ザビーネ・シャル

登録日:2011/01/31 Mon 22:47:45
更新日:2024/01/14 Sun 12:15:01
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感情を処理できん人類はゴミだと教えたはずだがな……


ザビーネ・シャル(Zabine Chareux)とは、『機動戦士ガンダムF91』、ならびに『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場するキャラの一人。
声は梁田清之。当初はZのモブやZZジュドーを演じた矢尾一樹が演じるはずだったがいつの間にか変更されていたらしい。
ちなみに、「ザビーネ」という名前は基本的に女性のものである。
ただ、一般に女性のザビーネは「Sabine」だが、こっちのザビーネは「Zabine」となっていて少し違う。



―幼少~青年期―

宇宙服の製造、開発業を営むシャル家の一人息子。母はいないようだ。
シャル家は由緒ある家柄のようだが、ロナ家と出会うまでそれが役に立ったことはほとんど無かったという。

ブッホ社との商談に向かう父に同行した際、搭乗していた貨客船がヒューマンエラーによりデブリと衝突してしまい、
難破していたところを近くでデブリ回収していたブッホ社に救助される。
幸運が重なってザビーネを含めた数名の子供は無事だったが、他の乗客は全員死亡し子供たちは身寄りを無くしてしまうも、
デブリ回収に同行していたマイッツァー・ロナの計らいで養子先を手配してもらい、ザビーネはマイッツァー自身が後見人となって育った。

この難破事故とほぼ同時刻に、マイッツァーの息子ハウゼリーが暗殺されており、マイッツァーはその心の傷を埋めようと後見人になったのではないかとされる。

20歳の頃にはマイッツァーの勧めで連邦軍へと入隊し、サイド6の「ペトリファイドフォレスト」コロニーへと配属される。
そこで連邦の腐敗を直接目の当たりにした後、クロスボーン・バンガードへと帰還した。ちなみにこの頃の乗機はジェガンAタイプ



―U.C.0123年―

クロスボーン・バンガードのMSパイロット。
年齢は24歳。階級は中尉。
主な搭乗機:ベルガ・ギロス


若くして精鋭部隊『黒の部隊』を率い、右目を眼帯で覆っているハンデにも関わらずエースパイロットを務める腕前の持ち主。

コスモ・バビロニア戦争時はベラ・ロナの補佐役を命じられた。
ベラに色目を使いロナ家に取り入ろうとするも、その現場を自分に好意を抱いていたアンナマリー・ブルージュに見られたことで彼女の離反を招いてしまう。
ちなみに小説版だと彼女と何度かベッドを共にしているらしい。

その後、ベラを引き連れフロンティア内の殲滅作戦に参加。
行動中にヤンデレ化したアンナマリーと再会し、言葉で動揺させるという手段で倒した。
なお、色目を使って我が物にしようとしたベラがその戦闘中に連邦に投降してしまう。
ちなみにアンナマリーと戦闘中、「ビームサーベルで討つことにこだわるか!」と発した瞬間にビームライフルを撃たれて逆ギレしている。


そして数日後、カロッゾ・ロナの立案で無人兵器『バグ』によるコロニー内部への虐殺作戦が開始される。
ザビーネはこのやり方に反感を抱き、カロッゾの腹心であり計画の実行者でもあるジレ・クリューガーを殺害。後にカロッゾもシーブック・アノーが駆るガンダムF91に撃破された。

ザビーネ本人は黒の部隊と共に、を目指し移動するドレル・ロナ率いる部隊と合流する為に進路を変え、飛んでいった。
途中、避難所民を沢山乗せたスペース・アークを見つけるが、部下に「我々もバグやラフレシアになるつもりか?」と説得してこれを見逃している。
F91に対しても、有線通信で一度は呼びかけているが、あちらがセシリーを捜すのに夢中になっていたために大した会話はしておらず、ラフレシアを破壊した事を賞賛しその場は撤退した。
なお、本編ではシーブックと戦闘していない。それでもライバル関係とされがちなのは、後の時代の描写の影響だろう。

