クロックタワー

登録日:2010/11/03(水) 23:41:39
更新日:2024/02/11 Sun 09:06:38
所要時間:約 6 分で読めます




■クロックタワー


『CLOCK TOWER』は95年にヒューマンから発売されたスーパーファミコン用ソフト。
「セプテントリオン」「ザ・ファイヤーメン」に続く“パニックシリーズ”第3弾にして、「クロックタワーシリーズ」の初代作品。

ディレクター、シナリオは河野一二三。

【概要】

閉ざされた古い洋館を舞台に、不死身の怪物「シザーマン」の追跡から逃れる事を目的としたホラーアドベンチャーゲーム。
物語やデザインは『フェノミナ』始め、イタリア恐怖映画界の巨匠ダリオ・アルジェントの映画作品群に強い影響を受けている。
走っただけで体力を減らすゲーム史上でも屈指の脆弱さを嘆かれた主人公と、隙を見せたつもりが無くとも理不尽なを迎える難易度が特徴。
ゲームにありがちだった怪物に立ち向かえる要素を極力排除したこれらが、リアル志向のマニアに受けヒット作となった。
古き良き時代のホラー映画のスター(人鬼)を彷彿とさせるハサミ男『シザーマン』は、本シリーズを代表するシンボルキャラクターとなっている。


【システム】


  • クリックしかできない
具体的な行動は画面中に示されるクリックポイントに矢印を合わせて選択。
ポイントをクリックする事で”主人公・ジェニファーに行動を取らせる事”により進められる。
ポイントによって移動は勿論、アイテムの入手やフラグ立てが行われ、クリックしなかった時間も関わってくる。
直接戦う事の出来ないジェニファーがシザーマンを撃退する事が出来るかどうかも、全ては選択したポイントによる行動次第である。

また一般的なホラーゲームでは、プレイヤーが主人公の視点を追体験する(プレイヤー=主人公)という図式を敷かれることが多い。
だがそれに対し本作では”物語の主人公はあくまでもジェニファーであり、プレイヤーは第三者視点から介入することしかできない”
これは意図的な制限で、プレイヤーはホラー映画の観客であることの隠喩であり、恐怖を遮らせないため。
この不自由極まりないが魅力的なシステムは初期3作品に共通した要素となっている。


  • RSIシステム
一応、主人公の生命が危険に晒されている時に限り、回避ボタンを連打することで一時的に緊急回避ができる。
このシステムは「Renda Sezuniha Irarenai(連打せずにはいられない)」の頭文字を取って、「RSIシステム」と命名されている。
ただしシザーマンの場合は完全に回避するには、隠れるか撃退するしかない。
それも連打が成功すれば必ず回避できるわけではなく、あくまでも回避できる可能性が残された状況のみに限られる*1
また緊急回避が成功したとしても、体力段階が一つ後退してしまうことになる。
前述の様にジェニファーは走っただけで体力を減らしてしまう為、迂闊な行動は即ゲームオーバーに繋がる事になる。
もちろん残りの体力が最低段階の場合は即。ただし体力が最低でも連打さえ成功すれば回避できる。
尚、しゃがんで休む事で体力回復を計る事も出来るが、時間が掛かる上に画面端では無効等、制約も多い。
体力の減少に合わせて表示されているジェニファーの表情と背景色が変化し、どんどん鬼気迫るものになっていく。

以上の事から常に注意し、余裕を保った行動を心掛けていないと、本当にすぐんでしまう事になる。

  • ランダム要素とオートセーブ
一度のプレイ時間は長いとは言えないが、フラグ分岐が複雑な上、一部のマップ構造やイベントの発生条件がランダムに変化する。
更に緊急回避に成功したとしてもそれによって発生した別の要因でフラグが立ち、最終的に身を亡ぼす可能性もある。
そのため、手に入る情報を細かく組み立てて筋道を推測していかなくてはならず、ベストエンディングに自力でたどり着くのは困難を極める。
セーブも任意にはできず、部屋に出入りを繰り返す度にオートセーブが入り進行状況が自動的に保存されるようになっているため、進行状況次第では詰み状態となってしまう。
データ枠も1つしかないため、複数のセーブを作り別のデータから仕切り直すようなことはできない。


【物語】

欧の山間にひっそりとたたずむ屋敷があった。
屋敷には高くそびえる時計塔があり、土地の人々はその鐘の音を合図に放牧を行ったものである。
いつしか土地の人々はこう呼び習わしていた。CLOCK TOWER ―時計塔屋敷―と。
しかし、ある日時計塔の鐘の音は途絶えてしまう。まるで時を無くしてしまったかのように。

1995年。とある孤児院にひときわ目立つ美少女がいた。
名は、ジェニファー。父は失踪、その後に母親とも死に別れ、孤児院に引き取られたのである。
そしてある日、彼女と友人達3人の養育先が見つかったという知らせが入った。
彼女は引率してくれる教師メアリーと3人の友人達と共にその養育先へ向かう。

