61式戦車(ガンダムシリーズ)

登録日:2012/01/13 Fri 12:10:12
更新日:2024/04/18 Thu 11:32:06
所要時間:約 8 分で読めます





陸の王者、前へ!



61式戦車とは、ガンダムシリーズに登場する戦車である。
現実の自衛隊がかつて運用していた61式戦車とは別物であり、そちらは本項目では触れない。







61式戦車

TYPE61 MBT

【性能緒元】

  • 61式戦車(初代TV版)
型式番号:M61
所属:地球連邦軍
速度:90km/h
乗員:車長 1名
   砲手 1名
   操縦手 1名
武装:150mm連装滑腔砲
   12.7mm機関銃
   スモークディスチャージャー ×6基

《主な搭乗員》
地球連邦陸軍一般兵士


  • 61式戦車5型
型式番号:M61A5
所属:地球連邦陸軍
   ジオン公国軍(鹵獲機)
   南洋同盟
全長:11.6m
車体長:9.2m
全幅:4.9m
全高:3.9m
懸架方式:トーションバー式
駆動方式:電気式
速度:90km/h
乗員:車長兼砲手 1名
   操縦手兼通信手 1名
   他、後部キャリアに4名乗車可能

武装:155mm連装滑腔砲
   7.62mm主砲同軸機関銃 ×2挺
   13.2mm重機関銃 M-60 HMG
   5.56mm機関銃M-299
   スモークディスチャージャー ×8基

《主な搭乗員》
地球連邦陸軍一般兵士
ハーマン・ヤンデル(車長・砲手) / レイバン・スラー(操縦手・通信手)
モーガン
エイブラムス(ABRAMS)
エイガー
サカキ
ミッチェル(車長・砲手) / 操縦手・通信手不明
フランシス・マリオン(車長・砲手) / マルコ・サン=ロザリオ(操縦手・通信手)
ハインツ・ハイウェイ
ローストン
クレイ大尉(車長・砲手) / ナナオ(操縦手・通信手)



【概要】

宇宙世紀0061年に正式採用された地球連邦陸軍主力戦車
正式採用後も様々な改良を重ねて運用され、特に一年戦争が勃発したU.C.0079年時点での最新型である61式5型は初期型とは別物と呼べる程の性能を獲得している。
ちなみに、1個小隊は基本的に4両編成であるとされる。


足回りはトーションバー方式のサスペンションとゴムパッドを装着した履帯という現代戦車とほぼ同様の構造だが、動力部は車体前方に配置して後部には兵員室を設けるという旧世紀のイスラエル軍主力戦車メルカバのようにやや珍しい構造となっている。
設定では電気駆動とされているが、劇中では内燃機関であるかのように描写されている。
スペースコロニーでの治安維持等の任務もあったと思われるので、ひょっとしたらハイブリッド方式なのかもしれない。


本車の大きな特徴として、最新鋭技術の導入による徹底的な省人化が図られていることが挙げられる。
それにより、初期型は車長、砲手、操縦手の3名。
最新の5型では更に省人化が進んで車長兼砲手と操縦手兼通信手の2名で運用する仕組みになっている。
元々が3人乗りだったのと車体の大きさも相まって、乗員のスペースに悩まされがちな戦車にあって操縦席はかなり余裕があるが、逆に砲塔部は多機能化し過ぎた弊害で車長1人を収めるのがやっと。
操縦は3面モニターとベリスコープの併用で視界を確保しつつ、レバーとフットペダルで行う。
設定画からも現代の戦車よりも自動化がかなり進んでいることが窺えるが、後々このことが仇となった。


主砲は就役当初の初期型が150mm連装滑腔砲、後期改良型は155mm連装滑腔砲を採用。
様々な弾頭を左右交互と同時発射の撃ち分けと自動装填装置によって大口径の2連装砲ながら連射を可能としている。
しかも衛星を介した僚機とのデータリンクシステムによって長距離でも精密な射撃を行うことが 出来た

これだけの火力を持ちながら、どんな荒地でも最高時速90kmで走破することも可能である。


しかし多機能・高性能化に伴って車体は大型化してしまい、実在の戦車と比べればアメリカ軍のM1エイブラムスよりも一回り以上大きく、旧ドイツ軍の超重戦車 マウスに匹敵する超ド級と化してしまった。
ただ、性能の高さを考えると「この程度の巨大化で済んだ」とも言えるか。


