仮装舞踏会(灼眼のシャナ)

登録日:2012/03/11(日) 10:07:41
更新日:2021/05/08 Sat 07:43:58
所要時間:約 23 分で読めます




仮装舞踏会(バル・マスケ)とは、『灼眼のシャナ』に登場する組織の一つ。
バル・マスケとは仮面舞踏会を意味するフランス語「bal masque」。仮装舞踏会はその形態の一つ。
ちなみにアニメ版視聴者にはバルマス家とよく間違えられる。番外編「おじょうさまのしゃな」にて公式ネタにされた。

目次

◇概要

異世界人“紅世の徒”が作った組織で、総員数は万を超える現代まで残った数少ない大集団。
優秀な多くの人員、兵力を備え、この世に多数ある徒の組織の中でも最大級。

もっとも組織の形態としては徒の組織において珍しくもない「互助共生」が主眼。
『情報交換と支援』が本分であり、フレイムヘイズや敵対組織に対する警戒、構成員ではない徒の保護から、他組織との情報分析の会合、
秘匿交通路の確保、この世に渡り来たばかりの新参や若年者へのこの世で暮らすための訓令*1などが通常業務。
ちなみに書類仕事も当然ある。

戦闘行為はその一環たる作業以上の行為でしかなく、一時的な勝利は人員を減らすだけの害でしか無い。
かつて『盟主』を失って以降は、自発的に大規模な戦いを仕掛けた事例が絶無である。
とむらいの鐘』が起こした大戦の時にも参戦こそしたものの、終始消極的な姿勢であった*2

優秀な将兵たちも実際のところは戦闘向けの決まった面子が毎回駆り出されているだけで、
その彼らも普段は通常任務についてあくせく世界中で働いてる。

組織としての規範、さらには集団演習などもあり、欲望のままに生きるのが常の徒にしては厳しい組織だが、
それでもなお残った面子はかなり組織に対して真摯であり、集団行動や適材適所を活用できる力もかなり高い。


そのためフレイムヘイズからもその組織力や抱える人材の強大さから警戒はされていても、
仮装舞踏会が人食いで構成され、その助けとなっていること以外はあまり重要視されていない。
非常に稀な事態ではあるが、徒の思想結社「革正団」による騒動の際は、外界宿との暗黙の了解の元、
フレイムヘイズと同じ戦場で共に革正団を潰しにかかったこともあり、その関係でお互いの将兵格は顔見知りが多い。

本拠地は宝具『星黎殿』。移動城塞型の世界最大級の宝具で、かつて協力関係にあった“髄の楼閣”ガヴィダから、彼が仮装舞踏会と袂を分かつ代償として譲られた。
隠蔽の異界『秘匿の聖室(クリュプタ)』に覆われているため気配は完全に隠蔽され、視覚のみならず探査の自在法から隠されている。

◇組織構成

盟主は殆どの構成員たちには役職以上のことは詳しくは知らされておらず、
最高幹部の『三柱臣(トリニティ)』と呼ばれる三人の紅世の王が実質組織を仕切っている。

徒の組織は人間のように倫理規範で成り立つモノでなく、この組織も例外では無い。
三柱臣が率いてきた長年の実績、相対した際に抱かされる感情が組織に服属させる原動力。
そのため構成員のほぼ全てが三柱臣のいずれかあるいは複数への強い畏敬の念を抱いている。


盟主と三柱臣以外にも兵種・役職が存在し、正式な役職として明記されているもの以外にも、
電話番や書類・情報の精査担当、星黎殿内の娯楽施設の管理役などある。

  • 捜索猟兵(イエーガー)
情報収集や探索担当の兵種。基本的に探査能力や隠密行動に優れている者が成る。
対抗組織の動向把握や宝具の発見、組織に仇なすフレイムヘイズや徒の所在確認などが仕事。
主な捜索猟兵はハボリム、ピルソインなど。

  • 巡回士(ヴァンデラー)
戦闘担当の兵種。戦闘能力に優れている者がなる。任務の際は大抵捜索猟兵と共に行動する。
「戦闘バカ」が多く、捜索猟兵を見下す者も多い。
主な巡回士はリベザル、オルゴン、マモンなど。

