無毀なる湖光

登録日:2010/12/22(水) 02:13:30
更新日:2024/01/09 Tue 09:45:06
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ア……アロンダイト……

まさか……貴方は……!?






無毀なる湖光(アロンダイト)




Fate/Zero』にて登場するバーサーカーが所有する宝具。
対人宝具 ランクA++

円卓最強の騎士、ランスロットの愛用の剣。使用するには他の二つの宝具を封印する必要がある。
この剣を抜いている間はランスロットの全てのパラメーターは1ランク上昇し、また全てのST判定(Saving Throw = 魔法・罠・状態異常などに対する無効化・ダメージ半減・状態異常軽減などの判定)において成功率が2倍になる。

さらに火を吹く大蛇を倒した逸話を持つため、龍属性を持つ英霊に対しては追加ダメージを負わせる。
つまり、龍の因子を持つセイバーにとって天敵の宝具。

約束された勝利の剣』と同等の強度を誇り、決して刃こぼれする事はない。
どのくらい硬いかと言えば、風王結界を纏った状態の『約束された勝利の剣』でもヘラクレスのアインツベルン製の石斧に刃毀れを起こす威力がある*1が、魔力を通した黄金の聖剣状態であれば、その11、12倍もの威力になる。
高位の聖剣でもない限りは、接近戦では太刀打ち出来ない破壊力を発揮する。

また、約束された勝利の剣と同じく神造兵装とされる。

『約束された勝利の剣』の兄弟剣とされ、人類が精霊より委ねられた宝剣。

本来は聖剣だったが、同胞だった騎士の親族を斬ったこと*2で、聖剣としての格を喪失し、魔剣としての属性を得てしまった。
尚、考察の際にセイバーがセイバーオルタになった際の『約束された勝利の剣』の変貌が参考にされる場合が多いが、こちらは聖剣が持つ二面性の悪の部分が顕現した黒き「聖剣」とされている為、アロンダイトとは異なり聖剣の格を喪失している訳ではない。
この為アロンダイトの聖剣から魔剣へと堕ちた際の性能等の変化については『約束された勝利の剣』とは異なる可能性もある(無論、同じである可能性も否定できない)。
因みに聖剣としてのアロンダイトの性能やデザインについては一切言及されておらず、不明点が非常に多い。

この剣は神造兵装としての「硬さ」を持っており、本来不滅な筈の宝具同士であっても強度差次第で粉砕される事例もあるので、単なる武具として見て、純粋な剣術勝負に限定すれば決して弱い部類ではない。






……が、色々と能力を持っているにもかかわらず描写や使い勝手は極めて微妙。


理由は竜殺しの特性上、相性が最高に良いにもかかわらず戦意喪失したセイバーを一方的に痛めつけていただけで留まった事や、燃費も悪く、使用したらマスターに負担が急増してしまう点にある。
この燃費の所為で、マスターである雁夜の魔力切れを起こす原因になり、結果的にこの宝具を使った所為で負けてしまった。
マスターである雁夜も限界が近かったが、実質マスターからの供給量が0に近い状態でも、サーヴァントには半日程度の現界も可能で、『約束された勝利の剣』や固有結界も一回程度なら使用出来る魔力をサーヴァントは予備の魔力として保有している。
が、その膨大な魔力すらも10秒すら持たずに枯渇してしまった、という凄まじい消費量。

総じて、アロンダイトを使用した際のメリットとなる効果の描写が薄く、デメリット効果の描写があまりにも目立ちすぎてしまっている。
前述の通り、『Zero』本編におけるアロンダイトの使用シーンは戦意喪失したセイバーを痛めつけただけに止まっており、特にこれと言って大活躍した場面も無い。


その為、同等の剣とされるセイバーの『約束された勝利の剣』、ガウェインの『転輪する勝利の剣』に比べ、地味な扱いな宝具とされ残念な剣扱いされる時がある。ビーム撃てなかったし。
常時発動型で恒常的に非常に大きな負担を強いるにもかかわらず、本当に純粋な対人宝具――という点も如何ともし難い。

また、上記の通り演出における致命的な問題点はあるものの、竜の血で強化された英霊は、既に登場したキャラクターだけでもそこそこ数が増えてきた上、いずれも最高クラスのサーヴァントである。
特に、化け物染みた耐久性を有し、作中でセイバークラス最高の英霊と絶賛されたジークフリート相手でも有利に戦える可能性が幾らかある点は大きなメリットと言える。


……と色々書いたが、やはりFate全体で見てもトップクラスに不遇な宝具であろう。
本来、Fate作品での宝具は「作中でどのような効果があるか」を描写もしくは「補足にて詳細に説明」されてこそ初めて説得力が出て読者に強さが伝わるのだが、アロンダイトは双方共に欠けている。

ステータスUP効果の影響が異様に解り難い上(と言うかほぼ描写されてないに等しいレベル)、特に「ST判定」なる物については、Fateにおいてどのような効果があるかも一切不明である為、考察のしようが無い。