このように61式戦車は、「究極のMBT」と評されて20年近くに渡って陸軍の主力戦車として地上に君臨*1、まさしく“陸の王者”と呼ぶにふさわしい性能を誇っていたが、やがて一つの時代を迎えると共にその天下を終えることとなる。



宇宙世紀0079年、一年戦争の勃発である。



地球連邦に対して独立戦争を仕掛けてきたジオン公国の開発したミノフスキー粒子散布戦術によってデータリンクシステムなどの電子機器によるサポートを失い、省人化されたことが逆に仇となってたった2名の搭乗員では61式の性能を到底発揮できなくなったのだ。
劇中では「2人で操縦するのはあまりに過酷」とさえ言われているが、特に砲塔は様々な機能を詰め込み過ぎて拡張も難しかった。


しかし今も昔も戦車とは目視で戦う兵器。宇宙軍のようにレーダーや誘導ミサイルによる長距離射撃に頼っていたマゼラン級サラミス級のようにほぼ一方的にやられていた訳ではない。
事実、ジオン軍の主力戦車であるマゼラアタックに対してはかなりの優位性を保っていた。


だが、それも人型機動兵器モビルスーツ(以下MS)の登場によって撃ち砕かれる。


機敏に動き回るMSに対して、ハイテク機器のサポートを受けられない状態の61式の長距離砲撃では容易く回避されてしまい、対抗が難しかったのである。*2
そのため確実に撃破するにはわざわざザクの射程内に入って戦闘せざるを得ず、一度接近されてしまうと一番攻撃が通りやすい上半身を撃つのに仰角が足りずにただ踏み潰されるのを待つしかなかった。

仮に命中されられたとしてもザクの正面装甲は一発くらいでは有効打とならないことも多く、
あの手この手で足を止めさせて集中砲火を浴びせ、頭部やコックピットハッチなどの装甲の薄い箇所に直撃させることでようやく撃破することが出来た。

ただ、この辺のザクの描写は怪しいところで、
初代アニメではガンダムの60mmバルカンでハチの巣になったり、ジャブローのフライマンタの30mmバルカンでザクやドムまでもが砕け散ったりしているため、
それらとはケタ違いの火力がある61式戦車の155mm砲がザクの装甲に刃が断たない、ということはありえない描写であるが。
それとは別に、この例のガンダムのバルカンは別として(後の作品でもMSのバルカンでMS撃破はちょくちょくある)、それに間違いなく劣るフライマンタのMS撃破はあくまでも作劇上の都合(例外)として考えるべきなのでこれを例えに用いるのは適切ではない*3

実際、上記の弾かれる描写があったのは『MS IGLOO 2』くらいで、ぶっちゃけて言えば多くの作品ではただの脇役でしかないので、まともに登場すること自体が少ないから作品によって描かれ方が一定していないのが原因である。
後述のムービーでも、集中砲撃とはいえ割と普通にザクを破壊しているし、各情報でも「ザクの通常装甲は破壊可能」という設定が多い。
小説版『ジオニックフロント』では「ザクの正面装甲は61式戦車の砲弾を弾く」「エイガー少尉は装甲の薄い背面への集中攻撃で戦果を挙げた」などと怪獣映画のような文言が書かれていたが、他作品ではそんな強さは見せない。
少ない劇中描写から見ると、やはり61式戦車の主砲はシールドなどに防がれうるが、当たりさえすればザクにも十分通用するというところだろう。
先述のとおり、ミノフスキー粒子下ではまずその当たるように主砲を撃つ事自体が困難なのだ。

ちなみに「自軍の主力兵器が敵の主力兵器の攻撃に対抗できないものを作ったとは考え難い」という意見もあるが、二足歩行兵器は構造上、どうしても装甲強化に限界があったと見るべきだろう。MS黎明期にある当時ならなおのこと。
連邦でも例外ではなく、ルナチタニウム装甲を採用した陸戦型ガンダムが、マゼラアタックの砲撃で片足を破壊される場面まである。
超硬スチールなど比較にならない強度を持つルナチタニウム装甲でも戦車の砲弾が直撃すればただでは済まないところを、超硬スチール製のザクが戦車の砲弾を耐えるよう設計できるとは考え難い。サイド3では61式戦車の実機も手に入らず*4、実験もできなかっただろうし尚更である。


