ハーメルンのバイオリン弾き

登録日:2010/03/11(木) 06:15:46
更新日:2024/04/18 Thu 01:22:54
所要時間:約 7 分で読めます




月刊少年ガンガンにて1991年~2001年まで連載された渡辺道明の漫画。
単行本は全37巻。
本作の二十数年後を描いた続編「ハーメルンのバイオリン弾き~シェルクンチク~」がヤングガンガンにて連載していたが、人気不振により盛り上がりかかったところで打ち切りの憂き目に合う。
現在は、作者の渡辺道明のが運営するサイトの電子書籍形式で「続・ハーメルンのバイオリン弾き」が自費出版されている。



魔王を倒すため魔族の支配する「北の都」を目指し旅を続ける仲間達

「旅の勇者ハーメル」
「心優しい少女フルート」
「愛の勇者ライエル」
「亡国の王子トロン・ボーン」
彼らの姿を熱く描いた、ファンタジー作品。


【~ストーリー~ 】
北の都を目指し、旅を続ける勇者ハーメルは、立ち寄ったスタカット村で身よりの無い少女フルートと出会う。

それはハーメルと仲間達の過酷な冒険の旅の始まりだった。

旅の中で愛の勇者ライエル、亡国の王子トロン・ボーン等の心強い仲間を加えていくハーメル一行。

そして明かされるハーメル、フルートの出生の秘密。

様々な困難を乗り越え仲間達は旅を続けていく……



【~用語~】

○魔曲○
曲を演奏することで作曲家達の想いを力に変える能力。
他人を操ったり、強力な魔獣を呼び出したりと様々な効果がある。
作中で多くのクラシックの名曲が登場し、その蘊蓄が披露された。

○パンドラの箱○
邪悪な魔族が封じられた箱。
ハーメルの母パンドラが開けてしまう。

○スフォルツェンド公国○
魔法兵団を率いて、魔族に対抗する女王の治める国家。
その王族は強力な魔力を持ち、人類の希望となっている。
ハーメル一行も序盤に訪れており、彼等の旅を様々な点で支援した。

○北の都○
ハーメル一行の最終目的地、大魔王ケストラーが治める魔族の都。

○魔界軍王○
魔族の四つの軍団「冥法軍」「幻竜軍」「妖鳳軍」「超獣軍」の指揮官。
「冥法王ベース」「幻竜王ドラム」
「妖鳳王サイザー」「超獣王ギータ」
で結成されている。
それぞれ絶大な力を持ち、ハーメル一行の前に立ちはだかる。












この様に設定だけ書き出すと真面目なファンタジーマンガに見えますが。
実際はぶっ飛んだ思考のキャラクターが暴れ回るギャグ重視のファンタジーです。
ただしシリアスパートに入るととことんシリアスな上に、陰惨な鬱展開が容赦なくぶっこまれる。


この先の登場人物紹介はネタバレが含まれています。
御注意下さい。








【~登場人物~】

【勇者一行】

  • ハーメル
CV:矢尾一樹(ドラマCD・劇場版)
本作の主人公。
巨大なバイオリンを担いだ美青年。
大魔王ケストラーと人間と天使の血をひく女性パンドラの息子。
大魔王の血の暴走による魔族化を恐れていたが、本人の成長や仲間達の協力により克服していき、その力を逆に利用して戦う場面も増えていった。
卑怯で金に汚い外道勇者。バイオリンの音色で呼び寄せた鳩を撲殺して丸焼きにしたり、村人に法外な報酬を要求するほか、
ヒロインに着ぐるみを着せて金儲けに利用したり、仲間に肉体・精神両方の面で大ダメージを与えるイジメをしたりと暴れまわる。
しかし、ファーストキスからセカンドキス、サードキスまで男に奪われるなど、それまでの悪行のしっぺ返しのごとき被害も喰らいトラウマになっている。
鍋とコタツを愛し、ポセイドン(海の守り神)や仲間を鍋の具にしようとしたり、北風が吹き荒ぶ中でコタツの素晴らしさを語って仲間達を行動不能にしたりした。
最終的にフルートと結婚する。

