F-22(戦闘機)

登録日:2009/06/20(土) 12:40:04
更新日:2023/03/20 Mon 22:09:43
所要時間:約 7 分で読めます





F-22 ラプター(Raptor:猛禽類の意)


乗員:1人
全長:18.92m
全高:5.08m
最大速度:M2.42、2575km/h
航続距離:2775km
レーダー:AN/APG-77

F-22ラプターはロッキード・マーティン社、ボーイング社が共同開発した多用途戦術戦闘機かつ世界初かつ現在最強の第5世代ジェット戦闘機である。
1980年後半当時のSu-27などの驚異および、今後登場するであろうSuシリーズなどの脅威にも対応出来るようにと開発され、F-15の後継機とされた。

現代米戦闘機の愛称はひとつの生物の名前から取られていたが、「ラプター」はより広範囲を意味する言葉である。
これは空の覇者となり、全ての戦闘機(生物)の頂点に君臨することを意識して、という。

開発経緯

時は冷戦。戦闘機に主として必要とされたのは、超大国同士の正規戦で、敵の強力な戦闘機を相手に航空優勢を得ることのできる能力だった。
西側諸国はソ連諸邦に対し基本的に地上軍の規模で劣っていた。故に空軍の爆撃による敵地上軍への攻撃が生命線だったわけだが、その邪魔をするのが味方爆撃機を狙う敵戦闘機である。この邪魔者を排除し、味方の爆撃機やA-10神が巨大なソ連地上軍を思う存分レイプできるように、アメリカ軍は戦闘機の圧倒的な空戦性能を欲したのである。

さて、1970年代中盤よりアメリカ軍は当時世界最強を誇った戦闘機であるF-15を運用していたが、80年代も中盤となるとソ連もそれに勝るとも劣らないSu-27などの新鋭機を配備するようになる。
そこで始まったのが先進戦術機計画(Advanced Tactical Fighter=ATF。マクロスプラスのAVF=Advanced Variable Fighter計画のモデル)である。
それに求められたものは、いつでも、どこでも、どんな戦闘機でも、完全に叩き落し空を支配する能力。たとえ敵の新鋭機が相手だろうが状況が不利なソ連領内での戦闘だろうが一切の関係なく。
まさに「無敵の戦闘機を作るためなら費用を惜しまない」という開発コンセプトだったのだ。
そして試作機YF-22はまさしく、これまでの戦闘機とは隔絶した最強の機体として完成した。


しかし、戦争は変わった。

ソ連崩壊。冷戦終結。
F-22量産型の開発が着手された頃、アメリカを本当の意味で脅かすほどの正規軍はもはや地上に無く、軍事予算は削減の方向へと舵を切っていた。
そして当然、超大国が配備するような高級高性能な戦闘機がアメリカの爆撃機を狙うような状況は無くなった。
時代はマルチロールへ。空中戦闘に特化した最強の機体ではなく、何でもできる便利な機体が求められるようになった。アメリカにとっては、そんな片手間の機体でも脅威の減少した空を支配するには十分だったのだ。
そのため空軍はF-22に対地攻撃能力を付与し、機体開発の重要性を強めた。
また、批判的な議院を納得させるために、一時期F/A-22と呼ばれ正式配備は続くことになったが結局F-22へと戻された。


概要

機体構造

F-22の特徴は、
  • 高いステルス性能
  • 滑らかな機体
  • 圧倒的な運動能力
  • スーパークルーズ能力(燃料消費の凄まじい増加推力装置無しで超音速飛行)
  • 充実の電子機器
などを備えていることであろう。
この能力を敢えて地上戦で例えるなら、短距離走並みの速度で長距離移動するほとんど見えない兵士が、こちらの射程外から正確に狙撃してくるようなものである。接近すら難しい。
そして万が一接近できたところでナイフ格闘もクソ強い。何この無理ゲー。こんな化け物が集団で襲ってくるのである…
F-22「最高に勃起モンだぜ!!こっちだけズルして無敵モードだもんな!」

外見は凹凸の無い滑らかな身体であり、F-15とF/A-18を足して2で割った外見と言われている。

F-22の外見は精密に計算された形状であり、F-117のものとは異なったステルス構造である。
レーダーを色んな方向に反射するのではなく、レーダーを同じ方向へと反らすよう、平面整列構造になっている。
これは胴体表面のあらゆるパーツの角度を同じにすることでレーダーを同じ方向へ反らしながら、空力性能の高い設計を可能にした。
他にもレーダー波吸収素材も用いている。