それでもMSを持たない当初の地球連邦軍にとって地上で使える兵器の中ではザクⅠザクⅡなどに対抗出来る火力を持った数少ない兵器であり、GM等の連邦軍のMSの生産が本格化するまではオデッサやジャブローなど各地の戦場で主力の座を守り続けた。

中でもハーマン・ヤンデル中尉が巧みな戦術を駆使して生涯に7機のザクを撃破した他、後にガンダム6号機を開発・搭乗した砲術のエキスパートであるエイガー少尉が装甲の薄い背部からの集中攻撃を提案、戦果を挙げている。

そんなエースでなくとも、市街地でファンファン(ホバークラフト)を囮にしてザクをおびき寄せ、待ち伏せた十数台の61式戦車の一斉射撃によりザクを粉砕した場面もある。
ちなみにこの時に限ってはファンファン、61式ともに損害ゼロ。

それにMSの上半身を撃てないといっても、脚部を破壊することでも十分致命傷となりうる(鹵獲されるか撃たれるのを待つ鉄屑と化す)。
またMSは背が高いということは、地平線から顔を出すのが速い、遮蔽物や塹壕に隠れられないということであり、地形次第ではMSのほうが61式に先手を打たれることも多かった。

MSは高い機動力・瞬発力を持つことに変わりないが、ザクの最高速度は61式戦車とそう変わらないか、やや下回っている資料が多い(85~88km/h、一部160km/h)。
加えて重力下でのMSは特に関節部を筆頭として故障が多く、継戦能力や整備性、生産性、稼働率などではむしろ61式戦車のほうに分があった。


だが戦争も後期に入るとザクとは比較にならない装甲を持ったMS(特にゴッグのような重装甲の機体は61式の天敵だった)が登場し、頼みの主砲さえも有効打にはなりえなくなっていった。
……と思ったら劇場版でアカハナのアッガイや重装甲を誇るゾックを正面から爆砕するという破壊力を見せた。どうなってんだよ!?*5

また、連邦軍にもMSが普及し始めるとそれを前提とした作戦も考案されていき、「MSが前線で敵を引き付けつつ後方の61式が砲撃で仕留める」といった戦術も編み出されていった。


ともかく、こうして終戦を迎えた61式戦車はその役割を終え、MSに主力兵器の座を譲って静かに歴史に消えていった。





と思ったらなんとグリプス戦役のジャブローやシャアの反乱にも未だ配備されていて、その姿が確認されている。

まあぶっちゃけ、後方で治安維持するぐらいならMSよりも戦車のほうがいいということであろう。
そして「戦車」としては、61式は究極の完成系であり、火器や装甲を強化するほかは改良など必要ない。
MSは先述の通り、製造するにも維持するにもとにかく巨額のコストがかかるため、敵もいない(せいぜい暴徒ぐらいしかいない)ところに警備用として常駐するには向いていない。
連邦の慢性的な予算不足ならなおのことである。

連邦軍は、ただ戦えばいいテロ組織とは違い、治安維持や警備、パトロールや救助や運送など多くの任務がある。しかも軍指導者=政府指導者であったジオンとは異なり、連邦軍は「地球環境の復興」が史上命題である連邦政府に所属する一機関である。
強いMSを配備すればいいというものではなく、連邦政府を無視して軍拡はできない。安くて長く使える旧式兵器も、連邦政府・連邦軍にあっては重要な意味があるのだ。

また、後年の61式戦車は一年戦争時に比べて、それなりにパワーアップしている可能性もある。
MSの進化を鑑みるに、火薬や戦車主砲だけの技術が進化していないとは考えられないため、案外旧式MSぐらいなら粉砕できるのかもしれない。
仮想敵のジオン残党は旧式の寄せ集めとなっているため尚更である。
MSですら後方基地などでは旧型を使い潰している状況で、そんな予算を獲得できればという仮定の上ではあるが。
人件費だって安くないんだから1人で動かせるMSと2、3人必要な戦車でそんなに差が付くほど得か?と思うことはあるが


【装備】

  • 150mm連装滑腔砲 / 155mm連装滑腔砲
61式戦車の主砲。戦車では極めて珍しい連装砲。
古い設定では150mm口径とされていたが、5型の登場以降は155mm口径に設定が統一されている。
設定上は初期型の150mmから改良が進んで155mmに強化されたものとされる。

使用する砲弾も通常の榴弾に加えて、徹甲弾、焼夷榴弾、閃光弾、演習用のペイント弾など多岐に渡り、目的に応じて切り替えが可能。
ゾックを正面から粉砕したのも特殊新型砲弾かも知れない。

