千年アイテム(遊戯王)

登録日:2011/03/07(月) 00:54:10
更新日:2024/03/23 Sat 16:25:14
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「千年宝物(アイテム)」とは漫画『遊戯王』に登場する、持ち主に特殊な能力を与える道具。
原作には計7つの千年アイテムが登場する。


【概要】

元々はアテム(闇遊戯)の父アクナムカノン王が、実弟でもある神官アクナディンの進言を受け、彼に命じて造らせた品。
敵国に攻め込まれて危機が迫りつつある情勢の中、受け継がれていた千年魔術書の一部を解読し、そこに記されていた「闇の錬金術」を用いて卑金属を神秘の力を持つ貴金属で出来た7つの道具へと錬成した。
それを身に着けたアクナムカノン王と6人の神官が呼び出した精霊と魔物たちによって敵軍を返り討ちにして国を守るが、同時に滅びへの道も歩むことになる。

実は、件の闇の錬金術は「99人の生贄を使う」という非情極まりないもの。
アクナディンとその部下たちはクル・エルナの盗賊村を襲撃、生け贄に捧げて千年アイテムを完成させた。
それが殺された大量の村人たちが死にきれずに残留した死霊軍と、数少ない生き残りである盗賊王バクラによる復讐の火種となってしまう。
また、生贄にされた村人の邪念が千年アイテムに残っていたため、盗賊王バクラが千年アイテムを手にすることで邪念を吸収、盗賊王の精霊獣ディアバウンドが強くなっていくという事態のさらなる悪化も引き起こした。

アクナムカノン王はこの事実を当初は知らず、後になって神官マハードから問い詰められ、真実を知った際にはあまりにも非道な生成方法に心を痛め、病気になって死んでしまった。
「全ての責めは我が身に」と願い、記憶の石板に守護精霊を封じた上でアテムを守るよう言い残している。

所持者は皆アイテム自身の意思により選ばれた者。
アイテムに選ばれなかった者は体の内側から焼かれ、炎を吐き出しながら絶命してしまう。

共通の特殊能力として、古代の王や神官団は石板(ウェジュ)に宿った魔物(カー)を使役できる。
ちなみにシャーディーは初登場時、千年アイテムについて「王墓をあばき財宝を盗み出す罪人を裁くために生み出されたもの…『ペル・エム・フルの書』にそう記されている」と言っていたが、記憶編を見る限りでは罪人を裁くために使われるようになったのは戦争終結後である(記憶編自体は史実と異なるがそれより過去はほぼ同一)。

また現代での所有者は他者に“闇のゲーム”を仕掛け、その際負けた者に“罰ゲーム”を執行することができる。
しかし、この闇のゲームの執行能力は、長い間墓守の一族が守る間に付いたのか、はたまた最初から付いていたモノなのかは不明。

……まあ、深く考えても仕方がない。恐らく遊戯王ではよくあることだろう。

これらのアイテムはクル・エルナ村の地下にある「王の記憶の石版」に収められるようになっており、すべてのアイテムをそこに集めた時、冥界の扉を開けることができる。

史実においては神官アクナディンが闇の力を得、大邪神と同じく「ゾーク・ネクロファデス」を名乗る闇の大神官と化してアテムに戦いを挑んだ。
これを再現した闇のゲームにおいては、プレイヤーであるバクラの操るボスキャラとして「邪神ゾーク・ネクロファデス」が登場しているが、史実ではあくまでゾーク=アクナディンであり、あの悪魔じみた巨神は出現しなかった模様。

アニメオリジナルのドーマ編では、古代エジプトよりも古い歴史を持ち人の心の闇を解放する「オレイカルコス」の石が登場しており、これは千年アイテムの能力を無力化している。

記憶編においては、そも千年アイテムを生み出したアクナディンの発案自体が、冥界から干渉したゾークの手引きだったことが示唆されている。*1

ちなみに製造法が記された千年魔術書が「アクナムカノンより前の世代から受け継がれている」ことから、千年アイテム自体はこれ以前に最低でも一度は製造・運用されていると思われる。



