高速バス

登録日:2013/07/17 Wed 13:24:28
更新日:2024/01/12 Fri 12:43:50
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高速バスとは高速道路を用いて都市間、あるいは都市とTDRなどの観光地の間を結ぶバスのこと。
日を跨いで運航する場合は「夜行バス」、朝や昼に出発してその日の内に到着する場合は「昼行バス」と呼ばれている。

北海道の某番組のファンには「深夜バス」と言ったがなじみ深いかもしれないが、
深夜バスの本来の意味は路線バスと同じルートで深夜帯に運行するバスや、郊外へ向けて走る鉄道路線の終電を逃した人のために終電後に運行されるバスのこと。終電後に郊外へ向けて走るタイプは特に「深夜急行バス」と呼ばれ、路線バスタイプの車両を使う場合でも座り心地のいいシートベルト付の座席を装備していることがある。


【利用方法】

基本的にネットや電話、窓口(事業者による)で予約してから利用する。
支払いは振り込みかクレジットカード、窓口での支払いになる。乗車の際に運転手が徴収するケースは飛び乗り以外ほぼ無い。
利用する当日に予約を試みても予約で埋まっている場合が多い為、なるべく余裕を持って予約するように。(事業者によっては早めの予約で割引が効く)
特に繁忙期や大型のイベントがどこかで開催される時期は、数週間前に予約をしても残席0~一桁になる事も。

座席の指定はかつては対応しない事業者が多かったが、近年は座席を自由に選べる箇所が増えている。

乗車の際にはあらかじめ設定されている場所で待機し、バスの到着まで外か、事業者によっては待合室で待機する。
そして座席表に従って指定された席に乗車し、目的地へ向かう。

【予約の取り方】

  • 予約センターへ電話
  • インターネットのサイトを操作する
  • 窓口で係員と対面で予約する

電話で予約する場合、予約センターの営業時間内に乗車日、乗りたいバスの便名・番号、人数などを伝え、予約センターから伝えられる予約番号を控えて窓口などで支払・発券する。当然のことだが予約センターの営業時間内でないと利用できない。

インターネットの予約サイトは深夜帯でも受け付けていることが多く、忙しい社会人や学生にはこれが最適。予約サイトは主要なものが3つ。
  • 高速バスネット
  • ハイウェイバスドットコム
  • 発車オ~ライネット
高速バスネットはJRバスとそのパートナー会社が、ハイウェイバスドットコムは京王バスとそのパートナー会社・九州の会社が、発車オ~ライネットは前述の2サイトに参加していない会社が主に利用している。路線によっては複数の予約サイトに対応していることもあるので、あるサイトで満席と出ていても別のサイトでは空席ありと出ていることも珍しくない。

窓口予約はバス会社の窓口で予約する。支払もその場で出来る。窓口はバスターミナルだったり、バス会社の営業所の中だったりと様々。

【座席の種類】

◆四列シート
最も多く採用され、安価で利用できる形式。
例えば東京~大阪間だと、閑散期では2000円台で利用できる場合が多い。
最安値で利用できるのは盆や年末年始などと被らない平日となるが、就活生には心強い。

以前は補助席付のスタンダードシートが長距離路線にも多数存在したが、現在は中長距離路線に関しては補助席をなくしてその分スペースを広げたワイドシート・ゆったりシートが主流になりつつある。
運賃はスタンダートとワイド・ゆったりで基本的に同額。

◆三列シート
座席数を少なくして、より快適度が増した形式。
「二列+一列」と「三列独立」の二種類があり、隣の客が気にならない車両が多い。
価格は四列に比べて割高になっているが、それでも閑散期は4000円程度で利用できる。

◆その他
上記3~4列シートに低反発素材を採用した席、ホテルのラウンジを意識したシートの採用など、座席に付加価値を加えた車両もある。
事業者によっては二列で運航している車両も。
繁忙期に利用すると8000~10000円になることもある。

【車両】

見た目こそ観光バスにそっくりではあるが、中身はやや別物。飛び乗り客のために車内で運賃収受、乗車券の発券を行う運賃箱や乗車停留所を証明する整理券発行機などが付いている。座席は前述の通り。

足回りは高速道路上での加速力を重視してか高出力車を選ぶ場合もあった。

主に昼行路線にはハイデッカー、夜行路線にはスーパーハイデッカーとダブルデッカーが使われ、運行時間が2時間程度の路線では普通の路線バスをベースにした車両が使われることも多い。


【メリット】

◆安い
何と言っても新幹線や飛行機に比べて安価で目的地に到着できる事が、最大の強みである。
遠方からイベントやライブに参加すべく利用する者、休暇を取って実家に帰省する者、面接に挑む就活生まで客層は幅広い。
更に夜行バスの場合は

◆イベントの物販の列に並びたいが始発では新幹線でも間に合わない
◆物販で使うお金を少しでも捻出したい

といった不安も払拭できる。日を跨いで翌朝に到着するため、交通費と宿泊費を同時に節約できるのだ。

◆早朝に着く
夜行バスの場合、路線によって異なるものの大抵は6時台、場合によっては5時台に着く。
場所によっては始発で新幹線に乗るより到着を早くできるため、早く着いてそのまま遊ぶ時間に充てることも可能。
逆に空いた時間をどうやりくりすればいいのか困ることもあるとは言ってはいけない

◆車両によってはコンセントやUSBポートがある
長時間の乗車でスマホの電池が危機に陥る場合は多々あるので、充電をさせてもらえれば非常にありがたい。
これらが使用可能な場合は予約時に明記されていることが多い(なければ記載がない)のでよく確認しておくべし。
ただし、あくまでも使用可能なのはスマホ・携帯電話の充電に限る。それ以外の機器の充電・使用をすると電圧過多により車両に不具合をもたらすことがある。車内アナウンスにもあるが、 ドライヤーの使用なんてもってのほか

◆ルートの融通が利く
「自動車」という乗り物の強みとして、高速道路に於いて事故その他で渋滞や封鎖などが発生し通行困難~不可能になった場合でも、
「高速道路を通れないなら一般道路を行けばいいじゃない」
とばかりに一般道や別ルートの高速道路を使って回避できる場合もあり、「遅れても目的地には行ってくれる」という点もあるかもしれない。
安定輸送の引き換えに線路と運行システムとダイヤでガッチガチに固められている鉄道、特に在来線とは分離されている新幹線ではこうは行かない。
但しクルマそのものが大型特殊自動車なので、届け出たルート以外走れない(つまり一般道ワープが使えない)という場合もあるけどな。

