ゼルヴォイド

登録日:2012/01/25(水) 21:18:08
更新日:2023/12/10 Sun 21:23:57
所要時間:約 11 分で読めます






本物の力、見せてやるよ!



スーパーロボット大戦の外伝作品『魔装機神Ⅱ』に登場する架空の兵器。

ゼルヴォイド

全長:不明(恐らく28.48m)
乾燥重量:不明
全備重量:不明
装甲材質:不明
搭乗者(操者):エラン・ゼノサキス
戦闘曲:黒い剣聖


概要

マサキ・アンドーの前に突如として現れた、『黒いサイバスター』。
自らを「『剣神』ランドール*1の真の末裔」と名乗る、ゼノサキス分家のエラン・ゼノサキスが搭乗する。

細かな差異こそあるものの、その外観はほぼサイバスターと同様のもの。
目立って違う部分と言えば、
  • 節のある長い尻尾
  • 全体的にひび割れたような黒い外装
  • 肉厚の
  • マスク部が半壊し、牙のような意匠が剥き出しの頭部
  • 左右で色の違う両手
くらいなもの。

ぱっと見ただけだと「色違いのサイバスター」くらいにしか認識できないだろう。

事実、事情を知らなかったエリアル王国のライコウ大尉は、
どう見てもサイバスターの同型機だろうが!」と告げている。

エラン曰く『魔装機帝』であり、『本物の魔装機神』。
サイバスターを「人様のものをパクったコピー」「紛い物」と呼んでいる。

その戦闘能力は凄まじく、何よりの特徴は「ポゼッションが自在に使える」事。
その為、サイバスター開発者のウェンディは「まともに戦って勝てる相手じゃない」と語っていた。ゲーム中じゃ大して強くないのだが。
エラン自身もその自負故か、戦う際には何かしらのハンデを付ける事もある。

また、何故か精霊レーダーに引っ掛からないなど、高いステルス性も持つ。

その正体は不明ながら、ウェンディはこのゼルヴォイドの存在が「サイバスターと他の魔装機の設計思想の違い」の理由と推測している。
その推測を裏付けるものとして、エリアル王国地下に同型機の残骸が眠っている。
セニア・グラニア・ビルセイアが炭素同位測定を行った所、この残骸はおよそ1000プラスマイナス50年前ほど昔のものだという。
魔術に長けるデメクサ・シーエがリーディング*2を行った際には、「戦いに破れた無念」が残っていた。

ラングランの魔装機計画は発動してから10年も経過していない為、もし本当に1000年以上前の機体だとすれば、全魔装機のオリジナルと言える存在である。

守護精霊は『()』のゼルヴ。
高位精霊でありながら、地水火風に属さない無属性という特殊な精霊。


そして『魔装機神Ⅲ』でついにゼルヴォイド入手の経緯が語られる。

ゼルヴォイドとは本来ゼノサキス南家*3の所有する遺跡から発掘された、ほぼ無傷で現存していた太古の機体の1つを整備しながら使っていたもの。
この遺跡はかつてラ・ギアスで繁栄したトロイア帝国のもので、5万5千年以上前のものだという。
本来の機体名は不明なので、ラングラン式の命名に乗っ取り、契約していた精霊ゼルヴの名前から付けたものだった。
当初の製造目的は対邪神のものだったらしく、エランの機体にはポゼッションの補助や邪神の力も御する装置も搭載していた(後に彼の師匠から奪われるが)。

発掘時、同時に見つかった同系機のパーツやラングランの錬金学士の手を借りて修復作業が進められたものの、ゼルヴォイドは何故か動かなかった。
しかしラ・ギアスにてヴォルクルスが復活した際、理由は不明ながら初起動に成功。エランを自らの操者として選んだ。