  • 布告官(ヘロルト)
組織中枢から、各地の捜索猟兵と巡回士への連絡を受け持つ役職。
協力関係にある他組織への伝令なども任務とする。
主な布告官として、ストラス、デカラビアなど。

  • 禁衛員(ヴァッフェ)
設定集にて存在が発覚した役職。名前や面子からして、本拠地直属の近衛兵か。
ちなみに分かっている限り全員死んだ。
主な禁衛員はフェコルー、プルソンなど。

  • 燐子(りんね)
“徒”がこの世の物に存在の力を吹きこんで作る下僕。
仮装舞踏会が多く使うのは道具タイプの大筒型で、込められた存在の力の続く限り自在法「炎弾」を撃ち続ける。
ただし多くは力も技巧も無い徒が作った一人一体維持するのが精一杯の粗製乱造品で、力を使い果たすと壊れて二度と使えなくなる。





以下ネタバレを含む














◇作中の行動

盟主の正体は紅世の神の一柱、新たなものを流れを作り出す創造神、祭礼の蛇
彼が配下の徒たちへ放つ盟約である『大命』を果たすことが、仮装舞踏会の目的。
仮装舞踏会の名の由来は、本来欲望のままに生きる徒が「大命」という仮装を纏い、祭礼の蛇のために踊る神楽舞である、ということから。
三千年前、当時の徒が望んだ「快適な箱庭世界」を創造する『大縛鎖』の儀式の際に、
フレイムヘイズによって秘法『久遠の陥穽』で両界の狭間に葬られた祭礼の蛇の復活と、復活した祭礼の蛇の大命を実現させるために、
人員を増やし、組織の規模を大きくし、構成員の質を高め、力を蓄え続けていた。

元々は組織と言うのも憚られる、創造神とその眷属以外は単に請い願っただけの取り巻きが数十いただけの集まりに過ぎなかったが、
盟主がよかれと思って討ち手にまで喧伝し、結果猛反発を攻撃という形で受けた後も、

「我ら“徒”とて、意見の相違はある。彼らとてそうだろう」

と儀式に招待した、のん気で寛大すぎる盟主を失った敗北を機に『組織』の力を思い知った“逆理の裁者”が中心に、現在の巨大組織を作り上げた。

ほとんどの構成員たちには「大命」の存在すら知らされていなかったが、
シュドナイが全くの偶然から“零時迷子”を発見し、盟主の意思総体をこの世に復活させる「大命第一段階」完了の目処が立ったことで、
世界各地に散らばる構成員を来るべき大命遂行のために秘密裏に招集。
同時にフレイムヘイズ支援組織である外界宿(アウトロー)の頭を秘密裏に潰し、自分たちが戦の準備を整え始めていることを隠しながら、
来るべき戦いのために着々と準備を進めていく。
そして大命の第一段階、“祭礼の蛇”の仮の帰還が完了したことで、構成員にも盟主の帰還と大命の内実が明かされ、
大命遂行と、それに対する最大の邪魔者であるフレイムヘイズとの大戦へと進んでいく。

三千年間かけてこの時のためだけに力を蓄えていた仮装舞踏会に対して、
フレイムヘイズ陣営は本格的開戦以前に頭を殺され混乱に陥っていたため、敵が見えない状況であった。

そんな混乱の中で正体不明の敵をおびき出し倒そうとした東アジアのフレイムヘイズたちを、逆に仮装舞踏会の主力軍で包囲して殲滅に成功し、
これにより仮装舞踏会の優位状況は揺るがぬものとなった状況で宣戦布告し大戦に突入する。
もっとも、大戦といっても大規模な軍事行動というだけで、仮装舞踏会の目的は大命第二段階である『盟主の本体の復活』のための防衛及び、
第三段階である『新世界、無何有鏡の創造』のために邪魔なフレイムヘイズを可能な限り殺し、可能な限り組織的な反撃の力を奪うというのが目的であり、
決戦ではない。

フレイムヘイズの底力や数々の想定外により星黎殿にまで攻めこまれ重要な構成員を何人も欠くも、大戦では最終的に完勝を収め、
フレイムヘイズ兵団の切り札として投入された精鋭の8割(約三千人)を殺し消滅させた。

そして大命第三段階、新世界の創造を行うべく、儀式の運営側として御崎市で仮装舞踏会の総員を何十倍も上回る膨大な数の徒、
そして儀式に挑むフレイムヘイズを待ち受ける。