◆ルートの選択肢が広い
鉄道や航空機なら、線路や空港などが固定されているため、移動距離によっては乗り換えが必須となる。
また、近場の駅・目標地点にはそもそも新幹線など通っていない、と言う場合もある。
しかし高速バスなら、高速道路に加えて自動車道や一部一般道路も通ってくれるので「乗り換えなしでの直通」「近場の駅から発進」などができ、複雑かつコストのかかる乗り換えをしなくていい場合がある。


【デメリット】

例えば

◆座った体制で一夜を過ごす
「も、も、もう寝れないんだよぉ。バスでもう寝れないんだよ俺達」
長時間バスに乗るので、当然座った体制を何時間も続けつつ就寝することになる。
車両の揺れが原因で寝付けなくなり、降りた時には体の節々や尻が痛くなることも覚悟した方がいい。
眠れたとしても尻の肉が剥がれる悪夢にうなされるのがオチかもしれないが。
かと言って快適性を重視したラグジュアリー仕様のバスは高額だし、地方によってはそもそも就航していない。
ネックピローがあれば首の痛みを防ぐことは出来る。

◆席と席の間隔が狭い
乗ったバスが四列の車両だった場合、十中八九隣の客との間隔が狭くなる。それ故に隣の客が寝てる間に寄りかかってきたり
イビキに悩まされることもある。酷い場合は後ろの客が助手席に脚を上げて、それが就寝の妨げになることも…
このせいで四列シートは「人権が無い」などと酷い言われ方をされたりする。
安価な車両ほどこの点が顕著になる。

◆他の客に強く影響される
上記の席の間隔問題は三列シートを選べば回避できるが、それでも回避できないのが客層の問題。
夜中にバカ騒ぎする、体臭や酒・食い物の臭いを撒き散らす、理不尽なクレームをつけてくる、席を思いっきり倒してくる……
狭い密室でこんな客と一晩を過ごすストレスは計り知れない。

◆周囲への配慮が必要
近年はさすがにバカ騒ぎをする迷惑な客は激減した(というよりも声を出すこと自体が白い目で見られる)が、逆に言えば一人一人が周囲に配慮しなければならないということである。
臭いの強い酒や飲食物は持ち込んではいけないし、バックライトが迷惑になるのでスマホやゲーム機も操作できない。
音楽プレイヤーならライトを消してイヤホンを付ければなんとかなるが、せいぜいポケットに入れた状態で曲を流し続けることしかできない。当然音漏れは厳禁。
カーテンを開けて夜景を見ることもNG。
本当に寝る以外の動作がほぼできないので、上記のような状態で眠れないストレスが増しやすい。

◆交通状況による遅延が発生する
高速バスに限ったことではないが、例えば渋滞や台風、大雪などで運航に支障をきたすこともある。
「時間に遅れてしまったじゃないか!」などとクレームを入れたとしても補償はない。
逆に夜行便を中心に、時刻表に書かれた到着時刻よりも早く目的地に到着することもある。
最近は鉄道と連携して都心直前の鉄道駅に隣接するPAに降車専用バス停を設置し、急ぐ人には鉄道の割引きっぷを購入してもらいそこから電車に乗ってもらうサービスを提供している。

◆外の空気を吸えない
パーキングエリアなりサービスエリアなり休憩所で下してもらえるのはまだいい方で、12時間乗車に対し休憩時間が数回しかなく、
その上そのうちの一部が運転手交代だけで、客を降ろさないことなんてしばしばである。

また、座席がランダムで設定される事も多く、最後尾の席に座った場合はエンジンが近くなる為夏場はクーラーがかかっていても暑くなることがある。
前列に影響が出るので、温度を下げようにも下げられない。

◆車両によってはトイレが無い
むしろ、一時間程度の距離では付いている方が珍しい。
基本的に付いてないバスは定期的に休憩所で下ろしてもらえるが、
たまたま腹が痛い日に乗ってしまうと休憩か到着まで地獄を見る羽目に…
特に過敏性腸症候群持ちなどの不安な人は、
多少高く付いてもトイレが付いたバスを選ぶと安心。


◆続行便は何が来るか分からない
高速バスは定員が最大でも50人程度と少ない。このため多客期には続行便が手配されることが多いが、続行便は所定の車内設備を持った車両が来るとは限らない。
例えば所定便は4列ゆったりシート・ワイドトイレ付としてあっても続行便は4列補助席付スタンダードシート・トイレ無しという事も十分有り得る。
なお事業者によっては車内設備が所定便よりも劣る分運賃を安く設定していることもあるので、我慢できるなら続行便を敢えて狙うというのもアリといえばアリ。
逆に所定便が4列シートなのに続行便が3列独立シートという逆転現象が起きることも。

◆危険性
高速バスは料金が安価であるがゆえに利益率も低く、運営側にとってもカツカツな商売である(それでもローカルの路線バスに比べればかなり儲かる「おいしい」商売でもある)。
そのため、少ない運転手で多数の路線をぶん回すなど、人件費を削減することで何とか対応を図っている。
このため、運転手の労働環境が劣悪になっており、過労から事故を起こすことも多い。
2012年4月に関越自動車道で高速バスが重大事故を起こしたことで、ようやく行政監査が入った。
結果は、298社中250社が何らかの法規違反を犯しており、うち48社が特に重大な違反であったという凄まじいブラック業界の実態が明らかになった。
2016年1月には軽井沢に向かうバスが重大事故を起こしており、格安スキーツアーに参加していた多数の大学生が犠牲になっている。

なお、本来一定の停留所間や都市間を繋ぐバスは「乗合バス」「路線バス」と呼ばれ、厳密に運転手の状態を管理することが義務とされている。
それに対し、個人・団体・旅行会社がバスを貸し切って一定距離を利用するバスを「貸切バス」と呼ぶ*1
貸切バスは客の要望に応える必要があるため乗合バスよりも規制が緩いわけだが、それを逆手に取って貸切バスの運用で乗合バスと同じ業務をする裏技「都市間ツアーバス」または「高速ツアーバス」というのが2000年の規制緩和で登場。

