BIOMEGA(バイオメガ)

登録日:2011/04/06(水) 20:08:04
更新日:2021/07/09 Fri 12:40:15
所要時間:約 7 分で読めます




「BIΩMEGA(バイオメガ)」は、弐瓶勉氏がBLAME!に続いて世に送り出したSFアクション漫画。月刊ヤングマガジンに連載し、全6巻で完結した。

◆概要

「BLAME!」と同じく弐瓶勉氏のセンスが全開で発揮された、凄い勢いで人が死ぬバイオレンス描写・
生理的嫌悪感と不安感を煽るクリーチャーデザイン・果ての見えない無機的なロケーション・
底の見えない背景世界設定といった要素が満ちあふれたSFアクション漫画である。

だが一方で「BLAME!」と比べると読みやすさ・分かりやすさが大幅に見直されており、「どういう世界で何が起こっているのか」を
説明するシーンは多く、かつ主人公サイドの人物が前向きで真っ直ぐな心根をもつライトサイドの人物揃いのため、
凄惨な出来事は続きつつも読後感は爽やか。特に主人公の造一が全くブレないヒーローなため、恐ろしい絵柄ながらも安心して読める。
乗り物の助けもあって、言うなれば「弐瓶勉版仮面ライダー」といった読み味である。

全6巻という分量でピシャリと完結している事もあってとっつきやすく、弐瓶ワールドの入門作としておすすめ。
アニメ版シドニアの騎士で弐瓶勉氏を知った最近のSFファンにも推奨できる。
それでも作中の出来事の全体像を把握するには言葉不足で手間取るかもしれないが、そこは各自フロム脳を働かせても楽しいし、
ファンサイトで考察が行われているのを見るのもよいだろう。
Wikipediaの当該項目で作中用語解説が充実しているので、そこを見て全体像を掴むのもよい。

◆あらすじ

西暦3005年、人類は七百年ぶりに火星への有人飛行を成功させた。水も空気も皆無な火星の植民施設で、一人の女性を飛行士達は発見する…
ーそれから半年後ー
火星探査船が地球の衛星軌道に帰還。しかし船は大破状態で、謎の粒子を地球全体に撒き散らしていた。
巨大企業都市国家「東亜重工」の工作員である合成人間・庚造一は、突如出現した人間を作り変えるウイルス「N5S」でパニック状態にある人工島「9JO」に潜入した。
造一の任務は、N5Sに適応した人間を見つけ出し連れ帰る事。しかし、N5S適応種を狙って、別の勢力がすでに9JOで行動を開始していた…。


◆登場人物及び所属勢力


◆東亜重工

DRFの目論見に早い段階で気づいた都市国家勢力。それを阻止するために、合成人間チームを送り込んだが…

●庚造一(かのえぞういち)
高い身体能力と再生能力を持つ東亜重工製の合成人間な主人公。冷静な青年に見えるが、母親や一般市民を助けられなかった自分の無力さに憤る熱血漢。
脳集波という力を持ち、彼の主武装である弾体加速装置にはこの力が利用されている。


●カノエ・フユ
造一が駈る重二輪に搭載されている女性型AI。造一の無二のパートナーでもある。直情的な造一のストッパーだが止めれてない。
東亜重工工作員部隊は、合成人間ひとり・サポートAIひとり・重二輪一台で1チームを編成している。
ちなみに重二輪はレーザー砲が2門ついてたり、造一の武器である折りたたみ式の斧や超長距離狙撃用弾体加速装置が収納されてたりするロマン溢れるバイク。


●壬二銖(みずのえにしゅ)
東亜重工製の女性型の合成人間。お色気担当その1クールビューティーな女性だが、意外と短気。左腕は義手、しかもとっつきが仕込まれている。
さすが、二瓶先生!!
どこぞの某黒い剣士じゃない。造一を「造一兄さん」と呼び慕う。単行本にて裸を披露してくれた。が見る限り貧乳(ry


