イコライザー (エフェクター)

登録日:2012/05/13(日) 23:02:04
更新日:2021/06/21 Mon 17:13:41
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イコライザーとは、エフェクターの一種である。音楽制作の際に広く使われている。

100年近く昔の電話では、相手との距離が遠いほど高域が聞き取りにくかった。そこで高域を上げるための装置として、イコライザーが作られたのである。

その後音楽業界でも、ラジオやレコードなどの制作や放送の際、高域の減衰を防ぐためにイコライザーが活用されるようになっていった。

そのような消極的な使い方から、今では音色を変えたり、音楽編集で音を整えたりする用途として、積極的に使われるようになったのである。

音楽用のものであれば、フリーソフトから200万円近いビンテージイコライザーまで、幅広く売られている。


○こんな時に使おう

( 冥ω殿)「ふー、男らしくて熱い曲が出来たお。早速聞いてみるお!」


(;冥ω殿)「うーん、なんか低音がモコモコしているし、ビートが隠れ気味だお。高音もちょっと耳に痛いお…」


?「お困りのようだね」


( 冥ω殿)「誰お!?」


( HωZ)「俺はHRZ(ヘルツ)。音の高さで悩む男達を、誰彼構わず助けちまう男なのさ」


(;冥ω殿)「ほ、ほんとかお!?ぜひ教えてほしいお!」


( HωZ)「曲を作っていると、どうしても音の抜ケが悪かったり、低ゥい音がこもってしまう時がある。そんな時に使うのが、イコライザーというエフェクトさ」


○各パラメーターの解説


●インプット
正しくはインプットゲイン。音を入力した時の音量を調節する。イコライザーをかける前の音が大きすぎると細かい調節ができないので、あらかじめ音量を抑えておくのである。


( HωZ)「大きすぎるのも困りものってわけだ」


●フリケンシー
フリケンシーとは周波数のこと。よくFreqと表記されている。入ってきた音は、低音から高音まで様々である。イコライザーではこれらを音域ごとに大きく3〜5段階に分けており、それぞれの周波数で設定するのである。

LF(ローフリケンシー)、LMF(ローミッドフリケンシー)、MF(ミッドフリケンシー)、HMF(ハイミッドフリケンシー)、HF(ハイフリケンシー)の5段階が基本だが、それ以上に細かく設定できるイコライザーも存在する。

それら5段階に分けるのがこのフリケンシーの役割。つまりどこからどこまでを高音域・低音域にするか、ということを決めるのである。


( HωZ)「ショタから老紳士まで、幅広いジャンル分けが必要だということだ」


●Q値
Quality factorの略で、帯域幅を表す。Q値が大きくなればなるほど帯域幅が狭まって、小さいほど帯域幅が広く緩やかなカーブを描く。

Q値を大きくすれば、設定したい帯域をピンポイントで弄れるので便利だが、その音域だけ露骨に音量が変わってしまう。逆に小さくすれば、他の帯域も少しまきこむので音量の上がり下がりが自然になるが、必要のない音域まで上げ下げしてしまうことになる。


( HωZ)「太いのも細いのも、自由自在というわけだな。」


●アウトプット
正式にはアウトプットゲイン。上の設定の後に、どれだけ音量を上げ下げするか決めるパラメーター。その部分を大きくしたかったら、プラス側へ、小さくしたかったらマイナス側へ設定してやればよい。


( HωZ)「これ一つであっという間に大きくさせることができるんだぜ?



○実際の使い方

( 冥ω殿)「パラメーターはわかったけど、音域ごとの音量を上げ下げするだけで、どうして音をスッキリさせられるんだお?」


( HωZ)「それを今からやってみよう。まず篭りがちな低音を 抜いてスッキリしてしまおう。50Hz以下をバッサリ切ってしまうんだ。」




(;冥ω殿)「えっ、そんなことしたら低音が無くなってしまうお!」


( HωZ)「大丈夫、イコライザーで設定できる音域は大体0Hz〜20000Hz。そのうち、人間にハッキリと聞こえるのは、50Hzから15000Hzぐらいの間なんだ。」


( 冥ω殿)「あ、もしかしてモッサリの原因は、50Hz以下の低音なのかお?」


( HωZ)「そう。ハッキリ聞こえはしないが、他の音を邪魔しちまっているのさ。」


( 冥ω殿)「どれどれ……あ、モコモコ感が取れたお!」


( HωZ)「しかも余計な音を削ったから、その分音圧も尻上げ…じゃなくて底上げできるのさ。」



このようにイコライザーで50Hz以下の低域、もしくは15000Hz以上を削ることにより、不必要な音が入らなくなる。したがって音のモコモコした低音やキンキンした高音も取れて、その分曲自体の音圧を上げることも可能である。