因みにサイバスターそっくりなのはまったくの偶然。
サイバスターは元々テューデイ(ウェンディ・ラスム・イクナートの項目も参照)が目に留めた古代ラングランの資料の中にあったゼルヴォイドの項目を見て、外観と簡易な変形機構の項目からインスピレーションからデザインを決めたとのこと。
後にはエランも少ない資料とヒントからサイバスターを造ったウェンディの事をむしろ評価し、以前ゼルヴォイドのパチモノパクり扱いしていた事は謝罪している。もっともゼルヴォイドがオリジナルだというのは完全に間違いではなかったが。

精霊と契約した、永久機関を搭載した機体」という魔装機の分類条件は満たしているため、現存する最古の魔装機とも言える。

『大抵の白いロボットは黒くしてもカッコいい』の法則通り、白銀のサイバスターとはまた違ったカッコよさのある機体。
腕に覚えのある人ならサイバスターのプラモを改造すれば作れるレベルの差異。

ある意味、グランゾンとは違った方向での「ライバルらしい」機体。


武装

ストレイングレイブ

幅広で肉厚の両刃剣。
サイバスターのように呪術的効力があるのかは不明。

ヴォイドリグレッション

ゼルヴォイド版のサイフラッシュ。
ちなみにリグレッションとは「退行」「回帰」といった意味。

フロギストンミサイル

空間中に紫のエネルギー体を出現させ、相手に撃ち出す。
ちなみにフロギストンとは「燃素」の意。サイバスターのカロリック(熱素)ミサイルに対応していると思われる。
……魔装シリーズでは何故か装備されていないが。

徒雲(あだぐも)の型・駆鐵(かりがね)

『魔装機神F』にて追加された技。それまで散々「剣聖とか名乗る割に剣技がない」と言われ続けてきたエランさんの新技である。
飛行形態に変形したゼルヴォイドが敵機に突撃した後、ストレイングレイブで切り刻む。
ゼルヴォイド版『霞斬り』と言えるかもしれない。

アストラルイナー

我が命ず、アストラル界への干渉を!
顕現劫滅……アストラルイナァァァッ!!

魔方陣にストレイングレイブを突き刺し、産み出されたエネルギーと共に変形して突っ込む。
つまりアカシックバスターと同じような技。

エランの言葉からすると、アストラル界側から敵を破壊する技らしい。
技名はどこで切るのか分かりにくいが、エランの言い方からすると「アストラル・イナー」が正しい模様。

ポゼッション

精霊憑依。
ポゼッションした魔装機は常態を大きく上回る性能を発揮するが、エランはこれをほぼ常用している。
マサキも後に会得するが、プラーナ消費が大きく常用はまず不可能。
セニア曰く、「生身の人間がポゼッションに長時間耐えられる訳がない」との事だが……

また、サイバスターなどと違ってゼルヴォイドはポゼッション前と後で外観に変化がない。
この事から、ゼルヴォイドは元々ポゼッションを設計段階から想定している可能性がある。

ちなみに、別にゲーム中はサイバスターのような特殊効果はなく、ほぼ単なる演出。

しかしエランにとってはポゼッションさえも通過点に過ぎないらしく、「仮にも『神』を名乗る存在と戦うなら、最低限これ(ポゼッション)くらいはできないと」と語っている。
しかし……


特殊機構

ゼルヴィアン

ゼルヴォイドの飛行形態。
魔装機神シリーズでは飛行形態への変形システムがないので、サイバスター同様もっぱら戦闘時にのみ変形する。

ゼルヴィオリア

ゼルヴォイドに装備された特殊なアストラルエネルギー制御装置。

これを起動させると、精霊や邪神の力を一時的にブーストさせることができる。
つまりエランの言うポゼッションとは、精霊の力の制御装置ゼルヴィオリアの力を借りて出力を上げた状態の事だった。
つまりマサキ達の言う精霊憑依とは根本的にコンセプトが違う*4

が、後に『魔装機神Ⅲ』においてエランの師匠であるソーンに肝心要のゼルヴィオリアを盗まれてしまい、その「ポゼッション」すら出来なくなってしまう。
しかもソーンには「ゼルヴィオリアに頼っているようではいつまでも真の強さを手に入れることは出来ない」とまで説教される始末。

パーツが足りない為の出力不足や師匠の裏切り、更には身内にまで犠牲者が出たことに焦り、追い詰められるエランだが……



それが僕と……ゼルヴの意志だ!!
ゼルヴォイド!!