  • フルート
CV:横山智佐(ドラマCD・劇場版)
本作のヒロイン。
スタカット村に住む身寄りのない少女、なのだが実はスフォルツェンド公国女王ホルンの娘であり、第一王位継承者。
第一次スフォルツェンド大戦中、まだ物心がついていないフルートを戦火から逃すため止む無く籠に入れられて城から流され、スタカット村で拾われて育った。
かなり頑丈な体をしており、死んでもおかしくないような状況下でも生き残る。
そんな彼女を一言で表すと「不憫」。
問題児だらけのパーティを一身に支える苦労人。まな板の為ヒロイン失格と言われる。
一応ヒロインなのだが、キグルミを着て大道芸をさせられたり、操られた者の寿命を削る上に地獄の筋肉痛に見舞われる副作用がある魔曲をガンガン使われて魔族と戦わされたりとかなり不幸。
体の限界を超えて操られ続けたせいか、素で石柱ぶん回して戦ったりするようになってしまった。
彼女の家系が寿命を削って他者を癒やす治癒魔法の関係で極めて長寿なことが救いである。
最終的にハーメルと結婚し、沢山の子宝に恵まれる。しかしハーメルのギャンブル癖が原因で家計は火の車が続き、魔曲と治癒魔法の酷使もあって寿命は人並みの長さまで縮まっているという。
スーパーファミコン版のゲームでも、ハーメルに魔曲で操られたりぶん投げられて武器にされたり、乗り物にされたりなどとかなりひどい扱いであった。

  • オーボウ CV:佐藤正治(ドラマCD・劇場版)
ハーメルと旅をする喋るカラス。
ハーメルの最大級の被害者。
かしこいカラス君として芸をさせたり、バニーガールのコスプレさせたりとか父親と思っている相手にやる事ではないぞハーメル…
その正体は元妖鳳王(ホーク・キング)オーボウ。魔族の中で殺戮を嫌う変わり者だった。
魔族時代は序列2位の実力者だが実際は序列1位の冥法王ベースすら超える力の持ち主。
真の実力はあのケストラーにして「お前がいれば魔族は半分といらなかった」と言わしめるほど。
ハーメルが魔曲を使用する際の解説役でもあり、『19〇〇年に〇〇が作曲した~』等、こちらの世界の西暦や音楽家名を当たり前のように喋っているが、これについてツッコミが入ったことはない。

CV:関俊彦(ドラマCD・劇場版)
ハーメルの幼なじみで親友にして最大級の被害者。
愛の勇者を自称し博愛主義。フルートよりライエルの方がかわいいと読者からお便りが来た事も…
黄金のピアノを担ぎ、精霊の火の鳥を呼び出す姿はなかなかイケメンだが、500キロ近くあるピアノに潰されたりしてよく行動不能に陥っている。
女性に免疫がなく鼻血を出して倒れることが多い。その出血量は作中で一二を争い、何度も失血多量で死にかける。
サイザーが仲間になってからは気絶しながら鼻血を出し、妄想の世界に旅立つことが何度かあった。
最終的にサイザーとバカップル化を経て結婚する。そんな体質のせいで一人娘が生まれるまでサイザーは相当苦労したらしい…

  • トロン・ボーン
声:坂本千夏(ドラマCD)
魔族に亡ぼされた騎士の国ダル・ セーニョの王子。
なかなかませた子供で、その行動はハーメルに近いものがある。
そんな彼だが剣士としての才能はあり、旅の中でスクスクと成長していく。
最終的にはまさかのコルネットと結婚。それまでフラグらしいものは一切(厳密にはある事はあったのだが)無かったため、ファンを驚かせた。
コルネットに1年に1回の「発作」はあるものの、まあなんだかんだで幸せらしい。