空気取り入れ口ダクトも工夫されていて、ダクトは機内で持ち上げられると共に内側にカーブしているため、エンジン正面はレーダーから隠れるようになっている。

F-22の洗練された外見は激しい機動を取ってもステルス性は確保されていて、尚且つ高機動性を備える形状である。

F-22は9G、-3Gまで耐えられる。また6Gに耐えながらマッハ1.6で飛行可能。
だが最新のコンピューター制御により、機体に負荷のかかる機動ができないのである。
これは機体の寿命を保つ為であり、パイロットに対しての親切設計というわけではない。

F-22はプラット・アンド・ホイットニー社のF119-PW-100を二基を搭載した双発機(ツインテール)である。
このエンジンらによる推力と滑らかな機体構造により、アフターバーナーを使わずにスーパークルーズ能力を可能にした。
アフターバーナーを短時間使用すればマッハ2.25まで加速でき、低高度においてでもマッハ1.4で飛行できる。
さらに1万8000mから1万9800mまでの高度で飛行できる。
強力な推力によりこうした高高度へ一気に上昇できる。これは迎撃任務にて重要な要素である。
ただしそれらと引き換えに航続距離は短くなってしまっている。
通常速度がマッハ1.6とは遅いのではないかと思われがちだが、これが問題になったのはF/A-18であって、本機はステルスという機能を駆使して、敵が気づかない隙にミサイルを撃ち込んで退避するという思想から設計されている。よってドッグファイトは起こりえないという想定なのだ。

F-22は推力偏向ノズルが装備されている。
上下方向に20度まで推力軸を傾けることができ、また開閉できる。
この推力偏向ノズルにより高機動、変態機動が実現できるのだ。

兵装

ステルス性を確保するため、従来の戦闘機とは異なり兵装は機体内部に納められている。(ミサイルを機外にぶらさげているとステルス性が無くなってしまうのだ)
ウェポンベイ(兵器庫)は左右空気取り入れダクト側面に一つずつ、機体下面に一つの合計三つである。
左右のウェポンベイは短距離空対空ミサイル専用となっている。
ミサイル、機関銃を発射するときはウェポンベイを開けて発射する。
そのため発射するまでに若干のタイムラグがある。
機関砲はM61A2が装備されている。

左右ウェポンベイのミサイルは発射時、機体から遠ざけるようにミサイルの先は少し外側に向けている。
機体下面ウェポンベイからミサイルを発射する場合、秒速8mの速さでミサイルを外に放り出す。
左右ウェポンベイにはAIM-9M/Xサイドワインダーを1発ずつ、機体下面にはAIM-120A/Bアムラームを4発またはF-22専用に開発されたAIM-120Cを6発を搭載可能。

1000ポンドのジェイダム(JDAM)はF-22が搭載出来る唯一の対地攻撃兵器である。
搭載量は2発と少なく感じるが、GPS誘導によって命中誤差は僅か数mである。さらに1万2千mを超える高度から投下すれば、射程距離は25km近くに及ぶ。
ジェイダムを2発搭載してもアムラームを2発搭載できる。
よくウェポンベイを開く時に「くぱぁ」の擬音が使われてエロい。
ステルス性を求めない任務なら主翼に合計四つのパイロンを装備でき、更にパイロン4つを装備した状態で、搭載するだけならミサイルを合計8発装備できる。

内部構造

レーダーは感知されるのを防ぐために少し上向きに固定されている。
通常は角度60度コーンだが任務に応じてレーダー照射の範囲を絞ることができる。
約250km先の目標を探知でき、多様なモードとの組み合わせにより「ファーストルック・ファーストショット(先に見つけて、先に撃つ)」の最重要要素になっている。また相手の発するレーダーや通信電波を逆探知して方向を解析するESM(エレクトロ・サポート・メジャー)も備わっている。
近い将来ではレーダーはより強力なレーダーに改良されるらしい。
この新しいレーダーは出力を一点に集中させることができ、これにより巡航ミサイルなどの回路をノックアウトできるようになるとか。

最新のアビオニクスにより、ネットワーク機能も充実しており、F-22は互いにデータリンクにより戦闘情報を交換でき、連携して戦闘行動を行うこと可能である。また索敵範囲外の敵機または友軍機の情報を司令部や早期警戒管制機から受信することもできる。

さらにパイロットがレッドアウト、ブラックアウトなど起こしたり平衡感覚が狂った時は、操縦桿を手放せば自動で機体を水平状態に戻すことができる。

F-22は高いステルス性を持っているが、レーダーには全く映らないというわけではない。
だがレーダーに映る大きさは小鳥程度であり、その小さな目標にミサイルを当てることは非常に難しいのだ。


実戦配備

F-22は高性能の分開発当初より高コストになってしまったが、これは当初は約750機量産される予定でその分コストダウンを図っていたが、
冷戦終結による予算削減によって1機辺り約1億4200万ドルまで高騰。それにより生産予定機数は183機となった。
F-22の最大の敵は議会とも言える。