ポゼッション……発動!!



ゼルヴォイド(精霊憑依Ver.)

戦闘曲:ゼロ・イグジスタンス


メイド達の叱責やマサキとミオのアドバイス、そしてゼノサキス南家の当主の自覚によって「真のポゼッション」を身に付けたゼルヴォイド。
前述した通り、ゼルヴォイドはポゼッション*5を前提に開発されているため、こちらのポゼッションでは外観はほぼ変わらない。
しかし機体の色が本来のものと思われる紫色に変化しており、腹部の宝玉もより輝きを増している。

この状態であれば邪神の力を受けたソーンのアンビロウムにも引けを取らないパワーを持ち、サイバスターのポゼッションと比較しても遜色のない力を誇る。
因みに、ポゼッション会得の経緯までサイバスターと酷似*6しており、その事をテューディに言及されていた。


武装

フロギストンミサイル

ストレイングレイブ

以前のものと同じ武装。初めて真のポゼッションを会得した『Ⅲ』では演出にも差がなかったが、『F』では演出が追加された。

夢想千鳥舞

神祇無窮流奥義!!
夢想千鳥舞!!!

真に精霊と心通わせたエランにより会得する必殺技。
小型の鳥型の濃紫色のオーラを敵に連続でぶつけ、ゼルヴォイドの一閃と共に巨大な紫の鳥のオーラに巻き込みながら大地目掛けて敵を切り裂き爆散させる大技。
これはゼノサキスの家に伝わる神祇無窮流の真伝*7とされる技。
ルーツがゼノサキスにあるサイバスターの「真伝・ディスカッター乱舞の太刀」*8を参照にした技でもある。

ちなみにエランがやたらとマサキを成長させようとしていたのは、この技を会得するための踏み台にしようとしたから。
実際、会得にはマサキの真伝・乱舞の太刀を受けることが必要だった。


ゼルヴォイド・ヴァスト


パーゼミュート社の新型であり、ソーンが盗み出したゼルヴォイドのデータをパーゼミュート社がコピーした試作機。
基本的には量産機のようなものだがゼルヴォイド自体がオーパーツみたいな機体なので、能力は高いが出力等で色々と不安定な機体である。

……後に、その不安定さが仇となりあるゴキブリのようなしぶといキャラがあまりに呆気なく命を落とす羽目になる。
この事はムデカに不安を植え付ける禍根になった。

武装としてはノコギリみたいな剣ブルーフブレードや腹から撃つ光線ヴォイドブラスター等。

ただし、ソーンが使う場合のみ必殺技の千鳥舞*9という技が使える。


ゼルヴォイドの正体

ゼルヴォイドの正体は、数億年前に人類を支配した巨人族に対抗するために古のラ・ギアス人が作り出した決戦兵器。
その用途はというと、なんとゼルヴの持つ「无」の力を極限まで引き出し、敵陣に突っ込んで自爆する特攻である
ゼルヴィオリアはその補助装置兼起爆装置であり、いうなれば爆弾の信管。ゼルヴィオリアで精霊や邪神の力を制御できるのはこのためであった。

MAPW「ヴォイドリグレッション」は、ゼルヴの持つ「無へと回帰する力」に指向性を持たせて放射する兵器であり、特攻までの露払い、あるいは巨人族の教化*10に対する防壁として機能する力。
そして、ヴァストにも採用され、ことごとく暴走した『強制回復装置』は、例え致命傷を受けても特攻が成功するまで強引に動くための一時しのぎ用である。

エランの乗っているのは特攻用に大量に生産されたうちの一機、自爆に失敗してたまたま残った量産型の一つである。
さらにソーンにゼルヴィオリアを奪われた結果、ポゼッションによって無の力を引き出しても、それを外に向けて発揮することができない、という本末転倒な状態に陥っていた。

