ウォーズマン理論

登録日:2011/05/28 Sat 11:25:36
更新日:2024/02/23 Fri 19:12:23
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ウォーズマン理論とは、漫画『キン肉マン』の登場人物・ウォーズマンバッファローマンとの戦いで披露した持論である。


以下、原作から抜粋。




「100万パワー+100万パワーで200万パワー!!」

「いつもの2倍のジャンプがくわわって200万×2の400万パワーっ!!」

「そして、いつもの3倍の回転をくわえれば400万×3の……」

「バッファローマン、おまえをうわまわる1200万パワーだ――っ!!」


●目次

☆考察

まず、100万パワーのウォーズマン(片手のみベアークロー)が両手にベアークローをはめる。
これにより強さが2倍になり、200万パワーになるという。

……この時点ですでに色々とおかしいのだが、
  • さらにいつもの2倍のジャンプ力が加わることでその強さは400万パワーに跳ね上がり、
  • いつもの3倍の回転を加えることで1200万パワーを得る
という。

以下のように疑問は尽きない。(※他にも疑問は尽きない)
  • なぜベアークローを装備するとパワーが増加するの?
  • どこからベアークローに100万パワーというウォーズマンと同等の数字が?
  • なぜ今まで両手ベアークローを使っていなかったの?
  • ベアークローをつけてない状態のウォーズマンの超人強度って一体どれぐらいなの?
  • 『いつもの』と制限かけていた理由は?*1
  • 『いつもの』ってことは、毎回決まったパワーとか回転数とか決めて技を繰り出してたの?
  • 今まで説明され、絶望の源となっていた『超人強度』とは一体何だったの?
  • ウォーズマン自身の硬さや力が100万パワーかと思っていたけど、これって技の威力のこと?
  • そもそもパワーって何だっけ?

一応ウォーズマンはロボ超人であり、その脳にはファイティングコンピューターが搭載されている。
そんな彼がこのようなむちゃくちゃな理論に至るとは……いや突っ込むだけ野暮だ。

ちなみにウォーズマンはこの攻撃によりバッファローマンの角(後に「力の源・ロングホーン」と設定される)を叩き折ることには成功したが、結局は敗れた。

超神編』でも、対オニキスマン戦で追い詰められたウォーズマンが再び使用。今回は上記の理論を行ったあと、さらに真・友情パワーを残り5秒に圧縮することによって、パワーをさらにブースト。オニキスマンのオニキスガントレットを粉砕し、彼に致命傷を与えることに成功した。
その直後に限界が来て仮死状態になってしまったため、勝ち名乗りを受けることができず両者ノックアウトという結果になってしまったが、それでもその力とオニキスマンとの戦いで見出した答えは、オニキスマンに認められ、試練をクリアすることにつながったのであった。

現在ではゆで理論と一蹴されがちな場面だが、当時から色々な意味でインパクトが強く、そしてツッコミどころばかりの光景であったために子供たちにとても強い印象を残した。

一応フォローしておくと、彼はこの直前に「キン肉マンとの戦いでインプットされた」という 火事場のクソ力 で10倍のパワーを持つバッファローマンに食い下がっており、
(その代償としてスタミナがほぼ底をついてしまった)
その延長線上で残りのスタミナを全てつぎ込んで放ったのがこの技である。

完全におかしなネタとして扱われているこの理論ではあるが、RPGなどのゲームでは違和感なく似たような理論が出たりする。
(※ちなみにシステム上の都合だったり世界観的にはおかしくなかったりする。ウォーズマン理論はその脈絡のなさと全面的なつっこみどころがネタとなっている。)
ただの倍化だけではあえてウォーズマン理論と呼ぶことはなく、『おかしな理論で倍化』『どんどん掛け算して増加する』辺りの要素があれば言われたりする。

  • 特定の呪文や特技によって攻撃力を倍加させ、更にどんどん倍化できたりする(『真・女神転生』『デビルサマナー』『ペルソナ』シリーズのチャージ&コンセントレイト、『ドラゴンクエスト』シリーズのバイキルトなど)
  • 特定の種族や属性に対し特攻性能を持つ武器やスキルで威力増加(『ポケットモンスター』シリーズなど)
  • 睡眠などの状態異常中に与えるダメージの増加(『世界樹の迷宮』シリーズなど)


☆類義語

ここで、類義語として「ロイド理論」を挙げておく。

ロイド理論とはゲーム『テイルズ オブ シンフォニア』の主人公ロイド・アーヴィングが提唱したもので、「1本の刀で100の力なら2本で200の力になる」というものである。
ロイドが二刀流を行っているのは、「刀が多く使えれば強い」が理由であり、クラトスを呆れさせた*2
ちなみに外伝であるマイソロ2のステータスでは1本50(%)の力だった。

このロイド理論の中には「ドリルは360度回転するから360倍の力になる」といったものまである。ロイドェ……



☆ウォーズマン理論を展開する人

真壁一騎(蒼穹のファフナー)

スパロボK限定。
「武器が2つなら威力も2倍だ!」

大空翼(キャプテン翼)

「ツインシュートで威力は2倍だ!*3

清村緒乃(清村くんと杉小路くんと)

フェンスをサッカーボールのシュートで突き破るためにウォーズマン理論(一部キャプ翼)が登場。そういうもんなのか!?

