木連(機動戦艦ナデシコ)

登録日:2012/05/13(日) 15:37:58
更新日:2024/01/08 Mon 19:11:19
所要時間:約 4 分で読めます





※本項目は『機動戦艦ナデシコ』後半の重大なネタバレを含みます。




木連とはTVアニメ版『機動戦艦ナデシコ』の敵組織である。


概要

正式名称は星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家間反地球共同合体」

2196年に木星軌道以遠より火星に初めて現れ、フクベ提督率いる防衛艦隊と会戦。
重力波をバリアとして利用し地球側の兵器を受け付けず、一方的にやられた地球側は火星を放棄することとなる。
その後地球には木星蜥蜴なる、ただのエイリアンとして人々に認知されていた。
後述する理由から地球側の上層部が隠蔽していた節もあるが、ボソン・ジャンプ*1の都合上無人艦や無人機動兵器に頼っていたわけだから、無理もないことである。


その正体は、100年前に木星圏に逃れた人々の末裔。
およそ100年前にに移り住んだ彼らの先祖は地球から独立運動を起こすも、当時の地球側は月側に内紛工作を仕掛け月の独立派を追放してしまう。
独立派はテラフォーミング初期の火星へと逃れるも、地球側は火星に核ミサイルを撃ち込み彼らの殲滅を図る。
しかしなお生き残った人々は木星圏になんとか逃れ、そこで先史文明の遺跡を発見。それを利用し独自の国家を建設、地球に復讐するために戦争を仕掛けることになる。

ただ、この100年前の事実は地球側の機密とされ、一部の人物以外には秘匿されている。
実際、ネルガル側の人間で知っていたのは少なくとも劇中では会長のアカツキと秘書のエリナのみであり、
連合軍から派遣されていたムネタケ・サダアキすら知らなかった。


劇中中盤まで無人兵器頼りであるが軍人もおり、遺伝子改良によりボゾン・ジャンプに耐えられるようになったエリート部隊は「優人部隊」と呼ばれた。
…有人と優人を掛けたダジャレか?
劇中では月臣や秋山が所属しており、また草壁中将はその隊長である。

また劇場版に登場した北辰も草壁中将直属の秘密工作部隊の隊長である。

文化としては日本文化の影響が濃く、例えば畳があり名前なんかは日本人の命名法そのものと言っていいくらい。(当時、地球では日本人でもカタカナ表記が一般的)
独自の格闘技として暗殺術を始め木連式柔術や抜刀術等が存在する。
この辺はTV版の後にネルガルのシークレットサービスとなった月臣が劇場版で披露しており、復讐者となったアキトにも伝授している。

遺伝子改造の結果、女性の出生率が非常に低いという種族的問題を抱えており、木連の男たちは「女性に優しくしろ」と徹底して教えられる。
(この手の作品で多い女尊男卑的な思想は特にない)
地球圏に裏切られ続けたことから、や卑怯なことを最も嫌悪すべき行為とも考えている。

また特筆すべき事として、木星圏へ逃れた時に所持していた唯一の娯楽である「ゲキ・ガンガー3」が聖典として崇められている。
それは有人人型兵器のジンシリーズやそのパイロットスーツのデザインに顕著に現れており、
草壁を初め軍部がプロパガンダに使用している為に軍人達のノリもそれである。
16話では白鳥と月臣が会話する際に、彼らの姿がゲキ・ガンガーの主人公達そっくりに描かれるという演出もあった。
しかし、聖典とされるゲキガンガーだが、旧世代の作品、そして木連の祖先達が地球圏から避難してきたという経緯もあり、
一部の話が消失するという憂き目にあっている。
……ただ敵との対話、理解の可能性などをテーマとしたエピソードはプロパガンダとしてゲキガンガーを利用したい上層部が封印した様子。
尚、消失した話は、優人部隊の白鳥九十九少佐が地球の戦艦(ナデシコ)から脱出した際に、データディスクを入手。
そのことを知った月臣以下優人部隊員達は大いに喜んでいた。