給弾は砲塔基部に弾薬を配置したリボルバー式の自動装填装置、砲弾の切り替えは車長の音声認識によってオートで行われるのである程度なら連射が利き、左右の同時発射、交互に発射の撃ち分けが可能。
砲手の腕によっては左右の砲で別々の目標に命中させることが出来たという。

公式設定ではザクIIの装甲を一撃で貫通する火力を持つが、上記のように作品によって描写はまちまち。
「基本的には通用するが、当たりどころによっては弾かれる」くらいの認識が妥当だろう。

しかし、61式は電子装備による自動化ありきの設計なのでミノフスキー粒子の影響化だと命中精度が著しく低下して長距離の砲戦が事実上封印されてしまい、一年戦争後もMSが加速度的な進化を遂げていったことで戦車の時代は終焉となった。


  • 7.62mm主砲同軸機関銃
主砲同軸機銃。
対歩兵用なので当然だがMSには無力。


  • 13.2mm重機関銃 M-60 HMG
砲塔上部に備え付けられた重機関銃。
小隊支援火器を流用した物で、車長によって使用される。
座席からのリモコン操作も可能。


  • 5.56mm機関銃 M-299
砲塔後部のバスケットに装備可能なオプション装備。
これも歩兵用火器の流用。


  • スモークディスチャージャー
砲塔側面の発煙弾発射機。
装備数は型によって異なり、初代TV版は左右で3基の合計6基、2型と5型では左右4基ずつの計8基を装備している。


  • スカート
履帯周りに装備される追加装甲。
戦車戦では有効だったが、MSからの攻撃は基本トップアタックなので対MS戦では「無いよりマシ」くらいの効果しかなかった。



【主な活躍】

一年戦争を題材とした作品には十中八九登場するが、基本的にヤラレメカ以上の何者でもない。
しかしオデッサ作戦ではビッグトレーやデプ・ロッグ、フライマンタと共にその圧倒的物量を見せつけたり、『劇場版 機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士』ではアカハナのアッガイや立ちはばかるゾックを葬ったりと、活躍が無い訳ではなかった。
特にオデッサ作戦では5800両以上もの61式戦車が投入され、連邦軍の勝利に大きく貢献した。
しかし同時に損耗率も8割以上*6とされ、かなり凄惨な戦いであった様子。

また、ゲームのムービーなどの関連作品では戦術次第でザクを撃破していく様子が描かれていき、徐々に存在感を増していく。

そして遂に『MS IGLOO2 重力戦線』の第2巻“陸の王者、前へ!”にて主役の座を射止めることとなる。
小隊長兼車長のヤンデルの文言や号令に陸上自衛の協力を得て取り入れている他、通常榴弾(HE)の他、焼夷弾、閃光弾、装弾筒付徹甲弾(APDS)を発射している模写がある。


MSに比べて時代遅れではあるが、優れた戦車というだけあって連邦軍以外でもジオン軍が鹵獲車両が用いたという記録が残されている。
特に地球降下作戦初期には部隊に組み込まれることが多かったらしく、『U.C.ハードグラフ ジオン公国軍編』ではその様子が描写されている。
まあジオン製の主力戦車がアレだし……


漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では南洋同盟も運用していた。
『サンダーボルト』に登場するメカでは珍しくデザインがアレンジされていないが、アニメ版には登場しない。



【派生型】

61式戦車初期2型

TYPE61A2 MBT

型式番号:M61A2
全長:11.6m / 全幅:4.5m / 全高:3.6m

パラレルワールドである『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のアニメ版に登場したA2型という初期のタイプ。
この時点で既に衛星データリンクシステムを積んでおり、味方との連携が取りやすいものになっている。
デザインは5型を元にしているようで、TV版などに登場した初期型とは全く異なる。

劇中ではサイド3のムンゾ共和国の治安維持のため、ガンタンク初期型と共に多数が配備されていた。
この他、砲塔左右にミニガンと車体に増加装甲を追加した暴徒鎮圧仕様も登場した。

TV版の歴史では61式戦車が完成していないU.C.0058年にはジオン・ズム・ダイクンが「ジオン共和国の独立」を行い、結果連邦からの経済圧力を受けたという設定があるため、この時点で完成していない61式戦車はサイド3への配備はされていないと考えられる。