コミックボンボンで連載された漫画版では黒の部隊相手に無双するシーブックに戦闘を挑み、F91の性能に圧倒されヴェスバーで左腕を失うが、
F91に接近したベラ(この時点でザビーネはシーブックとセシリーの関係を知らずF91の隙を突いたと思っている)を見て
「ベラ・ロナ様!いまです!そやつをぶっとばしてください!!」 貴族らしさの欠片も無い セリフを口走り、聞き返すF91に
「フハハハ、そうとも そのおかたこそ! コスモバビロニアの女王 ベラ=ロナさまだァーッ!!」
と勝利を確信するが逆にベラより
「私は今でもフロンティアIVの市民―セシリー=フェアチャイルドよッ!」
と威嚇射撃を受け撤退する。
カロッゾにその顛末を報告した後はバグ投入にドン引きするシーンを最後に描写はない。

この頃は敵や裏切り者に対しては非情でありながらも、軍人としても人間としても最後の一線は超えないという正統派のライバルであった。



―U.C.133年―

一気に殲滅できれば楽なものを!

ベラ・ロナ率いる新クロスボーン・バンガードのパイロット。
主な搭乗機:クロスボーン・ガンダムX2、X2改


宇宙海賊クロスボーン・バンガードのエースとして戦っている。
が、内心では未だ貴族主義を捨てておらず密かにコスモ・バビロニア再興を企んでいたおり、キンケドゥ達に終始警戒されていた。
とはいえキンケドゥが先行してザビーネが船で待機するような作戦においては、ベラ・ロナへの忠誠心を保証として双方作戦に集中するくらいの間柄だった。

パイロットとしての腕前は衰えておらず、シミュレーション上であっても7:3でキンケドゥを圧倒するなど、キンケドゥ達も彼の腕を信頼していた。
しかしベラの意向で、戦闘中は敵機のコクピットへの攻撃は避けるよう言われており、その無駄な手間は不満だった模様。
そんな中転がり込んできたトビアに対し(心中の言葉を読んでいたかのようにして)アドバイスをしたり、敵の囮に引っかかりそうなキンケドゥを(乱暴な手段ながらも)助けたり、
部下の死にはその名を叫んだりと、この時点ではまだかっこいいザビーネだった。

ライバルキャラながらボンボン版を除くF91本編では描かれなかったシーブックとの戦いについても,
キンケドゥはトビアに「俺がレジスタンスの、ザビーネがコスモ・バビロニアのエースとして何度か戦ったこともある」と説明している。

木星帝国軍との戦闘で木星帝国の兵士達の忠誠を見て、ベラ・ロナの目指す世界より木星帝国の絶対的な階級社会の方が自分の望む世界が近しい事を悟る。
むろん理想とする真っ当な統治とは程遠いことは彼も理解していたはずだが、
民がトップにすんなりと従う下地があるのなら、ドゥガチが実は素晴らしい貴族的な者(指導者)ならそれでよし。
そうでなくとも自分や有志がより良く導いて変えていけるだろうとでも考えていたのだろう。
これを切っ掛けとして船の同胞ら(同様の思想を持つ本来のクロスボーン・バンガードの者たち)と結託してキンケドゥ達を裏切り、
クロスボーンガンダムX2とベルナデット・ブリエットを手土産に木星帝国側に付こうとする。
寸の所でトビアの妨害を受け、船の同胞やベルナデットを連れていく事が叶わなかったが自身とX2だけは何とか逃げ延びる事に成功した。

が、木星帝国がすんなりと彼を受け入れる事は無く、裏切った本心を問い詰めるため過剰な拷問を受ける
この時ザビーネは本心を吐露していたが、やはり到底信じられる内容では無かったらしく、その後も電撃による拷問を受け続けていた。まぁ残念だが当然
この事から常に笑みを浮かべるほど精神が崩壊
洗脳もかねた拷問だったためか、木星帝国へはむしろ厚く忠誠を誓っていた(まともな神経ではなくなったからだろうが……)。
そして地球付近で連邦の艦隊に砲撃を放つ事でクロスボーン・バンガードが奇襲を仕掛けたと連邦に誤認させ、不本意な戦闘を起こさせた。
その最中、連邦や木星帝国との戦闘により消耗していたキンケドゥと対峙。損傷具合を考慮してビームシールドを破棄しての戦闘に挑む。