あまりにも数が多い同胞の誘導や案内、質問に答えたりと、コミケのスタッフのような仕事から、
フレイムヘイズに対する防衛の準備など、大戦に勝利したとて大忙しには変わりなし。
そして大地の四神の封絶内への侵入と同時に、再びフレイムヘイズを迎え撃つ形での戦いに突入する。

圧倒的な力を持つ大地の三神に対しても、その組織力から既に人相の手配や警戒などは済ませていたため被害はほぼ抑えられ、
その組織力、戦友たちとの連携により、個々の力では劣っていても渡り合う精錬された戦いっぷりを見せた。
もっとも、三神の目的も雑魚の虐殺&幹部にメッセンジャーとなってもらうことだったので、両勝ちと言えない事もない。
ちなみに有象無象の徒を三神の方向に意図的に誘導して使い捨ての戦力として使ったりと、戦いにおいては同胞でもそこら辺容赦なしである。

最終的に“祭礼の蛇”の望む形での新世界の創造に成功する。
祭礼の蛇の賞賛、


「余の手は、成就に届いた――見事なり、仮装舞踏会(バル・マスケ)

ベルペオルによる散会とその後のこと、


「本来、己が持ちたる欲望を、大命なる仮装にて固めたる舞踏の時も、まずは散会だ」

「同胞の動静を見定め、自らの為すを思うに十年、と定めはしたが、まあ思う侭でいいさ」

それらを全て聞き入れた後、誇りを胸に祭礼の蛇の出立の言葉と共に新世界へと渡っていった。


「転楽しく発て、余の神楽舞い(バル・マスケ)たちよ」




以下さらにネタバレ

新世界でも彼らのお仕事は終わらない。
10年といったベルペオルの言葉を他所に、1年程度でかつてのメンバーが集まってきていた。
目的は組織に属さない“徒”のしょうもない行動に対する対処。盟主が消えてからの活動である「互助組織」としての側面で忙しくなっている。
フレイムヘイズたちとの関係も微妙ながら改善に向かっており、共闘となることもあるらしい。


◇主な構成員


盟主

炎の色は黒。仮装舞踏会の盟主。
詳細は当該項目を参照。

三柱臣

炎の色は明るすぎる水色。役割は巫女。
仮装舞踏会の最高幹部三柱臣(トリニティ)の一人 。
詳細は当該項目を参照。

炎の色は濁った紫色。役職は将軍。
仮装舞踏会の最高幹部三柱臣(トリニティ)の一人 。
詳細は当該項目を参照。

炎の色は金色。役職は参謀。
仮装舞踏会の最高幹部三柱臣(トリニティ)の一人 。
詳細は当該項目を参照。

幹部

  • “千征令”オルゴン
炎の色は錆びた緑青色。兵科は巡回士。
古くから仮装舞踏会に所属してきた古参の“紅世の王”。
詳細はオルゴン(灼眼のシャナ)を参照。

  • “道司”ガープ
炎の色は浅葱色。兵科は不明。使者などの役目をしていたため布告官ではないかと言われる。
ぺルぺオル直属の“紅世の王”。
外見は四方に子供の人形を配した武装修道士。
大仰で騒がしく嫌味な性格。
東洋における仮装舞踏会の連絡役を務めていた。
近年、行方不明となり、仮装舞踏会から捜索令が出ていたが、実際には『天目一個』に食われていた。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱ガープ。

  • “嵐蹄”フェコルー
炎の色は臙脂。兵科は禁衛員。
参謀ぺルぺオルの副官にして本拠地である『星黎殿』を取り仕切る“紅世の王”。
外見は尖った角と蝙蝠の羽を持つ、スーツを着た気弱な中年男性。
冴えない風貌と性格に似合わず高い戦闘能力と組織運営能力を持つ強力な“徒”で、「偉大なる嵐の支配者」や「星黎殿の守護者」といった異名を持つ。
その実力たるや、将軍シュドナイを除く仮装舞踏会の将帥たち全員を同時に相手取っても、なお互角に戦い得るとまで評されるほど。
また、立場を隠して『星黎殿』の案内役をしていたり*3、『銀沙回廊』を使って要塞内を巡察して回ったりと、部下の把握にも熱心で、組織内での人望も篤い。