しかし、規制がゆるいことをいいことに運転手を酷使し人件費を下げに下げた結果、前述のような事故が起きてしまったため、2013年7月31日夜より都市間ツアーバスはそれまでの乗合バスと一本化され(いわゆる「新高速乗合バス」)、都市間ツアーバスの運行自体が規制により禁止された。*2
そのため、現在の高速バスはきちんと基準を満たした乗合バスだけで運用されている。
……はずなのだが、いわゆる闇業者のような形で都市間ツアーバスを未だに運用している業者も若干存在しているため、明らかに値段が安すぎる場合は避けるか調べるかした方が無難。


高速バスは非常に便利ではあるが一長一短がある。それを見極めつつ有効に利用すれば、財布にも時間にも心強い味方となるのだ。
コスパだけで見れば他の交通機関を使って、時間と体力を金で買ったほうがいいなんて言わないでください。

【国鉄専用型式】

さて、我が国における高速バスの歴史でぜひとも触れておきたい存在がある。
それは旧国鉄が東名高速バス用に発注した特別仕様のバス、
その名も「国鉄専用型式」だ。

名前の通り、旧国鉄の高速バス専用機として発注された車両である。

1958年、国鉄は来る高速道路時代に備えバスの高速化を計画しており、
バス専用道となっている白棚線で日野自動車のバスを使用した高速試験を開始した。
1961年には日野自動車が試作車として「RX10P」を納車。翌年にはいすゞがBU20PA型を元とした車両を納車。
三菱ふそうもMAR820型をベースとした車両を独自に開発した。

1969年に控えた東名高速道路の全通を見据え、ついに国鉄は「高速バス専用のバス」を各社に発注。
だがその要求仕様たるや…。

  • エンジンは自然吸気で320馬力以上 ※当時のエンジン出力は大型トラック用ですら280~300馬力くらい、最も出力の大きなものでようやく320馬力
  • ターボチャージャー?んなもん認めんぞ!
  • 巡航速度100km/hは当たり前、最高速度は140km/h ※ちなみに当時の国産車は最高速度は120km/h程度
  • 排気ブレーキは4速ギアの状態で100km/h→60km/hの減速が22秒以内
  • ゼロヨン29秒以下、追い越し加速では4速ギアで80km/h→100km/hが15秒以下
  • サブエンジン式のクーラー搭載
  • 長距離運行に備えてトイレも搭載

え…なにこれ、ふざけてるの?
つか完成させる気あるの?

だが、そこは日本の変態自動車メーカー共。
「面白い…その挑戦、受けて立とうじゃないか」

◆日野・RA900P
「うちはバスの高速化の検討段階から国鉄さんと組んでいたからノウハウはバッチリだ。
エンジンは水平対向12気筒のDS140。馬力はざっと340ってとこかな。最高速度は141km/hは保証する。
水平対向で高さを抑えられるから、客室に段差なんてないぜ。夜行バスにも是非」
水平対向エンジンで高さが抑えられるため、後部のひな壇席が無いため夜行仕様で導入された。

◆三菱ふそう・B906R
「我社のB906Rはパワーが自慢だ!
漢の浪漫・V12マシンでパワーは350馬力!
乗用車追い越しなど余裕だ!日野などというボンボンには負けませんぞ!」
高速バスを独自開発していた三菱ふそうが繰り出したB906R。
同車のエンジンは名目上はV12エンジンだが、その実態は直列6気筒を2つつなぎ合わせてV12気筒にしたもの
公称は350馬力だが、実際は400馬力以上を絞り出したとすら噂されているモンスターマシン。
当時の開発者曰く「乗用車の追い越し余裕でした」。
車体は富士重工が製造。

◆日産ディーゼル・V8RA120
「うちは得意のユニフロー形2ストディーゼルだ。
320馬力超えなんて、V8で排気量10リッターもあれば十分だ。2ストのパワーを甘く見るなよ。
ま、ユニフローの宿命でどうしてもスパチャーが必要になるってとこと、2ストだからガス食いになっちまうのが弱点だが、そのへんは目をつむってくれ」
9.9リッターのV8ながら、2ストにより340馬力を叩き出す変態車両。
但しユニフローエンジンの構造上、どうしてもスーパーチャージャーが必要になるという弱点を抱えていたが。
※出力増強目的ではないため、国鉄もUDエンジンのスーパーチャージャー搭載は認めた

◆いすゞ・BH50P
「うちもちょっと作ってみたぞ。
パワーはちょっと足りなかったが、その代わり全輪ディスクブレーキだから高速からでもガッチリ止まれる」
…但しブレーキパッドの消耗が激しいため、経済性の面から導入されたのは2台のみの希少車。
え?パワーが足りない?
無茶を言うな、先述の通り当時は「国産の最大出力の自動車用エンジンで」やっと国鉄の提示した「最低限のパワー」である320馬力だったのだ。
元から国鉄と組んでいた日野以外は、2ストの日産ディーゼル・双子エンジンの三菱ふそうと、「変態的な」方法でようやく実現させていたのだ。
いすゞの車両は4ストのV8という常識的な機構で限界に挑んだ結果なのだ。

…なお、いすゞ車も含め、各車ともゼロヨンタイムは26秒に達していたことを明記しておく。

国鉄の変態を通り越して無茶苦茶な要求を、なんだかんだで実現させてしまったメーカーの方も変態ばかりだったのだ。
そしてこの国鉄の当時としては明らかな無茶振りも、結果的とはいえ今日の日本のバス車両の礎になっていることは確かと言えよう。

国鉄専用型式の各車両は多くが廃車後解体処分となってしまったが、上記の中ではB906Rの744-9901号車、RA900Pの747-9901号車がそれぞれ大事に保存されている。

【共同運行】

複数の会社が一つの路線を運行すること。パターンとしては、複数ある便を運行を担当する各社で分担する、1日おきに担当する会社が変わる(運転手から見ると2晩で1往復)の2種類。
前者は昼間の高速バスに多く、後者は夜行バスに多い。
複数会社が運行に係る場合、運賃収入の精算が必要となるがこれについては現在はプール精算制が殆どである。
プール精算制は、運行会社の中の1社が幹事となり、収入を一旦全て取りまとめた後、運行便数・走行キロ数に応じて各社で山分けする方式のこと。
例えば1日に30往復する路線をA・B・Cの3社が10往復ずつ運行して1ヶ月の収入が3000万円の場合、3社に平等に1000万円ずつ運賃収入を配分する。

現在では運行に関わる会社が複数集まるというのが圧倒的だが、黎明期には沿線のバス会社が共同出資して会社を立ち上げ、利益を各社が「配当金」という形で得るというものもあった。

