闇の力(仮面ライダーアギト)

登録日:2011/06/28 (火) 20:27:02
更新日:2024/02/22 Thu 01:10:42
所要時間:約 5 分で読めます




元始にテオスありき。
テオス、光と闇を分かち、昼と夜を分けぬ。 天と地とを分かち、陸と海を分けぬ。
世界の創られしはこなり。
テオス次にエルを創り、マラークを創りぬ。
マラークをかたどりて動物を創り、己をかたどりて人間を創りぬ。
世界は楽園なりき。

やがて人間増え、地に満ちれり。
人間のいわく、
「我らテオスの形なり。されば、我らエルやマラークに勝るべし。
マラークの形なる動物ども、我ら家畜としし従えん」
マラークらのいわく、
「見よ、人間の動物どもを家畜とし従えしを。
我ら人間を家畜とし、従えん。さもなくば殺すべし」と。
ここにマラークと人間の戦い始まれり。
その数各々二億にして、戦い40年に及べり。

7人のエルの一人プロメス、人間を助けんと地にくだりて人間と交われり。
プロメスと人間の間に生まれし子供、これネフェリムなり。
戦いの挙げ句プロメスは殺され、マラーク勝利せり。
エルらのいわく、
「我ら大洪水を起こし、プロメスの子らも、彼らの従えし動物らも全て滅ぼし尽くさん」と。
即ち欺くなりて、水が地の表を40日に渡りて覆いたりき。

テオス深く悲しみ、人間と動物の1対ずつを方舟に乗せ、洪水を生き延びさせたまいけり。
40日を経てのち、水の枯れ、人間の生き残れるを見て、エルら怒りて言いけるは
「テオスよ、人間は汝に逆らう者。ならばすべて殺すべし。
彼ら、すでに汝の創りたまいし人間ならずして、ネフェリムなれば」

テオスの言いたまいけるは、
「エルどもよ、我が言葉に逆らいしは汝らもひとしからん。
人間の再び増え、地に満ちる日まで、
我は我と、汝らを封印せん而して、
人間が果たして我に逆らう者らなりや確かめるべし」
即ち欺くなりぬ。


闇の力とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーアギト』に登場する存在。
そしてアンノウンの黒幕で、「アギト」の力を持つ人間を抹殺すべく、エルロードをはじめとする「アンノウン」を送り込む。

◆幼児(演:八木優希)
◆少年(演:神木隆之介、穴井隆文)
◆青年(演:羽緒レイ(現・羽尾明))

与那国島で発見されたオーパーツに隠されていたDNAモデルを再現した結果、赤ん坊の姿で生まれ、短期間で成長、中性的な外見の青年となった。
「アギト」の力を持つ者をアンノウンに殺害させているが、「アギト」の力を持たない人間は(邪魔しない限りは)決して襲わないよう命じており、
これを破ったアンノウンには自らの手で自らを殺すという裁きが下される。

劇中では瀕死の重傷を負って錯乱したスネークロード アングィス・フェミネウスが只の人間を殺した際、制裁を受けた。
ビーロード アピス・メリトゥスも触覚を斬り落とされて混乱した時に無差別殺戮を行っているが、こちらは制裁される前にアギトに倒されている。


青年の姿に成長した後、「あかつき号事件」の生存者である三浦涼子を自ら殺害したが(針金で絞殺するという妙に生々しい方法で殺害している)、
いくらアギトの力を持つ者とはいえ、愛する人間を手にかけてしまったために心に傷を負い、
風谷真魚の助言を受けた氷川誠にわざと逮捕されて精神病院に落ち着く。

その後、過去に最初のアギト=沢木雪菜を殺した(実際はアギトの力に錯乱して飛び降り自殺しようとする雪菜の手を「放してしまった」だけなのだが)功績を持つ沢木哲也(本物の津上翔一)を蘇らせ、
力と永遠の命を与えてアンノウンだけでなく、人類の側から「アギト」を滅ぼさんとするも、人類の可能性を信じた沢木哲也はこれを拒否し、「アギト」達の覚醒を促し、彼らを導く者となる。
沢木が自らの意に反した行動を取っていることは当然知ってはいたが、特に処罰はしなかった。
「アギト」の力を憎んでいるのは確かなのだが、「ギルス」は少々違い、その末路を知っているのか、葦原涼の境遇を哀れんだのかは不明だが、
変身の副作用で倒れた涼を介抱すると自らの力で治療し、あまつさえ恐怖に怯える涼の攻撃をわざと受け止めるという行動を取っている。
これはアンノウンにも言える事で、津上翔一をつけ狙った水のエルも涼の事は積極的に狙ってはいなかった(ただし、闇の力程寛大ではなく、向かって来るなら容赦無く始末しようとしていたが)。

因みに劇中で「ギルス」の名を使ったのは闇の力のみである。

そして、アンノウンが「アギト」の力を持つ者達に敗れ続けるのを見て、遂に自ら行動に移る。


※以下正体及びネタバレ
























その正体ははるか昔、世界を創造した創生者(テオス)の「闇の力」。分かりやすく言えば、」というべき存在である。

彼は自らの創造物の中でも、自らに似せて創った人類を特に愛していた。
しかし、その人類にエルロードが1人、「光の力」こと火のエル(プロメス)が「アギト」の力を与えようとしたこと
(理由は不明だが、恐らく人類の可能性を信じた「光の力」による彼なりの褒美)で、憎しみの戦いの末に「光の力」を倒す。