そんな木連にも転機が訪れた。優人部隊の白鳥九十九が地球との和平を唱え始めてしまったのだ。
それを軍の穏健派に利用される事を嫌った草壁は親友である月臣に白鳥を暗殺させ、それを地球の責任にし一気に穏健派を押さえ込もうと画策。
かくして白鳥はその負傷が原因で死亡し和平の道は絶たれ、あまつさえ草壁は白鳥の死を国葬というプロパガンダに利用してしまう。
木連とネルガルはそれぞれ火星の極冠遺跡を押さえるべく行動を開始する。
しかしナデシコにより極冠遺跡は宇宙に投棄されてしまったあげく、その場でアキトとユリカの痴話喧嘩を傍受した月臣や秋山は呆れ返り、
もはや戦闘を続ける必要もなくなり有耶無耶になってしまう。

その後月臣を始め若年将校による「熱血クーデター」があり、草壁は行方不明になる。
和平を成功させた木連は連合陸海空軍に併合し統合軍となった。
だが、全ては終わっておらず演算ユニットを奪った草壁派はアキトやユリカを誘拐し、火星の後継者として蜂起する日まで表舞台には出てこない。


使用兵器

●無人機

一部を除くとどれも3m~5m程度と主役メカであるエステバリスよりも小さい。
なおここに挙げるものは全て地球側による命名に準じており、本来の運用者である木連側の呼称は不明。
作中では「昆虫型戦闘機」など一般名詞は登場するが固有名詞は出てこない。

  • バッタ
黄色い汎用型。最も多い機体で、ミサイルを発射して襲ってくる。
バリエーションとしてさらに小型のコバッタ、ディストーションフィールド搭載機の新型バッタなどが存在する。
スパロボでは最初からディストーションフィールドがついていることがあり、新型バッタはフィールドを強化した機体という設定。
なおゲーム中では機体性能は上がったがディストーションフィールドの性能自体は変わらない。
木連内部ではコバッタが下級労働ロボットとして利用されている。
後に劇場版ではユーチャリスも使用した。

  • デビルエステバリス
バッタ、コバッタが鹵獲したエステバリスに無数に張り付いてジャックした姿。
原作では1回しか登場しないが、スパロボRではお約束通りデビルガンダムに乗っ取られて大量に出現する。
後に『The blank 3years』ではデビルテツジンも登場した。

  • ジョロ
赤い陸戦型。バッタに抱えられて飛翔することが可能。
一部、エステバリスより大型のジョロも存在する。

  • オケラ
地中潜行型。火星で出現した。

  • ゲンゴロウ
水陸両用型。北極海でエステバリス部隊を襲った。

  • カナブン
飛行型。

  • ヤドカリ
バッタよりさらに小さい寄生型。本来は電子作業用に作られた下級労働ロボット。
菌糸のようなケーブルを飛ばし、人間用の兵器をハッキングして動かす。
Yユニットの電子頭脳「サルタヒコ」と結合した個体は、IFSを使用したユリカやルリ、パイロットたちの性格を一変させてしまった。

かつて本編から250年ほど前にドイツ陸軍が作っていた兵器。
余りに時代遅れだったため、当初ナデシコクルーたちは何が攻めてきたのかすらわからなかった。
廃棄されていた兵器工場をジャックしたヤドカリにより動かされ、ナナフシに近づく相手を攻撃する。
それにしても、どうやって弾を込めていたんだろう?

タイガー軍団のボス。タイガー戦車の3倍以上の巨体を持つが、下は無防備ということに変わりはない。
架空の兵器かと思いきや、実は実在した兵器だったりする(こんな巨体ではないが)。

  • シーラカンス(仮称)
『The blank 3years』に登場する海中用無人兵器。
魚型のロボットで、エステバリスも海中戦用でなければ間違いなく倒されていたであろう強敵。


●無人艦

  • カトンボ
「レーザー駆逐艦トンボ」とも。
地球側のリアトリス級と大差ないサイズだが、重力波によるバリアで火星上空の会戦では一方的な戦闘を繰り広げた。

  • ヤンマ
カトンボの強化版。

  • ナナフシ
クルスクに出現した超巨大レールガン。飛行している物体を狙撃して落とす。
地上で着弾すれば、ガンマ線が発生し都市一つが一瞬で消し飛ぶ威力。
厳密には艦艇では無いが便宜的にここに分類する。


●チューリップ

地球側からは当初無人機母艦の扱いを受けていた*2が、木連が「次元跳躍門」と呼称するように、正しくはボソンジャンプ(ワープ)用のゲート。
なお虫ではなく花の名前なのは“Cellular Hangover from Unkown Labyrinthine Intelligence of Prehistorical age”、つまり「先史時代の謎めいた未知の知性が残した細胞質の遺跡」の頭文字とのこと。
艦艇や兵器扱いされていないのは突っ込んではいけない。あとUnknownのスペルミスも突っ込んではいけない。
アニメのOPのラストで登場するのは火星近海での戦いで落下し、コロニーを圧し潰した個体。ナデシコが火星到着した際にグラビティブラストで消滅した。


