シロー・アマダ

登録日:2011/09/12 Mon 20:29:51
更新日:2024/04/24 Wed 23:06:31
所要時間:約 6 分で読めます





風呂、入らないか?


機動戦士ガンダム 第08MS小隊の主人公。
物語スタート時から「成人」している「軍人」という、映像作品のガンダムシリーズでは数少ない主人公である。


搭乗機

作業用ボール
陸戦型ガンダム
ガンダムEz-8


【性格】
仲間想いの熱血漢で真面目な性格だが、同時に青臭さや人間としての優しさ、甘さが表に出るタイプ。
そのため同じ小隊に配属された部下のエレドアに「甘ちゃん」と称されるなど、物語当初は仲間達からの評価もあまり高くなかった。

サイド2のアイランド・イフィッシュ出身で、ジオンの毒ガス作戦により家族や友人を全て失った過去を持つ。
ゲームのムービーでは、毒ガスを流し込んだシーマ・ガラハウのザクを見上げる場面も描かれた。
当然ジオンを強く憎んでいたが、アニメ本編ではこの過去や気持ちはあまり語られなかった。
これは物語の展開に対して、キャラブレが半端ないことになるためだと思われる。
監督交代などによる路線変更でキャラ改変された説もあるが、第一話の件や前監督のプロットを元に製作し終えた件からして当初からこういう路線だったと思われる*1

パイロットとしての技量はまずまず高く、判断力の良さ、機体の武装を上手に活用した(至近距離で照明弾を放ったり)戦い方が目立つ。


【劇中での活躍】
輸送船で地球へと向かう途中、テリー・サンダースJr.と試作型ザクの交戦に遭遇。
サンダース救援のためにボールで出撃し、サンダースの機体を離脱させたうえで試作型ザクと交戦。

機転をきかせた戦い方で善戦した結果、相討ちとなり、ザクのパイロットの女性と共に遭難。漂流していたマゼランに辿り着く。
二人で力を合わせて艦を爆破させ、お互いの味方に位置を知らせてそれぞれ救助される。

この時からシローとその女性=アイナ・サハリンはお互いに惹かれ合う。
またシローはアイナから借りた時計を返し忘れ、以降大切に所持していた。


地球に降りた後、地球連邦極東方面軍機械科混成部隊コジマ大隊の第08MS小隊隊長に就任。
就任当初はサンダース以外のメンバーにその実力を懐疑的に見られていたが、任務を通して少しずつ隊員の信頼を勝ち取っていった。

その後、ジオンの最新型MAアプサラスと交戦。サンダースのジンクスと共にアプサラスを退けた後、この機体の動向を追う任務に着く。

二度目の交戦でミケルを助けるために陸戦型ガンダムでアプサラスに取り付き、そのまま行方不明状態となる。

その間、直接通信でアプサラスのパイロットがアイナだと分かった後、バランスを崩し落下するアプサラスを止めるために奮闘。
崖っぷちからアプサラスの落下は止められたものの、自身は機体ごと崖から落ちた。
極寒の地に長時間いたため凍傷にかかるが、アイナに助けられ一命を取り止める。
体を温めるためにビームサーベルで風呂を沸かし、共に入りながらアイナに自分の想いを告白。
連邦とジオンという敵同士でも人は解り合える事を確信した。

救出された後は一時スパイ疑惑を掛けられ、諮問の場に立たされることになる。
映画『ミラーズ・リポート』によれば、この直前アリス・ミラーの自白剤を使った尋問でアイナへの想いを吐かせられた。
諮問でもジオンと解り合えると力説するものの、将校や一般兵、果ては警備兵にすら嘲笑を買うだけだった。

一見すると「現地でジオン兵と交流した経験を聞いても聞き入れようとしない連中」に見えるかもしれないが、
地球はジオンによるコロニー落としや襲撃によって、取り返しのつかない被害を受けており、そんな悪行を重ねたジオンとあっさり和解できると考える方がおかしいと思うのは至極当然であり、傍目から見れば完全に理想論である。
さらに、このちょっと前には連邦の重鎮たるエルラン中将がジオンと内通していたことが発覚しており、しかもその直後にジオンが条約無視の核兵器を二度も使ったことから、シローのスパイ疑惑・内通容疑は極めて深刻な疑念であったのは間違いない。

この一件で謹慎処分を受けるが、キキ・ロジータの村がジオンに占領されたという情報を入手。コジマ大隊長のサイン入りの偽の出撃命令書で出撃。

ジオン兵と村人の双方を助けたいという想いを消せなかったシローは自ら率先して作戦に参加。

生身にバズーカ一丁でトップの操る旧ザクを降伏寸前まで追い詰めたが、詰め寄る村人に恐怖したトップは対人兵器を撃ち、村人を殺傷。
シローは涙を流しながらザクのコックピットにバズーカを撃ち込んだ。


