ディキトゥス(MS)

登録日:2012/05/03(木) 02:54:13
更新日:2024/01/04 Thu 14:57:06
所要時間:約 6 分で読めます




私はこの計画のために生き

私の半身は…そのために死んだのだっ!

全てを捧げた計画を失う事は

私の全てを否定されるに等しいんだよっ

そんなことが…許されると思うか?


ゆるされるわけがないだろおおっ!!!


機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』に登場する機体で、本作品のラスボス


パイロット:カリスト兄弟

武装

  • 大型ビームクロー
  • 頭部メガ粒子砲
  • 肩部ビームガン
  • フェザーファンネル
  • Iフィールド
  • 大型ビームアックス



左右対称の形状をしている一対の機体で、それぞれ

ユーリスディス・シニストラ・ディキトゥス(正義さす左指)
リーベルダス・デクストラ・ディキトゥス(自由なる右指)

という、総統専用機に冠せられる称号によって分けられている。

ユーリスディスは光のカリストが搭乗し、リーベルダスには地球で討たれた影のカリストのバイオ脳が搭載されている。

コルニグスと同じく木星帝国の次世代MSなのだが、後述の特徴も相まってMSらしからぬ独特な姿をしている。


最大の特徴は手を模したMA形態に変形可能という事である。

まさしく巨大な手として、防御に優れたバーラ・トトゥガ文字通り握り潰すなど、その機体出力と強度の高さが窺える。
この形態では強力なIフィールドを張る事も可能で、攻防共に高スペックな機体である。

唯一の弱点としては、その高い指向性故に背面には強力なIフィールドが展開できないという事が挙げられるが、この時代にこの機体を上回る機動性を持つ機体は存在しえなかった為、背面に回り込まれる事はないと考えられて設計上の問題とはされなかったという。


機体構造

機体のカラーリングはコルニグスと同様、半身ずつ白黒*1となっており、この白黒の配色はユーリスディスとリーベルダスで対称になる。
爪にあたるパーツは金色で、先にスラスターらしきスリットを備えている。

MS形態では一見頭部が二つあるような姿だが、白い側はビーム砲であり、黒い側にメインカメラを持つ。
両腕は非対称の構造となっており、黒い側が大型化しており、肩アーマーの先には二つの砲門を備える。
白い側の腕がマニュピレーターを持つのに対して、大型化した腕の先はペンチのような形状となり、先端からは鎌のようなビームクローを形成する。
携行武器としては複数のビーム発生器を合わせた専用のビームアックスがあり、こちらもX1のムラマサブラスターを正面から叩き折る程の凄まじい出力を持つ。

MA形態では頭部が前方に引き出され「親指」となり、大型化した腕は肩アーマーと一体となり「人差し指」にあたる。
以下両脚が「中指」・「薬指」、白い側の腕が「小指」となり、円筒形のバックパックが「手首」を模す。
この際に「手の甲」にあたる背面部がファンネルラックとなっている。

なお、本来これほど「を模す必要性はなく、その形にはカリストの歪んだ心が垣間見える。


劇中での活躍

第12話「歪みの手」で初登場。コロニーレーザー「シンヴァツ」へ特攻するイカロスを止めるため、タイトル通り、手の形状をして現れる。

この機体の存在を知らなかったのか、エウロペも「なんだ? あれは?」「まさか? 手? 手 なのか?」と心底驚いていた。

そのまま巨大なビームの刃状態になったイカロスを握り潰し、トビア達に襲い掛かる。
そして、ローズマリーのアラナ・アビジョ、バーンズのバーラ・トトゥガを瞬殺し、ギリビギナ・ギナⅡをも中破させる。

しかし、ボロボロになってもなお意地を見せたギリの特攻とバーンズの妨害により、コロニーレーザーの第一射目の射角をずらされ地球への命中を防がれてしまう。

そして、コロニーレーザーの息の根を止めにかかったトビア達の前に立ちはだかる。

そのままトビアのX1フルクロスと戦闘に入るが、地球での戦いとは違い、防御を捨て*2、バイオコンピューターのリミッターを解除するというトビアの捨て身の戦法により、他の機体が近づくことすらできない苛烈な戦いの中で互角の勝負を繰り広げる。
だが、リーベルダスがトビアの一瞬の隙を付き、コロニーレーザーの破壊に向かったミノルを追い詰める。

しかし、ここで予想だにしえなかった事が起こる。

確かにこのディキトゥスは、この時代においてのMSの機動性ではトップクラスの性能だった。
だが、F91を駆るドレックの執念によってそれは覆されることになる。

戦いの中、エウロペとミノルの指示で後衛を務めるドレック。
しかし激しさを増す戦いは仲間を傷つけ、同じ後衛を務めるエウロペも戦線に出ていく。
その中で彼はディキトゥスの動きに違和感を覚えた。

Iフィールドを持つディキトゥスは変形による回避を行わない…。
それは総統のコルニグスとの交戦経験があり、それに敗れていった先輩達を見ていた彼だからこそ気付けたことだったのだろうか。
勝機を見たドレックはミノルの危機に、彼の言葉も聞かず突っ込む。

限界を越えた動きをしなければ勝てない敵。
優れたNTなどのエースパイロットしか発揮できないとされていたガンダムF91のフル稼働モードを発動させた。
歴史上、キンケドゥことシーブックと連邦の青い閃光ことハリソン・マディンしか使えなかったF91のこの機能とその副産物である質量を持った残像で、ディキトゥスは徐々に追い詰められる。


為すべきことを!

