カタハネ

登録日 :2011/01/22(土) 16:28:43
更新日 : 2017/08/24 Thu 13:28:46
所要時間 :約 8 分で読めます




2007年1月26日にTarteから発売された9作品目にして最終作。
(Tarteはこの作品を最後に消滅、現在は10mileとして同メンバーで活動中)

2016年、リマスター版として「カタハネ An' call Belle」の発売が決定しました。 またPSVITA版の発売も検討中とのこと。


原画:笛
シナリオ:J-MENT


【世界観】
20世紀ヨーロッパ風の世界(車や鉄道は普通にあるが、パソコン等は少なくとも一般には普及していないくらいの時代設定)を舞台に、劇の上演を目指し旅をする少年たちの物語『シロハネ』

シロハネよりも昔、赤・青の二大国間で揺れる白の国で起きた悲劇『クロハネ』
で構成されている。(シロハネの途中にクロハネが挿入される形で展開)
ちなみにクロハネ時代の赤・青・白の三国は、シロハネの時点で一つの国にまとまっている。


【システム】
一般的な恋愛ADVと違い、複数の登場人物の視点で話が進行する、群像劇形式を採っている。各人が自分視点時に地の文で心情を語るこのスタイルは、にぎやかで付いたり離れたり(カバのせいで物理的な距離が)するシロハネ、陰謀劇の中敵対する両者を描くクロハネ両方の世界観とマッチしており、感情移入しやすい設定になっている。
【用語解説】
<人形>
貴石と呼ばれる石の力で動く、人間に似せて作られたもの。人形技術はクロハネの時代以前から存在している。
木偶同然のもの、また人と見分けが付かない程の高い完成度のものまで様々。後者は自身の意思や感情を持つものが作中で見られる。貴石の純度が保たれる限りは、調律というメンテナンスによって長い年月にわたり生き続けられる模様。

シロハネの時代では人形の存在は珍しいものとなっており、いくつかの技術は失われ、人形調律師の数も減少しつつある


<天使の導き>
上演に何がしかの事故が重なると噂の舞台劇。シロハネの時代に伝わる史実に沿って演じられる史劇である。

後見人のアイン・ロンベルクに支えられ、名高い人形調律師でもあるクリスティナ姫が国を治めていた白の国の物語。

表向き忠臣として振舞いながら、赤の国と青の国の間に戦争を起こさせようと画策していたアイン。彼は計画を阻む青の国の大使だけでなく、さらにクリスティナを殺害する。最終的に計画は失敗に終わり逃亡を図るも、クリスティナが生前教育していた人形に導かれた赤・青の両軍によって討ち取られることとなる。
以上が劇のあらすじであり、脚本ごとに若干の違いがあってもほぼこのとおりに演じられてきたが…。


【ストーリー】

ある日、小説家を目指す少女ワカバは「アインは実は善人であり、最後まで裏切らない」という解釈の「天使の導き」のアレンジを考えた。
このことを裏付けるため、ココのメンテナンスに向かうついで、ベルやココ、弟のライトと共に、劇団員探しの旅はスタートするのですが……。



◆登場人物
【シロハネ】
○アンジェリナ・ロッカ
青の都ブリューでこつこつ頑張る女優の卵。孤児院在住。
肉屋でアルバイトをしつつ、現在「天使の導き」でクリスティナ姫役のオーディションを受けているが…?
男性が苦手。というよりガチレズ。ただ、恋愛対象としては見られないというだけで、友人付き合い程度なら可能。かつて現在の大女優マリオンに思いを寄せていたが、告白前にそれとなく振られている。
何故か某所ではすっかり変態淑女キャラと化している
○ベル
白銀の村ジルベルクにレインとともに静かに暮らしている人形。
歌が好きでかなり上手なのだが、人前では歌うことが出来ない。
背中に一枚の白い羽根を持っている。

○ココ
モスグルン郊外にセロと暮らしている人形。かなり古い作ではあるが、見た目通り小さい子供のような性格。
話し方に癖があり、ワカバを「カバー」、ライトを「ラーイー」、そしてなぜかアンジェリナを「マー」、ベルを「ファー」と呼ぶ。

○ワカバ・フォーレ
モスグルン在住のパン屋の娘。小説家を目指している。夢に見た内容から新解釈の「天使の導き」を考え出す。
一行のフラッグシップであり、同時にトラブルメーカー。問題のたびにへこむ姿がかわいいよカバ。

○セロ・サーデ
ココと同居している歴史学者志望の青年。落ち着いた性格で基本的に怒ることのないお人よし。
付き合いの長さもあり、ココの言いたい事を容易に読み取れる。が、ココの由来に関しては知らず、ココ自身忘れている。
一行のまとめ役でもある。夏休みになり、レインからココの調律を打診されたことが旅へとつながる。