声:佐久間レイ(ドラマCD・劇場版)
魔界軍王No.3、妖鳳王サイザー。
九人のワルキューレを呼び出し華麗に戦う。
ハーメルの双子の妹だが、赤ん坊の頃に魔族に連れ去られ、魔族に都合の良い嘘を教えられて育った。
魔界軍に身を置いているが、彼女の本当の目的は魔族を封印することだった。
しかし計画は失敗に終わり、なんやかんやで魔界軍を離反。ハーメルの仲間になる。
仲間になってからは、素直で世間知らずな性格をダメな兄に利用され、コスプレ衣装を着せられてライエルを死の淵に追い込んだ。
また、ワルキューレ達もキャピキャピした女子高生軍団のように変貌してしまった。
最終的にライエルと結婚した。


【勇者一行の関係者】

  • オカリナ
サイザーが連れている白いカラスで、サイザーの副官。
正体はオーボウの娘でムチムチセクシーなお姉さん。
サイザーの育て親と言うべき存在で、幼いサイザーのたった1人の友達だった。
サイザーが母親に愛されていたのを知っていたが脅迫されて言えず、サイザーに積年の孤独を抱えさせてしまった事に罪悪感を抱えていた。

  • ホルン
CV:島本須美(ドラマCD)
スフォルツェンド公国の女王。
フルートの母親で、ハーメル一行の旅を支援する。
癒しの魔力を持つが、戦火で傷ついた国民や臣下達を癒やすためにその力を酷使し続けてしまい、その寿命は第二次スフォルツェンド大戦勃発時にはあと3年まで削られてしまっていた。
その影響はやがて急激に老いる形で外見にも現れ、口布で隠すなどして誤魔化し、フルート達には決して弱った部分を見せようとしなかったが、その裏では頻繁に吐血するなど体調面でも追い込まれていく。
なんだかんだ親バカ。暴れフルート牛祭りやフルートなまはげなどの祭りを考案する。

フルートの兄でスフォルツェンドの第一王子。故人。
第一王子ではあるが、スフォルツェンド王国は代々女王が治める国であるため王位継承順位はフルートより下の2位。
人間からは「スフォルツェンドの守護神」と讃えられ、
魔族から「スフォルツェンドの魔人」と畏怖されるほどのチート級の戦闘能力を持っていた。

  • クラーリィ・ネッド
CV:子安武人(ドラマCD)
スフォルツェンドの魔法兵団を束ねる兵団隊長。
金髪垂れ目の外見を初対面のハーメルにホモ呼ばわりされて以来、顔を合わせばけなし合う犬猿の仲に。
初登場はシリアスキャラだったが、妹のコルネット登場後はシスコンぶりを遺憾なく発揮。

  • コル・ネッド
クラーリィ・ネッドの妹にして作中トップレベルのネタキャラ。あだ名は「コルネット」。
フルートに魔法を指導するために一時的に仲間になる。
素晴らしい性格の持ち主。ハーメルに一目惚れし、邪魔な(自分の国の王女である)フルートの抹殺を企む(モチロン失敗に終わる)。
その後、フルートの教育が終わりクラーリィに祖国へと連れ戻される。
しかし彼女の活躍は終わらない、ハーメルを諦めきれず、黒魔術に手を出し邪悪な儀式を失敗してしまう。
結果、作中最高レベルの戦闘能力を持った邪神として爆誕してしまう。
その力は魔族の幹部すら一蹴する。
必殺技は「聖母殺人伝説(ジェノサイド・エクストリーム)」
まさかのトロンと結婚。一国の王女になった。

  • パンドラ
ハーメルとサイザーの母親。北の都で水晶の中に閉じ込められている。
ハーメルの音楽家の腕は彼女の手ほどきによるもの。ハーメルの使うバイオリンも元々彼女が使っていたもので、パンドラ自身も「運命」「火刑台上のジャンヌ・ダルク」といった魔曲を用いて冥法軍を相手に孤軍奮闘するシーンもあった。
彼女も作中最高レベルのネタキャラ。
冷遇と迫害が原因で患った極度の人間不信と、生来の心優しい性格から来る「人を信じたい」という相反する気持ちが鬩ぎ合って暴走してしまい、被害妄想→情緒不安定に暴れまわるその姿はいっそ清々しくもある。
自分をだましたケストラーを心の中ではまだ愛している…らしい。

