メリヒム(灼眼のシャナ)

登録日:2012/02/29(水) 02:04:07
更新日:2024/03/09 Sat 23:38:16
所要時間:約 6 分で読めます




さあ、始めて、すぐに、終わらせようか

灼眼のシャナ』の登場人物。
CV:小西克幸

概要

異世界の住民“紅世の徒”の中でも強大な力を誇る“紅世の王”の一人。

真名は“虹の翼”、炎の色は「虹色」。

“徒”の組織、『とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)』の最高幹部『九垓天秤』の一人であり、主を守る最強の将『両翼』の右の片割れ。

外見は騎士の格好をした銀髪の美青年。『九垓天秤』では唯一完全な人間の姿をしている。
性格は傲慢で自己中心的な自信家。
しかし主であるアシズへの忠誠心は、[とむらいの鐘]メンバーの例に漏れず非常に高い。戦いに敗れ、組織が壊滅し、生き残りが自分ひとりとなった400年以上後になってもその至誠の心は揺らいでいない。

中世において無敵とさえ称された“王”で、フレイムヘイズ達に大打撃を与えた。

先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールとは数度に渡って剣を交えた宿敵であり、闘いを繰り返す内に彼女を愛するようになった。
アラストールとは恋敵であり、彼を非常に嫌っており、マティルダと相思相愛の彼に強い嫉妬を見せる。

一方で自身はヴィルヘルミナに想いを寄せられており、彼女なりにメリヒムの気を引く為にドレスなどでアピールしていたのだが、メリヒム本人はマティルダ一筋の為に、ヴィルヘルミナの想いについては全て理解しているが、まるで眼中になかった。
そのため、彼女からは「嫌な奴」と評されている。

ちなみにメリヒムはヴィルヘルミナのことを「怖い女」と評している。

『両翼』の左の片割れである“甲鉄竜”イルヤンカは深く信頼する相棒であり、主以外に自身より上に有ることも許容している。*1
組織でも古参の部類だが、アシズの回想においては『九垓天秤』のメンバーでは最後に加わったようである。

過去

元は一人で世界を放浪していたが、アシズと出会いその人柄に触れたことで、彼の願いの先を見たいと考え傘下に加わった。
その後は[とむらいの鐘]『九垓天秤』の一員として、『壮挙』実現のため、主の願いのため各地で戦い続け、その中でマティルダやヴィルヘルミナと幾度となく激突を繰り返す。

続く戦いの中、マティルダに「勝った方の言うことを訊く」という条件を出し、彼女を手に入れようと目論むも、ブロッケンでの最終決戦でイルヤンカを討滅され、自身もマティルダに惜敗。

直後、チェルノボーグの奇襲を受けた事で死にかけのマティルダを生かす為に自身と共に生きる事を懇願するも、
彼の一方的な愛にマティルダは応える事はなかった。
代わりに、事前にメリヒムが持ち出していた「勝った方の言う事を訊く」と言う条件から、
「人を食う事をやめる事」、「世を騒がす事はしない事」、「後代の『炎髪灼眼の討ち手』を可能な限り鍛える事」
を突き付けられる。*2

その直後、アシズのもとへ向かう彼女の目的が“天破壌砕”によるアラストールの神威召喚であることを悟り、引き留めようと叫ぶが、彼女の「生き様」を揺るがすことは敵わず、地面を爆砕されて下方の『天道宮』へ墜落。


「止めろ! なぜおまえを、他人の犠牲にせねばならん!」

「おまえは俺のものだ! 許さない、俺は許さないぞ、マティルダ・サントメール!!」

「待て―――待ってくれ!! マティルダ―――――ッ!!」


身動きできぬ身のまま、アラストールの顕現とアシズの討滅、『壮挙』の失敗、そしてマティルダの死を見届けた。
そしてそれでも、マティルダとの約束を守るために自身の全てを掛ける事を決意。