固有自在法『マグネシア』は超重量の微細な粒子を無数生み出し操る自在法で、この粒子を領域内に満たし、高速で流動させることによって嵐の如き鉄壁の防御陣を形成する。
また、暴風の領域を瞬時に拡大する事で、圧倒的な防御力を攻撃力に転じる事も可能。
大戦の最中、不意に現れた天目一個に斬られ瀕死の重傷を負ったが、なおも残された命を最大限用いて使命を全うした。

  • “淼渺吏”デカラビア
炎の色は鉄色。兵科は布告官。
卓越した自在師にして仮装舞踏会の情報伝達の根幹を担う“紅世の王”。
細長の魚のような姿をしており、その体躯は途轍もなく巨大だが、普段は本体を異空間に隠しており、通常は地面の波紋として現れる縮小の自在法から、頭のみを現して意思疎通を行う。
その為、仮装舞踏会のメンバーでさえ殆どの者は姿を見たことがない、もしくは頭部、あるいは連絡用の自在法しか見たことがない者が大半。
行き過ぎなほど率直な仕事人であり、何かの判断を下す際には感情を一切挟まず、眼前の事実とそれに伴う効果のみを基準に断を下す。
このため平常時は色々なところで軋轢を生んでいるが、難局においてはこの上なく頼りになる指揮官でもある。

固有の自在法『プロビデンス』は切り離した自身の鱗を媒介として情報や自在法を伝達する自在法。
永続的かつ距離の制限なく各種情報交換を行うもので、相互の通信や監視、更には遠隔地に直接自在法を行使することも可能。
非常時には鱗を回収して全身を覆い、どんな攻撃をも受け流す転移の鎧と化す事も出来る。

現代の大戦では、祭礼の蛇の本体を復活させるため、両界の狭間に向かった三柱臣(トリニティ)から、不在の間の全権を委託され、総司令官として仮装舞踏会(バル・マスケ)の軍勢を率いる。
当初は東西に軍を派遣することで、積極的攻勢による戦略的防御を行うも、『星黎殿』の位置がフレイムヘイズ側に漏洩したことでフレイムヘイズ兵団の奇襲を許す。
想定外の奇襲を仕掛けてきたフレイムヘイズ兵団に対して、直衛軍を指揮して互角に戦うも、東西の外界宿征討軍が到来するまで防衛線を維持できないという判断から、「自身の戦線への投入」を決定。
星黎殿を守るために戦闘向きではないにもかかわらず自ら前線に出撃。
ゾフィー・サバリッシュの落雷蹴りを受け戦死したが、ハボリム率いる援軍が到着するまでの時間を稼ぎ切った。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱デカラビア。

  • “煬煽”ハボリム
炎の色は楝(おうち)色。兵科は捜索猟兵。
仮装舞踏会の将帥の中でも実戦派で鳴らす“紅世の王”。
誰もが認める集団戦の名手で、大規模な戦いを幾度となく潜り抜けてきた練達の将帥。
本人の戦闘力も“王”だけあってかなり高く、単独戦闘の際は体を二つに分裂させ、攪乱や挟み撃ちなどのからめ手で戦う。
双頭のガスマスクにマントを羽織った案山子のような姿をしている。

自軍を指揮する際は詩を吟ずるような独特の「歌」で指示を出すのも特徴。

彼の自在法『熒燎原』は、歌と共に足元から薄く地面を侵食する炎を噴き出し、広大な戦場一帯を埋め尽くす自在法。
この炎に触れている間は味方は全身を炎に覆われ、士気の上昇や能力の強化といった加護を受ける。
またハボリム自身もこの自在法の効果範囲内では事情の把握、通話、瞬間移動などの効果を得る事ができる。
数ある自在法の中でも軍の統制と強化を両立させた、集団戦に特化した自在法と言えるだろう。

現代の大戦では、西部方面軍司令官に任命され、外界宿征討軍西部方面主力軍を率いて、ヨーロッパのフレイムヘイズ陣営の最重要拠点であるルーマニアのアンドレイ要塞を攻撃。
昏鴉の御し手(こんあのぎょして)”ヒルデガルド率いるフレイムヘイズと交戦するも、決着が付く前に本拠地である『星黎殿』が奇襲を受けたため撤退。
撤退後は討滅されたデカラビアから総司令官の職務を引き継ぎ、“祭礼の蛇”本体と三柱臣(トリニティ)が帰還するまでの時間を稼ぎ切った。
御崎市決戦では大地の四神サウスバレイを食い止める活躍を見せた。作中では無敗である。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱アイムの別名ハボリム。