( HωZ)「下半身はドッシリしていたほうが一見好まれるかもしれない。しかし不必要に大きいと、逆に汚らしく見えてしまうのと同じだな



もっとも車に積んであるようなサブウーファーはそれ以下を聞くための装置なので、超低音を楽しむ時は、あえてカットしなくてもよい。



( 冥ω殿)「なるほどイコライザーっていうのは、不必要な音を削るためのエフェクターなんだおね」


( HωZ)「おっと、そんな受け的な使い方だけじゃないぞ。攻めた使い方もできるんだ。例えば腹の中に響いてくるバスドラムや、撫でまわすようなピアノの音を録ったとしよう」


( HωZ)「しかしミックスしてみると、曲のイメージと異なる音になってしまったり、音が埋もれてしまう時がある。そんな時にもイコライザーは使えるんだぜ。」


(;冥ω殿)「マジかお!?」


( HωZ)「一つの楽器の音色でも、様々な帯域が含まれていることがわかる。この穴…アナライザーという帯域を判別するエフェクトを見てくれ」




(;冥ω殿)「いろんな帯域で音が鳴ってるお!」


( HωZ)「例えばバイオリン。一見高い音が鳴ってるだけのように聞こえるが、実はそうでもないんだ。20Hz〜400Hzぐらいまでは、バイオリンが鳴った時の部屋の反響や、バイオリン自体のボディの響きなんかがそれに当たるな。」


( 冥ω殿)「バイオリンそのものの音色じゃないんだおね!」


( HωZ)「ああ。だからこれをイコライザーで上げるとモッコリ…じゃなくてモッサリしてしまうが、下げ過ぎると軽い音になっちまうわけだ」


(;冥ω殿)「迂闊にカットできないおね…」


( HωZ)「400Hz〜6000Hzぐらいは、いわゆるバイオリンの音色や、弓と弦が擦れた音だ。ここを上げると綺麗に音が響くし、長い棒同士がぶつかった時のビンッっていうバイオリン独特の音がよく聞こえるわけだ」


( 冥ω殿)「あの音は気持ちいいおね」


( HωZ)「お前もわかるか(歓喜)。そしてそれ以上の音域を弄ると、音の歯切れをも変えることができる。ここを上げると音の立ちあがりがそそり立つほどビンビンになるが、あまり上げ過ぎると、ノイズなんか拾っちまうのさ」


(;冥ω殿)「注意が必要だお…」


( HωZ)「甘噛みぐらいが丁度よくて、歯を立て過ぎると痛くなっちまうよな



またミックス時によく見られる現象として、ベースとキックドラムがお互いの音を邪魔することがある。これらの楽器は音の周波数が近く、低音に帯域が固まっているからである。


( HωZ)「この場合はどちらかの楽器で、被っている帯域を少し削ってやればいい。じゃあキックドラムの被っているところを削ってと…」




( 冥ω殿)「あっ、ベースが聴きやすくなったお!」


( HωZ)「キックの音は減ってしまったのだから、聞こえにくくなってしまう。だからその分高域の音を上げてやって、存在感を出してもいい。ケツに当った時のようなアタック感や、引き締まったケツのような音を出すことができるぞ」



このようにイコライザーは、いらない音を削ったり、強調したい音を目立たせることができるエフェクターである。2ミックスした音そのものにイコライザーをかけて、ホール感を強調したり、ラジオサウンドを作れたりもする(MP3プレイヤーなどに装備されてるイコライザーの使い方と同じ)。

また今回はパラメトリックイコライザーというものを使ったが、グラフィックイコライザーというものも存在する。
MP3プレーヤー、iPhone、カーオーディオ等の再生機器(アプリ)に付属しているのはだいたいこのタイプ。
音楽鑑賞の際の音質を改善する用途のほか、一部のゲーマーの間(主にFPS界隈)では特定の効果音(SE)に反応しやすくするために、ゲームプレイ専用の調整・設定を行っているケースもある。



自分の思った通りの音を作ることは難しいかもしれないが、人の数だけセッティングは存在するといってもいい。ぜひ自分なりの音作りに励んでほしい。



( 冥ω殿)「これで使い方はバッチリだお!ありがとうお!漢の中の漢だお!」


( HωZ)「漢の中ね…。じゃあ次は実践編といこうか。俺のこのちn…太ぉ〜いギタープラグを見てくれ。」


(;冥ω殿)「いや、なんで突然そんなもの出してるお!」


(*HωZ)「俺の暴れん棒なギターサウンドを、お前のイコライザーの中で、24dbぐらいにしてほしいんだが…」


(;冥ω殿)「いやいやいや、そんなデカくしたら色々な意味で割れてしまうお!


( HωZ)「気にするな!そぉれ!!」ズドンッ


(;冥ω殿)「イコライザアッー!!」





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最終更新:2021年06月21日 17:13