ダウンロードコンテンツ

登録日: 2011/06/13(月) 06:34:43
更新日:2023/06/08 Thu 19:51:38
所要時間:約 10 分で読めます




ダウンロードコンテンツ(以下DLC)とはインターネットを利用し配信される追加データ、コンテンツのこと。

昨今のゲームソフトで利用され、PS3、XBOX360、Wii、3DS、PSP、PSvita、PCゲームなどのハードソフトで広く提供されている。

DLCはゲームによって様々で、キャラクター、コスチューム、シナリオ、ステージ、マップ、敵、アイテム、楽曲、新システムなどの追加データや、バグを修正するパッチなども配信されていたりする。

バンナム、コーエーテクモ、スクエニ、カプコンなど大手メーカーが続々と販売開始している。
任天堂はダウンロードコンテンツには消極的だったが、『ファイアーエムブレム 覚醒』で追加シナリオの販売を開始してからは、スマブラなどでもダウンロードコンテンツの販売を行っている。



◆DLCの長所


  • バグの修正が楽
これはメーカー側からもユーザー側からも利点となる。
それまでは致命的なバグが見つかるとそれを回避する方法を公式サイトでアップしたり、
「ソフトを回収して、修正版を新たに出す」などメーカー側、ユーザー側からも面倒な部分を取り除ける。
稀にバグが悪化することもあるが。
ただしコンテンツが追加される訳ではないので、DLCには含めないことが多い。(但し有償DLCの収入によりバグなどの修正が行えるなどといったことは普通に起こり得る)

  • 追加要素を出しやすい
既存の作品に追加要素を出したい場合、かつては完全版やアペンドディスクとして流通させる必要があったが、DLCであれば差分のデータだけを配信すれば良く、メディアを製造するコストがかからないうえユーザーの混乱も防げる(まあ別の意味で混乱することもあるけど)。
追加シナリオや武器、キャラクターなど飽きがこないようなDLCも多く、ゲームを長く楽しめる。
なにより本編発売後に作れるのが最大の利点であり、ユーザーからアイデアを募ってDLCとして反映するといったこともある。ユーザー考案による追加コスチュームや追加アイテムなどは比較的よく見かける部類である。

  • 容量を気にしなくていい
主にメーカー側の利点だが、容量の為に既存要素をカットされずに済むという意味ではユーザー側の利点。
ソフト容量の進化で容量確保の問題は起きづらくなったが、それでも内容にもよってはDLCは全て入れれば非常に大きなサイズになってしまう場合もある。
ハード側への保存をする事でソフトに入れるよりよっぽど大きな容量を確保できるので、(限度はあるが)後からいくらでも追加要素を入れる事が出来る。

  • 中古流出の防止
これはメーカー側にとっての利点になる。
上記の「長く楽しめる」とも被るが、「DLCが出るから」とクリアしたら即中古に売り払う層を食い止め、新品購入ユーザーを増やす効果が期待出来る。
だが、これについてはゲーム本編のダウンロード販売が本命で、根治療法とは言えないのが正直なところ。


◆DLCの短所


  • 配信停止の恐れがある
ダウンロードできる状態をいつまで維持するかはあくまでソフトメーカーやプラットフォーム(ハード)メーカーの都合によるので、いずれは必ず配信が止まる。
そうなると修正パッチも追加要素も手に入らなくなる。
ニンテンドーDSのネットワークサービス終了等は大きな話題となった。
これによりDSの配信要素はDS同士での通信で対応可能な範囲を除き再入手が不可能となってしまった。

  • オンライン環境が必須
当然ダウンロードできる環境でなければ入手できない。
まあDLCを用意している時点でユーザーの大半にオンライン環境がある(メーカーはそう判断している)ということなので、ほとんど問題視されることはないが。
修正パッチのような購入者全員に送らないと問題のある場合には、ソフトを送る事で修正版を送り返してもらったり、PCソフトの場合にはパッチ入りディスクを送ってもらったりといったオフラインの対応が行われている場合もある。
こういった対応はインターネット黎明期のPCソフト等では良く行われていた。

  • 容量の肥大化
ディスク容量に縛られないため配信する容量には制約がないものの、ハード本体のストレージ容量を必要とすることに変わりはない。
長期間に渡って多数のDLCを追加していった場合など、ストレージ容量を圧迫してくることが稀にある。