しかし、「光の力」が最後の力で全人類に「アギト」 の力を与えたため、一度大洪水で世界を滅亡させた。
だが愛する人類を滅ぼせなかったので、全動物のつがいを一組ずつだけ生き残らせた(ノアの方舟や、プロメテウスが元ネタだろう)。

その後、人類が再び繁栄する中で自身が制御出来ない「アギト」が生まれる事を嫌い、抹殺すべくエルロードを解き放ち、
自身もオーパーツにDNAを残し、アギトが生まれ出した頃に現代に復活出来るよう、布石を打っていた。



劇中で分かるのはここまで。裏設定では更に深く掘り下げられたが、上記との矛盾も存在する。


※更にネタバレ
















終盤、翔一=アギト、涼=ギルス、木野薫=アナザーアギトからアギトの力を奪うが、
その際、氷川=仮面ライダーG3-Xの援護を受けた翔一に殴られ、アギトの力を奪い返されてしまう。

愛していた人類から攻撃を受けた…その事実に狼狽した闇の青年はもはや人類は愛すべき対象ではなくなったと判断し、人類自体を滅ぼそうとする。
手始めとして、「蠍座の人間にドッペルゲンガーを見せて死なせる」というゲゲル…じゃなくて殺害計画を実行。
この時、涼の恋人の水原リサも犠牲となった。


ドルド「ゲゲルのルールは『蠍座のリント全てに幻覚を見せて殺す』」

バラのタトゥの女「出来るのか?」
闇の力「容易い」


そして自身を「風のエル」「地のエル」に護衛させ、翔一達にぶつける。

しかし、「風のエル」「地のエル」は敗れ、アギトの攻撃を受け、人類を見守る方向に考えを改め、姿を消した。



その後、眠りに就く中でそれに伴って永遠の命を失った沢木と再会。

人を信じるか否かで揺れる胸中を吐露するも、あくまで信じることへの迷いを見せない沢木哲也に見送られながら「闇の力」は今度こそ何処へともなく姿を消し、沢木はその生涯に幕を閉じた。

なお、この時の沢木の眼差しは、それまでの「アギト」と人類の葛藤と戦いを見守ってきた者としての強い意志と自信に満ち溢れており、
同じように劇中の行く末を見守ってきた視聴者の胸を熱くさせる。


「きっと俺が、勝つさ!」



仮面ライダーディケイド「アギトの世界」】

「闇の力」は登場しないが、その代わりとも言えるバッファローロード タウルス・バリスタがアンノウンのリーダーとして登場。
こちらの世界でも人間を守ろうとしているようだが、やはり「人は人であればいい」とその進化については否定的であり、芦河ショウイチ=エクシードギルスを付け狙っていた。
しかし、自身の言葉を門矢士に「お前の道案内なんか必要ない」と否定され、最後はアギトに完全覚醒したショウイチやディケイド=士、小野寺ユウスケ=G3-Xに敗北した。

詳しくはバッファローロードの項目も参照。






【能力】

創造主というだけあって、その力は全知全能。本来アギト達が何人いても、彼らが束になってかかっても相手にならない。

しかし、人類を愛するが故にG3-Xの攻撃を防ごうとしなかったり、「アギト」の力を奪われた翔一に殴られたりと、その強さを示す機会には恵まれなかった。

絶対的存在であるが故にちょっとでも想定外のことが起きるとすぐに動揺したり、
上述のようにたとえアギトでも殺すと深く悲しんでいた事から、「豆腐メンタルの神様」なんて呼ばれることも。


劇中で見せた能力は

アンノウン(エルロード)創造・吸収
時間操作
瞬間移動
天体をも移動させる程の念力
死者の復活
人間に永遠の命を与える
特定の人間を殺す
人類全員を自殺させる

恐らく、人類が「闇の力」の全能力を把握することは不可能である。
グロンギを超えるという設定であるアンノウンの黒幕として、前作『仮面ライダークウガ』のラスボスン・ダグバ・ゼバからのスケールアップを図ったとも受け取れる。
知名度は低いが、そのスケールや実力はライダー史上最大最強と言っていいだろう。

闇の力がこれほどの力を以て本編中でやろうとした事は、「スープ作ってる時に光の力がカレールー入れてカレーにしようとしたのをおたまですくってスープに戻そうとしている」レベルだけど


ここまで、書くと『アギト』は仮面ライダーにそぐわないオカルトな作品だと感じる人もいるかもしれない。

しかし、『アギト』本編で描かれた「創造主への反逆」は元々『サイボーグ009を始め、晩年の石ノ森章太郎先生氏が描こうとしつつも、完結出来なかったテーマである。
加えて前作『クウガ』で描かれたヒーローとしての仮面ライダー、そして『アギト』次回作『仮面ライダー龍騎』で描かれた同族同士の殺し合いなどなど……
形は違えど、平成以降の仮面ライダーシリーズも根底では昭和ライダーと同じ側面を持っているのだ。







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最終更新:2024年02月22日 01:10