ドラグーン・システム

登録日:2012/10/02(火) 20:37:37
更新日:2024/03/31 Sun 10:16:09
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ドラグーン・システムとは『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する、オールレンジ攻撃、及びその兵器の名称である。



【概要】

正式名称は「Disconnected Rapid Armament Group Overlook Operation Network・system」で、
訳すと「分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システム」となる。
これはニュートロンジャマーに阻害されない量子通信によって、MS本体から分離した複数のビーム砲端末を同時に無線誘導し、
複数の攻撃目標に対し全周囲からの多重的砲撃をかけるもので、戦闘区域を単機で完全制圧することを可能としている。

簡単に言えばSEED世界のビットファンネルである。
操作方法はパイロットの脳とインターフェイスを神経接続し、情報を送受信させて動かすという脳波制御式のファンネルとあまり変わらない代物。

ドラグーン・システム以前にも地球連合軍が同じ理論を用いて開発した兵装(ただし無線ではなく有線)である「ガンバレル」を搭載した「メビウス・ゼロ」部隊がある。
このMAは連合軍の主力である「メビウス」のバリエーション機で、ザフトが開発したMS「ジン」とメビウスには、連合軍が数の優位性を覆されるほどに戦力の隔たりがあったのだが、
メビウス・ゼロはガンバレルを駆使することでそこまでの戦力差があるジンを撃墜することも可能で、その有力性は連合でも把握されていた。

しかし十全にガンバレル、及びドラグーン・システムを使うためには高い空間認識能力を有したパイロットが必要であり、
登場当初(C.E.71時点)はラウ・ル・クルーゼや、前述の「メビウス・ゼロ」部隊の一員で高い戦果を挙げたムウ・ラ・フラガ
「メビウス・ゼロ」部隊の隊員(誰かは不明)のクローンであるプレア・レヴェリー、ユーラシアの戦車部隊を指揮していたモーガン・シュバリエ、
そして多くのザフト機のテストパイロットを務めたコーディネイター、コートニー・ヒエロニムスくらいしか扱えなかった。
この設定を加味してか、パイロットの乗り換えが可能な『終わらない明日へ』等のゲーム作品では、
空間認識能力がないパイロットをガンバレル及びドラグーン搭載機に乗せると、それらの武装が使用不可能にはならないまでも、
持っているパイロットを乗せた時よりも展開できる兵装が減る等、弱体化する仕様になっていることも。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の舞台となるC.E.73では、この欠点を補うべく、
空間認識能力が無いパイロットでも扱えるように改良された「第二世代ドラグーン」が開発されている。

なお、ドラグーン兵装は無重力状態での使用を想定しているために基本的に大気圏内では使えないため、
『SEED』前半では宇宙でメビウス・ゼロを使用していたムウが、地上に降りてからはスカイグラスパーに乗り換えたりしていたが、
『DESTINY』の舞台となるC.E.73では、ドラグーン兵装の大気圏内でのデッドウェイト化を避けるためか、
本体やプラットフォームに連結した状態でも何らかの武装として使えるようにデザインされたドラグーン兵装を持つMSが何機か登場している。
ただし、大気圏内で使えない理由はあくまでも推進力不足や推進時間の問題なので、そこらが解決しているものは大気圏内でも使用可能。


【関連機体】


地球連合が開発したMA(モビルアーマー)。「ゼロ」と付いているように、地球連合の主力MA「メビウス」の1世代前の機体。
本体となる機体中央モジュールを中心に、前から見ると十字型に見える、四基のガンバレル兵装がくっついた独特のシルエットをしている。
有線式ガンバレルで敵を多角的に攻撃できるため、上手く扱えば彼我にかなりの戦力差があるMSすら墜とすことが可能。
ある意味ドラグーンの元祖といえる機体及び兵装で、後にこのガンバレルを用いたストライカーパック「ガンバレルストライカー」も開発された。
実弾式なのでPS装甲持ちにはほぼ無力であることと、有線なので展開範囲に制限があるのが欠点だが、
一方でストライカーパックそのものを分離・変形させるとまんま(遠隔操作できる)メビウス・ゼロになるというユニークな特徴があり、
モーガンはガンバレルストライカーをこの形態に変形させて敵機に突撃させ、ガンバレルの通信ケーブルで絡め取るという奇策を用いたこともある。

