ペーパーマリオ スーパーシール

登録日:2013/08/03 Sat 10:42:03
更新日:2024/04/20 Sat 22:05:17
所要時間:約 11 分で読めます




ペーパーマリオ スーパーシール』(Paper Mario: Sticker Star)とは、2012年12月6日に任天堂から発売された3DS専用ソフト。
開発はインテリジェントシステムズ(通称イズ)。
ジャンルは従来のアクションRPGと前作のアクションアドベンチャーから一転して「シールバトルアドベンチャー」。


通称『ペパスシ』。
ペーパーマリオシリーズの4作目にして、更なる2度目のシステム大幅変更や携帯機へのプラットフォーム移行など色々な転換点となった作品でもある。
シリーズの特徴であった紙っぽいグラフィックは更に進化し、全体的に段ボール工作のような質感に様変わりしている。
(もちろんキャラクター達はいつも通りペラペラの紙)

ストーリー性の強いRPGだった過去作から一転して、謎解きアドベンチャー的なゲームとなっている。

理不尽なゲームバランスや薄いストーリー要素から、ぶっちゃけシリーズファンを中心にかなりの不評を買ってしまった作品。
その一方で、紙の質感にこだわった演出やケレン味のあるバトル要素には光るものがあり、その一部は後の作品にも受け継がれている。

売上本数はファミ通2013年ランキングによると累計56万1139本。シリーズを通して見ても良好であり、内容に賛否はあれど商業的には成功を収めた。



■ストーリー
年に一度、ラベルンタウンという街で開催されるシールの祭典「シールフェスタ」。
ゲストとして招かれたマリオとピーチ姫は、触れた者の願いを叶える不思議なシール「ロイヤルシール」をフェスタの佳境で目の当たりにする。

そこへロイヤルシールを奪おうと大魔王クッパが乱入。
だが触れた途端、ロイヤルシールは6つに分裂し、うち1つはクッパの頭に・・・

すると、シールの秘めたる魔力にあてられたクッパは暴走を始める。
いつものようにマリオが立ち向かうも、食い止める事ができず会場は崩壊。
更にキノコ王国中が、クッパのイタズラによってメチャクチャに荒らされてしまった。

崩れ落ちた会場で目を覚ましたマリオは、「ルーシー」という不思議なシールの女性と出会う。
散らばったロイヤルシールが危険な力をもたらす事を彼女から知り、同時にクッパを止められなかった責任を強引に取らされ協力する事に。
かくしてロイヤルシールを巡るマリオの冒険が始まるのだった。


■特徴
スーパーペーパーマリオ』と同じステージ制だが、フィールドは『マリオストーリー』『ペーパーマリオRPG』と同じ3D空間。
つまり両者を掛け合わせた感じ。

タイトルにも銘打たれている通り、本作は「シール」を剥がして集めながら冒険する。
シールは戦いで使う「バトルシール」や、それに加えて謎解きにも使う「モノシール」の2種類が存在する。

フィールド各地にシールを貼ったり剥がしたりできる場所が用意されており、適切なシールを貼るとイベントが発生して道が開けるシステム。
これはボス戦にも共通し、 弱点となるシールを使えば楽に倒せるが、使わないとまともな勝負ができない というゲームバランスになっている。
中には正解が一つではないパターンも。
なお、間違ったシールを貼ると何も起こらない上に、そのシールは没収。一度使うと再入手が面倒なシールや、隠し要素みたいな場所で手に入るシールが平気で正解に設定されていることもあったりするので、詰まったら大人しく攻略を見ることをお勧めする。




■バトル
マリオは逃走を除いた 全ての行動でシールを消費する 。手持ちのシールが尽きると何もできなくなってしまうため、シール管理が肝心。
HPを除く戦闘力は、基本的にシールのみによって決まる。本作には 経験値やレベルの概念は無い。
ステージ上でとにかくシールを集め、時にはショップで購入することが大事。シールを浪費してむしろ損になるケースも多いため、半端な雑魚敵はスルー推奨。
また、コインを消費し「バトルスロット」で出目を揃えれば、一度に使えるシールの数を増やす事が可能。
敵によってはこれを利用しないと奥の敵に攻撃できなかったり、手数の少なさから決め手に欠けてしまう事も多くなる。
このように従来よりもRPG色が薄く、戦略性に重きを置いたバランスとなっている。
なお、特技・仲間キャラは廃止。

HPだけはシールと関係なく、ステージ上にある「+5ハート」というアイテムを必要とする。
数値通り最大HPが5上昇し、攻撃力もちょっと上がる。
本作では敵味方ともにダメージ値がインフレしており、HPが低いまま突き進むと地獄を見やすい。

アクションコマンドは基本Aボタンのみ使用。
今までよりもかなりシンプルな操作となった。

シールはキラキラの箔がついているものほど効果が高い。
さらに強い「デカキラ」「メガキラ」なんてものもあるが、大きいぶんアルバムを圧迫するので多くは持てない。
モノシールを除き、クリアするだけなら「キラキラ」まであれば十分。