61式戦車5型

TYPE61A5 MBT

一年戦争当時の最新型。
一見すると『機動戦士ガンダム』に登場したものとは全く別の戦車に見えるが、実際に設定でも「初期型とはほぼ別物」という設定で、TV版のものは5型以前の旧型であるとされる。

初期型に比べれば段違いの性能を持つとされ、上記の設定は大体この5型で確立されたもの。
また、電子装備の発達に伴うオートメーション化の促進で乗員は車長兼砲手と操縦手兼通信手の2名にまで抑えられたが、これはミノフスキー粒子の登場によって電子機器の機能が制限されてしまったために省って運用に支障を来たすようになってしまった。

それでも大多数が地球上の各戦線に投入され、多大な損害を受けながらも大きな戦果を残した。


対空戦車

『ギレンの野望』のムービーに登場したもの。
TV版準拠の車体にゲパルト自走対空砲のような対空機関砲塔を取り付けたもの。
砲塔部分はガンタンクⅡの上部コックピットに類似した非装甲のキャノピーで乗員の生存率は低そう。まあMSや航空機からすればトップアタックが基本なので戦車の防御力なんて誤差なのだろうが…

具体的な設定等は不明。



【デザイン】

マゼラアタックが珍妙過ぎて目立たないが、『機動戦士ガンダム』作中に登場した初代61式は「連装砲塔で車体も砲塔も妙に高い」*7といったように、現実の戦車と比べれば十分特異な姿をしている。
もっとも、マゼラアタックやガンタンクに比べれば戦車の記号を守っているので目立たないが……
また『機動戦士ガンダム』の作画はやや不安定ではある。

カラーリングは薄紫が基本だが、レビル将軍の座乗艦バターンを護衛していたグリーン塗装のものやベルファストでゴッグと戦ったオレンジなど、よく観たら様々な塗装パターンが確認出来る。


その後『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』のOPに登場した際により現実味のあるデザインにリファインされており、5型が登場するまではこちらのデザイン準拠であることが多かった。
『MS IGLOO』に登場したCGモデルも『08小隊』版を元にモデリングされたものだが、微妙にデザインが変わっていて、こちらは弱冠車高が低くなっているのが特徴。

ちなみにセモベンテ隊が運用していたのは『08小隊』版デザインのCGモデルだが、5型の登場以降は後付で5型ということになっている。


そして『MS IGLOO2』に登場した5型は『第08MS小隊』版をより現実的なデザインにリファインしたもので、こちらの登場以降は5型準拠で描かれることが多い。



【その他の連邦軍戦車】

アニメでは61式だけが登場していたが、映像作品以外には他にもいくつかの戦車が登場している。

また、MSの登場以降、陸上戦力の主力はMSに取って代わられるかガンタンクⅡのようなモビルビークルに置き換えられてしまったが、どうやら新型戦車の開発自体は続いていたらしく、一年戦争以降もモブとして見慣れない戦車が登場していた。


61式の後継として開発が進められていた試作戦車。
開発途中でRX計画に組み込まれた為に中途半端な出来となってしまい制式採用は見送られたが、後にジオンの亡命技術者が計画に合流し、全面的な設計の見直しを経てガンタンクの祖となった。

ガンタンクの完成後も数両が残存していたようで、それらは陸戦強襲型ガンタンクに改造されて実戦に投入された。


MSとしては評価の低いガンタンクを「車両」として評価した連邦陸軍が構造を簡略化して量産化し、分類も「モビルビークル」として戦闘車両に回帰したもの。
61式の後継車両として主に局地戦・拠点防衛で活躍したとされる。


  • 43式戦車
小説『機動戦士ガンダム U.C.ハードグラフ 地球連邦軍編』に登場した61式の前の主力戦車。
主砲は61式と同じく155mm滑腔砲だが、単装。
一年戦争の時点では旧式もいいところなので、既に殆どが退役・解体済。残った物も演習用標的や工兵車両、近代化改修して偵察部隊などにLAVの代わりに配備されている。


  • M74-A4 74式巡航戦車
ゲームブック『機動戦士ガンダム 灼熱の追撃』に登場。
長距離偵察やパトロールに使用される連邦軍の大型戦車。
対MS用ロケットランチャーとビーム砲2門で武装しているが、火力も機動性も低く、図体ばかり大きくて性能は大したことがない。


  • M78-A 78式浮行戦車
こちらも『灼熱の追撃』に登場したもの。
こっちは駆動方式にホバーを採用し、主砲もビームライフル並の火力を持つ「ビーム戦車砲」という高火力・高機動を誇り、「MSキラー」として恐れられた。
……ここまで来るとMSいらねぇな!