【主な高速バスターミナル】

  • 東京駅
八重洲口、八重洲通り沿い、鍛冶橋駐車場*3、鉄鋼ビルディングに乗り場が存在。八重洲口はJRバスとそのパートナー会社が、八重洲通り沿いは京成バスとそのパートナー会社が、鍛冶橋駐車場はツアーバス出身の会社が、鉄鋼ビルディングには羽田、成田行のリムジンバスがそれぞれメインで発着する。
2022年にはバスターミナル東京八重洲が開業。八重洲通り沿いと鍜治橋駐車場に発着するバスの大半がこちらに集約された。

  • バスタ新宿(新宿駅)
新宿駅の新南口、甲州街道沿いにある高速バス専用ターミナル。西口ヨドバシカメラ前、小田急ハルク前、ヒルトン東京、都庁前駅、もう新宿駅じゃねぇ代々木駅前などに分散していたバス停を一箇所に集約した。バスの発着本数はおそらく日本トップレベル。既に容量が限界に近く、繁忙期の増発便についてはバスタ新宿へ入ることが出来ず、西口27番乗り場などに発着する。自分が乗るバスがどこから発車するか、きちんと確認しておこう。

  • 渋谷マークシティ(渋谷駅)
渋谷マークシティのビルの中に設置されたバスターミナル。発着本数の割にすんげぇ狭い。

  • 横浜シティ・エア・ターミナル
日本のサグラダファミリア横浜駅の東口にあるバスターミナル。元々ここで飛行機の搭乗手続きも出来たのだが、現在はただのバスターミナル。

  • 名鉄バスセンター
日本一のカオス駅名鉄名古屋駅の上にある名鉄百貨店のビルの中に入ってるバスターミナル。2層構造で3階には中長距離の高速バスが、4階には近距離高速バスが発着する。

  • 名古屋駅新幹線口
JR東海バスが管理するバスターミナル。発着路線は基本的にJR東海バスが何らかの形で関与している。元々は桜通口で名古屋市営バスと同居していたのだが、ビルの建て替えに合わせて移転した。移転後は新幹線との乗り継ぎがしやすくなっている。

  • 阪急三番街高速バスターミナル
阪急バスが管理するバスターミナル。阪急梅田駅の高架下に位置しており、発着路線の規模の割に狭い。それでもどん詰まり構造の渋谷マークシティよりはマシ。

  • 大阪駅JR高速バスターミナル
西日本JRバスが管理するバスターミナル。高速バスターミナルという名前だが、大阪シティバスの降車場も兼ねている。2020年6月までは阪急バスの加島線もここに乗り入れていた。

  • 東梅田駅前
近鉄バスが管理するバス停。道路の上に屋根付きの普通のバス停が建ってるだけ。元が一般路線用のバス停だったのを高速バスの乗り場に転用したんだからしょうがない。

  • 西鉄天神高速バスターミナル
西鉄福岡天神駅の上にあるバスターミナル。高速バス専用ターミナルで、構内はそこそこ広い。

  • 博多バスターミナル(博多駅)
博多駅に隣接するバスターミナル。一般の路線バスも発着する。


【色々な高速バス】

色々と長い高速バス

  • はかた号
路線:バスタ新宿-博多バスターミナル/天神高速バスターミナル
運行会社:西鉄バス
東京と博多を14時間以上かけて結ぶ狂気の長距離バス。
かつては日本一長距離を走るバスだったが、その後に設定された路線(後述)に日本一の長距離バスの座を譲り、一時は4位にまで落ち込んだ。
まあ、いろいろあって2位に返り咲いたわけだが。

  • Lions Express
路線:西武バス大宮営業所-天神高速バスターミナル
運行会社:西武バス・西鉄高速バス
上記のはかた号の記録をぶち抜いた伝説の高速バス。
西武ライオンズの現在の本拠地である埼玉県と、「西鉄ライオンズ」時代の古巣である福岡県を結ぶという点でこう名付けられた。
しかし2015年5月16日出発を以て運行休止。どうやらLCCの発展などで客数が減少したなどが原因らしい。

  • 天領ライナー
路線:東京駅鍛冶橋駐車場-博多駅筑紫口
運行会社:天領バス
Lions Expressなき現在はかた号を抑えて運行距離1位に君臨する高速バス。
ツアーバス出身の路線で、東京側の出発地が東京駅鍛冶橋駐車場なのと途中山口県を経由するのが運行距離を伸ばす一要因。

  • パンダ号・スカイ号
路線:バスタ新宿/バスターミナル東京八重洲/上野駅-弘前駅・五所川原駅/青森駅
運行会社:弘南バス
新幹線とツアーバス、あと飛行機に真正面から喧嘩を売る青森の変態企業・弘南バスが運行する。
片道600kmオーバー・8時間超の路線にもかかわらず昼行便も設定。
クルマは観光バスタイプの4列シート・トイレ無し(トイレはSAでの休憩時に利用する)。
一見するとかなり無茶苦茶な路線だが、その分料金が安い。繁忙期でも東京-青森を6500円で移動できる。
飛行機や新幹線どころか下手なツアーバスよりも安い。
但しその分、特に昼行便であるスカイ号の切符は瞬殺を喰らいやすい。
あと東北道に入ると文字通り「爆走」する。

  • 弥次喜多ライナー
路線:横浜-広島
運行会社:中国バス
横浜と広島の間を結ぶ昼行高速バス。…なのだが、運行距離は何と上のパンダ号、スカイ号よりも長い912km、所要時間は怒涛の13時間
運行開始に際して専用のラッピングをした車両を用意するなど気合は入っていたが、所要時間が長すぎて利用者が居らず1年も持たずに廃止。
どんなに運賃が安くても所要時間が長すぎると利用者は現れないという一つの教訓になった路線である。

  • 錦江湾号
路線:名鉄バスセンター-いづろ高速バスセンター
運行会社:名古屋鉄道(当時)・鹿児島交通・南国交通・林田産業交通
名古屋から鹿児島1090km14時間以上かけて結ぶはかた号に次ぐ長さを誇ったバス。
1991年の運行開始時には名古屋と鹿児島を結ぶ臨時夜行特急列車が運行されるほどの需要があったが、時の流れと共に利用客が減少し1996年に廃止。
これだけならただ距離が長かっただけの高速バスだが、このバスの鹿児島交通担当便は途中での乗客のための開放休憩が一切なかった。14時間以上バスの中にカンヅメ。誰が言ったか拘束バスである。
また名鉄が専用車を用意したのに対し、鹿児島の3社は担当回数が少なく、専用車を用意せずに他の長距離夜行バスと共通の車両を用意した。

