WizardryⅠ 狂王の試練場

登録日:2011/12/24 Sat 01:59:55
更新日:2024/02/21 Wed 21:11:53
所要時間:約 6 分で読めます




*がいよう*

WizardryⅠ 狂王の試練場(Proving Grounds of The Mad Overlord)は、1981年に米国のSir-Tech社からApple II用ソフトウェアとして発売された、3DダンジョンRPG。
ウルティマやローグと並んでコンピューターRPGの原点、古典と言われ、その後の多くのゲームに影響を与えたシリーズの第1作目である。
イラストやモンスターデザインに末弥純氏、BGMに羽田健太郎氏を起用したFC版を始め、様々な媒体に移植されている。

日本では硬派なRPGとしてのイメージが強いが実際にプレイしてみるとそんなでも無く、
イギリスBBCのコメディドラマ「モンティ・パイソン」等の小ネタが散りばめられており、結構フランクな作風だったりする。


*あらすじ*

大切な魔除けを悪の魔術師ワードナに盗まれた狂王トレボーが、布告を出し冒険者(=プレイヤー)を集め、ワードナを討伐させて魔除けを取り戻させる、というもの。

ウィザードリィというシリーズ自体がややストーリー分が薄めではあるが、1作目ということもありこの狂王の試練場は輪をかけてシンプルである。
もっと具体的に言うと他のシリーズではある謎解き要素が無く、通れない所でも必要な通過アイテムさえ手に入れればいい。
が、行く必要が無い存在自体が罠の階層などもあるのでそこが謎解き部分の代わりになっている…かもしれない。(GBC版ではクリア後に行けるエクストラダンジョンになっている)

ちなみにトレボーとワードナの名前はそれぞれ制作者のロバート・ウッドヘッド(Robert Woodhead)とアンドリュー・グリーンバーグ(Andrew C. Greenberg)のファーストネームを逆に綴ったものから来ている。


しょくぎょう

あらゆる武器が使える戦士、主に攻撃魔法を使う魔術師、主に回復魔法を使う僧侶、宝箱の罠を外せる盗賊、
魔法使いと僧侶の魔法が使えて未確定アイテムの鑑定もできる司教(ビショップ)、魔法使い+戦士の侍、僧侶+戦士の君主(ロード)、
そして防具なしでACが低くなり更にクリティカルヒットを繰り出せる忍者の八種。
この内、ロードと忍者はすべての能力値が高くなければなることができない。


*せいかく*

善、中立、悪の三属性あり、戦士と魔法使いは全ての性格を選択できるが、僧侶とビショップは善と悪、盗賊は中立と悪、侍は善と中立、そしてロードは善、忍者は悪の性格しか選択できない。


*アイテム*

ウィザードリィの面白さの半分以上を占めていると言っても過言ではないのがレアアイテム集めである。
中でも三種の神器と呼ばれている武具とシールド+2(支えの盾)は色んな意味で有名である。

#1では悪専用の防具の性能が良く(基本的に前衛職の最強装備)、#1では悪がお勧めだと言われている。
なおFC版では後述するバグのせいで特効系の武器の立場はかなり悪い。

  • 村正
侍専用の最強の武器。1hitあたりのダメージが10~50と段違いに高い。
SP解放でSTR+1だが勿体なくて使えません。

  • 手裏剣
忍者専用の武器。
正直武器としては微妙だが、持っているだけでレベルドレインとを防いでくれるのが非常に嬉しい。
SP解放で最大HP+1だが勿体なくて(ry
不確定名の?ぶきは#1だと村正と手裏剣だけなので出ると非常にテンションが上がる。

  • 君主の聖衣(聖なる鎧)
ロード専用の最強の鎧。
AC-10、ヒーリング+1の上に獣やアンデッド、悪魔に倍打でおまけにクリティカルヒットが出るようになるという至れりつくせりな性能。
SPでパーティーのHP全快だが(ry

  • シールド+2(支えの盾)
幻の品として知られる装備品。
本作では一般的な装備は通常品(+0相当)~+2まであり、盾に関しては+3も普通に出るため、これ自体の性能は中の上程度。
なのにこの盾だけが知名度高めなのは、アイテムコンプ狙いの際に最難関となるから。
基本的にアイテムは10Fで戦闘していれば大抵揃うのだが*1、この盾だけはアイテムドロップテーブルの関係上10Fでは絶対に出ない。
落とすモンスターの生息地は攻略上行く必要のない地下5~7階であり、いざ狙おうとしてもなかなか出ないし、他にレアアイテムも期待出来ないため、モチベーションも下がりやすいというコレクター泣かせの一品である。
機種によっては本当に絶対出ないため、幻の品という伝説がますます大きくなった。

  • カシナートの剣
英語では「BLADE CUSINART'」(カシナートの刃)。「'」までが正式名称。
ダメージは10~12と村正には及ばないものの、剣+2(3~12)とは段違いの威力を誇る、戦士系(侍以外)垂涎の品。
なおスピンオフ作品では「名匠の手による剣」として扱われる事も多いが、元ネタはフードプロセッサーというのは現在では有名な話。
とある魔術師が主人公となる#4においては「かきまぜ棒」扱いだったりするし。



*おもなモンスター*

通称「先生」。詳しくは該当項目参照。

直接攻撃によりこちらの首を撥ねて来る「クリティカルヒット」の代表的な使い手達。
高位のニンジャであるハイニンジャやハイマスターなどは非常に恐ろしい。

  • ~ジャイアント系
高い呪文無効化率を誇るが*2、倒すと高い経験値を貰える敵。
本作ではアース・ファイアー・フロスト・ポイズン*3の4種が下層に登場。
中でもポイズンジャイアントは全体に40ダメージの毒属性のブレスを吐いてくるため、非常に恐ろしい。
ファイアー以外のジャイアントはレベルが1のため、マカニトで即死させる事が出来るので良くカモにされる。(但し呪文無効化率を無視してマカニトが効くかどうかは機種による)
ポイズンに先制を取られてブレス連打→全滅ということもあるので過信は禁物だが。