  • ヴァイ・オリン
パンドラの箱を作り出した世紀の発明家にしてマッドサイエンティスト。
ある意味全ての元凶。
ハーメルのバイオリンにミサイルやレーザー、ジェット飛行等の余計な機能を追加した。
実はハーメルとサイザーのお爺ちゃん(=パンドラの父)。
ついでに天使。


【魔族】

この作品における敵。異形の怪物「魔族」達が集まって結成された軍勢。
主である大魔王復活を目的に、全世界で破壊と殺戮の嵐を繰り広げている人類最大の怨敵であり、人類からは「千億の絶望」と恐れられる。
構成員が軒並み屑やド外道しかいない残虐非道、冷酷無比の軍団として描かれている。
基本的に殺人を快楽として捉え、人間の苦しみを糧や娯楽としている。
故に遊び半分で人間を嬲り殺したり殺戮する者が殆どであり、人間に対する認識は「餌」でしかない。
魔族において、人殺しを忌諱するような思想は異端中の異端である。
加えて命が長命なため、生物が持つ子孫を増やすといった概念も極めて希薄。
戦車や戦闘機などの兵器を保有しているが、基本的に兵器よりも自分の力に絶対的な比重を置いている。

強大な戦闘力を持ち合わせているが、最大の欠点として魔族にとって魔力=生命力であり、
自身の魔力を使い果たしたら最後、肉体がヒビ割れ粉々になった末に塵に還ってしまう。
力を持った魔族であればあるほどそれに比例して魔力の消耗が激しく、そのため魔力の供給源たるケストラーのいない現在、軍王や副官クラスの強大な魔族は基本的に魔力を著しく消費する真の姿になることはできず、力を抑えた仮の姿で活動することを強いられている。

「人間どもめ、苦しめ…悲しめ!!もがき絶望に堕ちるのだ!このケストラーが恐怖を与えてやる!苦痛を…怨みを、狂じる憎悪を、闇を、混沌を!!死をな、ハハハ!」

CV:上田祐司
本作のラスボス。
ハーメルとサイザーの父親。
少年漫画史上トップクラスの下衆。


  • 冥法王(ヘル・キング)』ベース 
「まさに…“想い”という死の道を逝く…巡礼者たち…だな……」

CV:緒方賢一(ドラマCD・劇場版)
スケルトンなどアンデッド系の魔族で構成された「冥法軍」を率いる魔界軍王No.1。
「冥王」「ケストラーの右腕」などの異名を持つ冷酷非情な策謀家。
大魔王不在の魔族を北の都から指揮する最高指揮官として君臨する。
強大な魔法の使い手でもあり、ケストラーに対する忠誠心は厚い。
隻眼のオッサンの首を手に持った軍服を着込んだ青年だが、本体はオッサンの首。
首を持った青年は、第一次スフォルツェンド大戦で戦死し、魂を抜かれたフルートの兄リュートを反魂の法で蘇生させた人形。
しかし第二次スフォルツェンド大戦では窮地に瀕したクラーリィ達をリュートが援護し、フルートの不幸を心中で嘆くなど完全にベースの制御下にあるというわけではなかった。