安心と信頼のJRバスグループの路線

  • ラ・フォーレ号
路線:東京駅八重洲口-青森駅
運行会社:ジェイアールバス東北
パンダ号・スカイ号と競合関係にある夜行高速バス。パンダ号・スカイ号が4列シート、トイレ無しの車両を使うのに対し、ラ・フォーレ号は3列独立シート・トイレ付きの車両を使用する。
運行開始当初はJRバス関東、羽田京急バス、弘南バスも運行に関与していたが、JRバス関東と京急バスは運行から撤退、*4弘南バスはラ・フォーレ号の運行からは撤退し、ほぼ同じルートで津輕号という別路線を運行している。
2017年3月まで途中での乗客の開放休憩がない拘束バスだったが、同年3月末日より上り・下りとも1回ずつながら開放休憩を行うようになった。
水曜どうでしょうの「5周年記念!深夜バスだけの旅」にも第2ランナーとして登場していた。

  • 東海道昼特急号
路線:東京駅八重洲口-大阪駅JR高速バスターミナル・京都駅烏丸口
運営会社:ジェイアールバス関東・西日本ジェイアールバス
天下の東海道を行く高速バス。速さの東海道新幹線に対し、豪華シート・格安運賃で対抗する。
1往復のみ京都駅烏丸口発着で残りは大阪駅発着。さらに大阪発着のうち1往復が廉価な「青春昼特急」、京都発着と残りの大阪発着便が豪華シートの「グラン昼特急」として運行される。
車庫で昼間は待機しているドリーム号用の車両を使って運行を開始。現在は「ドリーム号に使っている車両で昼間に走るバス」ということになっている。

  • ドリーム号
路線:東京駅八重洲口-大阪駅JR高速バスターミナル
運行会社:ジェイアールバス関東・西日本ジェイアールバス
日本初の高速道路を経由する夜行バス。豪華な座席と設備のルリエ・グラン・プレミアム、安価な4列シートの青春エコも存在する。
ちなみに先述の昼特急はこのドリーム号の日中の待機時間を利用して運行を開始したもの。
昼特急もだが、途中三ヶ日インターを降りてすぐの場所で運転手が交代する。大阪行はJRバス関東から西日本JRバスへ、東京行はその逆。これのおかげで全区間完全ワンマン運行を実現している。

  • 東名ハイウェイバス
路線:東京駅八重洲口・バスタ新宿-静岡駅・浜松駅・名古屋駅新幹線口
運行会社:ジェイアール東海バス・ジェイアールバス関東・ジェイアールバステック
東名高速を経由する老舗クラスの高速バス。都市間輸送のほか地域輸送の役割も担っており、途中東名高速上に設置されたバス停で乗り降りが出来る。
運行形態としては
東京駅と静岡駅、静岡駅と名古屋駅を結び、途中全てのバス停に停車する急行
東京駅と静岡駅もしくは浜松駅を結び、途中主要なバス停に停車する特急東名ライナー
東京駅と名古屋駅を結び、途中主要なバス停に停車する超特急スーパーライナー
東京駅と名古屋駅を新東名経由で結び、途中休憩以外ではノンストップの新東名スーパーライナー
に分かれる。スーパーライナーは30分〜1時間に一本以上は確保されているが、特急・急行便は本数が少なく、特に名古屋-静岡間の急行は1日1往復しか運転がない。新東名スーパーライナーには2往復バスタ新宿発着の便がある。
シートラインナップも多彩で、2階建て3列独立シートからハイデッカー補助席付4列シートまで設定がある。そして運賃は3列シート・4列シート関係なく同額。

  • ドリームなごや号・ドリームとよた号
路線:岐阜駅・名古屋駅新幹線口-東京駅・新木場駅
運行会社:ジェイアール東海バス・ジェイアールバス関東
名古屋と東京を結ぶドリーム号。基本的に3列独立シートを装備する2階建て車が運用に入るが、格安版の青春ドリームなごや号は4列シート車が使われる。
3列シート車はスタンダード・クレイドル・デラックス・ビジネス・プレミアムに分かれており、新東名スーパーライナーと運用が一体化されている。

  • ファンタジアなごや号
路線:名古屋駅新幹線口-横浜駅・西船橋駅
運行会社:ジェイアール東海バス・京成バス
名古屋と横浜、千葉を結ぶ夜行バス。隔日で運行会社が変わる路線で、どちらも3列独立シート車が運用に入るものの、東海は3列独立・プライベートカーテン・コンセント付の新しい車両がなのに対し、京成は3列独立シートながら古めの車両が配車されやすかった。
ドリームなごや号よりも定員が少ない上、名古屋から横浜、ディズニーランドへ直行できる経路設定もあって繁忙期にはチケットが瞬殺されることも珍しくない。

  • ドリーム静岡・浜松号
路線:東京駅八重洲口・横浜駅-静岡駅・浜松駅
運行会社:ジェイアール東海バス
ドリーム号の中では2番目に運行距離が短い路線。4列シート車が使われるが、格安便の青春ドリーム号の仲間ではない。上り便の横浜駅到着が午前4時台と非常に早い。距離が短いので途中運転手の仮眠と時間調整を兼ねてドアを開けない長時間休憩が行われる。
多客日には下りのみ臨時便が設定され、この臨時便は浜松駅到着後車内整備を行い、金城ふ頭駅経由の名古屋駅行として運行される。
ちなみに4列シートながら青春ドリーム号ではない路線はこの他に「京阪神ドリーム静岡号」がある。どちらも静岡県内を発着するという共通点がある。

  • 横浜グラン昼特急大阪号・グランドリーム横浜号・青春ドリーム横浜号
路線:USJ-横浜
運行会社:西日本ジェイアールバス
元々ハーバーライト号として運行されていた路線。2階建てのエアロキングから平屋のグランドリーム仕様の車両へ置き換えられたのを機に現路線名へ。
運賃が安い青春ドリーム号は毎日運行だが、設備が豪華で運賃が割高のグランドリームは週末などの多客時のみ運行。青春ドリームの2号車以降には帝産観光バスの車両が使われることがある。

