水城史朗/仮面ライダーG4

登録日:2011/02/23 Wed 17:40:03
更新日:2023/12/09 Sat 13:37:59
所要時間:約 8 分で読めます




劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』 に登場する人物。

演:唐渡亮

年齢:35歳
性別:男性

概要

陸上自衛隊の三等陸尉。作中における仮面ライダーG4の変身者である。

彼はかつて自分たちが警護を担当していた自衛隊の超能力開発研究所*1において アントロードの襲撃に逢い、たった一人だけの生存者となった。
護衛対象の年端もいかない子供たち、それと接する教師達、自分の戦友……施設にいた人間達は皆殺しとなり、
誰も守れず、自分の身さえも守れないままにアントロードからの攻撃を受けて気絶していた彼が起き上がって目の当たりにしたのは、
遅れて駆けつけた仮面ライダーG3-Xが自分たちでは手も足も出なかった相手であるアントロードの一体と正面から戦い、これを撃破する姿だった。
それによって己の無力さを痛感した彼は、やがて「死を背負うからこそ、力を発揮できる」というライダー史上、かなり偏った考えを持った人間に変わってしまった。
しかも誘拐同然に連れ去られた上でESPシステムに利用された真魚にもその考えを当て嵌めていた。

その後は自衛隊の超能力開発施設の責任者にして、その研究の失敗によって今度はG4システムを強く推進する存在となった深海理沙に賛同、自らG4ユニットの装着者となる。

大勢のG4装着者(同僚)の死を見届けており、そこから出た「結果」と「G4システム」が混ざり合い、今の彼が誕生したのは言うまでもない。

氷川が彼に投げかけた「貴方は死に近づきすぎて生きることの意味を忘れているんだ」という言葉を「甘ちゃんの戯言だ」と言い捨てるも、
彼の語った津上翔一の生きるということはそれだけで素晴らしいという人生観、そして氷川自身の信念を聞き、心が揺らぐ。

そして……


仮面ライダーG4


スーツアクター:岡元次郎

身長:198cm
体重:187kg
パンチ力:4t
キック力:13t
ジャンプ力:25m
走力:100mを7.5秒

青いカメラアイと黒い装甲のカラーリングを除けば外観はG3-Xと大差は無く、頭部と細部アーマーの形状に差異がある程度。
基本性能もG3-Xを超えるがアギト・グランドフォームのそれを下回っており、隔絶しているというほどでは無い。

元々は小沢澄子がG3と共に開発・研究していたGシリーズの一体。
機体そのものはG3と同時期に完成していたが、劇中に登場するのはG3トレーラーのコンピュータから深見理沙が盗み出した設計図*2を用い、自衛隊によって新造されたもの。
要するにデッドコピーであるのだが、一部パーツはG3-Xより新しい型式*3にアップデートされている。

性能・機能

基本はG3やG3-Xと共通するが、それらとの最大の違いは、装着者と機体の挙動に対して「AIによる制御」が行われるシステムが搭載されていること。
これは、端的に言えばスーツの動きに合わせて装着者の体の方が動かされるというシステムである。

また、オリジナルのG4にはない深海による後付けのシステムとして、「ESPシステム」が搭載されている。
これは、「超能力者による未来予知」をAIと連動させ、視界の外も含めた相手の動きを完璧に予測した迎撃を行わせるもので、
深見曰く科学すら超越した存在となる力を持たされている。
事実としてこれらのシステムの戦闘能力への貢献は尋常ならざるものであり、劇中でも他の仮面ライダーたちが手こずっていたアントロードの大群を鎧袖一触に叩き潰し、
アギトとG3-Xのタッグを同時に相手取った際にもほぼ一方的に圧倒するほどの凄まじさを見せた。

問題点

しかしG4のシステムは、G4そのものにもESPシステムにも重篤な問題があった。
ずばり、人体へかかる負担がいずれも致死レベルなのである。

  • AI制御システムの欠陥
まずAIによる制御については、制御チップが導入される以前のG3-Xにも似たような部分はあったものの、
その状態でも津上翔一が完全に使いこなしてみせたように、人間の身体能力の限界までをも無視したものではなかった。*4

一方、このG4は何が敵を倒すのに一番効率がいいかのみを判断基準として、人間の身体能力など完全に無視して動く
身体能力の限界を無視するような動きを強制され続ければ、当然どんな人間でも身体に負荷が掛かる。
ましてや戦闘時間が長くなれば、蓄積され続けたその負荷は最終的に装着者の命までも奪ってしまうこととなる。
さらに、前述の通りG4はAIによって制御されているため、AIが無事ならば装着者の心臓と脳が止まっていようが関係がない*5
そうであるが故に、装着者が死亡したとしてもAIの「人形」として再起動する呪われたシステムでもあった。