「アハハハ、アハハハハ!さようなら!キンケドゥ!」

終始ビームサーベルのみで圧倒し続け、ベラの支援に気を取られたX1のコクピットを貫いて撃墜する事に成功する。
(この時キンケドゥはなんとか生還した)
木星帝国が地球へ攻め込んだ際には、地球を滅ぼす気だし、滅ぼすことが出来れば他はどうでも良いドゥガチから「作戦成功後の地球をやる」と言われ奮闘。
そして死んだはずの人間、キンケドゥと再会してしまう。


既に殺した(と思っていた)人物との再会に驚いたザビーネは……
「ひゃーっはっはっは!キンケドゥ?どうしてここにいる?キンケドゥゥ!おまえは死んだんだぞ?だめじゃないか!死んだ奴が出てきちゃ!死んでなきゃあああ!!」

この様から、ファンの間では「タミフルザビーネ」、「キチーネ」・「ラリーネ」、「カミーネ」、「感情を処理できないゴミ」などの称号を得た。
項目冒頭にある、かつてアンナマリーに言った言葉が、自分に帰ってきたのだった……。
といっても拷問で精神を破壊されたからで、私情で暴発したアンナマリーとは原因が違うし酷なのだが。*1
また、この影響でF91時代のザビーネに「後のゴミ」という称号がついたりも。

そして憎しみに支配されたザビーネはキンケドゥとの戦闘に敗北、ギリギリの所でヒートダガーを防がれ、逆に自分にはコクピットに突き立てられるなど壮絶な最期を迎える。
しかし最期の瞬間まで貴族主義の理想を呟き、その野望成就を夢見ていたのだった。

漫画ガンダムEXA』でも登場。
クロスボーン時代に調査してきたレオス・アロイに対し、その眼からキンケドゥとの共通性を見出してドゥガチに警告する。
その後、その真意を確かめるべくエクストリームガンダム・エクリプス状態と交戦。不意を突いてショットランサーの伸縮機能を用いてコクピットを狙うも、脇に避けられてしまう。
その後は焦点がキンケドゥやトビアへ移ったため出番は減少し、気付いたら原作通り死んでいた。
地味にショットランサーの伸縮機能を初披露したり、パイロットスーツ以外の服を見せたりとサービスシーンが満載だった。



ゲームでの活躍
作品によってニュータイプだったり、そうじゃなかったりする。
本編の戦闘ではNTらしさを感じさせる描写はあまりないが、クロスボーンガンダムの序盤では海賊軍が敵を殺さないことに対するトビアの疑問を読み取ったりしていたからだろうか。
エースパイロットらしくステータスはかなり高めに設定されることが多い。

第2次スーパーロボット大戦α』、『Gジェネレーションスピリッツ』では上に書いてある台詞がフルボイスで流れる。
因みに第2次αでは味方でアンナマリーが存命のため上記の台詞をそのまま言い返された。
一方では原作以上の狂気っぷりを見せており、なんと原作で自分が殺したジレと手を組んでラフレシアとバグを出してくる
その凶行にキンケドゥ達からも心変わりを困惑されるが、それに対して
「増えすぎた人類に裁きを本来ベラがやるべきことだが、ベラの手を汚させるわけにはいかないので自分が代わりにやっている」
というトンデモ理論をぶちまけてくる。