「触れるな、ヴィルヘルミナ・カルメル。俺達が、今ここにある意味を、思え」

「マティルダ・サントメールの望みを果たそう。我々は、ただそのためだけに……ともに在ろう―――」

人を喰らえないという約束の下、“存在の力”の消耗を可能な限り避けるため、自らの姿を骸骨に変貌させ、約束の時が来るのを数百年待ち続けた。
その後、後にシャナと呼ばれる少女と出会い、彼女に稽古を付けている。
因みに骸骨状態の時は喋る事はせず、シャナにも名乗っていないようで、彼女からは「シロ」と呼ばれていた。

シャナが独り立ちして御崎市に居着いた後、悠二には彼女の修行時代について説明されたものの、なぜかメリヒムのことは明かされておらず、アラストール、ヴィルヘルミナ、ティアマトーのほかにもう一人いたことを示唆する程度に留まっている。



◆戦闘スタイル

“紅世の王”の中でも飛び抜けた強さを持つ。
特に必殺の自在法『虹天剣』は強力で当代最強の攻撃力を誇る。剣といっても武器としての剣ではなく、レーザーの様なものであり素手でも撃てる。

直撃は愚か、余波だけでもダメージを受ける上に距離によって威力が減衰しない特性を持つので遠距離でも相当の破壊力を持つ。本来は背中に生ずる虹の光背を集束させて剣先から放つのだが、シャナ戦では消耗していたためか翼は光背ではなく双翼になり、それを剣に沿って滑らせ放つ方式に変わっていた。

その威力はオルゴンの自在法『レギオン』を一撃で蒸発させた事からもうかがえる。

更に、自らの空を飛ぶ鏡の燐子『空軍(アエリア)』によって反射させることで自在に軌道を操れるためにかわす事も容易ではない厄介な能力である。
ただし『空軍』は大戦の開始以前にマティルダにより壊滅していた。(取り置きか新造を使った奇襲でマティルダを窮地に追い込んでいるが)

他にも奥の手として7体に分身しての同時攻撃を可能とするが、大戦当時はマティルダと対した時はヴィルヘルミナがいるため使えず、実際に一対一で使用した時は『騎士団』のかく乱で破られ、シャナとの戦いでは自在法の教授に使用していた。
白兵能力も相当なもので骸骨状態でありながら、ウィネの攻撃を捌いていた。

物語の序盤・中盤のキャラだが恐らくサブラク大地の四神にも劣らない強さを持つと思われる。


その後

シャナとの稽古を繰り返す日々の中、彼女の仕掛けた落とし穴の罠に引っかかってしまう。
だが、この時詰め込まれていたトマトケチャップを浴びたことで、チェルノボーグの不意打ちでマティルダが致命傷を負った際の光景がフラッシュバック。
その結果、「愛する女の死」「無二の主の死」「組織の大願の終焉」という三重のトラウマが脳裏をよぎったことでパニックを起こし、『虹天剣』を暴発させて『秘匿の聖室』を破ってしまった。

結果、探索を続けていた“琉眼”ウィネ、放浪していた“天目一個”、ヴィルヘルミナと戦っていた“千征令”オルゴンが『天道宮』の存在に気づき、立て続けに襲来する大事に発展する。
その後、シャナとアラストールの契約の時間を稼ぐため、真っ先に現れたウィネをあしらっていたが、その中で“天目一個”が襲来。いかなメリヒムと言えど気配を持たない“天目一個”には対処できず、不意打ちを喰らって両断される。
だが、約束の時が来た事を確信し、骸骨の姿から元の銀髪の騎士の姿に戻り、取りあえず手慣らしとして、現れていたオルゴンを『虹天剣』で粉砕。

その後、ヴィルヘルミナに声を掛けられるが、マティルダを真っ直ぐに愛している彼はヴィルヘルミナの想いを知りつつも、最期まで彼女に振り返らなかった。

「ふふん、負け惜しみかい?」

メリヒムを見送った後、ヴィルヘルミナは震える声で「最後まで嫌な奴」と呟いた。


そして、契約を終え、崩壊する『天道宮』を脱出するシャナを待ち受け、対決。
彼女に“徒”との闘い方を教えながら、立ち回り、最後に『虹天剣』を放つが、自らを弾頭として突撃するという乱暴極まる奇策の前に敗北。(存在の力を大幅に失っていたため、全盛期と比較すると相当弱体化していると思われる)。
親しい者を倒してしまった事で狼狽える彼女を諭し、崩壊する『天道宮』から脱出を勧める。

