陸一族(鉄鍋のジャン)

登録日 :2012/05/31(木) 07:55:12
更新日 : 2017/05/11 Thu 20:15:23
所要時間 :約 6 分で読めます




鉄鍋のジャン!』に登場する一族。

一族の長である百蘭王を頂点に中国料理界を牛耳っており、アジアの中華料理店は全て彼らによって支配されている。
料理店だけではなく食に関する物流や販売に到るまで支配下に置いている程その権勢は凄まじく、皇帝さえ逆らうことができない。

次世代の百蘭王候補である陸一族の修行は非常に厳しく、生まれてから最初に口にするのは母親の乳ではなく料理の基本である
まずは鍋を振るうことを繰り返し叩き込まれるが半数が脱落してしまう。

残った者は「百八厨房」に回され料理の五行を叩き込まれることになる。
火:鍋の温度などの火の扱い
水:料理に適した水の作り方
木:野菜や穀物の扱い方
金:包丁や鍋を扱う技術
土:食肉の扱い方

これらを全て極める事の出来たほんの一握りの者だけ、百蘭王になれる資格を得る。

作中では実孫の黄蘭青が選ばれたが他の百蘭王候補から物言いが付き、日本の料理大会で優勝したものが次世代の百蘭王となる事になり、ジャン達と勝負することになる。

  • 百蘭王
陸一族の頂点に立つ存在。
全盛期だった頃の実力は凄まじく、ジャンの祖父である階一郎とキリコの祖父である睦十が同時に挑んでようやく引き分けに持ち込めた程。
ちなみに勝負の内容は餃子をどちらがより多く作れるかというもので、味ではなく数で競うことになったのは「味での勝負だったら確実に自分の勝ちになってしまうから可哀想」という理由。
並べた餡の上に皮を置いてそれを 握る ことによって一瞬で餃子を作るという技術で階一郎と睦十の度肝を抜いた。
しかしそれは昔の話で、今では権力と過去の栄光にしがみついているただの老害となってしまっている。

  • 陸延雀
日本の中華料理人を「心が無い形だけの中華料理を出す連中」として見下している眼鏡の男。
百蘭王の握りの技術を習得していたが、ジャンの握りをさらに改良した 秋山醤式ギョーザ包み改 の速度には敵わなかった。
さらに自身の作った餃子の中に口が閉まりきらないものがあったことに気付かず、中身の臭みが他の餃子に移ってしまうという大失態を犯してしまう。
会場から出て行こうとした所を醤達に呼び止められ、尋ねられるまま前述の百蘭王についてを話した。
名前の由来はおそらく「小者」を意味する「燕雀」、かませは運命か…

  • 陸顔王
スキンヘッドで眼鏡の巨漢。
延雀同様日本人を馬鹿にしている節がある。高級料理志向。
ジャンの秋山醤式ギョーザ包み改を一目見ただけで習得してしまう程の実力を持っている。
調味料対決において尋常ではないインパクトと悪臭を誇る高級魚、ネズミハタから魚醤を作り出し、悪臭を全て消し去った上でウズラ肉のたたきと合わせた料理を作った。
生臭い魚と肉を上手く組み合わせた料理だと絶賛されるが、ジャンの「飲めるラー油」を使った誰にでも受け入れられる炒飯には及ばず敗北。
ジャンからは「ネズミハタの醤は悪くはなかったが、それに頼り過ぎたな」と評された。

  • 陸麗華
大会に出場した陸一族の紅一点。ちなみに彼女も眼鏡である。あとかなりの巨乳。糸目で常に好戦的な笑顔を浮かべている。
料理は傾向と対策 」が信念で、対戦する相手の事を入念に調べて傾向と対策を練るタイプ。「勝つ為だけに料理をしてる奴」とキリコの印象は悪い。
甘酸っぱい醤に鶏肉の揚げ物と昔から相性が良い組み合わせの料理を出したが、キリコの濃厚なアボガド醤と更に濃厚な仔牛の脳味噌という未来に繋がる新しい組み合わせの料理に敗れる。
でも狂牛病問題が起きた今じゃあ牛の脳味噌は食えんなあ。

  • 黄蘭青
笑顔を絶やさず寒いダジャレを連発する、穏やかな物腰の青年。
普段は他人をおちょくるような言動と飄々とした態度で周囲を煙に巻いているが、その正体は百蘭王の孫であり彼の後継者である。そして(事実上の)ラスボス
しかし黄本人は百蘭王の称号を継ぐ気など全く無く、自分の名前である黄蘭青を新たな称号として世界の食を牛耳るつもりでいる野心家。
普段の穏やかで飄々とした態度も、実際は 「自分が最も優れている」「食感を使い熟せない奴等に負ける筈が無い」 という不遜な自信家の本性を隠す仮面に過ぎない。