  • 名神ハイウェイバス
路線:名鉄バスセンター・名古屋駅新幹線口-京都駅・大阪駅JR高速バスターミナル・三宮バスターミナル
運行会社:ジェイアール東海バス・西日本ジェイアールバス・名鉄バス・名阪近鉄バス
日本最古の高速バス。系統としては以下の4つがある
  • 名鉄バスセンター-名古屋駅-名神高速経由-京都駅
  • 名鉄バスセンター-名古屋駅-新名神経由-京都駅
  • 名古屋駅-新名神経由-大阪
  • 名鉄バスセンター-名古屋駅-新名神経由-神戸三宮
以前は名神高速上のバス停に停車する地域輸送を担う便も多数設定されていたが、並行して走る東海道本線の輸送改善が行われたため、現在は都市間輸送が主体となっている。

  • 青春大阪ドリーム名古屋号
区間:名古屋駅新幹線口-USJ
運行会社:ジェイアール東海バス・西日本ジェイアールバス
日本一運行距離の短い夜行バス。何しろ名神ハイウェイバスの超特急便であれば3時間程度で走り抜ける距離を7時間程度と倍以上の時間をかけて走る。途中運転手の仮眠のために乗客が外へ出られない休憩を行う。

  • 中国ハイウェイバス
路線:大阪駅JR高速バスターミナル-津山駅
運行会社:西日本ジェイアールバス・神姫バス
国鉄が開設した老舗高速バス。東名・名神のハイウェイバスと異なり、夜行便の設定はない。開設当初は並行する姫新線を走る急行列車の補完という意味合いがあったが、鉄道より運賃が安く、快適で所要時間も大差ないバスへ急行列車の乗客が流れ込み、鉄道の補完どころか鉄道を殺しにかかってしまい、実際利用者減少により急行列車が廃止されてしまったため、以後国鉄は同士討ちを防ぐために高速バスへの参入を見合わせた。

  • B&Sみやざき号
路線:新八代駅-宮崎駅
運行会社:JR九州バス・産交バス・宮崎交通
九州新幹線鹿児島ルート全通を機に開設された路線。愛称のB&Sは「Bus」と「Shinkansen」に由来。新幹線の効果を宮崎県にも波及させるという狙いがあり、新幹線との連携が強く意識されている。新八代駅での新幹線との乗り換え時分が宮崎行は7分、新八代行は20分と短く、博多と宮崎を最速3時間10分で結ぶ。
乗り換えに余裕がないように見えるがバスの運行ルートの半分は利用者の少ないはねぬき宮崎道を走ることもあって渋滞による遅延の可能性は低く、高い定時性を売り文句にしている。
また、新幹線が絡む路線であるためかJR九州の予約サイトから乗車券を買うことができるのも特徴。
価格では下記のフェニックス号、時間では航空機に分があるため両者から完全にシェアを奪えてるとは言い難いが、それでも平成29年度には年間19万人の利用者を記録している。
宮崎道経由ということもあり都城市を経由するため、そちらへの利用客が多い。


豪華な高速バス

  • ドリームスリーパー号
路線1:奈良駅東口-バスタ新宿
路線2*5:中筋駅-大崎駅西口
運行会社1*6:関東バス・奈良交通
運行会社2:中国バス
移動自体を楽しむ夜行高速バス。完全個室型シートを採用し、座席もほぼフラットになるほど深く倒れる。
運行開始当初は関西の路線は門真車庫-池袋駅西口、広島の路線は広島駅-横浜駅の間を結んでいたが、
前者は2022年、後者は2017年に現在の路線に変更されている。
ちなみにドリームスリーパーの乗務員が着用している制服は一式20万円ほどするとか。


  • プレミアムドリーム号・グランドリーム号・ドリームルリエ
路線:東京駅八重洲口-大阪駅JR高速バスターミナル
運行会社:ジェイアールバス関東・西日本ジェイアールバス
上記ドリーム号の豪華版。プレミアムドリームは2階建て、グランとルリエはハイデッカー平屋車を採用している。
プレミアムドリーム号は2階建て車を活かし、1階はプレミアムシート、2階をスーパーシートとし、何れも個室風になるカーテンを装備。プレミアムシートには地上デジタル放送が受信できる対応7インチ液晶テレビを装備。ただ走っているのは真夜中だし、トンネル内では当然のことだが受信できないので意味はあるのかと言えば・・・。
グランドリーム号はプレミアムドリーム号のスーパーシートをさらに改良した新型クレイドルシートを装備する。クレイドルとはフランス語で「ゆりかご」を意味し、ゆりかごのような寝心地を実現している。最近はプレミアムドリーム号や3列2階建てのエアロキングの置き換えで増車が続き、2020年からは2階建て仕様のグランドリームも登場した。
ドリームルリエは2017年に運行を開始したプレミアム・グランから更に豪華さを極めたタイプで、プレシャスクラス、アドバンスクラスの2クラスをハイデッカー1両に収めている。プレシャスクラスはプレミアムシート、アドバンスクラスはグランドリーム号のクレイドルシートを更に改良したもので、何れもパーティション付。プレシャスクラスはパーティションに加えて前後を区切るカーテンまで装備し、しかも全席にiPad mini4、Wi-Fiまで装備。なおこれだけ豪華な装備ながら車両は新車ではなく、シートベルト安全規制の関係から、2011年式の車両である。

  • マイフローラ号
路線:海部観光阿南営業所-バスタ新宿
運行会社:海部観光
バス趣味が高じてバス会社を立ち上げたという異色の経歴を持つ会社「海部観光」が運行する夜行高速バス。車内はパーティション付の独立シートが並び、寝返りが打てるほど座席の幅が広く、リクライニング角度も深く取られている。通路と座席のスペースを区切るのはカーテンであり、完全な個室にはならないものの、プライベート空間は確保できる為快適性はダンチ。車内後部には広い化粧室も装備され、到着前に身だしなみを整えることも可能。


本数の多い高速バス

  • 106急行バス・106特急バス・盛宮特急
区間:盛岡駅前-宮古駅前・船越駅前・浄土ヶ浜パークホテル
運行会社:岩手県北交通
新幹線と連絡する短距離高速バスの成功例として知られると同時に、山田線の存在価値を皆無にしたことでも有名な路線。
岩手県内で完結する路線にも関わらず最盛期には1日20往復設定されていた。現在は特別ダイヤにより1日12往復の運行。
106急行バスという名前で広く知られているが、現在は急行便よりも途中停留所を絞った特急便の本数が多い。
盛宮特急は1日1往復のみ設定されるダブルデッカー車による運行便で、盛岡駅周辺と宮古駅周辺と休憩以外はノンストップ。