【各千年アイテム】

※所持者については記憶編→現代編の順に表記する

千年錐/千年パズル

所持者:アクナムカノン→アテム→武藤遊戯
能力:封印された魂の記憶の投影/所持者を中心とした魂の繋がりの構築
罰ゲーム:色々。殺害するものは少ない

全ての始まりの始まり。
「千年パズルが解かれることで、他の全ての千年アイテムが、再び一カ所に集まる」と言われる。

いわゆる立体パズルであり、ピースがバラバラの状態で《封印の黄金櫃》っぽいパズルボックスの中に収められていた。
このパズルボックスには「我を束ねし者、闇の知恵と力を与えられん…」という言葉が刻まれている。

完成すると四角錐、つまりピラミッドとなる。
ただしこのパズル、適格者でなければそもそも完成させることは出来ず、無理に作ろうとすると幻覚による制裁を食らう。
後にも先にも、自力で完成させたのは武藤遊戯ただ一人である。
そしてアテムが去った後、遊戯ですら完成に8年かけた代物を劇場版の海馬は軌道エレベーターと宇宙ステーションを作り上げて、超高速でパズル解法のシミュレートを行うという凄まじい力業で完成一歩手前までこぎつけた。
(結局、藍神ィがどさくさに紛れて1部のピースを偽物とすり替えていたため最終的に遊戯が完成させることになるのだが……)

また、パズルを解いた者の願いを叶えると言われているが、その真偽は定かではない。
しかしこのパズルの完成をきっかけに、遊戯の「友達が欲しい」という願いが叶ったのは言うまでもないだろう。

実はこのアイテムがどんな力を持っているのか具体的なことは語られていないが、人の心を繋ぐ力がある模様。
遊戯がパズルに願ったことで蛭谷に半殺しにされていた城之内の居場所とイメージを映し出した。
闇遊戯はシャーディーとの闇のゲームにて「結束の力」こそ千年パズルの真の力だと確信。最終的に記憶編にて「千年宝物に秘められし真の力…それは結束の力!!」と断言した。

また、魂を封印する力もあり、史実においてはアテムが自分の魂の道連れにゾークの分身と化した闇の大神官の魂を千年錐の中に封じて砕くことで、邪神による世界の崩壊を阻止した。

文庫版あとがきにおいて
『仮に千年パズルを組み立てたのが、真に心の強さを持つ表遊戯でなかったら、その者は立ち所に 「悪」 に侵蝕され、バクラのようにゾーク復活のため、千年アイテムを狙う手駒にされていたでしょう』
『千年パズルの中で、 「悪」 として融合しようとするゾークの邪悪な魂』
『千年パズルに封印された、失われた王の魂を救い出せたのは、この世で只一人、武藤遊戯しかいなかった』
とされており、アテムと共に封じられていたゾークの邪悪な魂の影響によって実はかなり危険なアイテムと化していたことが明かされた。
初期の王様はかなり残酷だったり悪人面をしていたのも、ゾークが悪として融合しようとしていた影響とも解釈できる。

2021年8月、バンダイが千年パズルのプラモデル版を発売した。
それもただのプラモデルではなく、説明書に従って最終的に組みあがるのはおよそ30個のパズルのピースのみ
要するに、原作の遊戯さながら自力で千年パズルの形に組み立てなければならないバンダイこだわりの品となっている。
当然難易度も非常に高く、数時間かかって組み上げたのに何故かパーツが余ったなんて失敗報告もザラ。
(一応、組み立ての解説が9月下旬に公開されているのでわからない人も安心)

千年秤

所持者:カリム→シャーディー
能力:罪人の罪の深さを計る、魔物同士の融合
罰ゲーム:殺害

悪人に対して使用することで最大限の効力を発揮する。
片方に真実(マアト)の羽根を置き、もう片方に罪人の心臓を置く。
ただし本当に心臓を抉り出す訳にはいかないので、実際には片方の皿は空っぽ。

罪人に質問し、罪を認めさせていく(嘘をついてもバレてしまう)ことで天秤が傾き、最大まで傾いた時、罪人の魂は怪物アメミットに喰われてしまう(実際には幻覚を見せられた上でのショック死)。真偽を確かめるのにも使える。

魔物(精霊)同士の融合能力は盗賊王バクラ戦にて真価を発揮し、カリムの犠牲を払いながらも結束の力で見事勝利した。
アニメの記憶編では社長が究極龍を召喚すると、王様が千年秤の力で乗るだけ融合をして究極龍騎士になった。