  • “驀地祲”リベザル
炎の色は弁柄色。兵科は巡回士。大地の四神の呼び名は“賢明な鎧”。
仮装舞踏会の将帥の中でも名の知れた勇将。
外見は一言で言うなら直立したカブトムシ。
見た目通りの豪放直情な性格で粗暴な言動も目立つが、頭も良く、こと戦いに関しては抜かりはない。
戦闘では腕に巻いた宝具『七宝玄珠』を用いた分身による攪乱や数珠玉を弾丸のように高速で飛ばして攻撃する。
また本体の力も凄まじく、その腕力は強靭なフレイムヘイズの身体を容易く引き裂き、叩き潰すほど。
本人の圧倒的な攻撃力のみならず、臨機応変な器用な戦法を取り、知恵まで回ることから、歴戦のフレイムヘイズであるフリーダーをして「反則野郎」とまで評された。

“祭礼の蛇”となった悠二に登場早々ケンカを売ったがその後は心服。
現代の大戦では東部方面軍司令官に任命され、外界宿征討軍東部方面主力軍を率いて東京の外界宿総本部を攻撃。
骸軀の換え手(がいくのかえて)”アーネスト・フリーダーらと交戦し、半日で外界宿東京総本部を陥落寸前にまで追い込むも、本拠地である『星黎殿』が奇襲を受けたため撤退。
だが、その途中で“興趣の描き手(きょうしゅのかきて)”ミカロユス・キュイの足止めを喰らってしまう。
御崎市決戦では、相棒のピルソインと共に『大地の四神』の一人“星河の喚び手(せいがのよびて)”イーストエッジと交戦。
イーストエッジとの戦闘で右腕を失うも、最後まで生き残った。
戦いでは損な役回りも少なくなかったが、晴れて新世界一番乗りの栄誉を得た。

  • “蠱溺の盃”ピルソイン
炎の色は菖蒲色。兵科は捜索猟兵。大地の四神の呼び名は“忍び寄る毒”。
リベザルの相棒で仮装舞踏会に所属する自在師。
袖が地に着くほどのぶかぶかのローブに盗人のような大きな袋を背負った子供の姿をしている。

彼の自在法『ダイモーン』は吸い込んだ者を錯乱状態に陥れる靄を発生させる自在法。
この靄は人間やフレイムヘイズだけではなく“紅世の徒”や“燐子”にも効果がある。
またフレイムヘイズに対して使用した場合、フレイムヘイズだけではなく中の“紅世の王”も共に酩酊・錯乱状態にする事が出来る。つまり食らってしまえば事実上行動不能に陥るが、『清めの炎』を纏うことで防御可能。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱グシオンの異称ピルソイン。
リベザルと共に一番手として新世界に旅立った。

  • “翠翔”ストラス
炎の色は縹色。兵科は布告官。
仮装舞踏会の中でも古株の“紅世の徒”。
全身を獣毛に覆われた顔の無い鳥の姿をしており、代わりに胴体の部分に顔がある。
仮装舞踏会の外交官のような立場にあり、普段は様々な“徒”の組織の間を飛び回り各組織間の意見の調整や、その動静を把握することに努めている。
中世の『大戦』時も、欧州の“徒”の組織による大同盟を計るベルペオルからの使節として[巌楹院]の首領である“盤曲の台”ゴグマゴーグの居城を訪れており、
その際、先代の『炎髪灼眼の討ち手』と『万条の仕手』の[巌楹院]襲撃に巻き込まれた経験がある。

彼の自在法『プロツェシオン』は対象を鳥に変化させる自在法で、一軍を丸ごと高速で輸送可能。
鳥への変化中は対象の気配も小さくなるため、発見され難く奇襲攻撃にも向いている。
加えて、この自在法はフレイムヘイズの側には全く知られていなかったため、現代の大戦において兵団は完全に不意を打たれる形となった。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱ストラス。

  • “獰暴の鞍”オロバス
炎の色は橙。兵科は巡回士。
シュドナイの側近の“紅世の徒”。
黒い軍馬の姿と黒服の青年の二つの姿を持っており、中世の『大戦』ではシュドナイの乗騎を務めた。
実直で生真面目な反面、血気に任せて指揮官の枠を逸脱した独断専行に出る事も多く、その度に相棒のレライエに諫められている。

彼の自在法『鐙の寵』は自身に触れている他者の全能力を強化する自在法で、強化している他者の行動をある程度操ることも可能。

現代の大戦ではシュドナイの副官として相棒のレライエと共に外界宿殲滅戦に参加。
その後は西部方面第二軍(ギリシア方面軍)司令官に任命され、副官のレライエと共に外界宿西部防衛線のギリシア戦線に侵攻。
本拠地である『星黎殿』が奇襲されたことでハボリム率いる西部方面主力軍が撤退した後は、ハボリムに代わり西部戦線の総指揮を委譲され、西部戦線の撤退を指揮した。
御崎市決戦ではレライエと共に大地の四神ウェストショアを迎えうった。戦後は“紅世の王”と評価されるようになっている。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱オロバス。

  • “朧光の衣”レライエ
炎の色は灰白色。兵科は捜索猟兵。
オロバスの相棒で仮装舞踏会に所属する自在師。
緩やかな白衣を身に纏う美女の姿をしている。
人を食ったような物言いも多いが、周囲との交渉や調停役としての能力も高く、猪突猛進しがちなオロバスを諫めつつも、息の合った共闘を見せる。
相棒のオロバスとは割と正反対ともいえる性格をしているが仲が良く、プライベートでも共に行動する事が多い。
またオロバスに対して異性としての好意も持っているようだが、オロバスの方は全く気付いていない。

彼女の自在法『ニムロデの綺羅』は身に纏った白衣を広げ、薄絹のような半透明の壁を作る防御用の自在法。
攻撃を受け止めたり跳ね返したりするのではなく、柔らかく受け流して逸らす特性を持つ。

現代の大戦ではシュドナイの副官として相棒のオロバスと共に外界宿殲滅戦に参加。
その後は西部方面第二軍(ギリシア方面軍)司令官に任命されたオロバスの副官としてオロバスと共に外界宿西部防衛線のギリシア戦線に侵攻。
本拠地である『星黎殿』が奇襲されたことでハボリム率いる西部方面主力軍が撤退した後は、オロバスをサポートしつつ困難な撤退戦を成功させた。
御崎市決戦ではオロバスと共に大地の四神ウェストショアを迎え撃った。戦後は“紅世の王”と評価されるようになっている。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱レライエ。

  • “冀求の金掌”マモン
炎の色は黄檗色。兵科は巡回士。
仮装舞踏会に所属する徒の中でも、最古参の“紅世の王”。
外見は老若の判別がつかない白皙の美貌の紳士で、三千余年前の『大縛鎖』創造の儀式にも参列していた程の古株。
カムシンら儀式に列席していた最古のフレイムヘイズ達が反逆したのも目撃している。
作中ではキアラ・トスカナサーレ・ハビヒツブルグとの絡みが多かった。

彼の自在法『貪恣掌』は両手の動きに合わせて物体を引き寄せ、あるいは押しのけて操るという原始的ながら強力な自在法。
物体は元より自在法にも効果が及ぶためその効果は絶大。
また、全身を媒体に発動することで範囲・威力を大幅に引き上げることが出来る。

御崎市決戦の際、ダンタリオンが討滅されたのに気を取られてキアラから致命傷を受けるが、残された命で暴走する爆弾から周囲を守った。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱マモン

  • “哮呼の狻猊”プルソン
炎の色は鉛丹色。兵科は禁衛員。
『星黎殿』守備隊随一の使い手で、上司であるフェコルーからの信頼も厚い。
ライオンの頭をした派手な宮廷衣装を纏う人間の姿をしている。

彼の自在法は二つあり、一つは吸い込んだ空気を口から衝撃波として放つ『獅子吼』。
カムシンの瓦礫の巨人を衝撃で吹き飛ばすほどの大威力を誇る。
もう一つは旗で飾られた長いラッパを多数作り出して空中に展開し、各々から衝撃波を吹き放つ『ファンファーレ』。
『獅子吼』に比べると威力は低いが、遠距離操作も可能なため、自身から離した特定の場所に設置し任意で衝撃波を放たせることもでき、
これによって広域全方位に多数の衝撃波を放つことができる。