◆パーマン

最高時速119kmだが、119×2=238km。
2人連結して飛べば2倍のスピードに!3人なら4倍に!
この様に大先輩の漫画でも似た理論が採用されている。
ただ、これに関してはそもそも「そういう能力」なのでウォーズマン理論かと言われると微妙なところ。

◆飯富昌虎(みどりのマキバオー)

1.2倍の歩幅なら3000mの菊花賞を2400mのダービーと同じ歩数とスタミナで走れる!
類似のネタとして『ウマ娘 プリティーダービーサクラバクシンオーシナリオの「1200mのスプリントレース3連戦を全部勝てば1200mの3倍で3600mのレースに勝ったのと同じ」がある。
理論の無茶苦茶さというよりこれにあっさり騙されるバクシンオーのおバカさが見どころだが。

ヴィラル(天元突破グレンラガン)

「剣の数が2倍なら、威力も2乗だぁっ!!」

ボボボーボ・ボーボボ(ボボボーボ・ボーボボ)

バビロンに裁かれた首領パッチに裁かれた天の助に裁かれた俺の裁き!!!!」
「4倍だー!!!!」
勿論実際はビュティに突っ込まれた通り全然4倍にはなっていないのだが、相対速度だけで言えばマジで4倍になるフォーメーションではある。*4

キン肉マンⅡ世

「ふたりというのはいいものだ。楽しい時は2倍楽しめる」
「そして苦しい時は半分で済む!」

「究極の超人タッグ編」本編の宇宙タッグトーナメント決勝。
非常に厳しい試合展開の中、万太郎とケビンマスクがお互いのフィニッシュ・ホールドを合体させ、上記の台詞通りの最強を超えたツープラトンを見せた。
感情が掛け算の対象の為、計算がおかしいというツッコミが無く、感動すら覚える素晴らしく美しい理論。単純な2乗ではないところが長年タッグを組んでいるゆでたまごらしい。

もう一つフォロー……というか説明しておくと、これ、元々はドイツのことわざのひとつであると説明されている。
何はともあれ、一時はゆで先生すら認める迷走を見せた究極タッグ編も最終決戦は前述のツープラトンで(実質的に)決着。
最後は自分たちの時代に戻る新世代超人一同、そしてこの言葉で締めくくられ、ひとまず万太郎たちの物語はひと段落となった。

キン肉マンゼブラキン肉マン

「いつもは四角いリングではあるが、このリングは八角形だ。跳べるロープも八本あり、仕掛けの速さも威力も格段に上がる―――っ!」

美凰(アルカナハートシリーズ)

「人の限界は己の努力次第で越えていける、努力×努力の2乗で超絶努力だ――と、博士が言っていました」

ストーリーモードにおいてドロシー・オルブライトに勝利した際の台詞。
対戦前、ドロシーは「最近、ちょっとマンネリ気味でさ……。新しい事を学ばないと、ボクが成長しない。手品のためにも聖霊工学とか……無理かな」と大いに悩んでいた。
……理屈はわからんがすごい自信だ。

「やりこみゲー」「キャラ愛ゲー」と称されるアルカナを端的に表してるようなそうじゃないようなセリフでもある。

◆レオ=ホワイトファング(GUILTY GEAR Xrd-SIGN-)

「通常の10倍の武器で迫力は10倍!更に10倍の飛翔力で100倍の威厳!!」
「そしていつもの半分の優しさによって200倍の破壊力だ!!!」

獅子王の一撃必殺技「ヴィンタートデスヴェートラウム」ヒット時のセリフの一つ。
優しさの半分ってなんぞ?と思うが、恐らく「威力がマイナスになる要素を半分にすることで攻撃力が2倍になる」という理屈なのだと思う。ただそれだと優しさを0にすると無限大のパワーにならないか?
獅子王はこの他にも「今、必殺の!」だの「全力全開」だの叫んだりする。

矢吹丈あしたのジョー

「わかりやすく数字であらわすとすれば」「ふつうのクロス・カウンターでさえ四倍
「ダブルクロスとなれば八倍」「トリプルとなっては十二倍もの破壊力があるといえるでしょう」

劇中で登場する必殺技「クロスカウンター」が通常のパンチと比べてどのぐらい威力を増しているのか、ウルフ金串戦でのテレビ解説者が述べたもの。
ダブルクロスは「クロスカウンターのカウンター」であり、トリプルクロスは「クロスカウンターのカウンターのカウンター」である。
この原理だと、クロスカウンターをカウンターし続けることで無限に威力が上がっていくことになるのでは…

クロスカウンター自体は現実のボクシングでも存在する技術だが、あしたのジョーに登場するものとはまるきり違う。


◆スクランブラー(ニンジャスレイヤー)

「俺はそこらのにわかニンジャじゃねえ」
「コマンドサンボからジュドーに転向、一度も負けた事がねえ。全てイポン勝ちだ。そんな俺にニンジャが憑いた。つまりカラテにカラテをかけて100倍だ。わかるか?この算数が。エエッ?