作中でこのMAを自在に操ったのはムウ・ラ・フラガのみで、元々彼が所属していたメビウス・ゼロ部隊は本編開始前のある戦闘で彼を除いて全滅している。
『DESTINY』(C.E.73時点)では発展機である「エグザス」も登場しており、こちらのガンバレルはビーム砲とビームカッターを装備している。


ニュートロンジャマーキャンセラー(以下NJC)搭載のザフト製MS。
本格的にドラグーンを取り入れたMSであり、ラウ・ル・クルーゼが搭乗。
合計砲門数43にも及ぶドラグーンを駆使することで、当時のMSの武装状況から*1凄腕パイロット集団にも一対多の状況でも互角以上に渡り合うことが可能な当時最強のMSで、
「ガンバレル」を使っていた経験と優れた『勘』でドラグーン攻撃を察知できるムウと彼の乗るストライクを、機体の性能差なども活かして一時撤退まで追い込んだ後、
SEEDを発現したキラ・ヤマトが駆る兄弟機のフリーダムガンダムと、ドラグーンによる弾幕などを活用して互いの機体が中破以上になるような死闘を繰り広げた。
詳しくは項目へ。
余談だが、「プロヴィデンスザク」なる物が存在する。
外見はΖザクの様にプロヴィデンスの頭部をザクにしたもの…というより、レジェンドの頭部をザクにしたというほうがしっくりくる。
また改良型のニクスプロヴィデンスもある。


プレア・レヴェリーが駆る『プロト・ザフト・ガンダム』。小型化したNJCを搭載した初の核エンジン搭載型MSでもある。
ドレッドノートは腰部に、ドラグーン兵装の雛型である有線式の「プリスティス」が装備されており、
後にロウ主導で制作した巨大な四基の有線式ドラグーン兵装を追加装備したことで、背部に巨大な「X」を背負ったような見た目とプレアの目的*2から「Xアストレイ」と改称された。
どちらも有線式ではあるが、断線しても量子通信によって問題なく扱うことができ、劇中でもプレアが断線した状態でも使用している。
ザフト系機体としてはドラグーン初装備の機体になるが、これは量子通信の省電力化が出来ておらず核動力機でなければ運用に支障があったことも関係する。


ザフトが開発した、「セカンドステージシリーズ」の一機。
この機体の特徴は「機動兵装ポッド」と呼ばれるもので、ドラグーンと同じく遠隔操作が可能。実弾兵器とビームの撃ち分けもできる。
第二世代ドラグーンを搭載しているため、空間認識能力のないパイロットでも支障なく使用することが可能。
但し量子通信にはエネルギーをかなり消費する為、改良されたとはえバッテリー駆動のカオスでは長時間の使用は出来ない。

なお、このポッドはカオスの機動力向上の役割も担っているほどの推進力があるので、本体の機動力を犠牲にすれば重力下でも使えると思われる。
(当初は原作で空中にいながら分離して使用していたがこれはミスと思われ、リマスター版では分離させずに戦闘している)
プロトカオスやカオスインパルスも同様の装備がある(後者はペーパープラン)。


ストライクガンダムのストライカーパックシステムのような換装システムを取り入れ、ビームを跳ね返す装甲「ヤタノカガミ」も備えたオーブ製MS。
バックパック「シラヌイ」がオールレンジ攻撃を備えているが、C.E.73で初めて登場したドラグーン搭載MSの中で唯一オーブのみで開発されたためか、
ドラグーン・システムは第二世代ではなく第一世代で、空間認識能力を持つパイロットでないと十全には使用できない。
詳しくは項目へ。


ザフト製MSであり、セカンドステージシリーズの一機。
プロヴィデンスとそっくりな外見だが、こちらもカオス同様に第二世代ドラグーンを採用しており、空間認識能力が無いパイロットでも扱える。
砲塔は大きいものと小さいものの二種類を装備しており、大きいものはビームスパイクとしても使用できるようになっている。
また、背後のプラットフォームに連結したままでもドラグーン砲塔を回転できるため、射出できない大気圏内でも固定ビーム兵装として使用可能。
詳しくは項目へ。