  • 幻竜王(ドラゴン・キング)』ドラム
「この幻竜王ドラム様は…強エェのよ」

CV:郷里大輔(ドラマCD)
リザードマンなどの竜人やドラゴンで構成された『幻竜軍』を率いる魔界軍王No.2。
非常に荒々しく、短気で粗暴、頭が悪く傲慢という典型的な脳筋。
軍王の中でもタフさとパワーは随一という双頭の竜人。
自身を最強の存在と豪語している上に我欲も強く、ケストラー不在の現在の状況を見て第二の大魔王になろうとしている野心家。
魔族の中でも一際大きな巨体と巨大なメイスを振り回し暴れ回るが、体内に30体もの竜を飼っており、両腕から体内の竜たちを解放して、竜が放つ様々なブレスと噛み付きで戦う広範囲殲滅戦法も取る。
一方で多彩な技とスピードを駆使するサイザーとは犬猿の仲であった。
真の姿は48本の首を持つ巨大竜ヒドラ。
スフォルツェンド公国で大暴れするが、リュートの氷縛結界で動きを封じられ、トロンに身体を斬り裂かれた上、
クラーリィが有事の切り札として膨大な法力を蓄えさせていた耳飾りをドラムの体内に叩き込んで起爆させ、トドメに魔王の力を部分的に顕現させたハーメルの拳で魔界軍王最初の犠牲者に。
その後は死に体の状態で文字通り這いずりながら敗走していたが、追ってきたギータに助力を請うもトドメを刺された*1挙句、血を舐められたことで能力までコピーされた。
死亡後も回想シーンなどでそれなりに出番があったが、その殆どが力任せに暴れてはあっさり倒されるという清々しいまでの噛ませ犬だった。哀れ。
しかし北の都での最終決戦では……。


  • 超獣王(ヴォーリア・キング)』ギータ
「私に対しての素晴らしい口答え…反抗…、イイですねェ。もちろん簡単には殺しません。しつこく殺させていただきますよぉー」

CV:二又一成(ドラマCD)
ミノタウロスや人狼といった獣人で構成された「超獣軍」を率いる魔界軍王No.4。
みんなにチ○ポと呼ばれる
蹄を備えた狼の背中から騎士のような上半身が生えた異形の犬の獣人。
魔王軍一の剣客であり、普段は卓越した剣技とコレクションとして集めた魔剣の特殊効果を使って戦う。
相手を問わず丁寧語で喋る慇懃無礼な性格。
魔王軍の中ではコミカルな態度や言動、強者に媚びる平身低頭な場面が多いコメディリリーフポジションだが、
その本性は異様に執念深い魔王軍でも屈指の下衆。同時に野心家としての一面もある。
そもそも剣に拘る理由が「自身の純粋な魔力は他よりも劣るものの、剣を使えばどんなに強い相手でも嬲れ、もがき苦しむ様を眺められる」という、最低最悪の剣士。
普段は強者に媚びへつらいながら、いざ自身を見下していた相手が弱れば嬉々として剣で斬り殺そうとする陰湿な性格。
他人の血を舐めるとその者の能力を得ることができ、ドラムの竜やサイザーの翼をコピーした事によってキメラと化し、中盤ではあのサイザーが慄くレベルの存在となっていた。
最終決戦ではギリギリで生き残り、魔王の血を舐め最強に…といういい所で「聖母殺人伝説」の犠牲となった。
真の姿は双頭の地獄の番犬ケルベロス。


  • オル・ゴール
「“苦しみ”を笑顔に…、楽しくゆかいな…狂気の世界へ!!どウダイ…!!これがボク…地獄の道化師オル・ゴールの…大サーカスだよ!!」

冥法軍No.2。
「死のオル・ゴール」「死神(ジョーカー)」「道化師」といった異名を持つベースの副官。
道化師のような格好をし、上官のベースにもふざけた態度で対応する陽気な性格。
オーボウいわく「魔族の中でも最低最悪の糞野郎」
幻術や深い未練や怨念を持つ死者の魂を操って相手を動揺させトラウマを抉り心を弄ぶなど、まさに最低最悪のいやらしい戦い方をする死霊使い。
自分自身も不死身を誇り、その不死性を生かして高みから死者やトラウマに翻弄され苦しむ他者の姿を「あー楽しィ」と嘯いて嘲笑う陰湿な性格。
実はピエロの仮面が本体。身体は過去にサイザーが滅ぼした国の王子の死体。
一時期だけ暴走したハーメルが壊滅した町の住人の男になったりと、ターゲットをとことん精神的にいたぶるチョイスをする。
ちなみに(口癖の)モデルは職業・殺し屋。でおなじみ西川秀明。