『ニンジャとジュドー世界一が合わさり100倍、すなわち二倍の回転が実現するのだ!』

キョートの裏格闘技大会シャドーコンに登場した柔道家ニンジャ。
元々はガイオン主催のジュドー世界大会タイトルホルダーだったらしく、コマンドサンボからジュドーに転向、ジュドー時代はすべての試合でイポン勝ちを収め、負け無しを誇ったと豪語する噛ませキャラ。

劇中では本人のビックマウスだけでなくナレーションもノリノリで実況してウォーズマン理論を展開した。
ファンからは通称「カラテ算数」と称され親しまれている。


☆現実世界でウォーズマン理論を実践している例

意外かもしれないが、機械やコンピュータ類の世界でもウォーズマン理論じみた発想の設計が少なからずある。エンジンや回路を二個にする等である。
その分だけ機械の体積が問題になったり、同期待ちがあれば単純に倍々になることはなく、その他諸々の事情からも純粋な倍々にはならなかったりする。
要するに発想自体は決しておかしくないが、ウォーズマン理論の様にお手軽パワーアップとはいかないし、実設計や実装時に工夫を凝らしたりする。

ちなみに信頼性の世界では冗長化と呼び、不良品・故障に備えて単純に増やすことは基本思想。
もっとも外的要因などを考えると信頼性の単純な倍化にはならなかったりする。
そしてそこからさらに掛け算していくウォーズマン理論の神髄は、多くの場合で効果に費用が見合わないのでほとんど採用されない。
余程の事情がなければ二重化や余剰1つに留めておき、バックアップなど他の方法と併用することでリスクを割り切る。

ボーイング747(旅客機)

旅客機の代名詞と言えるB747、実は信頼性においてウォーズマン理論的な設計を施されている。
何処かと言えば、油圧系と電気系。
普通の旅客機ではこの手のものは二重系(同一の回路が2系統用意されており、片方が故障してももう片方でバックアップが効くようになっている)になっているが、
B747はさらに油圧・電気系統を組み合わせて四重系としていて、まさに「二重系と二重系を合わせてお前を上回る四重系の信頼性だーっ!!」。

◆アブロ マンチェスター・ハインケル He177・景雲・ボーイング XB-39(軍用機)

こちらはウォーズマン理論の失敗例。ちなみにXB-39はB-29の試作モデルの一つ。
何処がと言うと、エンジンである。
これらの機体はエンジンを2台結合させて1台にした「双子エンジン」を採用していたのだが……
繊細なレシプロエンジンで無理やりウォーズマン理論を適用したため、当然ながらトラブル続出待ったなしという結果に終わった。

◆テンコジ(プロレスラー)

天山広吉「オレたちがチャンピオンだ、永遠のな!」
小島聡「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍
……?!



両手でスマホとスマホを同時に使い、100万パワー+100万パワーで200万パワー!!

いつもの2倍の追記がくわわって200万×2の400万パワーっ!!

そして、いつもの3倍の修正をくわえれば400万×3の……

バッファローマン、おまえをうわまわる1200万パワーの追記・修正だ――っ!!


画像出典:キン肉マン
© ゆでたまご


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最終更新:2024年02月23日 19:12

*1 「いつもの2倍のジャンプと3倍の回転ができること自体は、この時のウォーズマンが火事場のクソ力を発動しているため可能」という説はある。

*2 ゲーム自体には「2刀流だから単純に2倍の強さになる」という主張はない。

*3 奇跡的に同タイミングだと仮定しても、実際は蹴り方の違い・蹴る場所の違い・足とボールの接触面積と接触時間の違い・回転の変化・両者のキックの速度の違いなどから、単独での全力で真芯をとらえたシュートよりも遅くなる可能性の方が高いです。比較対象が低速シュートでもなければ二倍の速度増加は望めません。空気抵抗も速度に比例するし…。ただし、もう一つの特徴であるボールの軌道についてはまた別の話になります。

*4 各「裁き」による吹っ飛び速度が同じ、かつロスなく次の「裁き」に連鎖すると仮定した場合、バビロン+首領パッチ+天の助+ボーボボ=1+1+1+1=4倍になる。