この無断出撃を受けてコジマ大隊長にさらに問い詰められることになり、08小隊は銃殺刑か生存率38%のラサ基地前線偵察任務かの二択を迫られ、後者を選択*2
出撃前にミラーに銃を突き付けられるが、シローの想いと覚悟が揺らぐ事は無かった。

作戦には陸戦型ガンダムを現地改修した専用機Ez-8で出撃。
ラサ基地に極秘裏に開発されたジオン軍のジャブロー攻略用MA、アプサラスⅢの存在を掴む。

そして終盤、他の極東方面軍と共にラサ基地攻略とアプサラスⅢの破壊任務に就く。
当初は砲撃任務に就く量産型ガンタンク3機の護衛をしていたが、
そのガンタンクがケルゲレン脱出の障害になると見たノリス・パッカードの駆るグフ・カスタムに襲撃を受ける。

カレンとサンダースをまとめて手玉に取るノリスに押され一度は乗機を機能停止まで追い込まれたものの、執念で回復させ、再び対峙。
最終的にグフカスタムを両断するも、同時に最後のガンタンクを撃破され、任務そのものは失敗した。

その後、突如軍を抜けると宣言し、アイナを助けるために単身アプサラスⅢの元へ向かう。
ギニアスに撃たれ機体から落下するアイナを助けた後、ジム・スナイパーの狙撃を受けながらもアイナと共にアプサラスⅢを撃破。

その後は行方不明となり、軍籍抹消となる。

が、ラストでは片足を失うもアイナと共に何処かへ旅立って行った。


後日談のラスト・リゾートでは、ミケルとキキが二人と無事に再会を果たした。
ただ、その場所がチベットのラサであることから、逆襲のシャア冒頭にて、
シローとアイナが5thルナ落下により死ぬことになるのではないか?と心配するファンもいる。


ガンダムシリーズの主人公勢の中では「声が檜山」「オールドタイプながら機転で活躍」「純情」「気合い」といった要素から人気があるが、
同時に凄惨な事件によってジオン嫌いだった筈なのに恋に落ちた途端コロリと態度を変えたりといった所からアンチもいる。
後に飯田監督が執筆した漫画版では多少補完されている。


余談だが中の人は後に別のガンダム作品において敵対者への憎しみを増大させたまま成長し、破壊活動を行った挙句破滅した盟主を演じていた。
これはシローがアイナに出会わずジオンへの憎しみを背負ったまま戦い続けた先にある未来の一つだったのかもしれない…


【連邦軍の士官として】
個人的な主義や感情で部隊に迷惑をかけた隊長としてマット・ヒーリィ(漫画版)と比較される事も多い。
もっとも、シローはマット(漫画版)の様にそのために仲間をむざむざ死なせた挙げ句に省みないことはなかった。
前線任務に駆り出された点では部下を危険に晒したことにはなるが、これも軍全体として見れば誰かが引く貧乏くじを彼らが引いただけではある。
一人の軍人としては問題児なだけで、それを抜きにすれば隊長としては(疑問符のつく命令もいくつかはあるが)立派に部下を助け、戦士としてもノリスにはしてやられたもののボールはおろか生身でもMSと渡り合う大金星を上げたりと確かな結果を出している。

また、敵兵との私的な接触に加え、それを原因とする敵前逃亡までやった彼と、
ニンジン嫌いを最後まで克服できず、そして元敵とは言え友軍を殲滅したコウ・ウラキや、
(家庭の事情など情状酌量の余地はあるとはいえ)軍学校を職業訓練校と認識、幾度も問題行動を起こして、上官や同期にすら「あんなのが、ガンダムのパイロットなら世も末」「人材不足でなければクビにしていた」とまで言わしめるほど問題行動や暴言が目立ち、果ては目前の戦乱ですらヒーローごっこと同一視したリョウ・ルーツ
および上記のマットの存在とを合わせ、地球連邦軍の士官学校の教育水準の低さを指摘する者もいる(他の部隊はしっかり連携しているため、コウに関しては部下の手綱を握っていなかったコーウェン&シナプスが悪いが)。

あるいはシローやマットなどは士官学校であまり優良な成績ではなく、本来なら隊長が務まる器で無かったものを、先達がほとんど全滅したために繰り上げで抜擢されたとも考えられる。
というのも開戦劈頭のジオン軍の奇襲&虐殺&核兵器乱発&コロニー落としにより、連邦側は地上・宇宙・軍人・民間問わず大損害を被っており、資料によれば宇宙軍は7~8割を喪失したとするものもある(この手の資料は連邦の被害や技術劣位を誇張しがちだが)。
そのため、本来なら軍の中核を担うべき優秀な将校・士官が払底し、シローのような経験も能力も半端な二線級の士官が繰り上がった可能性は高い。