  • 箱根線
区間:バスタ新宿-御殿場駅・箱根桃源台・箱根小田急山のホテル
運行会社:小田急箱根高速バス
新宿と箱根を結ぶ高速バス。1日30往復以上が運行され、小田急の特急ロマンスカー、東名ハイウェイバス、箱根登山バスの路線バスを補完している。
通常高速バスは近距離の停留所同士での乗り降りができない制限がかけられていることが多いが、箱根線については地域輸送の役割も担っているためか、この制限が非常に緩い。

  • 東京-新潟線
区間:バスタ新宿-万代シティバスセンター
運行会社:西武バス・新潟交通・越後交通
東海道昼特急号に負けず劣らず、1日16往復と高頻度運転を行う路線。
当初は「既に上越新幹線があるのに需要はあるのか?」と危ぶまれていたそうだが、
実際に設定してみると運賃の安さなどで人気も出て、「高速バスでも新幹線と拮抗できる」ということを示した路線でもあるそうで。

  • つくば号
区間:東京駅八重洲口-つくば
運行会社:ジェイアールバス関東・関東鉄道
上記の東京-新潟線は1日16往復の運転だが、勿論上には上がいる。東京駅とつくばを結ぶつくば号は1日44往復とかなり高頻度で運行される。つくばエクスプレスの開業前は利用者が更に多く、本数も最盛期には88往復を数えた。
開業当初は鉄道空白地帯へ乗り入れる路線というのもあって東京駅でバスを待つ行列が200人以上に膨れ上がったり、始発で満員になってしまい途中停留所で待っていた乗客への救済として続行便を手配したらいつしか続行便の台数が10台を超えるというのが常態化したり、一台あたりの乗客数を増やすためにドイツからデカァァァァァいッ説明不要!!なバスを輸入したら、自分とこの車庫へ回送できず共同運行相手の車庫へ置かせてもらったりと伝説の多い高速バス。
今も満員になることは珍しくなく、つくばエクスプレスの良きライバルとして君臨する。

  • かしま号
区間:東京駅八重洲口-カシマサッカースタジアム
運行会社:ジェイアールバス関東・関東鉄道・京成バス
つくば号の運行本数は44往復だが、東京駅と茨城県鹿行地域を結ぶかしま号の運転本数は何と1日82往復!
運行開始当初は特急あやめの補完という役割が強く、1日6往復が特急の設定のない時間帯に運行されていた。しかし運賃が鉄道よりも安く、渋滞さえなければ鉄道と遜色ないどころか、時刻表に記載の時刻よりも早く到着する速達性などから利用者が急増。利用者増加に対応するため18往復へ増便するもこれでさえ供給に需要が追いついてしまい、多い時には定期便の3倍前後の臨時便を設定したことも。あまりの臨時便の多さに関鉄と京成は貸切車をかき集めて臨時便に対応し、将来的な定期便の増発に備えて高速路線車を大量に新規発注、JRも第一線から既に退いていた国鉄専用型式やハイデッカー・スーパーハイデッカーを問わず暇していた貸切車を動員していた程。
そして定期便が36往復に増発されると特急あやめは1往復へ削減。その後も何度も増便が繰り返され、現在の本数となった。あまりにも便利なのと運賃の安さから並行して走っていた総武線・鹿島線経由の特急あやめの乗客を奪い、最終的に廃止に追い込んでしまった。

  • ひのくに号
区間:天神西鉄高速バスターミナル・福岡空港-熊本交通センター・熊本駅前
運行会社:西日本鉄道・九州産交バス
この路線を紹介する前に、東京-新潟線の本数が1日16往復、つくば号が44往復、かしま号が1日82往復であることを頭に入れていただきたい。
現在、スーパーノンストップ、植木IC経由、福岡空港発着各駅停車の3系統が運転されているひのくに号は、1968年に都市間特急バスとして1日6往復の運転を開始したこの系統は年々増発を続け、2010年には1日100往復の運転となっていた。
しかし、2011年に九州新幹線が開業。この系統も大打撃を受けたと思われた、が……
2011年6月1日、ひのくに号ダイヤ改正 1日8往復増発!
なんと1日108往復と逆に増えた。
これは、新幹線が両都市の中心地である天神も通町筋にも入らないが、ひのくに号は入るという高速バスの利便性によるもの。
従来の在来線特急時代より新幹線の運賃上昇もあり、結果的にひのくに号の乗客が増えたのである。
その後も2014年改正でさらに5往復増え、1日113往復に。

しかし、2016年4月、熊本を未曾有の災害が襲った。熊本地震である。
この災害を受けて、ひのくに号は1日14往復に大減便された特別ダイヤでの運行を強いられた。
その後の復興に伴い、2017年現在は震災前と同レベルの平日100往復(スーパーノンストップ55.5往復、植木IC経由26.5往復、福岡空港発着各駅停車18往復)、休日104往復(スーパーノンストップ61.5往復、植木IC経由25往復、福岡空港発着各駅停車17.5往復)が運転されている。
このうち最大勢力を誇るスーパーノンストップは、膨大な福岡~熊本間の需要に応えるため、殆どの西鉄の高速バスが停車する高速基山を通過する。

  • 九州号
区間:天神西鉄高速バスターミナル・福岡空港-長崎県営バスターミナル
運行会社:九州急行バス
1時間に3~6本という高頻度運行を早朝6時から22時台まで行っている。
この路線を担当する九州急行バスは九州号の路線沿線にある西日本鉄道・昭和自動車(昭和バス)・祐徳自動車(祐徳バス)・西肥自動車(西肥バス)・長崎県交通局の出資によって成り立っており、今となっては珍しいある高速バスのためだけに作られた会社である。

  • フェニックス号
路線:天神西鉄高速バスターミナル・博多駅-宮崎駅
運行会社:JR九州バス・西鉄バス・産交バス・宮崎交通
運行開始時に3往復だったのが28往復にまで増えた高頻度路線。
所要時間は5時間弱と九州内を走る高速バスではかなり長いが、宮崎~福岡では格安な足として航空機とシェアを二分するほど盛況。
通常料金は2019年時点で片道4,710円だが、最安値で片道3,060円という価格もあって朝は15分おきに出発するという高頻度運行。
かつて九州管内高速バスで1番の収入を上げていたこともあり、格安バスが参入し往復で4,000円という価格を設定したこともあったがツアーバス事故などで撤退。
新幹線開業に伴う波及効果を狙ってJR九州がグループから抜けて独自に「たいよう」という高速バスを走らせたこともあったが、僅か1年で廃止され再び4社体制に戻った。