フリーダムガンダムの後継機(実際には兄弟機に近い)であり、キラ・ヤマト専用に調整されて開発された、C.E.最強と名高いMS。
第二世代ドラグーンを更に改良した「スーパードラグーン」を備えるが、高性能を追求した結果、
再び空間認識能力を備えたパイロットにしか扱えなくなっており、キラほどの卓越したパイロットでないと真価を発揮できない。
ドラグーンを装備した「スーパードラグーン機動兵装ウイング」は、ドラグーン展開時には「ヴォワチュール・リュミエール」を展開し、宇宙で高い機動力を発揮する。
ドラグーンを全て展開し、マルチロックシステムで多くの敵・兵装を一度に捕捉・攻撃する「ドラグーン・フルバースト」の制圧力は凄まじい。
詳しくは項目へ。
因みに大気圏内ではドラグーンは展開出来ないので、VLが起動せず、最高速度が出せないが、デスティニーとレジェンドの最新鋭機二機相手に互角以上に渡り合った。*3
ガンダム無双シリーズなど一部作品ではゲームシステム上の都合で地上でもお構いなしに使用している(しかもどのパイロットでも使用可能)。まぁストフリに限った話ではないが。


地球連合(ロゴス)が開発した超巨大MS。
腕が「シュトゥルムファウスト」という独立した兵装になっており、機体に接続したままでも指からビームを発射できるが、
ロケットパンチの要領で機体から分離させてパイロットがコントロールすることで、ドラグーン兵装としても運用できる。
ちなみに分離させた状態でも大推力ブースターで単独飛行が可能で、地上でも問題なく使用できる珍しいドラグーン兵装でもある。
さらにPS装甲、陽電子リフレクターまで備えた化け物。


ライブラリアンとの戦いで、ロウがレッドフレームを改造したもの。
持てる技術をとりあえず全乗せしたらしく、ロウ自身が使えないにもかかわらず搭載された。
ロウ自身は使えないが、空間認識能力を持つパイロットが乗れば当然ながら使用可能で、ラストでニクスプロヴィデンスに乗った大人プレアが使用した。


ブルーコスモスが開発した、空間認識能力を持たないパイロットの為の試作型巨大MA。
脳改造を施されたパイロット3名の脳を外科手術で連結してそれぞれX軸、Y軸、Z軸を担当する事により、擬似的に空間認識能力を高めてドラグーンの使用を可能にしている。
また、核エンジン&Nジャマーキャンセラーに加えPS装甲まで完備した化け物マシン。ここまで来ると狂気の沙汰でしかない機体。


  • ドラグーンフライヤー
インパルスガンダムシルエットフライヤーをドラグーン化したもの。
これ自体にも武装が施されており、パイロットが自由に操作して状況に応じて換装を行う。
構想のみで実機は開発されなかった。


が自らを作りだした男であるダンテと闘う為だけに用意した機体。
ドラグーンにミラージュコロイド、センサー、推進機能、ビーム砲、手持ち剣など、役割はあるものの多くの機能を持たせている。
これほど多くの機能を持たせたのは、あまりにも強力な兵装であるせいでドラグーンの進化が止まってしまっているためであり、
「新しい戦略を取り入れることで兵器は生まれ変われる」という劾のダンテに対する主張を兼ねた、まさしく対ダンテ戦のための装備と言える。
これにより、多彩な戦術を展開できるようになった。
なお、この機体の登場で劾が空間認識能力を有していることが判明している。





なお、ソードインパルスとデスティニーに搭載されている「フラッシュエッジ」ビームブーメランは、
量子通信によってある程度軌道を操作できる、簡易型ドラグーンと言える武器になっている。




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最終更新:2024年03月31日 10:16

*1 対ビームシールドもあるが限度がある

*2 カナードを助けるために乗る=兵器としては王道ではない

*3 リマスター等ではドラグーン装着時でもウイングの装甲を展開して隙間からVLを発動出来るようになっている。

*4 そもそも『DESTINY』でレジェンドは元々アスランに引き渡される予定であったため、「デュランダル議長が適任だと考えるほどには適性がある」=「アスランには空間認識能力、あるいはその高い素養があると見抜いた」と推察できる。

*5 一応『弐式』は動力系や操作系統は最新式にアップデートされているが、武装そのものは大きくは変更されておらず、引き渡し時にエリカから「最新鋭機に対抗できるかは分からない」と不安視されている。