そこがCLOCK TOWERと呼ばれる屋敷とも知らずに。



【登場人物】

ジェニファー・シンプソン
本作の主人公。14歳。長い黒髪が印象的な美少女。
5歳の頃に父親が失踪、残された母も9歳の時に亡くなって*2天涯孤独となったため、グラニット孤児院で養育されていた。
可憐で儚げな印象だが生まれゆえか精神的にはタフで逆境に強い。
身体能力は少し走ると息切れを起こす程度だが、
追い詰められると馬鹿力を発揮して反撃に出たり、果ては車の運転までこなす。
服装は当時ヒューマンの企画課に勤務していたモーションモデル担当の女性の私服*3だとか。

ローラ・ハリントン
14歳。長い金髪に内気でおとなしい性格の上品な少女。
正反対な性格のアンとは妙に馬が合うらしく、いつも一緒にいる。

アン
15歳。長い茶髪の少女。4人組の中で最年長であるため、少々わがまま。
気が強く常に自分が一番でいたがる。姓がないのは捨て子であるため。

ロッテ
14歳。赤毛の短髪にジーンズというボーイッシュな見た目の少女。
元気で快活な性格で、ジェニファーとは大親友。アンと同じく元捨て子。
屋敷の秘密を暴こうと単身行動する。

メアリー先生
35歳。通称デヴィ夫人。ミス顔芸。
ジェニファーらを引率して来た孤児院の教師で、ヒステリックで生徒達から嫌われている。

バロウズ氏
37歳。バロウズ邸の当主。
屋敷の当主でジェニファー達の引き取り手とされる人物。
到着した孤児達の前に一向に姿を見せようとしないが…?



※以下、ネタバレ。










  • ボビィ・バロウズ
本作における殺人鬼・シザーマン
9年前にこの屋敷で生まれた〝双子〟の片割れ。
畸形で非常に醜い姿をしており、大バサミを手に少女たちを殺そうと付け狙う。
「悪魔の落とし子」であり、物理的な攻撃で一切傷つくことのない不死身の肉体を持つ。

  • ダン・バロウズ
双子の片割れで、巨大な畸形の胎児の様な姿をした怪物。
魔法陣を抜けた先に広がる地下大空洞の先に居る。
超能力を持ち、屋敷で引き起こされていた怪奇現象は全て彼によって引き起こされていた物である。

  • サイモン・バロウズ
37歳。バロウズ家の当主だが、虐待を受けた末に精神崩壊状態で檻の中に放置されている。
食事も満足に与えられずに放置されていたため、極度の空腹状態にも陥っている。

  • メアリー・バロウズ
35歳。〝双子〟の母親で、この事件の黒幕。
彼女の正体を知る事が攻略の第一歩となるだろう…。

  • 白骨死体
壁に塗り込められていた開かずの間に放置されていた〝双子〟を取り上げた医師の白骨死体。
生まれたばかりの〝双子〟に腕を食い千切られ、そのまま密室に幽閉され死亡した。
記されていた名前は……。


【余談】

続編となる「クロックタワー2」が本作以上の好評を博した事から、追加要素とバランス調整を施したPS版「―The Fist Fear―」が97年に発売されている。
こちらは『2』の発売後にリリースされたノベライズ版で明かされた設定が反映され、『2』の伏線となる追加シーンが存在している。

99年にワンダースワン版が発売された他、オリジナル版がバーチャルコンソールにてダウンロード可能だった(現在は配信終了している。)
ワンダースワン版はモノクロ携帯機の都合上、BGMやグラフィックの差異等はあるが、PS版をほぼ忠実に移植している。
ただし画面が小さいため、画面下部にあったアイテム一覧やジェニファーの顔表示がオミットされている*4

「クロックタワー」の名を冠するゲームは幾つかあるが、正統的続編と呼べるのは「クロックタワー2」のみ。
ゴーストヘッド」はシステムのみを引き継いだ外伝作品で、開発に河野は関わっていない。
クロックタワー3」に至ってはヒューマンの倒産により開発元がカプコンへと変わった事からシステム、キャラクター、シナリオすべてにおいて別物といえるほどの変貌を遂げた。








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最終更新:2024年02月11日 09:06

*1 例えば逃げ場のない密室、個室などの狭い空間、或いはマップの端付近で近接した場合は一方的に殺されてしまう。

*2 続編の『2』の『STORY OF CLOCK TOWER』内でのあらすじ説明においては「ジェニファーを残して蒸発した」とされた。

*3 撮影当日に着て来た服をそのまま採用している

*4 アイテムはキーを押す事でカーソルが順番に変化して使用できる。ただし機体スペックのせいで表示が非常に重く、オリジナルのSFC版以上にプレイ感は劣悪だった。