ファイアージャイアントは前述した特徴のほとんどが当て嵌まらない。違う種族なのだろうか。

  • マイルフィック
呪文無効化率50%で全てのメイジスペルを使い毒・麻痺・レベル3ドレインを持つ悪魔の姿をしたアンデッド
おまけに後続にポイズンジャイアントを必ず引き連れている
ドロップは最高クラスのアイテムテーブルなので倒せれば美味しいが、マスターレベルの冒険者でも全滅させられる事もしばしば。
アンデッド故、(呪文無効化されなければ)ジルワンで破壊したりディスペルで成仏させられるので、あまり鍛えていないパーティで戦うことになったらこれらに頼ろう。
ちなみにFC版初出の「頭に突起、4枚羽」という姿が有名だが、これは末弥氏がパズズ像を参考に描いたものと思われる。その影響か、日本においては「マイルフィック≒パズズ」として扱われる事も多い。

  • グレーターデーモン
  • フラック

  • ヴァンパイアロード
吸血鬼(ヴァンパイア)の王。基本的にワードナのお供。アミュレット入手済みor称号持ちの場合、ワードナの事務所の固定敵になる。
アイテム出現テーブルがマイルフィックと同じなので良く乱獲される。
ただしPS版ではついに狩られるのに嫌気が差したか居なくなった。ローカスェ…。

小説版「風よ。龍に届いているか」では著者ベニー松山のお気に入りキャラなのか、
彼を主役に据えた「不死王」が収録されており、作品本編でもアドリアンと名乗り重要なポジションになっている。

漫画版では物語前半まではワードナの部下として主人公たちと敵対していたが、物語後半からはワードナを見限り、正体を隠してアルカードと名乗り、ビショップとして主人公たちの力となる。
ワードナとの最終決戦ではワードナに正体をバラされてしまうが、それでも最後まで主人公たちと共に戦い続けた。

  • ワードナ
稀代の悪の魔術師にして、ラスボス。AGE(年齢)100。
呪文無効化率70%で全てのメイジスペル(ハードによっては全プリーストスペルも)を使い魔術師の癖にタフで殴りのダメージも強い強敵。
しかも毒・麻痺・石化・レベル4ドレインに加えクリティカルヒットまでしてくる…というかダメージよりこちらが厄介。
基本的に行動される前に殴り殺すか、レベルは下がるがハマン・マハマンを使うのがセオリーか。
PC版だと友好的なワードナが出てくることもある。

#4では主人公に昇格。(降格?)
しかし、本来使えた筈のプリーストスペルが使えなくなった上に攻撃も貧弱に…。


*バグ*

様々な機種で発売されたゲームだが、どのバージョンにも何かしらの問題が存在する。

APPLE版:カティノ、モンティノ、ラツマピック、ハマン等の呪文が全く役に立たない。マハマンの選択肢の中で発生しないものがある。
国産PC版:マカニトが呪文無効化の対象になっている。マイルフィックとの戦闘中にゲームがフリーズする。
FC版:敵から打撃攻撃を受ける時の味方のACや状態異常に対する防御効果、味方からの打撃攻撃の倍打効果などが正常に機能しない。
SFC版、GBC版:素早さを上げていくと最低値以下として判定される。

さらに、上にも書かれているがシールド+2が絶対出ないバージョンもあったり、アイテムの名前がバージョンごとに違ったり*4とかなりややこしい。
プレイする時はどのバージョンが自分にとって最適なのか、よく調べてからにしよう。
昔プレイした時は皆それぞれ「自分がプレイしているバージョンが最高なんだ」と思っていたのだけどね……。
そんなわけで「どのバージョンにはどんなバグが」と他人を煽るのはやめた方がいい。


*3Dフルリメイク*

Ⅰのフューチャーフォン版が出た2000年頃に裁判沙汰が発生、更にウィザードリィシリーズの権利を持っているのが誰かがよく分からない状態になってしまっていた。
これ以降20年近く移植版が出せていなかったのだが、2023年9月15日に権利問題を回避した3Dフルリメイク作品が発売された。
開発はアメリカのゲーム会社「Digital Eclipse」。
基本仕様はAPPLE版準拠だが、経験値がEPからXP表記になるなど現代風になった部分もあったりと、不便だった部分は遊びやすく調整されている。
例えば所持金が全キャラで共有されるようになり、ダンジョンから出れば貯金されるシステムになったりもしている。
モンスターも当然3D化されているが、そのデザインは末弥純氏によるものを3Dにしており、BGMも羽田健太郎氏によるものをアレンジしたものと、海外作品ながら日本のFC版を参考にした部分もある。



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最終更新:2024年02月21日 21:11

*1 レアアイテム等、低確率な物はある。

*2 ファイアージャイアントは除く

*3 ゲームスタジオ版(FC・NP・GBC版)ではポイゾン名義になっている。

*4 RING PRO UNDEAD(対アンデッド防御の指輪)とPRIESTS RING(僧侶の指輪)とRING OF DISPELLING(破邪の指輪)が全部同じアイテム。LORD'S GARBとGARB OF LORDS(君主の聖衣)とARMOR OF LORDS(聖なる鎧)はそれぞれ固定ファンが多く対立の根が深い。