幼少の頃から階一郎による厳しい英才教育を受けてきたジャンと同様に、祖父の百蘭王から徹底的に料理の修行をさせられてきた。
大雨の降る中青龍刀の上で小石の入った鍋を振るわせられるなど。その為ジャンの背中と同じくほぼ全身に傷痕が残っている。
だが、不器用ながらも確かな絆のあった階一郎とジャンとは違い、過去に自分のことを「お前の代わりなどいくらでもいる」と言い放った百蘭王のことを毛嫌いしており「暴君のあなたが死んでも誰も悲しまないでしょう」と電話越しに言っている。

「料理は半歩先」 を信念としており、相手がどんな料理を作るのかを簡単に見抜くことが出来、また相手よりも美味い料理を簡単に作る事が出来る。要するに、後のジャンプ漫画に出てくるストーキング野郎の綺麗Ver。
主に料理の食感や料理の見た目のインパクトを重視しており、彼の作る料理はどれも豊かな食感に溢れ、ビジュアル的にもダイナミックな作品ばかりである。
自分が得意とする「食感」を(料理人にとっての)第四の武器と考えており、食感を使い熟せない他の料理人の事は内心露骨に格下と見下している。
大らかで飄々とした態度で誤魔化されがちだが、内心の傲慢さが滲み出ているのか試合態度は結構悪い。
試合相手の調理に度々アドバイスするかのように口を出して、自分の思ったような料理に改竄する *1 ことで相手の料理人としてのプライドをへし折ったり、
楊との対決では対戦相手であった楊の存在を無視してジャンと調味料対決を持ちかけることさえあった。
当然楊は怒り心頭であり、加えて度々出る態度の悪さはジャンもキレる程。

間違いなくジャンが戦ってきた相手の中では最強クラスの実力者だが、自らの十八番である食感に頼りすぎたり、自分の流儀を食べる者に押しつける無意識の傲慢さが唯一最大の欠点。
実際、それらが災いし最終決戦では二回連続で不覚を取ってしまった。


■陸一族の料理
  • 上海東風水餃子
延雀が醤との対決で作った料理。
醤油煮した干しナマコと豚肉を餡にした水餃子だが、握りが甘かったために一部口が開いた餃子が出来、具の臭みと脂っぽさが湯に流れ出してしまっていた。

  • 香蕉軟鶏塊
麗華がキリコとの対決で作った料理。
バナナ醤で鶏肉と青いバナナを炒めており、鶏肉は外はカラッと中はジューシーに仕上がっている。
甘酸っぱいバナナ醤との愛称は最高であり、さらに一緒に炒めた青いバナナの酸味が全体の味を引き締めている一品。
オリーブをあしらい、見た目の美しさも好評を得ていた。

  • 魚醤蒸肉餅
顔王が醤との対決で作った料理。
幻の魚ネズミハタを塩や赤米に漬け込んだ醤(鮒寿司に似た塩漬)で、クワイ・タケノコ・シイタケを混ぜたウズラ肉のたたきをハンバーグにしてサッパリとまとめたもの。
作る前に漂わせた異常な臭さは消えて好きな相手にはたまらない匂いになっており、肉をたたいた為に旨みが存分に生き、あんが掛かっている為のどごしも良く、混ぜたクワイやタケノコが食感を補い良いアクセントになっている。
審査員からは絶賛されたが、マイナーな料理の感は否めず、「誰からも親しまれる」ジャンの「飲めるラー油」には敵わなかった。

……ぶっちゃけ、普通の人に親しまれなければならない調味料勝負で わざわざ高級魚しかもまず嫌がられる臭い塩漬魚を使った時点で間違いだった と言わざるを得ないのだが。
ダメ押しとばかりに、「肉と魚の組み合わせは中国では良く食べられてる」と言われてたのがジャンの炒飯に移った途端「少し生臭い」とまで言われてしまったし……。
(ジャンにも「 魚醤を作るなら小魚で充分じゃねぇか 」と尤もなツッコミを入れられている)

  • 桂林三層塔炸餃子
黄が作った三重構造になった蜂の巣型の揚げ餃子。
蜂の巣のようなサクサクの皮、ねっとりとしたタロイモやタケノコの餡、チリメンキャベツのシャッキリ感。
これらの多彩な食感を一度に味わえる、まさに大食感と呼ぶべき料理。
そして餃子の中には紅酢のタレが仕込まれており、油を吸った皮のクドさを抑えている。
この餃子を作る際、材料からどんな餃子を作るかを読み、対戦相手に対し的確なアドバイスを送り盛り付けまで指摘して自分の良い様に変えてしまい、その上で僅差でこの餃子が勝った。