  • MR75 ガンナー・ビークル
これも『灼熱の追撃』出典。
軽自動車くらいの大きさしかないホバー戦車で、武装も小口径砲と機銃のみ。
恐らく歩兵戦くらいしか想定していないと思われる。


  • キリマンジャロ基地の巨大戦車?
『Zガンダム』の第35話に登場した戦車らしきもの。ビーム砲らしき単装砲を備えており、ハイザックと共にカラバを迎撃していた。
驚くべきはそのサイズで、横にいるハイザックとの対比で2~3倍の体積を持つ。

ただ、デザインは戦車っぽいが足回りが雪に埋もれて見えないので、ぶっちゃけ砲台かもしれない。


  • トリントン基地のホバー戦車
アニメ版『機動戦士ガンダムUC』EP.4にチラッと映った謎戦車。
設定集などにも「型式番号・名称不明」と記載されているだけで見た目以外は何もわからない。
とりあえずホバートラックのようなホバー駆動であることと、恐らくビーム砲であろう主砲が一門あるというのはわかる。

トリントン基地に奇襲を仕掛けてきたジオン残党にプチモビや歩兵と共に攻撃を仕掛けようとした矢先、ザクⅠ・スナイパータイプの狙撃でまとめて撃破されてしまった。



【余談】

実は映像作品で“61式戦車”と呼称されたのは『MS IGLOO』が初めてだったりする。
というのも、最初に登場した時はは名称が設定されておらず、ムック本等で便宜上自衛隊の“61式戦車”から名前を借りた物がそのまま定着した為。


本車両の特色である「自動化による乗員数削減」は、現実でも賛否の分かれる行為である。
乗員数を少なくすると、非常時の対処にて人手不足が発生し、戦車の生存性が低下するためである。
イスラエルのタル将軍は「戦車が戦場で生き延びるには最低でも4人は乗員が必要」とのべており、彼が設計したメルカバ主力戦車は、自動装填装置を敢えて導入しないことで乗員を4人に増やしている。
メルカバだけでなく、M1エイブラムス(アメリカ)も同様に4人乗りとなっている。
他の戦車も同様の理由で、もっと乗員数削減できる戦車でも3~4人乗り(砲手・車長・操縦主、そこに装填手がいるかどうか)となっている。
61式は装填手のみならず、一番視界が狭い砲手が車長と一緒くたになっているため、IGLOOで描写されてるように周囲警戒がお粗末すぎる有様で、目の前で迂回されても気が付かなかったり、周囲の残骸にすぐ擱座したりと、明確にその欠点が描写されている。


プラモデル等を組めばわかるが、ドライバーズハッチが砲身基部の直下にある為、主砲が正面を向いているとハッチの開閉スペースが殆ど無いので上からの出入りが難しい。
緊急時には不安が残る構造である。

前述した通り「近付かれるとザクの上半身には砲塔が向かないので当てられない」という弱点があるが
戦車が仰角を取れなくて狙えないというのは 航空機かよほど高所にいる敵を想定したもの であり、
ザク程度の高さでは他の戦車とは 誤差程度の差しか無い。
仮に61式戦車とザクⅡを 完全に真っ平な地面に並べて みると、61式の砲塔は地上から約3m上で
ザク(17.5m)の上半身は地上から10m〜17mで、高度差は7mちょっとである。
ザクの立っている地点が1km先だとすればその上半身に当てるために砲塔を上に向ける角度は24度…ではなく0.24度である。*8
100mまで接近されると 4度 になる。通常時でもそのくらい上に向いてませんか?
地形の凹凸や角度の方がずっと要素としては大きい。
20m以内に踏み込まれると20度以上になるので確かに間に合わなくなるのだが、
本当に踏まれるレベルまで寄られなければ仰角が足りないから狙えないという状況にはならないので
MSなら映像美の都合で戦術面の関係で近接戦闘が発生しうることもあるが
61式にしてみれば砲撃戦で負けるのはまだしも、仰角がザクに届かないほど近付かれた時点で仰角以外の要因で詰んだようなものだろう。