即ち、G4システムとは人間が身に纏って戦うパワードスーツと言うよりも、
人体を消耗品のモーターやフレームとして必要とする戦闘ロボットとでも言うべき存在だったのである。
この様な非人道的としか言えない仕様を持った本システムは、開発者の小沢からは”存在してはならないシステム”、氷川からは”呪われたシステム”だと断じられている。*6

テスト段階における何らかの出来事*7でこの事に気づいた小沢は、完成した本機を警察庁の地下に封印した。
(深海がG4の"データ"を欲したのは警察庁にあったG4の奪取が難航し、新たに作成する必要があった為)

  • ESPシステムの欠陥
超能力者へ殺人的な負荷をかけるという最悪の欠点を持つ。

特撮ヒーローものではヒーローが毎回怪人やら怪獣と戦うのが基本であること、
仮面ライダーアギト』ではその怪人にあたるアンノウンが超能力者を襲撃するという設定であることから、
『アギト』ではそういった作劇上の都合もあって、劇中で結構な数の超能力者が登場しているが、
そんな『アギト』の世界においても、超能力者などそうホイホイいるものではない。
さらに、このシステムは連動する超能力者の予知能力の高さによってその精度が決まるため、
ただでさえ貴重な超能力者の中でも強い予知能力を備えた者を選抜しなければならない上に、
そんな超レアな人材を文字通り使い捨てにするシステムだということである*8
自衛隊側もこの欠点は考慮しており、「超法規的に国家の保護観察下においた」予知能力者を育成し、彼等をESPシステムの補充要員にすることを試みていた。

しかし先述の通り、本作における怪人は超能力者の存在を察知して襲撃を行うため、
このシステムを使えば、連動している超能力者の存在を察知したアンノウンがそこを目掛けて襲ってくることに繋がる。
事実作中でも、仮面ライダーアギト仮面ライダーG3-X相手にこのシステムを使った為にアントロードの襲撃を招いており、そのことが氷川によって指摘されている*9
オマケに、システムに接続された超能力者の力はそのまま発揮されるため、
組み込まれた超能力者がなにかの切っ掛けで制御不能なレベルの超能力を発揮し、システムにエラーを起こす危険性まで孕んでいる。
作中では風谷真魚が「翔一がクイーンアンドロードに倒される」という予知を見たことで意識を取り戻し、そのせいでシステムエラーを引き起こした。

このように戦闘力こそ非常に高いものの、運用面において犠牲を強いられる問題だらけ……というか問題オンリーのシステムである。
それでも自衛隊がこのシステムの奪取・運用に踏み切ったのは、アンノウンを倒せるG3-Xは警察の管轄であるため、
事件が起きてから、つまりアンノウンによる襲撃被害が発生してからでないと動けない=アンノウンの襲撃を未然に防ぐことができないというジレンマを抱えていたためである。

深海はいずれこのG4を量産し、世界最強の軍団を作ろうと企てていたが……。


▼武装

  • GM-01改四式
G3、G3-Xともに共通の装備であるが名前の通り改良されており、弾丸も強化された物が使われている。
見た目もほぼ同じであるが、警視庁未確認生命体対策班を意味する「MPD SAUL」の刻印が無い(当然と言えば当然だが)。
そしてGM-01と違ってフルオート射撃*10が可能である。装弾数は改良前と同じく72発。弾倉は不明。

  • 多目的巡航4連ミサイルランチャー「ギガント」
G4専用の装備。
4基の小型巡航ミサイル*11が収納されており、ケーブルをベルトの右側に装着し、ベルト左側にあるボリュームスイッチを捻ることで発射される。
低空・短距離対地用に開発された特殊ミサイルで、有効射程距離は4000m、最大目標速度は450m/秒。自動追尾式。
これでアントロードの大群を文字通り焼き払った

映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』の『仮面ライダーディケイド 完結編』では、
ディケイド激情態もこの装備を使用し、仮面ライダーJに対して大ダメージを与えた。



▼劇場版での活躍(ネタバレあり)


アントロードの活動が活発化し、アントロードの大群を相手に苦戦していたアギトG3-Xの前にヘリで颯爽と登場。
挨拶代わりとばかりに、ギガントでアントロードの大群を一網打尽にした。

更にその後には自衛隊の基地にて、G4の入手経緯を深見理沙に詰問するための小沢澄子の来訪に同伴していた氷川へと、
先述の理由からG4を装着したために死亡した同僚たちが氷漬けとなった姿を見せつけながら、氷川があかつき号事件で成し遂げた働きについて触れ、
彼がその時死の中に飛び込み、だからこそあれだけの働きが出来たと評する。
その言葉に困惑する氷川へと、水城は、