自分の心を信じて…

たとえどんなに強力なフィールドに守られていても…

背面にまでバリアーは…

ねえだろおおお!


背面へのヴェスバーにより致命傷を食らったリーベルダスは相討ちに近い形でドレックを撃墜するも、その隙を付いたミノルにより撃破された。
バイオ脳とは言え先輩・教え子を撃った影のカリスト搭乗機、リーベルダスの撃破を彼らは成した。


そしてユーリスディスもフルクロスの左腕を切り落とすが、その腕をシザーアンカーで掴み振り上げる奇策により、左腕と足を切り落とされ、一時撤退。

その隙にトビアとエウロペはコロニーレーザー内部へ侵入、コロニーのミラーを破壊する。
その眼前に、最後の死闘を繰り広げんと、それまで装備していなかった大型ビームアックスを手に現れる。

しかしながらコロニーレーザーの発射は既に不可能な中、戦いは勝ちも負けもない私闘に様相を変えていく。


答えろ!トビア・アロナクス!

この戦いに、貴様に…貴様ら七人にどんな大儀があった!

何故、我らの美しい計画を台無しにするゥゥ!

答えろオォ!


すべて!正しかった…

我らは…正しい歴史を紡いでいたのだぞ!

クラックス・ドゥガチ総統の地球侵攻も!

シンヴァツによる連邦粛清も!


いや!

正しくなければならなかったのだ!

正しければ!

正しければ!!


それを貴様はあっ―――

貴様はあっ!


離脱しようとするフルクロスを限界まで追い詰め、X1フルクロスのIフィールド発生装置による攻撃(通称スカルヘッド・ナックルガード)をビームアックスによって叩き切り、勝利を感じる。
しかし「Iフィールドの中にブランドマーカーを仕込む」というトビアの最後の攻撃により、ユーリスディスはビームアックスごとコックピットを貫かれ、最後はコロニーレーザーの爆発の中に消えたのであった。


その他

『OVER WORLD』に二機とも参戦。
インプルース・コルニグスから開発可能。木星系機体の集大成だけあってバランスのいい高性能ユニット。
惜しむらくは突出した武装が無いどころかインプルース・コルニグスにあったビームライフルがなくなって小回りは若干利きにくくなっていることと
ここにきてLサイズになってしまうこと(インプルース・コルニグスがゲーム全体通しても数少ないMサイズで「身軽」が発動するファンネル持ちである)、
そして何より敵だと左右反転してしまうことである。

  • 立体化
その複雑怪奇かつ流用の効きにくそうなデザインとサイズ感故に、他の木星機共々立体化は長らく絶望視されていたが、
2020年5月になんとプレバン限定ながらディキトゥス(光のカリスト専用機)名義でユーリスディス・シニストラ・ディキトゥスがHGUCで立体化

特徴的な艶のある黒紫のカラーはグロスインジェクションで再現、更に一部差し替えながら“手”への変形も完全再現。
付属品も豪華で、ビーム砲用エフェクトパーツに加えてビームクロー用のエフェクトパーツ(指4本分全て付属!)し、
最終決戦で持ち出してきたビームアックスもエフェクトパーツ込みで付属するという豪華仕様である。

その分お値段3960円(税込)とHGにしては高額だが、値段に見合った出来だろう。
同日受注開始のX1フルクロスと合わせて最終決戦を再現しよう!

さらに、翌年1月には"右手"もプレバンで予約開始。同時に"左手"の再販も行われる親切っぷりである。
さらにさらに、X-0フルクロスのプレバン販売に合わせて再度両手の再販が行われるなど、もはや留まるところを知らない…

なお、木星帝国のモビルスーツとしては初のキット化であり、『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』の主人公機であるファントムや正統派イケメン機体であるコルニグスデスフィズといった、
他の木星機を差し置いてキット化されるというチョイスに、バンダイの正気を疑う声があちこちで上がっていた。当然である。
そして、ディキトゥスを引き合いに未だキット化されていない機体を煽るジュピターハラスメント(ジュピハラ)という概念も生まれた。
そしてプレバンにおける売り上げランキングも主人公機であるフルクロスを差し置いて見事一位に輝くのだった(フルクロスは一般販売されたBFT版のカラバリという事情もある)。

原作者である長谷川先生
バタラやクァバーゼじゃなくて??何で?ディキトゥス??
今!世界で一番頭の上に?マークが浮かんでいるのはこの私!!なので、私にきかないで!(笑)
と、その困惑ぶりをブログで綴っている。

24話のロータス・チャレンジにて、防衛線で待ち構えるMS達の中にしれっと混ざっている。次回予告動画の時点でビームアックスが写り込んでいた。
また、同場面にはゴーストガンダムも写り込んでおり、前話でリストアップされたフォース一覧に「木星戦団」なるフォースがあったことを考えると、両者は同じフォースなのだろう。

  • 余談
掌に変形するMSというアイディアは当時中学生だった長谷川先生の息子さんのもの。
ディキトゥスという名称が決まる前は「ムーズンデー」と「ヒーライデー」だったがこれはスタッフ総出で止められたという。


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最終更新:2024年01月04日 14:57

*1 厳密にはX2と同様の紫がかった黒

*2 防御をフルクロスとIフィールドに任せ、攻撃に専念するという意味。特にフルクロスは徐々に減っていくため長続きしないとエウロペは危惧していた。