●ミズノエ・シン
二銖が駈る重二輪に搭載されている男性型AI。二銖のパートナーで愚痴をこぼしたり、感情に任せやすい二銖のなだめ役。


丁五宇(ひのとごう)
東亜重工製の男性型の合成人間だが、登場が単行本巻末で、少ししかなく、挙げ句にヒグイデに頭が腹に至るまでめり込まれて死亡する。
ぶっちゃけ空気。
殺される直前、東亜重工から奪取した"ある物"と一緒にタイラを脱出させた。


●ヒノト・タイラ
五宇が駈る重二輪に搭載されている女性型AIだが、単行本巻末にて、いきなりバイクを真っ二つにされ、五宇の手で無理矢理脱出させられた。その後は回収してくれたコズロフと行動を共にする。



公衆衛生局(PHS)

DRFの下部組織のひとつだが、ナレインがニアルディの思惑を掴んだことで反逆。乱戦状態を引き起こしてしまった。

ナレイン将軍
公衆衛生局を統轄するイカともタコにも見える怪人。強力な念動力(脳集波)の持ち主で、念じた物をねじ切る事が出来る。脳髄転写手術で合成人間に乗り替える。人間だったときは色黒金髪なナイスイケメン。


カーダル・スピンダル
全身を植物の根のような物で身を包んだ女性。第二のお色気担当。強力な念動力を持っており、造一を何度も退けるほど。因みに着けてない。鎖骨や二の腕、腋を晒してくださった。
二瓶先生ごちそうさまでした。


ヒグイデ
公衆衛生局の強制執行部隊(CEU)所属の巡回査察員。渋さに定評がある。詳細は項目にて。


▲ウィルデンシュタイン博士
公衆衛生局付きの科学者。ナレインと対等に話しているため、同等の地位にいると思われる。しかし、緊急事態にも関わらず、試し撃ちで失敗して部隊を混乱させたり、脳髄転写の手順を間違えたりなどドジッ子。


▲覆面マスク
公衆衛生局の中間管理職的な立場の人達。指がドリルだったり、ネジ切られたり、露骨な死亡フラグ建てたりと忙しい方々。


▲公衆衛生局のCEU(セウ)
公衆衛生局の戦闘員。あからさまなヤラレキャラ。
ロックマンに出てきそうなヘリに似た無人戦闘機や、空母と可変戦闘機などを有する。


◇技術文化遺産復興財団(DRF)

都市国家としても巨大な力を持ち、世界中の知識や技術を集めているらしい組織。ニアルディの手足。

ニアルディ
黒髪パッツンのうら若い美女だが、中身は世界第二位のBBAである。常識的な考えを持つが、やり方に問題が有りすぎた。


◇右断・左断吏官
ニアルディに付き従う甲冑を着込んだソックリさん。見分け方は左断吏官は普通の言葉で話せないだけ。左断吏官は造一に、右断吏官はヒグイデに敗れ死亡する。


◇巡回査察員の四人
本部のCEUから、公衆衛生局への増援と言う形で送り込まれた。本来の目的は公衆衛生局の監視だったが、一人は造一と交戦するが一発退場(造一を狙撃するも言葉通り一発で大丈夫)、大きい男と左目が肥大化した女は名前どころか、何も活躍も無しに強制退場(さすが二瓶先生!)。残るイケメンはヒグイデとのタイマンで頭半分を斬り落とされて死亡した。因みにヒグイデにマトモなダメージを与えられたのは作中において彼だけである。


◇本部のCEU(セry)
差別化のため、若干の衣装チェンジがなされてるが、結局ヤラレ役。ロマン溢れる大型の可変式戦闘機や全身が刃で構成されたサイボーグなど、公衆衛生局のCEUにはない兵器を有する。だがヤラレ役である。大事な(ry