結果的にこの問題はエラン自身の成長によって克服され、巨人族の打倒に成功。エランでカドゥム・ハーカームを撃墜すると、彼は無事「巨人殺し」を達成できる。おいそこ、腹筋殺しとか言うな。

ゼルヴォイドが当初起動しなかったのは、倒すべき巨人が既に存在しなかった為。
その後起動したのは、いわば巨人の残滓である邪神の気配を察知したからである。


ゼルヴ

ゼルヴォイドに宿る精霊。
他の精霊と違い、精霊信仰が深いラ・ギアスにおいても知られていなかった精霊である。

高位の精霊として自ら操者を選ぶものの、サイフィスなどのように「言葉」で語り掛けることはない。
エランはあくまでそれを「声のような感覚」として聞いている。彼曰く、「ゼルヴは無によって教える」。

その正体は、「存在しないという概念」。つまり、「」であり、姿や声が「存在しない」のも当然だった。
「存在しないという概念」自体は誰もが持っているものであり、ゼルヴ自身もその特性の為に、多くの人間にその存在が知られずとも力を保つことができるという特異な性質を持っている。

『F』にて巨人の王カドゥム・ハーカームを倒す為にアストラル界の力を全て使った結果、他の精霊の力は大きく減少してしまい、魔装機神操者ですら感じ取れないレベルに低下してしまった。
一方でゼルヴはそもそも「存在しない」為、未だに力は衰えていないらしい。

ただし、それとゼルヴォイドの機能は別問題。
ゼルヴォイドはそもそも巨人族を倒す為に生み出された機体である為、巨人や邪神を倒したあとは起動する条件を満たさない。
その為、遠からず機能停止すると見られている。これは恐らくゼルヴォイドの動力源の問題。
逆に言えば魔装機神と違い精霊の力は維持できる為、ゼルヴォイド自体の改良によっては以前と遜色ない性能を発揮できる可能性もある。


余談

サイバスターと深い関連がある機体だが、それ故に最近出てきたシュロウガとの関連性も囁かれている。

なお、こいつが今後『OG』ワールドに登場するかは不明。
仮にサイバスターと同等(或いは以上)の性能があるならば、地上へのシフトも可能ではあるだろうが……
しかし、常時ポゼッションしているコイツが地上に出てしまうと恐るべき弱体化が発生するでは?とROEの頃は言われていた。
後に真のポゼッションを会得したのでそこは問題にならなそうだが。
むしろ、現在のOGシリーズでは巨人族の生き残りが姿を見せているので、逆に地上に持って行った方がガンガン動く可能性もある。
あっ、おいフューレイムに突っ込もうとすんなそいつ味方だぞ


尚、メタ的な事を言ってしまうとサイバスターと他の魔装機の違いは「後付けだから」*11の一言に尽きる。
その違和感を逆手にとった設定の機体と言える。




追記・修正は心を「无」にした状態でお願いします。


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最終更新:2023年12月10日 21:23

*1 ゼノサキス家の始祖。神祇無窮流の開祖でもある。

*2 魔術の一種。残留思念の読み取りのこと。

*3 ランドールの血を継ぐ神祇無窮流の家系。エランの実家であり、ゼオルートは東宗家の当主だった。

*4 精霊と意志を同調させて力を借りるのではなく、精霊から強制的に力を引き出しているという状態。

*5 厳密にはそれに近い状態の出力

*6 いずれも、強大な邪神の力を前に一度は心が折れた後、周囲の助けによって習得している。

*7 奥義の先にあるとされる究極奥義。

*8 元々、乱舞の太刀はゼオルートがマサキに見せた技を参考にしたもの。つまり無想千鳥舞をマサキがアレンジした技である。

*9 神祇無窮流の技のひとつ。無想千鳥舞はこれのパワーアップ版である。

*10 巨人族が使う魔術。人類の遺伝子に介入し、対象を洗脳することができる。

*11 サイバスターは旧『第2次』にて単独でデザインされたオリジナルユニット。つまり魔装機神自体後付。