主な分類
  • ジャンプ系
お馴染みジャンプ攻撃ですら回数制という時代に。
例によってトゲ付きのモンスターには無効。
今回はコマンドが成功する限り無限に踏み続けられるというチート級のジャンプシールが存在する。
序盤からシール消費無しに先制攻撃できる手段でもある。

  • ハンマー系
衝撃波で後列の敵にもダメージを与える。
当然アクションコマンドの評価が高いほどダメージも大きい。

  • キノコ系
これだけは従来の回復アイテムと扱いが変わっていない。
「デカ1UPキノコ」は、本作では非常に珍しい デカくてキラではない シール。

  • その他
敵の踏みつけ攻撃を防ぐ「トゲメット」、横からの攻撃を迎撃する「しっぽ」などの防御・補助系が中心。


■モノシール
強力なシール。
道端に落ちている「モノ」は扇風機やハサミなど現実の道具が元となっているが、
すべてリアル調の3Dグラフィックで描かれ、紙の世界観から凄まじく浮きまくっている。
そのままでは使えないため、モノ投げ屋に持ち込みシールとして加工する必要がある。
サイズは小さかったり無駄にでかかったりと色々。

基本的にはステージ上の仕掛けを動かすために使う。
この時はだいたい専用のイベントが発生する。モノによっては非常にシュールな光景が・・・
ぶっちゃけ一発ネタの意味合いもある。

戦闘中に使うと敵に大ダメージ、回復、自己強化など様々な効果が発生する。
いずれも雑魚、ボス問わず強力な効果を発揮してくれるが、実は表示されていないだけで秘密裏にアクションコマンドが存在する。
これもモノ次第だが、基本はタイミングよくAボタンかひたすら連打で効果が上昇。
中には滅多に使わないマイクフーフーを要求される事もあるらしい。

一部のモノシールは小・中・大のサイズと効果量違いの似通ったエフェクトを持つものがある。
効果を選ぶか持ち運びやすさを選ぶか、自分で考えろという事なのだろう。
ちなみにエフェクトが似ているといっても、細部が割と違っていたりする。


モノシールの例
  • 扇風機
そのまんま。
しかも扇風機と言うには超大型巨人級の凄まじいデカさなので最早暴風クラス。

  • ハサミ
そのまry
軽快な音楽と共に敵を空間ごとジョキジョキ切り刻む。
亜種のモノシールが最も多く、演出もそれぞれ全く違う。

  • 招き猫
そry
飛べない招き猫はただの猫。この一言に尽きる。

  • 七面鳥
・・・もう何も言うまい。
人によってはコイツが初見で一番理解に苦しむ。そして不気味。



■登場キャラクター
毎度おなじみ赤いツナギの配管工。
今回は貼って貼って貼りまくる冒険の旅に。

  • ルーシー
シール星からやってきた。今回のゲストヒロイン。
かなり気の強い態度のツンデレだが、次第にマリオと打ち解けていく。
クリオ、クリスチーヌ、アンナと続く4代目サポートキャラだが、如何せんバトル中にヒントを出すのが遅すぎる・・・
ラスボス戦は一見の価値あり。

毎度おなじみさらわれマニア。
例によって終盤まで出番が無い。

今回はなぜか一切台詞を喋らない。ロイヤルシールの影響か?
魔力のせいでやたらと全身ギラギラしている。
クッパとのラストバトルは本作一番の長丁場。非常に多くの段階に分かれている上、それぞれで有効なシールも違っている*1ため、自力でクリアするなら相当なトライアンドエラーを覚悟すべき。ラストは本作随一の胸熱展開なので、それまでの苦労に見合った達成感はあるはず。
なお、本作は徹頭徹尾「マリオvsクッパ軍団」の構図なので、第三勢力は不在。ちゃんと喋る悪役のクッパが見たい人は、マリオ&ルイージRPG ペーパーマリオMIXを買おう。

ストーリー中、3回に渡ってマリオに絡んでくる。
ぶっちゃけ空気。

クッパの腹心。カメザードとカメックババ、どこに行った?君のようなry
丁寧語だが非常にイヤミったらしい性格。
引き篭もりのクッパに代わり各ワールドで暗躍している。
恐らくマリオシリーズの雑魚キャラではかなり出世した部類で、本作の敵方というか、下手したら、敵味方問わず本作のキャラで一番キャラが濃い。
最期が・・・
次々回作にて、男であることが発覚する。

  • ハナチャン
ワールド3の重要キャラクター。
カメックの魔力で胴体がバラバラになり、しかも自我が芽生えたせいで元に戻らず逃げられてしまう。
胴体を連れた状態でミニイベントを発生させると、ハナチャン宅に絵日記がつけられる。
内容に思わずほっこりしたプレイヤーもいるとか。