●有人兵器

  • ジンシリーズ
短距離ボソンジャンプ能力、ディストーションフィールド、更にグラビティブラストを装備した二足歩行メカ。その大きさはエステバリスの4倍以上。
ほぼマ○ンガーモビル○ーツ並みである。
テツジン、マジン、デンジン、ダイテツジン、ダイマジンなどがおり、いずれも「ゲキ・ガンガー」の主役メカを模している。
ダイデンジンがいないのは、完成前に戦争が終わったためという設定(メタ的には名前被りを避けるためと思われる)。
スパロボでは九十九や月臣が味方になるため自軍側で運用可能。
Wでは九十九が原作では乗っていないマジンに乗り込み、「マジン・ゴー!」と言うというアブない回もある(それも本人の前で)。わざわざマジンを水の中に沈めていた。
2週目では乗るのは原作通りのテツジンだが、今度は「スクランブルだ緊急出動! メカニック・スイッチオン!」とか言い出す。元ネタがいない分より危なくなった感がある。

  • 有人ミサイル
コックピット付きの巨大なミサイル。
勿論自爆用の特攻兵器というわけではなく、着弾前にコックピットを切り離して突撃させることで、敵艦にボソンジャンプさせずに仕留める。


●有人艦

  • ゆめみづき
九十九が艦長を務める戦艦。
劇場版では統合軍に引き渡しとなった。

  • かんなづき
秋山が艦長を務める戦艦。敵艦内部に直接爆弾をボソンジャンプさせるチート兵器「跳躍砲」を内蔵。

  • かぐらづき
木連旗艦。宇宙ステーションのような形状の超大型艦。

  • れいげつ
市民艦。

スパロボでは

基本的にどの作品においても当初は謎のエイリアン扱いされる(主人公たちが劇場版の時代からタイムスリップしてくる『R』を除く)。
その後、原作通りナデシコ側が九十九を拿捕して正体がわかり、和平に赴く…までは原作通りであり、
スパロボ補正により九十九を生還させ、原作よりスムーズに熱血クーデターを起こして和平成立となることが多い。

その出自故、ネオ・ジオンギガノス帝国といったスペースノイド相手にも「地球人」に対する憎悪故か結託する事は無く、
『W』で密かにザフトと取引していたり、『BX』でヴェイガンと同盟を結んだくらい。
(Rではネオ・ジオンに潜入していたフロスト兄弟に操られたりしていたが)
宇宙人であるはずのグラドスとも『J』では結託していたが、同作では角が無い為にボアザン星人から揃って猿扱いされる屈辱を受けた。

聖典である『ゲキ・ガンガー』に関しても、ゲキ・ガンガーみたいな作品が山ほど登場するだけあってコラボレーションの題材にされまくる。
『W』ではファーストコーディネイター・ジョージ・グレンが友好の証として持ち込んだという凄まじい設定*3であり、
その甲斐あってか『ゲキ・ガンガー』の悪役キョアック星人など目ではない程に下劣で残虐な異星人が攻め込んできた際には
あまりの極悪ぶりに怒り速攻で地球と和解という斜め上のクロスオーバーが行われた。
なお『V』でも設定上は『W』と同由来ながら、裏である黒い陰謀が働いたことにされている。


余談

漫画『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』では一貫して「木星兵器(ジュピトリアン)」と呼称され、バッタ、ジョロ、カトンボが序盤に出てくる以外全く登場しない。
チューリップもモノリスになっているし、途中から遮光器土偶火炎土器要塞が登場する始末。
何とその正体は並行世界の日本からやってきた邪馬台国であった。「嘘つけ」って? 騙されたと思って読んでみろ。




追記修正はゲキ・ガンガーを全話見てからお願いします。

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最終更新:2024年01月08日 19:11

*1 ワープのようなものと思えばよい(実は違うと最終回で明らかになるが)

*2 実際、無人機母艦として運用されているボソンジャンプ機能の無い小型のチューリップもあった。

*3 なお後に「緊張のあまり間違えて『ゲキ・ガンガー』のディスクを渡してしまった」という笑撃?の真相が判明する。