○ライト・フォーレ
ワカバの弟で、よくココと遊んでいる活発な少年。家の手伝いである朝早くからの牛乳配達によく文句を言っている。
ワカバの貰い手はセロにしか任せられないと思っている。

○レイン・ヘルマー
ベルと50年以上ともに暮らしてきた国宝とまで言われるクラスの人形技師。が、初見では「普通のおじいさん」。
セロのパトロンであり、数年に一度ココの調律を請け負ってもいる。
なぜかベルのことは名前で呼ばない。


【クロハネ】
●クリスティナ・ドルン
代々最高峰の人形技術を伝えてきた白の国において歴代トップクラスの調律師と名高い若き女王。
やさしく我慢強い性格で、他人への無理強いを好まない。
エファ・ココとともに、初代女王の伝記を基にした劇「天使の羽ばたき」の練習に励む。

●エファ
赤の国より貸し出された、国宝と名高い演劇人形。
演劇以外の時間を与えられてこなかったため、白の国での生活に初めは戸惑い、少しずつ親しんでいく。
嘘がつけない。

●ココ
青の国より貸し出された人形。時流に沿わずデフォルメされた「お人形」然とした造形をしているが、変わった新技術が用いられている。生みの親は既に死去しているが、「人の死」を実感として理解できず、白の国に来た当初パニックを起こした。
アインがくれるお菓子が好き。ニンジンとピーマンが嫌いなのはエファとの秘密。

●アイン・ロンベルグ
先王よりクリスティナの後見人を任せられた若き摂政。実質的に国を動かしている人物。
人材不足の白の国において仕事が多く、約束どおりに執務室の明かりが消えたことがない。たまにココとの会話で息抜き。
後世では主人と国を裏切った逆賊とされているが…。

●デュア・カールステッド
クリスティナの護衛隊長を勤める騎士。名門の出ではあるが女性に生まれたことを親に悔やまれている。
女性らしい仕種や格好が自分に似合わないと思っており、ときたまアインにはからかわれる。
ひたすら生真面目だが、ココには態度が柔らかくなる。

●ヴァレリー・ジャカール
白の国に赴任してきた青の国の親善大使。かなりの切れ者である素振りを見せる。
物分りのいい男が   す    き  。

●ハンス・ブラント
2年間の青の国での大使の任を終え、ヴァレリーと同時期に白の国に帰国した。
頭は切れるものの精神的に弱さがあり、動揺が表に出やすい。

●ユッシ・オズボーン
元外務大臣。外務大臣補佐に降格させられたため、アインに反感を持つ。
過去のある出来事のせいで、人形が苦手。



以下、ネタバレ注意













言ってみれば当然ではあるが、過去であるクロハネは既に結末が確定している。
メタ的な表現では、本編中に選択肢が全く登場しないという事。
セロが作中語るように、「過去の出来事は(プレイヤー含む)誰にも変えることができない」のである。

今を生きるシロハネにのみ、複数の未来は許される。


本作のルートは3種。まず1、2周目は

アンジェリナとベルが結ばれる
「アンルート」
セロとワカバが結ばれる
「カバルート」(←ルート名は真面目にこれ)

のどちらかに分岐する。
共通部分が多めなので2周目はスキップ率が多い。全く同じ話が挿入されるクロハネは丸ごと飛ばすことすらできる。(ある意味親切)
シロハネの終わり方も消化不良感がちょっと否めない気も…?

以下さらにネタバレ












3周目では、OPムービー最後のあの一節の意味が明らかになり、1・2周目でもやもやしていた伏線を全て回収する怒涛の伏線回収

一つの物語は終わりを告げ、


過去から未来へ―


物語は”ココ”から始まる―


クロハネにおける最後の物語(Secret Srory)が語られ、真実が白日のものにさらされるココルートに入ることができる。

1・2周目で語られなかった真実、ココの設定、とある人物の秘密など、細部まで張り巡らされた重厚なストーリーであり、特にラストシーンは専用BGMと相まって涙腺崩壊必須。

言葉にするのは軽々しいがプレイしていて、ただ単純に。涙が出る。




楽しくにぎやかで、時に悲しくなるが、どうしようもなく優しい気持ちになれる、そんなゲーム。
気になったらクロハネの声なし体験版もあるので気に入ったら是非プレイしてほしい。
会社が倒産した関係で中古でも割とお手頃な価格で手に入れることができる。




余談だが、エロシーンはクロハネ編で百合3、シロハネ編アンルートで百合2、カバルートでNL1、ココルートで百合1、NL2となっている。


なお、サウンドトラックはプレミアがついているので持ってる人は大事にしよう。

と思っていたら最近再販された。GJ。



ココ「んーと、んとね、つい、き、しゅー、せー、おねがい、します!」

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