スーパーロボット大戦V』では、原作通りの末路を迎えていたが実は生きていたという事になった。
その際「お前も死んだと思ったが生きていたから、自分が生きていても不思議ではない」というパワーワードをキンケドゥに言い放っている。
そらビームサーベルをコクピットのブッ刺されても生きてたヤツがいるんだからヒートダガーをコクピットに叩き込まれて生きてても不思議じゃないわな…直後にX2爆散したはずだけど
作中では大ガミラス帝星に貴族主義との共通性を見出して協力する。序盤は懐かしきクールなザビーネが見られるが、やっぱり最後は狂人化してしまう。
X2の性能はそこそこだが、中途半端に攻撃をしているとスキル"底力"の影響で強キャラとなってしまうため、一気に潰してしまわないと危ない。
無論だが味方になる方法は無い。
ところで、精神コマンドに覚醒があるのは色んな意味で納得だが、原作で自分に都合のよすぎる企み事やって大失敗したくせに先見があるのはスタッフからの嫌味か何かだろうか。


機動戦士ガンダム Extreme vs.では、ベルガ・ギロスとクロスボーンガンダムX2改のパイロットとして参戦。
X2改はガンダムデスサイズヘルEW版とのリリース競争イベントで初出だった。ゲームリリース当初からX1改の対になる存在なので参戦するのではないかと言われていたが、実際の出番はかなり後期になっていた。
しかもリリース競争イベントでは完敗した。シミュレーションでは7対3で、私の方が勝っていたぞ……
次期リリース機体のダブルオークアンタに完全に存在を食われている。どこまでも不憫な男である。

台詞は期待に違わぬ狂いっぷりを見せるが、X2の時の台詞も混合しているため、急に冷静になったりする。
全体的にセリフが長いので、時としてぶった切られる事も。
「裏切り?違いますよ。初めから私の目的は、コスモバビロニアの―」
シリーズ続編では余裕を持って勝利画面を表示するようになったため、最後まで台詞を聞けるようにはなった。

設定ミスなのか、子供キャラ相手であれば誰に対しても「トビアか!」と声をかけるような時があった。
トビアか!」「トビアか!」「トビアか!」
後のシリーズでは再録され、しっかりトビアだけに反応するようになった。

他パイロットとの掛け合いでは、キンケドゥは当然だが過去の自分に対するものや、ロンド・ミナ・サハクフル・フロンタルなど劇中で高貴な身分扱いをされているキャラに対して忠義を尽くすような発言が聞ける。
逆にトレーズ・クシュリナーダからは「貴族を名乗るなら落ち着け」と至極当然のツッコミをされている。
余談だが、かつてEXVS掲示板のX2スレでは「〇〇だぞキンケドゥ…」という謎の語尾が流行っていた。現在は消失。


ソーシャルゲームガンダムロワイヤルではえげつないキャラ崩壊を起こしている。
やたらテンションが高くなっており「もう一発お見舞いしてやるよ!!」や「よくも味方機を…罪を償えぇ!!」等の粗暴なだけど微妙に言いそうな言葉を乱発。
極めつけは「行く!お前ら!!!」という台詞、最早仲間思いなチンピラのそれである。
一応クロスボーンでも部下のハリダがやられた時は激昂していたのだが、それだけでこうなるのはやっぱりおかしい。
ボンボン版の性格のまま成長したifの姿もしれない。

METAL BUILDでクロスボーンガンダムX1が発売する際、PVが作成され彼とキンケドゥによる機体解説が新録された。
機体全体にわたって施された金色のエングレービングを高貴なる象徴として誇りに思う反面、偵察メカのBILLYの存在を知らなかったのか気付いた瞬間に動揺していた。
キンケドゥの担当声優であった辻谷耕史氏は2018年10月17日に急逝してしまい、実質これが最期の二人の掛け合いになった。







ひゃーっはっはっは!キンケドゥ?どうして編集している?キンケドゥゥゥ!
おまえは死んだんだぞ?駄目じゃないか!死んだ奴が追記・修正しちゃ!

死んでなきゃあああ!!


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最終更新:2024年01月14日 12:15

*1 しかし、イオでの戦闘中に胸中を明かすモノローグや裏切った際にベラに胸中を明かした場面はどちらも普段とは全く様子の違う歪んだ笑みを見せており、思うように理想に邁進できない焦りからか既に狂気へと至り始めていたように見えなくもない。この解釈を行ったのかは不明だが、Gジェネではこれらの場面では発狂後の顔グラになる。