■地球に住んでる人々


コズロフ
愛すべきバカもとい、クマ。人語を話せる。まさかのヒロイン。詳細は項目にて。
プーさん


■レーフの代理人
第一世代の合成人間、二百歳近いジジイ。元々はDRFの技術局に居たが、何らかの理由で離れた。新生した世界で、現地の女性と結ばれ子宝にも恵まれた。対価として以後の登場権を放棄した。


■イオン・グリーン
不老不死者。中盤まで重要な人物だったが、後半以降は空気と化した。


■リルオード
元凶の一人だが、完全に空気。不老不死者。


■レーフ
元凶の一人。リルオードへの愛から300年生き長らえた挙げ句、自身も不老不死者となってリルオードと再会を果たす。


+ 本編中盤以降のネタバレ注意
◆復物主の世界
本編中、登場キャラクター達は「復物主」の発芽とその世界の発生によりそちらに飛ばされる。
復物主とは、N5Sに適応できる人間(本編ではイオン、リルオード)から出される花粉(雄性)と、胚珠(雌性)が受粉することで発芽する特殊な植物のこと。逆相写像重合体ともども、宇宙からやってきた「なにものか」によって火星植民地にもたらされたらしい。
逆相写像重合体によって吸収された物は、一つに纏められ、宿主の望むものを実現させる。

最も意思の強い人物によって願いが叶う。つまり

これが発芽すると、その場にいる一番妄想力の強い人物の理想の世界を創造できる

紳士諸兄の、歪ながらも紳士な想像もとい、妄想を現実に出来る素晴らしい物である。
…なんて甘い考えは通用しない。ひとのイメージや理想・思考という曖昧なものをまともに写像・実体化するため、願主の想造を絶するものが生み出される。

胚珠と逆相写像重合体とイオン、リルオードが居れば、理論上は何度でも世界をやり直すことが出来る。

だが、ニアルディの「やり直したい」という意志はすでにそこに生きている人々の営みを全否定する行為として拒絶され、
今を生きる者たちの代表者たる造一の攻撃によって撃破されてしまった。

復物主の人々

◎フニペーロ
ニアルディと現地の人間の間に、人工受精によって生まれた子。つまり百合で生まれた子。ニアルディと同じく、思念束を使える。赤ん坊の時から二足歩行しており、食べ物も殻ごとと言う某轟竜も真っ青な顎を持つ。


◎ヤー
英国の了解と言う意味ではない。フニペーロの母親で、復物主の世界における人間に定義される生物。最初から死亡フラグ全開だった。最後はくぱぁされてしまう。


◎イルンゴルヌルカ
イヤークを治める女王様。片腕が杖のようになっており、右足が無い。イヤークに飛来したヒグイデを救世主と見た。更には彼とギシアンした。羨まし(ry
最後はヒグイデが怪現象で転送され離別してしまう。


◎チャイドドリン
醜悪な姿の不死の怪人と言われてたが、ヒグイデにあっさり殺された。


◎イミグル族の娘
地球の人間とほぼ同じ姿を持つイミグル族は遺伝子情報の多様性を保つため、外部から訪れた旅人の男性に同族の女性をあてがって交配させる風習を持っている…
黒髪着物姿エロすぎ…
ちなみにイミグル族はカーダルの子孫ではないかと推測出来る。


◆復物主世界のDRF

◆ゲロルゼロの大男
巡回査察員。見た目は優男だが、ニアルディの弟子なだけに復物主の生物を操れる。フニペーロの怒りに触れ、串刺しにされたあと、造一のライダーキックで止めを刺される。名前を略してはいけない。


◆復物主世界のCEU
過剰な改造が施されており、高火力に重装甲にブースターまである。ヤーを連れ去った輩は身動き取れないところを襲われ、ドタマかち割られた。


◆派遣員の二人
DRFの命令で大陸留継索まで派遣されたデブとノッポ。ノッポは現地の女性とギシアンしてしまい、掟破りとして処刑された。デブは造一にフルボッコにされて閉鎖空間に幽閉された。良い奴等だったのに。



追記・修正は合成人間にお願いします。

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最終更新:2021年07月09日 12:40