  • 特辣玻璃龍蝦
黄が楊との対決で作った料理。
同じ油を使って何度も唐辛子の成分を抽出した透明の極辛ラー油で伊勢海老を炒めたもの。
喉が焼けてしまうほどの凄まじい辛さだがその分エビの甘さを感じられる事が出来、
プリプリしたエビと合わせたクワイのシャキシャキした食感により極上の美味さを感じる事が出来る。
ジャンとの間で勝手に行っていたラー油対決においても生・乾燥させた物・塩漬けにした物の各三種類の青唐辛子を使って作り上げた為純粋な旨味も勝っている。
ただ、「普通の人にも親しまれるか」という点に関しては勝っているかと言われると微妙なところではある。
また、料理の異常なまでの辛さは、付け合わせの無塩バターを食べることで和らげることが可能。
伊勢海老の殻で作った龍のディスプレイを透明な支柱で支え、更に土台にドライアイスを仕込む事で空飛ぶ龍を彷彿とさせるなど、ビジュアル面でもド迫力のインパクトを与えている料理。


  • 鮫肉のフルコース
黄が鮫料理の課題で作った料理。

前菜は煮こごり。
ゼラチン、牛肉、押し豆腐、サメ肉のミンチといった各種具材の食感が渾然一体となって主張して来る一品。薄い醤油味。

主菜はサメ肉のしゃぶしゃぶ。
その名の通り、新鮮な鮫の身と心臓、そして生のフカヒレと魚肚のしゃぶしゃぶ。
身をきっかり2秒上湯スープの湯に通すことで、口の中で雲の様な軽い食感を楽しむことが出来る。
付けダレはピリ辛ソースとクルミのソースで、水っぽさを消し美味しく食べられる。
生のフカヒレはコリコリした食感。
鮫の心臓は箸で掴んだ途端に巻きついてくる程に力強く、口の中で踊る様な食感を楽しむことが出来る。
更にフカヒレのシャキシャキした歯応えや魚肚のプルプルとした食感まで味わえる。

デザートは八宝飯のアレンジ。
おはぎの表面にドライフルーツを飾った様な中国の古い菓子だが、中のサメ肉のミンチ、シロップに混ぜたフカヒレによって食感も味も抜群。

だが、鮫肉は2秒ちょうどで湯に通さないと味が大幅に劣化するという致命的な弱点がある。
しかも、そんなシビアな食材を食い手の好みに任せる「しゃぶしゃぶ」という形で出してしまうという大失態を犯し、あわや敗退の危機に陥った。


  • 水芙蓉蓮藕
黄が大会決勝で「21世紀に相応しいダチョウ料理」として出した料理。
すりおろした蓮根、ダチョウの挽肉、油で戻したアキレス腱、ボラの卵、蒸した金華豚を元の蓮根の形に成型し直し、薄い餡を掛けたもの。
全ての食材の食感を同じ柔らかさにすることで、ソフトクリームよりもなお柔らかいクリームのようなふわふわとした食感を実現しており、食べれば口の中で儚く溶けていく。
喉越しそのものが美味しく感じられ、食べる人間に「哲学」をも考えさせる脅威の一品。
「21世紀の人類は歯が退化するから、それでも食べられる美味しいもの」 というコンセプト。
後述の『荷華蓮藕蓬』同様、中国の崋山の山々に見立てて盛り付けが成されており、ビジュアル面でのインパクトや美しさも優れている。

  • 荷華蓮藕蓬
黄が水芙蓉蓮藕と一緒に出した料理。
歯が退化していない20世紀の人類には水芙蓉蓮藕は早すぎるという事で出した物。
見た目や材料は同じだが、こちらは蓮根やその他食材が持つ本来の食感を最大限に活かした、強烈ながらも心地良い食感を楽しむことができる。
材料は蓮根、青椒肉絲のように細切りにしたダチョウ肉、水で戻したアキレス腱、カラスミにしたボラの卵、茹でた金華豚。
同じ材料を使って全く違う食感を出した極上の一品。
厳密に言えば「21世紀の料理」ではなく 「審査員のための料理」 である。

だが2品共「『21世紀の料理』の課題にこだわり過ぎてテーマ食材の『ダチョウ肉』が活きていない」事を大谷につけこまれ、一点だけ減点された(確かに正論ではあったのだが)。


追記・修正は半歩先を読んでお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/