なお、原作とアニメ版では色合いが異なり、原作では天秤本体の部分が影や錆にも見える黒色であるがアニメ版では金一色である。
他のアイテムや錬金術で本体が作られたことを考えるとアニメ版の方が正しそうな気もするが、神秘の力を持つ貴金属の色に明言がないため詳細は不明。ファンから秤版デスノートと言われる。

千年錠

所持者:シモン→シャダ→シャーディー
能力:他人の心の部屋に入り、心を操る
罰ゲーム:洗脳

人の額に突き刺すことでその者の「心の部屋」に侵入する。
人は、心の中に“部屋”があり、人それぞれに部屋の模様が違う。
それを覗くことで、その人がどんな人間かを知れる。

しかし、闇遊戯のような強者の心を覗こうとすると、逆に心の迷宮に迷ってしまったりする。
また、他人の部屋を“模様替え”することで、操ったり、下手すると廃人にしてしまうことも可能。

見た目は鍵と言うより古代エジプトで「生命」を意味するアンク(エジプト十字)を象っている。
分かりやすく言えば先っぽが鍵になった死者蘇生のマーク。

古代では人の心に宿る魔物を調べるのにも使われ、社長の嫁もこれによって発見された。

千年(リング)

所持者:マハード→盗賊王バクラ→シャーディー*2獏良了
能力:パラサイト・マインド(自身または他人の魂を、形ある物に封印する)
罰ゲーム:負けた者の魂を人形に封印する

他人の魂を物に封印し、その後所持者の動向やその物の秘密を探ることができる。
輪に付属する針のような飾りが千年アイテムを探すレーダーにもなり、一番下の針が指し示す方向に千年アイテムがあることになる。
正確にはこの能力は邪念感知らしく、記憶編では悪人に反応していた(千年アイテムは物によっては邪念を宿している)。

初期の頃は気に入らない人間をTRPG用の人形に封印するという使い方をしていたが、その真価は自分の魂の一部を物体に封印し、マインドスパイとして心の部屋を探るというもの。
また、どんなに捨てても獏良の元に戻ってきたり、腹に針を刺して外せないようにしたりする等、かなりのヤンデレ

ゾークの魂の一部が封印されているのだが、その経緯は原作漫画とアニメとで異なる。
原作漫画的には
  1. 先代神官の邪念が宿っていたのをマハードが封印
  2. 盗賊王がマハードを殺して奪い、千年輪の力でアクナディンの千年眼に邪念を送る
  3. その影響でアクナディンが7つの千年アイテムと冥界の石盤を使ってゾークと契約し、闇の大神官に
  4. 闇の大神官が魂の一部を盗賊王バクラの千年輪に込める
という贈り合いの産物。
アニメだと作った千年アイテムを冥界の石盤から回収する際に、現れたゾークの魂の一部が千年輪に入り込んだとおぼしき描写がある。

マハードからこれを奪った盗賊王は知らないうちにゾークの影響を受けて操られ、その邪念を千年眼に埋め込まれたアクナディンは「セトを王に」という願いが歪んだ形で増幅され、同じくゾークの手駒兼代行者として動き出すことになった。*3

東映版アニメではリングの部分が千年秤のような一部黒色になっていた。

そんな千年リングだが、邪念が消えたと明言されたアニメ版と違い原作世界ではまだ邪念が残っており、
THE DARK SIDE OF DIMENSIONSではまたすべての元凶になってしまう。


千年眼(せんねんがん/ミレニアムアイ)

所持者:アクナディン→ペガサス・J・クロフォード→バクラ
能力:他人の心を見透かす
罰ゲーム:SOUL TV、負けた者をカードに封印する

黄金の球体にウジャト眼が刻まれている。
千年アイテムの中でも最も小さいが、他の千年アイテムのように単純に所持しているだけでは機能せず、使用するには選ばれた上で義眼のように眼孔へ埋め込む必要がある。
つまり、元々隻眼でもない限り片目をくり抜くなどして眼球を犠牲にしなければならない
原作ではシャーディーの従者たちがナイフで左目をえぐり出し、アニメでは左目の上から千年眼を押し込むという、どちらにしてもショッキングな描写がなされた。

他人の思考・無意識の記憶を読み取れる。
ペガサスはこの能力で相手の手札・伏せカードはおろか戦略をも見透かしてかつてはキースを破滅させ、遊戯や海馬も追い込んだ。
またSOUL TVの応用なのか、千年眼の力でビデオを通してデュエルをするといういまだかつてない方法で闇遊戯とデュエルしたことも。