実際、開戦時点でパイロット=優秀な士官*3だった連邦軍人といえば、ユウ・カジママスター・P・レイヤールース・カッセルという実力も落ち着きもある面々であり、シローやコウとは大きく違う。
小説版ガンダムアムロ・レイも士官学校出の正規パイロットという設定だが、内面はやはり洗練された軍人だった。
連邦軍の士官学校が何年制の教育でどれだけの学生を教育している制度かは不明だが
一年戦争開戦前の0078年に卒業した中での主席はクリスチーナ・マッケンジーであり彼女の能力や軍人としての姿勢には取り立てて問題はない。

対してシローは開戦当初、コロニー内部に駐留しており(シーマ・ガラハウを見上げたムービーより)、艦隊勤務でもパイロットでもなかったのは確実。
そんな彼が「士官学校はとりあえず出ているから」と、宇宙から地上にまではるばる送り込まれ、さらにMSパイロットかつ小隊長となったのは、それほどに士官学校出の正規士官が求められ、多少の問題があっても使わなければならなかったからかもしれない*4
なにせ、士官候補生のブライトが艦長代理に任命されたり*5、視力障碍を負ったバスク・オムでさえ戦線復帰し、少佐でしかないワッケインがルナツー基地を束ねていたほどだったのだから。

そう考えると、能力・素質以上のものを求められたシローもなかなか難儀な立場だったのかもしれない。



【ゲームにおける活躍】
スパロボシリーズでは64で初参戦。それなりのパラメータで一軍を張れる。
特にIMPACT地上編ではEz-8の長射程と全弾発射の高火力で援護役兼ボスキラーとして活躍。
更に精神コマンドに序盤から愛が使えるのが最大のメリット。不屈がない時代なのもありマップ兵器が痛いため立て直しが効きやすい。
本人の能力の高さや、最初から援護と統率を修得していることもあり、Ez-8以外の機体でも活躍出来る。
スーパーロボット大戦Aでは援護回数が3回まで伸びることもありMSパイロット中では屈指の使いやすさ。
「愛、突撃、熱血、必中、ひらめき、魂」というどう見てもスーパー系な精神コマンドも援護攻撃が重要なゲームシステムと噛み合っていた。

スーパーロボット大戦Zの連邦兵には彼と勇者王と盟主王の魂を持った連邦兵が存在する。


ガンガンシリーズでは陸戦型ガンダムとEz-8で参戦。
コスト1000なので耐久値は低いが、機動性の高さと多彩な武装を売りとし、トリッキーな戦い方が求められるが、腕次第で敵を圧倒出来る。

Gジェネ、特に携帯機シリーズではなかなか優遇されていて、アイナと一緒にチームを組ませると命中・回避に大きな補正が入ったり、
IDコマンドに使いやすい物が多かったり、Ez-8が強化される専用のイベントがあったりする。



【シロー語録】
「倍返しだああぁぁぁぁああ!!!!!」

「アイナーッ!!! 好きだぁああああッ!!!!!!! 」

「俺は生きる! 生きてアイナと添い遂げる!!!」

「これだけは言っておく…絶対に死ぬな!!」

「諦めてはいけない! 生き延びることだけを考えるんだ!!」

「連邦のためじゃない! だが仲間のためなら戦える!!!」

「銃身が焼きつくまで打ち続けてやるー!!!」



俺は追記する!追記してアイナと修正する!!!

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最終更新:2024年04月24日 23:06

*1 なら何故こういう過去を入れたかと言われるとよく分からない。後半を担当した飯田監督は前半の作風を踏襲しつつもシローに対しては「想像力の欠如した男で大嫌いだった」と辛辣な評価をくだしている。

*2 この時の尋問がコジマ一人で行われていたことから、命令書の偽造そのものについてはコジマが握り潰した可能性が高い。

*3 小説版ガンダムにて「パイロットとは選ばれた士官の証明」と評される場面がある。

*4 よくよく考えると、前線で孤立し地球からの援軍もほぼ見込めず、パイロットも士官も一年戦争序盤で大損害を食らった連邦宇宙軍が、貴重な兵士を地球に送るというのも妙な話で、もしかしたらシローは宇宙軍からも厄介払いされた問題児だった疑惑もある。

*5 ザクの襲撃で士官のほとんどが死亡したのもあるが