ローランド(楽器メーカー)

登録日:2012/07/01 Sun 00:28:21
更新日:2022/10/17 Mon 10:43:33
所要時間:約 4 分で読めます




ローランドとは、電子楽器メーカーの一つ。
1972年に大阪府大阪市で創業。現在は静岡県浜松市に本社がある。
エレキギターベースを弾く人ならエフェクターブランド「BOSS」やギター用アンプの「JC-120」
キーボーディストならシンセメーカーとしてよく知られている。


〜主な事業〜

■ギター・ベース用エフェクター
「BOSS」ブランドのコンパクトエフェクターの元祖にして世界中で愛用されるエフェクター界の重鎮である。
代表的な機種は、世界初のコンパクトエフェクター「OD」やコーラス「CE」、マルチエフェクターの「GT」など。

メタゾネでゲイン全開にしてシュワシュワいわせるのは軽音楽部なら誰しも通る道。

公式サイトの製品紹介ムービーは一見の価値あり。

■アンプ
  • JC-120 JAZZ CHORUS 通称「ジャズコ」

世界中のスタジオに常備されるトランジスタアンプのスタンダード。

最大の特長は、ギタリストの精神を狂わせる美しく洗練されたクリーントーンのコーラス・サウンド。
ストラトのフロント+センターのハーフトーンでアルペジオを弾いたものなら天にも昇る心地である。

ド定番のアンプなのでモデリングアンプやアンプシミュレーターではまず間違いなくシミュレートされる。
しかし!ジャズコのコーラスは決してシミュレートできない。
これはジャズコが「原音と音程を揺らした音を2つのスピーカーで鳴らして空気中で混ぜる」という方式を採用しており、
同様の機構の無いと再現できないからである。
まさに正しい意味で唯一無二のサウンドなのだ。

ちなみに、コーラスのオンオフスイッチの左横の「SPEED」「DEPTH」はビブラートの時だけ効くコントロールであり、
コーラスの調整には関係ない。コーラスをかけているときにこれらを真剣な顔で弄ってると恥なので注意しよう。

  • GA
2012年に発売された、JC以来数十年ぶりの新しいステージ用ギターアンプ。
よくあるモデリングアンプのように無数のエフェクターとアンプシミュを搭載したものではなく、リバーブ+アンプ数モデルのシンプル設計。
そのバイクのようなルックスは初期のメタルにありがちなジャケットを彷彿とさせる。
JCに次ぐメジャーアンプとなるか。

  • CUBE Street
ストリートミュージシャン用の汎用アンプ。
ジャズコと比べたら目立たないが、実はデファクトスタンダードといってもいいくらい普及していたりする。
新宿駅あたりで弾き語りしている人を見てみると大抵足元にコレがある。

■シンセサイザー、DTM関連機器
ヤマハやコルグと供にMIDIを提唱した一社であり、シンセの創始期から製造している老舗。
中でもリズムマシンの「TR-808」、ベース音源の「TB-303」、DTM音源の「SC-88pro」通称ハチプロは名機。

  • TR-808
「リズムボックス」、もしくは「リズムマシン」と呼ばれる擬似ドラム音源。その型番から「やおや」の愛称で呼ばれる。
バスドラム、スネアドラム、シンバルなどのドラムの各パーツが割り当てられており、それぞれの音をツマミで微調整しつつ、リズムパターンを打ち込んで自動演奏をさせる仕組み。
当時の技術で何とかしてドラムのような音を出そうとして開発された機械であったが、どう聞いても本物のドラムには似ていないため発売当初は一部のテクノ系ミュージシャンを除いて殆ど誰からも相手にされなかった。
しかし、後年になって海外の無名なヒップホップミュージシャンが安く手に入ることから本機をこぞって使いはじめ、その低音の豊かさ等が再評価されてプレミア機材へと大出世した。現在はレプリカも数多く流通している。
特にそのカウベルの音は誰でも一度くらいは聞いたことがあるくらい有名。主な使用例はPPAP(ピコ太郎)。

  • TB-303
エレキベースを鳴らすためのボックス、TR-808の弟分であるTR-606とセットで運用が可能で、2台揃えればベースとドラムをコンパクトに揃えられるという売りだった。
ぶっちゃけ発売は2年に留まり失敗作の一つにカウントされかかっていた。
理由はTR-808同様に本物の音とかけ離れてたため。
しかし生産終了後、とあるDJがこれで遊んでいたところ、特徴的な音が出た事から重宝し、「ACID HOUSE」として一気に世界中に広まったのである。
ただ、オリジナルは約1万台しかなく、しかもMIDI出力が出来ないので割と難儀な機種。
中古で出回っている物も、ディストーションを追加したりだとかで魔改造されている物が多く、オリジナル303を持つこと自体がステータスでもあるとか。
後にモダナイズモデルとしてAIRA TB-3やTB-03といった物もあるが、音源がデジタルなので賛否両論。

  • SC-88pro
同社のSC-55、SC-88から続く、いわゆるDTM(デスクトップミュージック)音源の決定版。通称ハチプロ。
さまざまなジャンルで使われる楽器の音色がまんべんなく収録されており、それを再生させて音楽を作り出す。
決して安い機材ではなかったが、その高い汎用性から作曲家志望のアマチュア等に幅広く愛された(名前は「プロ」なのに)。
かつては本機(厳密に言うと本機のプロ仕様版)が通信カラオケで大活躍しており、今なおカラオケ屋では本機によって作られたオケが当たり前のように聞ける。
反面、CDで売られている商業音楽などで使われる機会は少ない。が、あまりに低予算な楽曲だと本当にこの機材で曲が作られていることもある(というか今でも使われているとか…)。

全てとっくにディスコンになっているが、今でも実機を使う人もいる。

ちなみに後者は東方ProjectのZUNも使用しており、東方紅魔郷のにマニュアルに
「(BGMに MIDIを使用する場合) sc-88Pro (Roland)もしくは上位の MIDI音源 」という記述がある。

現在製造しているシンセサイザーはライブ・作曲・録音など全てに対応した「Fantom」や、
シンセサイズに特化した「GAIA」「V-synth」、ライブ用の「JUPITER」「JUNO」など。

DTM関連機器はシンセとは別カテゴリーとなっているが、実質垣根はあまりない。
2008年にヤマハのスタインバーグ買収にならって、DAW「SONAR」を開発したケークウォーク社を関連会社に。
以降はSONARに対応させた機器を製造している。

MIDIキーボードやオーディオインターフェイスに定評がある。

例によってソフトシンセの普及によって作曲用途のハードシンセには逆風が吹き荒れているため、今後はDTM関連機器に徐々に主軸を移していくと思われる。

〜余談〜

  • ローランドの入社試験では自社製の専門試験を受けさせる。
    電気・機械・情報工学の知識や素養を問うものであり、普通に大学〜大学院レベルで専門外の学生の多くが刻の涙を流す内容。

  • 同業他社のヤマハとは違いアコースティック楽器は一切製造しないが、その他の事業は結構似ているので比較されることが多い。
    というか楽器メーカー自体の絶対数が少ないので、選択肢として考えた場合嫌でも比較せざるをえなかったりする。


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最終更新:2022年10月17日 10:43