  • ピック
「どーせもーすぐおっちんじまうんだ…」
「ぶっ殺してやるのが法律心(リーガルマインド)というもの」
「そーだね。“裁き”は“死刑”です。死になさい」

15年前の第一次スフォルツェンド大戦にてスフォルツェンドを襲った魔族の一人。
「法皇」「悪魔王(エビルマスター)の異名を持つ魔族。
軍王の名を冠してはいないが、格としては軍王クラス。
悪魔型の魔族のリーダーを務め、ベースを尊敬している。
見た目は左肩に「弁護」、右肩に「告発」という2つの顔を持ったヤギの角を生やした美青年。
普段は両肩の顔と常に会話している。
魔族の犠牲になった人間の魂を本の中に閉じ込めた上で「陪審員」と嘯いて、両肩の顔と共に人類にとって理不尽な裁判を行うのを好む。
……が、陪審員といっても発言の自由は当然ながら皆無で、ピックの意にそぐわない発言をすれば即座に殺されてしまう。
真の姿は三つの首を持つサバトの黒山羊。


  • ヴォーカル
「お前らバッカじゃねぇーかぁ!!人間って奴ぁよ!ぶっ殺すもんじゃねェかよぉ!!」

500年前に大魔王ケストラーに反抗し幽閉された魔族の罪人。
見た目はパンクロッカー風の服装を纏った青年で、魔力を抑制する鉄球を装着させられている。
人間も魔族も気に入らなければ見境なくいたぶり破壊し尽くす残虐非道な快楽殺人鬼。
魔族の中でも破格の強さを誇り、人間を只管イビリ抜いて殺す趣向から「魔族の中の魔族」と恐れられる。
ハーメルへの当て馬として解放され暴れまわりハーメル一行を追い詰めたが、自身の魔力を顧みない暴走を続けたが故に急激に寿命を擦り減らしてしまい、子どもの姿にまで縮んでしまう。
最終的はオル・ゴール曰く「絞りカス」という状態まで追い込まれ、散々振り回したオル・ゴールに処分されるような形でケストラーに捧げる聖杯の中身として回収されるという自業自得の最期を迎えた。


【その他】

花売りの少女を守る最強の作曲家。
並の魔族相手なら無双出来るほどの力を持ち、北の都での最終決戦にも参戦。
正体はハーメルに魔曲で呼び出された謎の存在。
最後は彼なりのハッピーエンドを迎える。


【余談】

少年ガンガン隔週化時にはもともと多かった1話あたりのページ数を維持しようとする無茶をやらかす。
しかしやはり無理があったのか、不必要な大ゴマや見開きによるページの水増しが目立つことになってしまった。
ストーリーも陰鬱な展開がいつ終わるともなく続き、単行本からは表紙の描きおろしやカバー裏のおまけコーナーが消滅するなど、
この時期の話はファンからの評価も芳しくない。この作品も大失敗に終わったガンガン隔週化の被害者といえよう。

またアニメ化もされたが、基本的に原作通りの劇場版(グルグルロト紋と同時上映)はともかく、
TV版はキャラといいストーリーといい全く違う上、持ち味だったギャグが皆無な上にハードで暗い世界観なため、視聴には覚悟が必要。
作品のテーマとも言える音楽の評価は非常に高いが、音楽に予算を使いすぎたらしく他の部分は……。

スーパーファミコンソフトとしてゲーム版も発売されている。ジャンルはアクションで、設定は原作漫画準拠。
キャラクターなどは最序盤のノリで、フルートをマリオネットにしたり、コスプレさせたり、乗り物にしたりと酷使してステージを攻略していく。
原作再現度はなかなかだが、本当に序盤のストーリーまでしか盛り込まれておらず、ラスボスはサイザーで他の魔界軍王の皆さんはまったく出番がない。
また、当時既に当たり前となっていたセーブができない等の欠点も多く、ゲームとしての完成度は残念ながらあまり高くない。

追記、修正お願いします。

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最終更新:2024年04月18日 01:22

*1 一部媒体ではその際に「バーカ」とギータに吐き捨てられている