変態な高速バス

  • 広島つやまエクスプレス
区間:広島バスセンター-津山駅
運行会社:両備バス
中国地方の中心都市の一つ広島と岡山県北部の街津山を結ぶ路線。
都市と観光地を結ぶという路線設定は間違っていなかったのだが、何分利用者が非常に少なく、ついに曜日限定でハイエースで運行する日が現れる始末。
勿論ハイエースで運行される日も広島バスセンターへきっちり乗り入れていたのだが、大型バスばかりが出入りする中で3ナンバーサイズの普通乗用車がいる光景は非常にシュール。
なおハイエースでの恒常的な運行は1年程度で終わり、今度はマイクロバスでの運行に切り替えられた。ただ予約が少ない日はハイエースでの運行に戻ったことも。
2010年に大方の予想通り廃止された。

  • オーシャンライナー
路線:中国バス府中営業所-高知駅
運行会社:中国バス
広島県府中市と高知駅を結ぶ路線。それなりの距離を走るのだが利用者が少ないので使用車両はマイクロバス
一応リアエンジン・リアドライブで大型バスと構造は一緒なのだが、車両サイズはマイクロバスである。
マイクロバスなのでトイレなんて気の利いたものはなく、途中での休憩で対処していた。
多客時には大型バスで運行する日もあったが、その場合もトイレ無しの車両が配車される事があった。
やっぱり2015年に廃止された。ちなみに中国バスではオーシャンライナー以外にもフライングフィッシュ号もマイクロバスで運行していた。

  • 別府ゆけむり号
区間:広島バスセンター-大分市内かまむは
運行会社:大分交通・広交観光
広島と大分を結ぶ路線。普通高速バスというのは市街地では一般道を走行し、都市間は高速道路を経由するものだが、別府ゆけむり号は何と途中でフェリーを利用する。
山口県の徳山港から大分県の竹田津港までスオーナダフェリーにバスごと乗り込む。これは運行開始当初東九州道が開通しておらず、北九州を経由すると遠回りになるため。フェリーが欠航した時は陸路で迂回していたが、フェリー利用より所要時間が延びていた。
2017年に廃止。この他高速バスでフェリーを利用していたのは今治と三原を結んでいたしまなみライナー、徳島と東京を結ぶエディ号の2例のみで、何れも本州と四国を結ぶ橋の開通でフェリーを利用しなくなっている。

  • ひなたライナー
区間:京都駅-宮交シティ
運行会社:近鉄バス
京都と宮崎を結んだ路線。この路線は2019年2月に廃止となったが、運行開始→休止・廃止→復活を繰り返した路線。
直系の祖先となるのは1989年運行開始のあおしま号。あおしま号は大阪と宮崎を結んだ路線で、1999年に一旦廃止。
2008年12月、あおしま号は京都駅発着となっておひさま号として復活。結局おひさま号も2016年9月に休止となるが、翌年2月にひなたライナーとして復活。そして廃止を迎えた。
ひなたライナーの廃止理由は燃料費の高騰やLCCの就航による利用者離れ*7、そして近年どのバス会社でも問題になっている運転手不足が主な物。

悲運の歴史を辿った高速バス

  • シルフィード号
区間:品川バスターミナル-京都交通舞鶴営業所
運行会社:京浜急行バス・京都交通
東京と舞鶴を結んだ夜行高速バス。1991年と夜行高速バスブーム真っ只中に運行を開始。
途中経由地や運行会社の変更などがあったものの特に大きな変化もなく推移していたが、共同運行相手の京浜急行バスが
「すみません、ウチの運転手が足りなさすぎて夜行便は継続できません」
と申し出、京都交通単独での運行継続も模索したが、京都交通でも運転手が不足気味で単独運行による存続も叶わず、2019年5月12日の出発便を最後に運行休止となってしまった。
なお運行休止のおよそ3ヶ月前に京都交通はシルフィード号用に新車を導入したのだが3ヶ月で運用路線を失い、京都交通からグループ会社の鳥取日本交通へと移籍した。

  • 青春メガドリーム号
区間:東京駅-大阪駅
運行会社:西日本ジェイアールバス・ジェイアールバス関東
2006年6月に混雑が常態化していたドリーム号シリーズの混雑緩和と、高速バスの直接的なライバルとして成長し始めたツアーバスへ対抗するため、中距離高速バスつくば号に導入していた超大型2階建てバス「メガライナー」(定員およそ80名)を転用して運行を開始。4列シートとメガライナーの規格外の大きさから運賃が低廉となって人気を博したのだが、2008年5月にメガライナー1両が火災事故に遭遇して全焼。
翌年3月にはもう1両のメガライナーも火災事故に遭遇して全焼し、事態を重く見た国交省はメガライナーの運行中止を命令。4月からはごく普通の4列シート2階建てバスで運行し、6月に廃止された。
2度も火災を起こしたメガライナーはドイツ・ネオプラン社製で*8、以後JRバスでは輸入車の導入が10年近く途絶えることとなる。


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最終更新:2024年01月12日 12:43

*1 修学旅行とかで乗るアレ。

*2 ツアーバス業者は規制に対応できるほどの体力のない中小業者のほとんどは廃業・撤退し、体力があった大手業者は規制に対応して新高速乗合バスとして再出発したとされる。ちなみに新高速乗合バスに移行できたのはツアーバス業者の3割ほどとのこと。

*3 東京国際フォーラム近くのバスターミナル。主にツアーバス出身事業者が発着する

*4 ただしJRバス関東は支援という形で運行に関与している。

*5 コロナ禍の影響で2020年3月より運休。

*6 かつては両備ホールディングスも運行に関わっていたが2022年に撤退。

*7 LCCは採算の取れない路線は容赦なく減便や撤退するのが当たり前、だが宮崎線は目標指数を上回り採算が見込めるとして維持どころか1日2便に増便や新たに路線も開設されたためどちらにしろジリ貧だった

*8 2件の火災事故はいずれもエンジンブローが原因。2008年5月の事故については理由は不明だが、2009年3月の事故ではターボチャージャーのシャフトが折損したことが原因とされている。