◆賛否の分かれるDLC

  • プロダクトコード
予約特典や初回特典などでキャラクターのコスチュームなどを限定的に配信する仕様が昨今のゲームには特に多い。
さらには「この商品を買うとこのゲームのプロダクトコードが付いてくる」など一種の抱き合わせ商法も展開されていたりする。
基本的には無料の特典であり、元々予約して買うような層からすればおまけがついてくるような物なので、DLする面倒はあってもそれ程問題視はされない。
困るのはおまけだけが欲しい場合や、DL期限がある物を後々になってソフトを買う場合。
FCソフトの3DS移植が特典限定だったりすると、本編はどうでもよくても本編を新品で買うしかなく非常に割高になってしまう。
後々買った場合の問題は、他に入手手段がない(有料DLC化等がない)とどうやっても手に入れられなくなってしまう事。

  • 定期的追加により総額が高額になるDLC
対戦ゲームの対戦キャラの追加などで追加キャラが大量になってくると起きる問題。
定期的に更新がある事や対戦ゲームの環境変化によるマンネリ回避等は評価されるものの、コレクション気質の人間や自分で操作して性能を理解したい人にとっては最終的な金額が非常に高額になってしまう。
ただし大抵の場合、月額で考えるとそこまで高額にならない場合も多く、長期間ずっとそのゲームを遊ぶのであれば、アーケードで対戦ゲームをしたり他のゲームを買うよりもむしろ割安な場合も多い。
アーケードでも対戦ゲームをしている人間は、そちらに払っている金額を一度見返してみよう。
案外、家庭用のソフト代+DLC全額のさらに数倍、数十倍の金額を使っていたりする。*1

  • アンロック型DLC
解析等の結果、データとしては最初から盛り込み済だったといったケースで、これはかなりの反感を買うことが多い。
アンロック商法、またはDLCの頭文字をそのままに「Disk Locked Cotents」とも呼ばれるこの手口は、内容ではなくアンロックキーを配信するだけなのでダウンロード容量がやたら少ないのが特徴。
DLの時間が短くなるのは良い事だが、内容が純粋にDLCとして妥当だとしても「最初からソフトに入っているのに追加で金を払う」という事への抵抗はやはり強く感じる人が多い。

  • 対戦ゲームにおける対戦バランスの変化
修正パッチによる既存キャラの性能調整、追加キャラによる対戦バランスの変化は良くも悪くも影響が大きい。
特に問題視されるのは、追加有料DLCキャラが環境を壊すほどに強すぎる場合。
買わなければまともな対戦にならず、買ったところで同キャラ対戦ばかりという地獄のような状況になる。
強いキャラクターは弱体化されるのが常でありいずれ調整される、という意見も多いものの別途有料の”商品”である以上、弱すぎれば別の問題が発生し、強さを維持すれば結局根本的な解決がされてない、ということも多い。

  • DLC要素入り完全版の後追い販売
別機種への移植版で既に出ているDLCも入れた上で販売されるケースも存在する。
特に既存機種と完全版との期間が短い場合には非難される。
ただしこれは逆に入れなければ入れないで「またDLCで稼ぐのか」と言われたりするので、ある程度時間が経っている場合はそういう物と流される事も多い。


◆過剰に問題視されやすい点

DLCは存在自体に否定的な人間もいる為、必要以上に問題視される場合も多い。もちろん、誰が見ても問題の場合もある。
以下によく言われる点を挙げるが、多くの場合DLC特有の問題というよりは従来の販売方法でも問題視されてきた要素である。

  • 適正価格について
内容が薄く、価格に見合うだけの魅力が無いDLCは値段に見合わないとして問題視されやすい。
代表的なのはオブリビオンの「馬の鎧」など。
ただしこれについては人によって価値観が異なるので、判断が難しいところではある。
また、買わなくても問題ないDLCも多々あるため、DLCの総額のみ挙げて「有料DLCがこんなにあるなんてひどい!」と騒ぐのも考えもの。
内容や公開された時期、DLCによるオンライン環境の延命(過疎化の防止)などの諸事情も踏まえて買った人の多くが「払っただけの価値はあった」と思えるなら、価格はあまり問題とはならないだろう。

  • 未完成商法
メインシナリオを中途半端にして続きを見たければDLCを買ってねという冗談みたいなやり口のソフトが稀にある。
これでフルプライスで売っていたりするのでたちが悪い。
ただしこの点も過剰に問題視されやすい点で、DLC抜きで考えて問題のない(完成している)ゲームでも、DLCが存在するだけで未完成だと騒ぐ人間もいる。
追加するものがある以上それは未完成だと本心からそう思っている人間もいるが、この考えでは続編のあるゲームはすべて未完成になってしまう。
大体の場合はDLC自体が嫌いな人間の心情的な話であり、そうでなければアンチや荒らしがネタにしやすいからこの単語を用いて騒いでる場合がほとんどである。