ガンプラ

主に08小隊版デザインかイグルー2版デザインでの立体化が主流。

HGUC「ザク地上戦セット」に1/144スケールで5型が同梱。
1箱に2両が入っており、グレーの単色成形ながらディテールが細かく爆発エフェクトや破損した履帯などのオプションも付属する。
ただし爆発エフェクトまでグレー単色なので塗装しなければ使いどころは無い。

UCハードグラフでセモベンテ隊の5型が1/35で発売している。
こちらはHGよりは複雑なくらいで一般的な戦車模型よりは遥かに作り易い。
あと、デカい。
付属品として連邦兵3人、エッチングパーツ、水転写デカールが付属。

ガンプラ以外ではMIA陸戦型ジムの付属品やマイクロウォーズで08小隊版が発売されるなど、脇役メカにしては豊富なラインナップとなっている。


一方でTV版デザインは森永のミルクキャラメル、マイクロコレクション、SDガンダムフルカラー、ハイパーガンダムなど色々と出てはいるが、食玩やガシャポンなどが中心の販売経路なので現在ではどれも入手困難。



ゲーム

初代から参戦。専ら縛りプレイのお供。
低ステータスながら主武装の(というか唯一の武器)155mmキャノン×2はそれなりの威力と長射程であり、連携によってザクぐらいなら十分渡り合える。
さらにこの機体の開発を進めていくとなんとRXシリーズの機体を開発可能である。まぁキャタピラ繋がりのガンタンクなのだが、ここからガンダムに辿り着くのも不可能ではない。
……え、ジムとコアファイターを設計*9?なんですかそれは

サイズ補正もあってパイロットもユニットも育っていない初期状態ではなかなか活躍するが、素の性能は低いのである程度自軍が育つと射程が長いだけの鉄屑と化す。
合掌。

シリーズお約束で、改造していけばいくらでも強くできる。しかも本来が低スペックなので、改造レベリングのための必要経験値も低い。つまりすごい勢いで強くなる。
素の射程が長いのも相まって、強化改造すれば小回りの利く恐るべき威力を持った砲撃要塞が出来上がる。
ちなみに初期シリーズではこの61戦車とザニーが地上戦最初期のメインとなるため
大砲がメインのせいで攻撃中々当たらない」のがアンソロ4コマでネタにされた。


仮にも戦略SLGなだけあって、かなり優遇されているシリーズ。ジオンのザクに比べると順当に弱いが、その分コストも安く、費用対効果という点ではどのタイトルでも決してザクに引けをとらない。
ただし完全に使い捨て前提のユニットなので、間違ってもパイロットを乗せてはいけない。
攻略本でも「大量生産して一機でも多くのザクを道連れにしろ」などと身も蓋も無い事が書かれてる始末。

そのため連邦軍プレイの場合、61式戦車とその輸送機ミデア、及び優秀な航空機群を活用することで、「V作戦? 何それおいしいの?」と言わんばかりの速攻でジオンを圧倒することも可能なほど。
ただし優秀なのは優秀だが、自軍の航空機群があまりに優秀すぎて割りを食っている部分がある。
ザクへの攻撃はデプ・ロッグやフライマンタが担当し、ドップやガウからそれを守るのはセイバーフィッシュやTINコッド…と、戦闘自体は航空機だけで充分事が足りてしまうのである。
戦闘で重要な要素となる拠点の制圧は61式戦車のような地上兵器にしかできないのだが、それでも「戦闘しないんなら戦闘能力は別にいらないよね?」と、61式戦車よりさらに安価で索敵能力が高いホバークラフトで代用されちゃう事も…。
ただし例外として「独立戦争記」では、主砲の射程が「1-2」であるため
数さえ揃えて同作独自の「策略」で自軍に+補正を掛け捲れば、ザクをボコボコにすることも不可能ではない。


  • ジオニックフロント
リアルシミュレーションということもあって洒落にならない火力を叩き出す。
防御が間に合わない場合、重装甲機でもない限り即死レベルである。
本作ではMSの動作は鈍重であり、ブースターによる跳躍やダッシュも不可能、FCSでロックしないと射撃もできないなど地形や環境の影響をもろに受けることもあって、61式戦車相手でも慎重な対処が必要になる。
射程や火力の面から真っ向から勝負を挑むのは無理があり、遮蔽物やスモークを利用して接近するか迂回して側面や背後を突くなどしっかりとした行動をとる必要がある。
小説版の描写と全然違うんですけど


