まじっく快斗

登録日:2012/07/19 Thu 14:44:17
更新日:2024/04/14 Sun 11:58:15
所要時間:約 7 分で読めます






世紀の宝物を予告どおり手中にして、闇から闇へと消え去る紳士・怪盗キッド。


マジックの醍醐味をお見せしましょう!!




『まじっく快斗』とは、青山剛昌週刊少年サンデー1987年より不定期連載中の漫画である。単行本は5巻まで発刊されている。
単行本発刊ペースが遅すぎる為誤解されやすいが扱いはあくまでも『以下続刊』であり未収録作品も存在する。

現在同氏が連載している『名探偵コナン』以前に連載が始まったが、そこに割り込むように『YAIBA』、『コナン』が開始、時々思い出したようにこちらが連載されるという形になっている。


映画『名探偵コナン 天空の難破船』公開記念として、第1話『蘇る怪盗』が原作とほとんど同じノリでアニメ化。以降も2010~12年にコナン枠で不定期放送されていた。
現在の時代背景を反映しており、話に出てくる電子機器は最新のものとなっている。
何度かコナン*1もチラッと登場するが、話には全然絡まずほぼ毎回眼鏡が光ってニヤニヤしてる。
一部のキャラクターは過去にコナン側にゲスト出演していたが、今回はレギュラーキャラとの兼役から新規の声優に変更されている。
1ヶ月分すべてキッド関係のエピソードだったことも数回あり(前半キッド・後半コナン)、次回予告もキッド仕様に変わっていた。
ある時期のオープニングでは快斗や青子も登場している。


2014年10月から2015年3月まで『まじっく快斗1412』というタイトルでレギュラー放送された。
制作はA-1 Picturesで、キャストも一部変更された。
本作は『名探偵コナン』の30分前と言う凄い時間帯になり、1時間続けて著・青山剛昌タイムという夢の時間が実現した。

コナン目線で描かれたエピソードをキッド目線で描くとされている。
エピソードの中には既に上記の不定期の頃に放送されたものもあり、違いを探すのも面白いかもしれない。
とあるシーンでは発明品を届けた人物のビートルの姿も。

第6話「ブラック・スター」は2001年にも2時間スペシャル「集められた名探偵! 工藤新一vs怪盗キッド」の前半部分として放送されており、ある意味リメイクと言える。
話の最後に鈴木財閥(園子の実家)の名前が出ており、コナン本編でタイトルのブラックスターのエピソードが描かれている
(アニメでは1997年にキッド初登場回の「コナンvs怪盗キッド」として放送された)。

これ以外でもいくつかのエピソードでコナンと対決している(龍馬展や空中歩行など)。
是非、犯人視点から見たコナン君の恐ろしさを堪能しよう。


◆あらすじ

かつて世間を騒がせた大泥棒・怪盗キッドが8年の時を経て復活を宣言した。
それと同じ頃、父親が天才手品師だった高校生の黒羽快斗は、父親の隠し部屋を偶然発見する。

部屋の遺品から快斗は父親が怪盗キッドの正体である事を知り、父親の死の真相を知るためその衣装を身に包み、復活宣言をした偽キッドと対峙する……。


◆内容

1~3巻前半までは、一話完結型のただの泥棒劇。
3巻後半からは、謎の組織が絡み初め、ビッグジュエルのみを狙う現在の怪盗キッドの原形が完成した。


◆登場人物

名前に色の名前が入っているのが特徴。
また、ほとんどの人物が『コナン』にも登場している。

黒羽快斗/怪盗キッド
CV:山口勝平
主人公。
死亡した父親の正体を知り、その死の真相を知る為に跡を継ぎ二代目怪盗キッドとなる。

キッド時は華麗な手口やキザな言い回しでクールな印象の人物だが、快斗時はややマヌケだったりコミカルな三枚目となる。
ただし想定外の事態等でテンパると後者の地が出るので、前者はどうやら演技も入ってるらしい。