ただし、相手の心を読み取るにはピントを合わせるようにやや時間がかかり、この間に何らかの方法で「視界」から逃げられると読み取れない。
遊戯に対しては2つの心が入れ替わる「マインド・シャッフル」で対処された他、アニメDMでは獏良の心を読もうとした際にバクラが出てきたことで読み取り損ねている。

使用者を選んだ時に選んだ者の願いを1つだけ叶えるという。


千年錫杖(しゃくじょう/ロッド)

所持者:セト→マリク・イシュタール→武藤遊戯
能力:他者の魂を封印したり洗脳できる、魔物を心から抽出して石板に封印

一度触れた者なら、誰でも洗脳できる。しかし、強靭な意志の持ち主には洗脳を解かれてしまったりする。
その他洗脳した人間の深層心理を読み取ったりもでき、トラウマや嫌なことを一度に思い出させたりできる、念力で相手の動きを封じる等、かなり万能。
加えて隠し剣が内蔵されており、もしものリアルファイトにも対応している。
場面によってかなり長くなったり逆に短くなったりするが、遊戯王ではよくあること
アニメオリジナルの乃亜編では、遊戯と戦えず置いてけぼりを食らった闇マリクがしびれを切らして海底要塞の設備をロッドの念力パワーで破壊して退屈凌ぎをしていた。

古代エジプトでは罪人の心に宿る魔物を封印するのに使われていた。

ちなみに社長の前世である神官セトの記憶の一部が封印されているらしく、セトとアテムの決闘の場面が所持者である闇マリクの意思を無視して勝手に過去の映像を二人に見せた。
使用するシーンは一切無いが理屈から考えると社長も使用が可能でありそうだ。社長が使ったらヤバイが。

巷では一番使いやすい千年アイテムと評判。

千年首飾り(タウク)

所持者:アイシス→イシズ・イシュタール→武藤遊戯
能力:未来予知

未来に起こることを、映像として見ることができる。しかし、やや断片的だったり、覆されたりするなど完璧ではない。
遊戯や海馬が未来の光景をことごとく覆したため、アテムに託された時には力をほぼ喪失してしまった。

記憶編によれば千年アイテム所有者の未来は見えない様子。



OCGにおける関連カード】

《千年の盾》

星5/地属性/戦士族/攻0/守3000
古代エジプト王家より伝わるといわれている伝説の盾。
どんなに強い攻撃でも防げるという。

中央にウジャト眼の模様があしらわれた巨大な盾。
旧テキストではテキストの前半部分が「千年アイテムのひとつ」だったが、原作との兼ね合いからエラッタされた。

《巨大ネズミ》や《おもちゃ箱》によるリクルートが可能なモンスター。
壁として使うほか、《最強の盾》を装備させれば攻撃力3000のアタッカーに。
通常モンスターのため《反転世界》には対応しないので注意。

PREMIUM PACK 5にてイラスト違いも実装。今は中古屋かメルカリで安価で手に入るはず。

《千年原人》

星8/地属性/獣戦士族/攻2750/守2500
どんな時でも力で押し通す、千年アイテムを持つ原始人。

背中に金色に輝く斧や槍、棍棒を抱えている一つ目の巨人。
こちらは《千年の盾》と違い、現在に至るまでテキストのエラッタがなされていない。
背中の武器が千年アイテムなのではなくどこかに隠し持っているという設定なのかもしれないが……。

しかし、いずれにせよ本編に登場すらしていない一介のモンスターが持っている時点でおかしい。
もしかしたら、我々が知らないだけでもっと多くのアイテムがあるのかもしれないし。いわゆる「カード世界」の千年アイテムは現実とはまた違う顔ぶれなのかも……。

獣戦士族の高火力アタッカーには《神獣王バルバロス》が存在するため、影が薄い。
通常モンスターのサポートカードや《野性解放》時の攻撃力で勝る点等を活かしたい。


追記・修正は千年アイテムに選ばれ、能力を使ってからからお願いします。

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最終更新:2024年03月23日 16:25

*1 千年魔術書自体、ゾークの影響を受けた何者かが書いた可能性すらある。

*2 劇場版設定。

*3 闇RPGではこの顛末が「バクラというプレイヤーによって盗賊王という駒が動かされ、それによってアクナディンという駒が操作可能になる」という形で再現されている。