TRPG的に解釈しようにも、どのような攻撃・魔術・罠に対してST判定が行われるのか、判定に成功した場合は半減なのか無効化するのかなど、ルール次第で有用性がガラリと変わってきてしまう。
この為、先ず強弱を図る以前の問題だと言う事が本当の所である。
公式で語られている事が少なく、プラス方面・マイナス方面に考察するにもほぼ憶測が絡んでしまう状況である為、擁護するにも批判するにも、公式見解として決め付けるのではなくあくまで個人の見解としておくのが吉。

かつての同僚たる円卓の騎士が複数サーヴァントとして登場しており、またその剣が獅子奮迅の活躍を見せている為フォローを望む声は多い。

尚、アロンダイトは「黒カリバーンとでもいう位置づけ、且つバーサーカーの甲胃に則して」デザインされたとの事。
エクスカリバーと言うよりはカリバーンに近いのかも知れない。

ちなみに元々エクスカリバーとガラティーンには「並んで振るわれると辺りが昼間のように明るくなる」という逸話があるのだが、アロンダイトにはそのような逸話はない。ビーム撃たんのはこの辺が原因か。
…最近ではこの人の剣とかこの人の剣とかそれらしき逸話無くビーム出すケースも出てきたが、まあ気にするな。

また、そもそもアロンダイトはアーサー王伝説では影も形もない剣である。
後の時代になって全く別系統の騎士物語で「この剣はアロンダイトといい、かつてランスロット卿が持っていた」と伝えられているだけの存在なため、この宝具の逸話はランスロット個人のエピソードから適当に結びつけたものだったりする。

…だったのだが。



以下『Fate/Grand Order』第6章ネタバレ注意














最果てに至れ、限界を越えよ。
彼方の王よ、この光を御覧あれ!
縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)」!



Fate/Grand Orderにて第6章「神聖円卓領域 キャメロット」が公開され、同時に追加サーヴァントとしてランスロット(セイバー)が登場。
その結果、彼のマテリアルにてアロンダイトも過負荷を与え、それにより漏洩した魔力を転用することでビームを撃つことができることが判明。

ただし彼自身は(少なくとも作中では)ビームを撃っている場面は存在しない。
ではどうしているのかというと、ビームとして放つはずだった魔力を敵を切りつけた瞬間に解放しているのである。
結果、この剣で斬った切断面から膨大な魔力が溢れ出し、その蒼い輝きはまるで湖のようだと称されたという。

剣技に非常に長けた彼としては、範囲攻撃のビームよりもこちらのほうが有効な場面が多かったのだろう。
事実、第6章作中ではこの攻撃によってEXランクの頑健スキルを誇るアーラシュに一太刀浴びせただけで致命傷を負わせている。
また、第六章の映画『Fate/GrandOrder-神聖円卓領域キャメロット-』にて描写された映像によると、この一太刀は文字通りかすり傷で致命傷となり、時間差で炸裂なども可能ということが判明。
この点を活かすことで、瓦礫にあらかじめ傷をつける→時間差で爆破で爆弾のように使うなど、異常なほどに汎用性があることも描写された。
ちなみに前述の他の二つの宝具を封印という前提があるのだが、これはあくまでも同時に使用が出来ないだけで、秒単位で切り替えが可能なので、弱点になりえないということも判明した。
ただしこれは本来想定されていないイレギュラーな運用方法であり、その為か使い手であるランスロット本人にも強烈な過負荷がかかる。


かつて、ガウェインと決闘した際にはこれらの能力を存分に発揮して勝利を収めた。
円卓最強とされる昼の3倍ガウェインに勝利出来たのは、ガウェインの攻撃に耐えられる頑強な剣と卓越した技量、アロンダイトの能力がとにかくガウェインに対して相性がかなり良かったというのが大きかった模様。
それでも流石に昼のガウェイン相手にマトモにぶつかれば相手をするのは難しいらしく、日が沈むまでの時間稼ぎを行い、その末に競り勝ったという。

ゲームとしてはランスロット(セイバー)の宝具として、アーツ属性で登場。
自身のアーツカード性能を1ターンの間アップさせ、敵単体に超強力な攻撃を行い被ダメージをアップさせる状態異常を付与させるという効果になっている。
A属性なので通常コマンドのA二枚を使った宝具AAEX、スキルと併せ「宝具を撃った次のターンにもう一度宝具を撃つ」という芸当も可能。
その後、バーサーカーの方のランスロットも宝具ではなく通常攻撃として「縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)」を使用するようになった。

ランスロットの名を拝命した妖精騎士ランスロットは仮の宝具として今は知らず、無垢なる湖光(イノセンス・アロンダイト)を使用する。
魔力と外皮で作ったアロンダイトの借り物・偽物で、外気に触れるとすぐに霧消してしまうが、彼女の体内でいくらでも生成が可能。威力が低い代わりに通常攻撃並みの回転率を誇る。
実態としては「ゼロ距離で行う射撃」すなわちとっつきである。

追記、修正は我が王に叱られてからお願いします。

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最終更新:2024年01月09日 09:45

*1 真正面からモロに受けると折れる、とも言われる。

*2 恐らくガウェインの弟ガレス、ガヘリス。伝承ではランスロットを慕っていたうえに非武装だったにもかかわらず斬り殺された