因みにアラストールとはマティルダを死なせた為か、以前より更に仲が悪くなっていた。
アラストールも勝者側とはいえ恋敵という関係であるため、感謝はすれどあまり好ましい感情は無い。

長く、世話になった

と礼を受け取るも、「愛」の在り方について全く相容れなかったメリヒムは余計反発、怒声で返す。

(愛する者を自分の目的のために使い捨てにする奴の、どこが「優しい」んだ)
おまえのためじゃない……ああ、誰がおまえのためになんか! 俺は、彼女の愛のためにやったんだ

恋敵であり、マティルダの死の一因であるアラストールのためでは断じてない。あくまで、マティルダとの最後の約束のために、今日と言う日まで永らえてきたのだ、と。
だが、

「私も、愛してるよ」

と、その意味をわからないままの新たな炎髪灼眼の少女に、そう手を取られる。
その姿に誓いの完遂を実感したのか、力尽きながらも穏やかに返す。

「うん、そういうことなら、俺もさ」

そしてシャナに「最強の自在法」のことを伝え、その背を見送る。
“王”である自分をも虜にし、最期を迎えるこの時まで動かし続けた原動力―――それこそが、愛。

「覚えておけ。ここにあるものは、“紅世の王”すら一撃で虜にする力を生む、この世で最強の自在法だ。いつか、自分で、見つけろ……」
「さあ、行け。怖い女が、外で待ってる……」

直後『天道宮』の崩壊に巻き込まれ、マティルダへの想いを吐露しながら消えて行った。

ああ。俺は、おまえへの愛を完遂させたぞ。例えそれが俺に向けられていなくても、俺がそうする事でお前の望みが叶うなら……見てただろう? 俺は、“天壌の劫火”のためにだって働いてやったぞ。それが俺の、おまえへの愛だ

は、ははは……おまえの、差し金なのか? うまくやったら、ご褒美まで、とても温かい、ご褒美まで、付いて来たぞ……おかげで、俺は――――


最期の時までマティルダへの愛を貫き通し、最後の“九垓天秤”は散った。


足跡

メリヒムが最後に遺した「この世で最強の自在法」の意味を、シャナは長らくわからないままでいた。
だが、御崎市で坂井悠二と出会い、彼と共に戦いを潜り抜ける中で、メリヒムの言葉の意味をおぼろげながらに理解しはじめる。

そして、仮装舞踏会(バル・マスケ)に捕縛され、創造神“祭礼の蛇”の代行体となった悠二とのぶつかり合いと交流を経て、心に抱く「悠二への愛」こそが、メリヒムの言っていた「最強の自在法」であると確信。
図らずも、かつて彼自身がマティルダに対してそうしていたように、切り結ぶ刃の下、生死を賭した戦いの中でその想いを告げる、という形で悠二と対峙、己の望む結末を掴みとるべく驀進することになる。

偶然と言うには運命的に過ぎる、かつての因縁を逆の立場で再現したかのような様に、アラストールは密かに嘆息していた。



一方でヴィルヘルミナの方にもメリヒムの死は影響を及ぼしているが、これはどちらかと言うとマイナスの要素が強く、元々の傾向だった背負い込み型の苦労性に拍車をかける結果となっている。





追記・修正は愛する女との誓いを守ってからお願いします。

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最終更新:2024年03月09日 23:38

*1 イルヤンカが特に古参の“王”であることも理由の一つだと思われる。

*2 本当はこの直前、マティルダは「ヴィルヘルミナと二人で生きる」ことを突き付けようとしていたが、言い切る前にチェルノボーグの奇襲を受けている。