主にジャブロー系ミッションやオデッサ作戦に登場。MS戦が主流の本作でもご多分に漏れず、例によってMSには全く及ばないザコ敵以外の何者でもない。
キャンペーン限定で生産された特別版『角川書店連合企画 特別編』ではコマンド入力で解放され、地上戦の好きなミッションで使用できるものの、基本的には縛りやネタプレイの範疇である。

しかし、シロー編バーニィ編の追加ステージ「ハードコア」では一転、シローや08小隊の面々はもちろんアムロ・カイ・ハヤト・セイラ・クリス・エイガーといった連邦軍のエースパイロットたちが搭乗エイガーの本業。
前者はアプサラスの射爆場を舞台に、シャア・ラル隊・三連星・ガトー・ライデンなどのジオン軍エースが乗るマゼラアタック
後者はリボー・コロニーを舞台に、シャア・ラル・三連星・ガトー・ノリス・アイナ・ララァが乗る戦闘ヘリとともにアムロ率いる61戦車部隊と大乱闘するという、とんでもないネタミッションが用意されている。
いずれも『角川版』では機体を変更できるため、自分だけMSに乗る虐殺プレイも可能である。


  • ガンダムバトルシリーズ
『タクティクス』~『ユニバース』ではジオン系ミッションでの雑魚敵として登場。
数が多かったり的が小さかったり、うっかり近接攻撃をすると自機の足が止まったりで下手なジムより厄介な相手。油断しているとHPをガンガン削られてしまう。

『アサルトサヴァイヴ』ではIGLOO勢やその他の派生機体が追加される中、マゼラ・トップと共にまさかの参戦。
当然ながら全体的な能力は総じて低く、これで戦い抜くには相当な愛が必要。

だが、主兵装の二連装主砲の威力はなかなかのもの。副兵装の煙幕と併用すれば結構戦えるかも…しれない。SPAは主砲を一斉に乱射する。


ちなみにマゼラアタックやヒルドルブにも言えることだが、戦車系機体でジャンプやダッシュをすると、機体の真下のスラスターで飛んだり跳ねたりできる。
華麗にステップを踏むこともできる。 


61式戦車「君はいつから私がスラスター移動をできないと思っていた?」
ザクⅡ「なん…だと……?」


…を地でいく。
更に、クリア後のご褒美である機体の限界突破チューンを施すと、ファンネルすら余裕で避わす超機動で敵MSを空から蹂躙する空中戦車と化す。


61式戦車「君はいつから私が空を飛べないと思っていた?」
キュベレイ「ええい、この俗物が!!」


オデッサのステージで拠点の横に二機配備されている。
以前はニューヤークにも大量に配備されていた。タンクの砲撃一発で破壊できる。また攻撃が当たると地味に痛い。







追記・修正はホワイト・オーガーを倒した方がお願いします。

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最終更新:2024年04月18日 11:32

*1 61式の完成度が高すぎて後継車両の開発が難航していたようだ。

*2 作中では不意を突いた上でも全弾避けられてしまう描写がある。

*3 例えば20mmという口径なら現実に歩兵の対戦車や大型獣用のライフル級で存在しているが対戦車ライフルという用途は第二次世界大戦中に通用しなくなり陳腐化している。それより口径が上回る&その後弾薬などの性能を向上させたと考えても限度があるしMSは戦車をほぼ全ての面で上回る設定なのでやはり厳しいだろう。またこの程度の機銃でも簡単にMSを撃破可能なら、敵も誘導兵器が使えず対空性能は微妙で機動力も宇宙に比べれば圧倒的に劣る以上、地球での緒戦でどう考えても連邦がああまで圧倒されていなかったはずという話になる。

*4 年表によるとジオン共和国(国家元首ジオン・ダイクン)が独立を称して国防軍を発足させ、連邦から経済圧力を受けたのはU.C.0058。61式戦車が完成する前だった。

*5 アッガイに関してはガンダムのビームライフルで撃破されるシーンを流用した為。ゾックも映像の流用だが、本来のTV版だと全く効いていなかったシーンから持ってきたうえに破壊される場面が無いのでいつの間にか登場しなくなったようにしか見えない。

*6 少なくとも4600両以上が失われたことになる。

*7 シーンによってはMSの腰くらいもあるが、流石にこれは極端な例。

*8 現実の戦車であれば敵戦車との距離が1km前後であれば相手が多少動いていても自車の測定機器と目視だけで当てられるレベル。

*9 多くのシリーズでガンダムを設計できる組み合わせ。