梶原修人

登録日:2011/01/21(金) 18:20:44
更新日:2023/12/13 Wed 02:07:20
所要時間:約 7 分で読めます




漫画『喧嘩商売』の登場人物。
古流武術・梶原柳剛流の伝承者。格闘家というよりは剣士の色が濃い。
初登場は9巻の巻頭エピソード。

左手首から先が欠損しているが、体重移動による特殊な動作を用い、片腕で巧みに日本刀を操る。
13歳で始めて真剣を手にしたその日の内に燕を切り落とすという非凡な才能を持ち、師でもある父・隼人を驚かせた。

父が富田流の入江無一に敗北し、それを恥じて命を絶った事で富田流を逆恨み。以来、富田流を倒すために様々な流派の研究と鍛錬を重ねてきた。
父が死亡してから7年目に当時の剣道全国優勝者・横山了一を襲撃して指を奪い、退路を断った上で無一の息子である文学に挑む。

手首の欠損はその文学との戦いが原因で、抜刀した状態で距離をとって向かい合うという野太刀に有利な状況に持ち込み、「屍(梶原柳剛流に伝わる毒)」が塗られた野太刀による脛斬りで勝利を得ようとしたが、文学の言葉と視線を用いた誘導に引っかかり、文学が投擲した小太刀で左手首を切り落とされてしまった。

敗北後、文学に自分を殺すよう要請したが「横山相手は指を奪うだけで終わらせたんだから、手を奪えばそれで十分終わりだろう」と聞き入れられず、一度は家に帰って腹を切ろうとしたが、「片腕で習得できる技など星の数ほどある」と文学へのリベンジを決意。
前言を豪快に撤回し、復讐に生きる男となった。

その後は広域指定暴力団「板垣組」の食客となり、食客としての義理と富田流への因縁から、十兵衛との対戦を控えた金田保に富田流奥義「金剛」の存在を教える。

  • 相手は剣道の達人で警察官とはいえ、何の罪もない人を襲って指をぶった斬る
  • それだけの覚悟を背負ったくせに割とあっさり負ける
  • 「この立ち会いの後は勝敗問わず自害する」という誓いを反故にして再度復讐に燃える
という、文さんとの戦いの顛末のあまりの情けなさや、文学の弟子の対戦相手に情報を渡す小物っぽさから、『喧嘩商売』の中でもトップクラスのネタキャラとして扱われている。

しかも参加を表明したこの漫画最大の大一番たるトーナメントはそもそも格闘技の戦いであり、生涯を格闘技に費やした頂点クラスの人材が集う中で彼の本領は剣術使いであり格闘技はあくまで刀を活かすためのもの。つまるところそもそもが畑違い。
富田流に敗北を喫してから格闘技を軽視していたことを自覚し、「もっと当身にも力を入れようぜ」などと言い出した程度の付け焼き刃であり、彼の経歴は精細を欠くと言わざるを得ない。
極めつけに「1回戦の相手が主人公の宿敵である工藤優作」という盛大な負けフラグをぶっ立てており、ファンには試合前から「梶原さんは頑張ったよ」と暖かく見守られていた。
作者曰く「梶原はズルくて卑怯だから強いよ」との事だが……。


以下ネタバレ










「燕よ……飛べ!」

板垣組が工藤の勝利を望むというアウェイの状況の中、盤外戦で力を発揮。
十兵衛に挑発混じりで仲間になるように誘われるも、彼の上を行く話術で逆に翻弄する。
さらにその後の十兵衛の不審な行動から、彼がトーナメント参加者を潰し合わせようとしている事に気付き、主催者の田島を通して企みを完全に潰してみせた。

自身の監視役である板垣組の澤を通じて、左手首に対するブラフを即興で作り、片腕を危険物に見せかける。
さらには板垣組の乗っ取りをチラつかせて澤を籠絡して味方に引き入れ、工藤優作に毒を盛る謀殺を試みる。
しかし梶原が毒使いであることを知っていた十兵衛が試合直前に工藤に警告を発したためこの策は瓦解。否応なくリング上で雌雄を決することになる。


目論見がくじけたことで余儀なくされた工藤との試合だったが、片手のハンデをものともせず流派の技で彼を圧倒。
何度か工藤に捕まるものの様々な手段を矢継ぎ早にくりだして手傷を回避してほぼ完封に追い込むも、工藤が人生で初めて放った「技」とその「力」にハマり劣勢に陥る。
それでも「屍」で工藤を致死状態に追いやり、零距離から放った「金剛0式」で一度はリングに沈めてさえみせたが、ほぼほぼ勝利が決まりきって集中を切らしたところで、特異体質により素早く覚醒した工藤に捕まり足首を外されてしまう。
そして最後は片手を封じる形で鯖折りを仕掛けられ、唯一封じられていなかった腕も手首から先を失っていたためどうにもならず敗北。
試合運びでは片手のハンデをものともしなかったものの、最後の最後でハンデが致命傷となった形となる。

そして工藤の剛力と試合ルール、セコンドに見捨てられたことからあわやリング禍すら見えたものの、解毒剤を交渉材料に話術を弄して命を拾うことに成功し、開放されるも力尽きてその場に崩れ落ちる形で敗北。
試合に勝利した工藤からも、その強さを讃えられる形で第一試合の幕を下ろした。

試合で文学に雪辱を果たす目的は達成できなかったものの、工藤をバックアップする板垣組に対し「屍」の解毒剤と引き換えに約2億円をせしめ、澤を引き連れ帰途につく。
しかし板垣組から2億円をせしめたことにより板垣組と遺恨が生じ、帰国次第に板垣組から始末されてしまう状況に陥る。

しかし第2試合でリングに残った「屍」が再利用されたことで、解毒剤を求める主催者のタン・チュンチェンに連絡を受け、「解毒剤は板垣組に"無料で"渡した」と嘯く。
当然ながら板垣組は、2億円もの取引で手に入れた解毒剤を快く引き渡す訳もなく、12億円もの対価を要求し、タン・チュンチェンとの間に痛烈な遺恨が発生する。
この12億円については"梶原の貢献"とみなされ、解毒剤で2億円を受け取ったことについては不問となる。

こういった経緯からタン・チュンチェンの目線では、板垣組は無料で手に入れた解毒剤を12億円で引き渡すという不義理を働いた形となる。
板垣組を交渉不能な相手として見限ったタンは、板垣組の乗っ取りを画策する梶原修人に協力を打診する。
そして将来の手形と引き換えにタンを味方に引き込んだ梶原は板垣組の乗っ取りに成功、という見事な立ち回りを見せた。

また、このとき板垣組から受け取った2億円を使って澤を懐柔しようと試みたものの、金銭を抜きに梶原についていくことを明言されたためこの策については空振りに終わる。
梶原はそのことから、人を軽視しすぎる悪癖を自覚し、得難い腹心と共に帰国の途につくのだった。


『喧嘩商売』時代はあれだけネタキャラであった梶原さん、蓋を開けてみれば「畑違い」「片手」のハンデをものともしない奮戦ぶりで激闘を繰り広げ、一度は完封勝ちにまで手をかけた末の堂々の敗北。
しかし盤外戦では終始圧倒的な強さを見せ、気がつけば作者の言った通り「ズルさ・卑怯さ」を駆使した計略によって作中トップクラスの勝ち組となったのであった。

まあ、
  • 自分の使った技をパクられて窮地に陥る
  • 最後の最後での油断がきっかけで逆転を許してしまう
など、ネタキャラとしての見せ場もあったが。




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最終更新:2023年12月13日 02:07