女たちは攘夷運動の有力者、清河八郎と出会う。


単行本二巻

『約束した。互いのことは一切詮索しないと―――』

明かされる十馬の過去。

和宮降嫁と時を同じくして、ふたり組の剣客が江戸へと入った。


単行本三巻

『貴方と過ごした時間―――嫌いじゃなかった』

刺客退治、開始。
響を追い詰める土方と沖田だが、十内によって阻まれてしまう。
その十内こそが、十馬が探していた男だった。

そして語られる、市の過去。


単行本四巻

『殺しを楽しいと思ったことは、一度もない―――』

市、衝撃の過去が明かされる。
中村一心斎との出会い、瞽女。
様々な人と関わって市は育つ。

そして、市は折れた刀を直すため、水戸を目指す。


単行本五巻

『ある男を見つけて殺す。それまで、俺は死ねない』

市と別れ、旅を続ける十馬は、ひょんなきっかけから浪人「斎藤一」と旅をすることになる。


大事っぽいものなど

座頭市:ご存知シリーズ共通の通り名。
「座頭」は江戸期における盲人の階級の一つで、ICHIではおそらく「座頭+市」で座頭市。

瞽女:三味線による弾き語りなどを仕事とする盲目の女性たちのこと。
ひとつの社会のようなものでもあり、「男との交わりは禁忌」というルールがあり、無理やり犯されたとしても例外はない。
瞽女の社会から追放された瞽女は「はなれ瞽女」と呼ばれ、『ある者は身体を売り売女同然に生き、ある者は野垂れ死ぬ』と、劇中で市が語っている。



『嫌いじゃない』:幼少の頃、市が用いていた言葉。

母が「『好き』でしょ」と指摘しても用いていた、市の『好き』の言葉。







以下、ネタバレ


市編

市はもともと目が見えていた。
しかし、母親は売女として生き、市はそこしか居場所がなかった。

雪の降る2月前、市は心優しい大場と出会い、優しいと思っていた彼に強姦されそうになった。
なんとか母親に助けられるが、次は母親に殺されかける。

その過程で碗の入った桶に顔を叩き込まれ、破片が目に刺さり失明。
だが失明の寸前に母親を刺殺。
逃げ出したため、村の住民からは餓死したと思われていた。


しかしそれから数ヶ月、夏の季節。
市がいた村を訪れていた一心斎はその帰り道、河原でひとりの白髪の少女と出会う。

その少女こそ、を失ったはずの市だった。

その後、市は三年の瞽女修行を経て中村一心斎に弟子入りした。






十馬編

柳生流として腕を磨く十馬の安らぎは、地下牢にいる少年との話、そして剣術指南だった。

それから長い年月が過ぎ、ようやく認められた十馬に待っていたのは地下牢にいた少年『十内』が、兄であること、彼の殺害が最後の試練と告げられた。
それを拒んだ十馬を守るために、十内は一族を皆殺しにしてしまう。

手を差し伸べた十内を拒絶した十馬、その後十内は、姿を消した。

そして十馬は、彼を殺すために。
手がかりを掴むため、市へと近づいた。















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最終更新:2024年01月03日 21:33