この穴を埋めるため爆撃機化したFB-22や艦載機化も提案されたがいずれも通ることはなかった。
ハイ&ローミックス構想に基づいて、廉価版ともいえるF-35が企画、開発され配備が進められている。

配備から長年実戦経験することはなかったが2014年のシリア爆撃にて実践投入された。
また、2023年2月には米国本土に飛来した中国の観測気球に対応するため出撃。初めての撃墜スコアを獲得した。
F-22のその性能はF-15を5機同時に相手にし、無傷で勝利するなどF-15の後継機として恥じない実力。「航空支配戦闘機」の名は伊達でない。
他にも「F-15を相手として100戦以上行われた模擬戦闘で無敗」「目視しているのに(F-15の)レーダーに映らない」などまさに最強戦闘機。
しかし、F/A-18相手に撃墜された記録やF-15とF-16の2機相手に負けたりしているため、常勝無敵って訳ではないのだ。(もっとも、交戦回数を考えれば十二分に常勝無敗の域だが)
また近年はステルス塗装の維持だけでなく老朽化の腐食によってランニングコストも増大しており問題となっている。

彼女の近況

彼女には機密が多く、箱入り娘なので他国には輸出しないことになっている。
一時期、北朝鮮の核などの問題から安全保障専門家は「日本へのF-22輸出を検討する時期だ」と日本にF-22が輸出される話が上がっていた。
が、輸出の話は中止に。
また不景気の煽りを食らい、高コストなF-22は生産中止になった。
代わりとしてか嘉手納への一時配備も何度かされており主翼に増槽を下げフェリーしてきた彼女が目撃されている。
2022年末からは、F-15Cの置き換えとして嘉手納に配備されている。

さらに何名ものパイロットが原因不明の体調不良を訴え、現在配備されている全機の長期飛行停止命令が下された。
これらの事故で数機のF-22が失われ、その後の調査で原因は耐Gスーツのバルブやフィルターが原因であることが判明した。
更にハリケーン被害によって17機が損壊するなど自国での損失が増えており、その分の補填を図ってか日本のF-2後継機として
F-22にF-35のアビオニクスを搭載したモデルを提案してきている。
ちなみにこれに対抗しノースロップは選定で敗れたYF-23を対抗馬として挙げてきている。

世界最大の超名門が育て上げた、外の世界を知らない天才箱入り娘。
凹凸の無いツルペタな身体にスク水を纏い、大きなツインテールを下げた彼女は恥ずかしがり屋で、すばしっこくレーダーに映るのが大嫌い。
けれど激しい機動で人の目を引き付け、自分の家でドジを踏み、自分のアソコ(ウェポンベイ)をくぱぁしたりと中々の変態っ娘なのではないだろうか。
妄想乙って言うな。


創作出演

その外見と屈指の高性能機とあってか創作物への出演数は非常に多い。
F-22の映画デビュー作品は実写版「トランスフォーマー
この映画ではF-22を撮影するために、わざわざ軍からF-22を借りてきたらしい。
F-22好きなら、スタースクリームとの市街地戦は見る価値あり。
まぁ次々と落とされていくF-22を見るのは心が痛むが。

エースコンバットにおいては初代から最新作まで皆勤賞である*1
特に4作目主人公の乗機として定着して以降は特別塗装機でほぼ毎回用意されるほどの人気であり、プラモデルなどの立体化も多い。

ライトノベル『激突のヘクセンナハト』ではなんと「史実で制式採用の座を争った『YF-23』に敗れ、実験機のまま保管されていた幻の機体」として登場(名義は『YF-22』)。
理由は「ヘクセンナハト世界の基幹技術『術式』の媒体となる『紋章』を書き込むスペースが少ない」だが、本編ではそのスピード等を買われ艦載機化されたものが発掘され観測機として使用された。

立体物

創作物出演が多いように立体化も多くかつてはタミヤなどがYF-22を販売、F-22が配備されて以降はそちらが多くのメーカーから発売されている。
国内ではトミーテックからは技MIX、エフトイズからハイスペックシリーズで1/144塗装済み組み立て品が発売されており、前者では実戦配備部隊にのみならず
上述のスタースクリームやメビウス1ver、洋上迷彩ver*2などが発売されている。
だが技MIXブランド自体が終了、後者も流通の関係上再販が難しいこともあいまってこれらの人気は高く定価よりも高値で取引されている。


メビウス1、追記・修正(エンゲージ)》


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最終更新:2023年03月20日 22:09

*1 ただし1.2はYF-22、3はコフィン化されていたりしている

*2 洋上での視認性低下を目的とした日本独自の迷彩、近年ではこの塗装に変更する航空機が増えている、また愛好家にも人気が高くこの塗装での架空の航空機立体化もされている