  • キノピオ
本作のNPCはだいたいキノピオ。全部キノピオ。
いつになくブラックな発言に磨きがかかっている。
ラベルンタウンの緑キノピオは序盤の復興時にすごく残酷な目に・・・
後で助けてあげるとシール博物館が解禁される。


■シール博物館
緑キノピオが地下に作り上げた豪華な博物館で、本作のコレクション要素。
冒険中に集めたバトルシール・モノシールを額縁に貼り付けてコンプリートするのが目標。
モノシールの説明文はカオスまみれ。


■余談
+ ストーリーの評価に対する補足と、その後の展開
ストーリーの薄さがよく指摘される本作だが、その原因は、前作のアンケートで「ストーリーが良いという意見があまり書いてなかった」かららしい。

そして、宮本茂氏の「ちゃぶ台返し」があったことが『社長が訊く』にて判明。

元々は人気作「ペーパーマリオRPG」の系譜として制作されていたのが、彼のちゃぶ台返しを喰らったことで、
「シールを使って冒険」
キャラクターは極力マリオシリーズだけ
ストーリーは重視しない*2
を軸に路線変更が決まった。
ちなみにこの『キャラクターは極力マリオシリーズだけ』の縛りの内容は後年明かされており、本作以降「クリオ」や「カメキ」の様なキャラは全てNGとなったとのこと。

これを引き合いに宮本氏をバッシングする人もいたが、インテリジェントシステムズがその注文に対してうまく答えを整理し切れていない状態のまま出してしまった事もまた事実であるため、宮本氏に全ての責任があるわけではない。

ちなみに、『マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー』の社長が訊くでは、
アルファドリームの開発スタッフ達が本作を引き合いに出し、遠まわしにdisっているともとれる発言が飛び出した。
同作の評判は良かったため、ぺパスシの反省は(別の会社の作品にだが)しっかり生かされているようだ。

原作キャラしか出さないという路線は、同じくアルファドリーム制作でペーパーマリオ側がゲスト参戦した『マリオ&ルイージRPG ペーパーマリオMIX』に引き継がれたが、こちらの方は原作キャラを掘り下げていく作劇や戦闘の奥深さから、比較的好評を得ている。

その後インテリジェントシステムズからも、2016年10月31日にシリーズ第5作目の「カラースプラッシュ」が発売。発売前はペパスシの件が尾を引いていたのもありシリーズファンからは賛否両論だったが、ストーリーが厚くなるなど改善点もあったのでペパスシよりは高評価を得ている。
しかしそれでもゲームシステムはシールの系譜を引いたものだった為に総合評価はまずまず。所有者の少ないWii Uだったのもあるが、売り上げは大きく落としてしまった。
PVに扇風機が映り込んだ瞬間絶望したファンもいるという逸話もあるとかないとか

そして2020年7月17日に第6作目となる「オリガミキング」が発売。
ここに来てストーリー性が完全復活といっていい水準になり、これまでマリオと敵対していたクッパ軍団が最初から最後まで味方になるなど異例の展開を見せる。
ゲームシステムはシールやカラスプすら上回る変化球となり、またも賛否両論。売り上げはswitchの成功や大規模なプロモーションの甲斐あってシリーズ上位に食い込んだ。



ストーリーの本筋が薄い分、小ネタはやたらと豊富である。
モノシールの演出の数々をはじめとして、突然のクイズ大会や懐かしのBGM、壁画チックのキモイノコノコなど、枚挙に暇が無い。
スタッフの無駄なこわだりっぷりが垣間見える。

BGMも評価が高い。ボスごとにBGMが異なるという点は今作でも健在であり、ボスゲッソー戦の一連のBGMやクッパ戦でとある条件を満たしたときに流れるBGMは今作でも特に人気が高い。
後者は、マリオシリーズ経験者なら誰でも知っている「あのBGM」のアレンジバージョン。
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーでも似た展開で同じBGMがアレンジされているが、そちらは全作品で使われているメインフレーズを採用しているのに対し、本作は「64」などで使われている追加フレーズが主旋律となっている。


また、今作にはメインストーリー意外のやりこみ要素がほぼ皆無。その代わり⋯になるかどうかは人それぞれだが、縛りプレイに使えるネタが多め。
例えば、ほとんどのボス戦はモノシールで弱点を突かないと勝負にならないが、「使わないと絶対に勝てない」のは2体しかいない。そのため、理論上はモノシール縛りで大半のボスを撃破できるようになっている。
中には、さらに踏み込んだ「キラシール縛り」に挑戦する者も。この縛りに挑んでみると、「デカ1UPキノコ」にだけキラが付いていない理由がわかる。



追記・修正はワールド4のテレザイルに吹き出した方にお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 22:05

*1 シールを補給しに戻ることはできないので、有効なシールはすべて事前準備した上でバトルに臨まなくてはならない。本作が理不尽ゲーたるゆえんの一つ。

*2 元々『ギャラクシー』の辺りからストーリーの必要性には疑問符が付いていたようで、本作以降しばらくはストーリー性の薄いマリオ作品が続いた。