  • 修正パッチ
「バグをアップデートで直すのは、デバッグ不足。メーカーの手抜き」と言われることも多いが、そもそもバグの一切ないプログラムを作ること自体が難しいため、ある程度は仕方がない。
それに、一度過去のDLCがない時代のゲームに目を向けてみよう。
フリーズやデータ破損等、致命的なバグは昔から多かったし、それが本番リリースで見つかることも決して少なくはないのだ。
少しでもテストプレイすれば見つかるようなバグでも、発売日優先でろくにテストせずに(もしくは修正を放棄して)発売されたゲームも過去に存在する。
そういった場合も含めて手抜きと言えば手抜きではあるのだが、「ユーザーにプレイさせ、バグを見つけさせて修正パッチを配信する」という事が可能になってしまった事で過剰に騒がれやすくなってしまった点ではある。
実際には、簡単に直せるようになっただけ昔よりも良い事でもある。昔は回収が必要になるほど深刻な事態でなければ、放置されていたのだから。

  • 発売と同時・発売直後のDLC
ようは本体と別売り品の同時販売である。
一緒に買うと一般的なソフトよりも高額になってしまう場合も多く、本体の付属品と違い一緒に入れてしまいやすい物である為、最初から追加要素を出すくらいなら一緒に入れておけと言われる要素。
とはいえRPGの金稼ぎやレベル上げを楽にする「時間を金で買う」要素については、最初から入っていて欲しくない人もいる事もあり賛否分かれる。
過去作では最初から入っていたような物が発売早々DLCとして販売される事には否定的な意見が多い。
今では追加要素になるような物でも過去作では追加販売は出来ず入れざるをえなかったので、販売環境の変化の一環と言えばそうなのだが…。


◆予約シーズンパス

「シーズンパス」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは「今後配信される複数のDLCをダウンロードする権利」を売っており、個別に買うより安く買える。
これ自体は単にセット割引と同じなのだが、中にはデラックス版などを用意して本編の予約段階から抱き合わせて売っていることがある。
…「それ本編と同時に出せないの?」とツッコミたくなるのも無理はないだろう。
一応弁護しておくと、まず、(本来の意味での)追加コンテンツの開発にも時間や費用は当然掛かるため、無理やり本編と抱き合わせで発売するよりもクオリティは上昇すること、本編のプレイやシナリオに直接必要ない部分を買うかどうか選べるし、その部分を実装する期間を省いて遊べる…と考えられるのだが、やはり受け取りかた次第では「まわりくどい売り方」と取られかねない。


◆まとめ

色々と述べてきたが、ユーザー側としてもDLCに馴染めない層が一定数存在するというのも一つの大きな、そして最大の問題である。
そもそも、それまでアペンドディスクや完全版と言った方法で行われていた要素をネットを通じて安価で購入できるようになったという事でしかない。
DLCがない時代は「いらない物も含めてDLC全部入りセットを追加で買うしかない」(アペンドディスク)、「追加要素入りのソフトをもう一回フルプライスで買い直す(場合によっては容量確保の為に既存要素カット有)」(完全版)という販売形式で今以上に不便だったのだから。

しかし、開発側にとってもゲームの開発費用は上昇し続けているため、ゲーム開発を続けて行くためには会社として少しでも多く利益を出し、パッケージ代以上の代金をプレイヤーから集めなければならない事情もある。

とはいえDLCへの忌避感から、DLC前提の家庭用ゲーム買うくらいならソーシャルゲームに課金する方がわりに合うとか、
落ち着いて考えるとそっちの方がおかしいだろうという考え方をして、極端なことになるとDLC以上に金を使っていたというオチになる人までいる始末。
今後DLCが無くなるという流れにはならないであろう。
その為にも、ユーザーがDLCとの付き合い方扱い方をきちんと理解する必要がある。



追記・修正はダウンロードスポットからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ゲーム
  • ダウンロードコンテンツ
  • DLC
  • 賛否両論
  • 課金
  • ゲーム用語

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年06月08日 19:51

*1 例えば1万戦もすると、1クレジット100円・勝率5割として、おおよそ50万円も使っている。(ゲームごとの細かい事情は除く)