「死を背負うことこそ我々の使命だ」


という持論を説く。

更にその後は、深海に誘拐された真魚を救うべく軍の施設に侵入したアギトとG3-Xの二人を相手にESPシステムを用いて撃退。氷川を捕縛する。


しかしこの頃から水城は肉体の限界を悟っており、氷川の必死の説得を受ける。
その説得の中で氷川が発した、



「僕は生きるために戦う、生きることを素晴らしいと思いたい」


という言葉が胸に突き刺さり、気持ちが揺らいでしまった。

そして嘗て彼以外が死に絶えた研究施設の時のように、或いは氷川誠の戦いを目に焼き付けた時のように、
風谷真魚の超能力が行使されたことを感知したアントロードが自衛隊の基地へと襲撃。
これを迎撃するべく出撃する。

当初は大量のアントロードを相手取りながらもESPシステムにより優勢を保っていたが、
真魚が彼女を救出するべく再度侵入してきた翔一の存在を感知してそれまで奪われていた意識を半ば取り戻し、
同時に予知能力を翔一がその後直面する危機に用いた結果、G4システムにエラーが生じてしまう。
そのためか、彼はこれまでただ黙々と戦っていたのが嘘であるかの様な苦悶の声を上げる。

そうして猛烈な激痛に襲われながらも戦いを続行し、周りのアントロードを壊滅させた後、
「生を背負った氷川」と「死を背負った自分」、どちらが正しいか決着を付けようとG3-Xに襲いかかる。

性能差もあり、G4はG3-Xを圧倒。
G3-Xは頭部、左肩を素手で破壊されて追い詰められるが、
氷川は小沢から「氷川誠として戦いなさい!」と激励されたことで自らマスクを脱ぎ捨て、
「G3-X」ではなく人間「氷川誠」として、根性で食い下がる。

激闘の末、戦いが長引いたことでG4からの負荷が身体の限界に達した水城は絶命した。
しかし、前述の通りG4はAIで制御されているため、装着者である水城が死んだところで機能を停止しない。
自動制御で再起動したAIは、既に事切れている彼の遺体を無理矢理立ち上がらせ、なおも戦おうとするが、
氷川の怒りの銃撃により完全に沈黙した。



水城さん…

ウィィィン、ガシャ、ウィィィン…

もういい…っ…もういいだろぉ!!

ドンッ!!

ガシャンッ!!!


このラストシーンは必見である。

なお、銃撃時の「もういいだろぉ!!」という台詞は台本にはないアドリブで、氷川の演者である要潤氏が思わず発してしまったもの。
あまりにも鬼気迫る要氏の演技・声色はそのためである。



台詞集

「生の執着がある限り、十分な戦いはできない」

「だが、今の俺を死を背負って闘っている」

「俺の答えは解っているはずだ。どうする?俺は死を背負い、お前は生を背負っている。どちらが正しいか今この場で答えを出すか!」




後に公開された、超・電王トリロジーではディエンドのコンプリートフォームと共に登場した。

因みに、PS版仮面ライダーアギトに隠しキャラとして登場しているが、映画のネタバレを防ぐ為か終始無言。
だが、登場の際には空から舞い降りたり、勝利の際には、頭を抱え苦しむ描写があったりと設定を忠実に再現している。
ギガントは使わず、M-01改四式と肉弾戦を駆使して戦っている。



追記・修正は「ギガント」でアントロードの大群を焼き払ってからお願いします。



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最終更新:2023年12月09日 13:37

*1 超能力者としての素質を持つ多数の孤児を集めた施設

*2 尾室隆弘を泥酔させてパスワードを聞き出した

*3 G3-XでVer.2なのが軒並みVer.3

*4 小沢澄子の言う通り、『無駄な力を入れない』『翔一のように常にリラックスしたような人間』ならこのAI制御について行けるようになっている様子。

*5 筋肉や骨が断裂している状態ならば、機動力は大いに減じるだろうが

*6 もっとも、AIの挙動に関しては先行のG2、後発のG3-Xでも暴走を初めとした問題を起こしており、かなり根の深い欠陥であったことが窺える。

*7 詳細は不明。劇中で深見は”些細な事故”と言い放ち、小沢はこれに強く反発している

*8 劇中では風谷真魚に、意識を奪った上で体に取り付けた機器により超能力を無理矢理行使させることで稼働させていた

*9 基本的に普通の人間は殺さないはずのアンノウンのアントロードが、大多数は普通の人間であるはずの自衛隊を見境なく襲ったのは”超能力者に訓練や実験を施し、超能力を『更に引き出す』様な真似をしたから”かもしれない。そうだとすれば、このシステムを使った時点で普通の人間すらアンノウンの抹殺対象となってしまうことになる

*10 ただし設定上はGM-01スコーピオンもフルオート射撃は可能であるという記述がある

*11 何故巡航ミサイルなのか?という疑問に対しては後述する超能力者との連携による「未来予知」と組み合わせた場合、予知対象が遠距離に現れた際にそのまま撃破する為の『長射程』と、何処からでも放てるという巡航ミサイル特有の高い『奇襲性』によるものだと推測出来る。