原作ではレベッカ・リードに終始優位を奪っていたが、最後の最後の撃ち合いにて、“星黎殿”墜落の事故で狙いを外し、直後に致命打を受け討滅された。
アニメでも“星黎殿”墜落に前後してレベッカに討滅されたことは同じだが、やたらと分かりやすく周囲に気を取られて逆転負けするという改悪をされた。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱プルソン。


  • “駝鼓の乱囃”ウアル
炎の色は桧皮色。兵科は禁衛員。
『星黎殿』守備隊に所属する“紅世の王”。
外見はアラブ風の緩い衣を纏った直立したヒトコブラクダ。探索の名人。

彼の自在法『ビト』は蜂の大軍を作り出し操る自在法。
蜂そのものによる攻撃や防御の他、自在法の媒介として使役する事で通信や索敵、気配遮断なども同時多重に行い得る。
また埴輪のような鎧型の傀儡を作り出し、その鎧に蜂を入り込ませて操ることもできる。

贄殿遮那を取り戻して新たな力に目覚めたシャナの敵ではなく、あっけなく討滅された。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱ウアル。


  • “翻移の面紗”オセ
炎の色は浅緑色。兵科は捜索猟兵。
仮装舞踏会の本拠地である『星黎殿』の直衛軍部部隊長の一人。
人の仮面を付けた巨大な豹の姿をしている。

彼の自在法『サイクル』は被っている仮面と火の粉を無数舞い踊らせる事で対象を幻惑する自在法。
また舞い踊る仮面一つ一つが視界を持ち、自在法を行使する事も出来る。

現代の大戦では詰めの一手を担う精鋭部隊を率いていたが、ヴィルヘルミナの介入でその部隊が『星黎殿』に圧殺され壊滅するという大失態を犯す。
残存の兵をかき集め、死罪を覚悟でデカラビアに報告に向かったが「そんな余裕はない、戦って責任を取れ(意訳)」と却下され、『星黎殿』前の防衛に移動。討ち手たちは結局そこまで辿り着けなかったため戦闘そのものには参加していないが、ロフォカレの存在が気になったストラスに偵察を頼まれている。

その後、バルマと共に御崎市決戦に臨む。シャナの一撃を受けて半身を吹き飛ばされる重傷を負ったが生き残り、新世界にわたっている。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱オセ。

  • “化転の藩障”バルマ
炎の色は若苗色。兵科は巡回士。
仮装舞踏会の本拠地である『星黎殿』の直衛軍部部隊長の一人。
様々な配色で織られた巨大な象の姿をしている。

彼の自在法『羅梭』は多色の糸で構成された自身の巨体を解き、状況に応じて自在に編み上げ直す自在法。
本来の使い方は、味方を覆う被服となり、対象を強化するというものである。

現代の大戦ではシュドナイの移動を補助。
御崎市ではオセと共に戦い、最後は新世界に渡った。

  • “呻の連環”パイモン
炎の色は洗朱色。兵科は巡回士。
仮装舞踏会の本拠地である『星黎殿』の直衛軍部部隊長の一人。
外見はラクダに乗った貴公子然とした男。ちなみに乗っているラクダは彼の“燐子”。

彼の自在法『王の供連』は男女様々の華美な衣服を操る自在法。
それぞれが各種の武器を扱う他、広範囲の自在法を補助する。
また、その衣服内に瞬時に転移する事も可能で、戦闘ではそれを利用して多角的な攻撃や敵の攻撃の回避を行う。

星黎殿攻防戦の際、デカラビアの戦死による怒りと盟主の帰還によるハイテンションで冷静さをなくしたまま戦い、カムシン・レベッカの連携で討滅された。

名前の元ネタはソロモン72柱の魔神の一柱パイモン。


追記修正は訓令を聞いてからお願いします。

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最終更新:2021年05月08日 07:43

*1 この世への適合、人の喰らい方、フレイムヘイズへの対処など

*2 本当は参戦したくもなかったのだが、後述の『大命』の重要物を持ち出され、それを始末しなければならなかった

*3 『マグネシア』を応用した立方体をすっぽり被っている。