当初は様々な物を盗んでは返していたが、ある宝石が原因で父の死亡の真相が発覚。
それ以降は巨大な宝石――ビッグジュエルのみを狙う怪盗となった。

『名探偵コナン』にも登場。最初はゲスト出演だったが、何度も登場している内に世界観が殆ど繋がってしまった。

また、『コナン』に登場するキッドは快斗視点である『まじっく快斗』のそれよりもよりクールで抜け目の無い人物となっている。が、コナンとの交流を重ねる内に『快斗』本編と変わらないコミカルな姿も多く見られるようになってきた。

なお、怪盗キッドの本来の名称は怪盗1412号であり、どこかの警察組織が極秘に彼につけたシークレットナンバー「1412」が外部に漏れ、そう呼ばれるようになったという。
日本では怪盗1412号に興味をもった工藤優作が、新聞記者が殴り書きした1412をKID.(仔ヤギ)と誤読し、各国の警察を子供のように手玉に取る様も併せて「怪盗キッド」と呼ばれるようになった。
アニメタイトル『まじっく快斗1412』の「1412」は、このナンバーから来ている。

初期には飛び上がるほど魚が大嫌い(パンツの絵を見るのも嫌)という設定があったが、現在は死に設定(一応アニメでも描かれた)。


中森青子
CV:岩居由希子(コナン76話)、高山みなみ(コナン219話・OVA)、藤村歩(無印)、M・A・O(1412)
青山作品には珍しい戦闘力0のヒロイン。一応快斗をフルボッコにしたことはある。
さらにこれまた青山作品に珍しく絶壁つるぺたである。なんとカップサイズはあの幼児化した灰原以下(目測)。中森警部もこの事を知っているらしく、の胸を見て、娘とのその差に驚いていた。
快斗に「おめぇ実は男なんじゃねえか?」と性別を疑われたほど
(一度手違いで青子の入浴場面が映像に映し出された際には快斗は喜んでいたが。ちなみに中森警部は鼻の下伸ばして見ようとする部下にブチ切れていた)。

父親が警部であるためかキッドに対して良い感情を持っていないようで、キッドコールをする大衆の中、一人だけ「キッド来るな!」と叫んでいたことも。


中森銀三
CV:石塚運昇(コナン888話まで)、石井康嗣(『名探偵コナン 紺青の拳』以降)
警視庁捜査二課の警部であり、青子の父。娘がいることから既婚者になるが妻が登場したことはない。
初登場時は港警察署に所属していた。
キッドには並々ならぬ執着を抱いており、20年以上も追い続けている銭形ポジのおっさん。
初期はキッドに翻弄されるがままだったが、他の人物がキッドと対決する時にはその警備の穴を見抜いたりと、学習しない人間ではないようだ(その割に同じ手に何度も引っ掛かっているが)。

『コナン』の方で初登場した際は、「誰だコイツ」と言いたくなる程に出来る人オーラを醸し出していた。捜査二課に栄転したのもこの時から。

長年にわたって中森を演じた石塚運昇氏が2018年に死去し、2019年に公開された『紺青の拳』ではOVA時代にスネイクを演じた石井康嗣氏が担当し、2020年に放送された『キッドvs高明 狙われた唇』でも石井氏が中森を演じた。


小泉紅子
CV:林原めぐみ(コナン219話・OVA)、沢城みゆき(無印)、喜多村英梨(1412)
もう一人のヒロイン。
快斗を除いた学校中の男子全員がメロメロになる程の美人。
その正体は魔女。ネタでもなんでもなくガチの魔法使い。
ここらへんは『YAIBA』に通ずるファンタジー作風。

赤魔術によって、怪盗キッドだけは自分の美貌に惹かれない事を知っていた為、
快斗がメロメロにならない→つまり快斗=キッドだ!
という理由で快斗の正体を突き止めた。
そこ、自信過剰とか言うな。

快斗を振り向かせようとしている内にいつの間にか快斗に対し淡い想いを抱くように。その後は魔法で快斗にアドバイスや助け舟を出したり青子と2人きりになるのを嫌がって邪魔するなど可愛い側面を見せている。

流石に『コナン』との世界観が合わないためか、『まじっく快斗』以外では魔法を使っていない。
逆に、『コナン』で放送されたある回が『まじっく快斗』に掲載された話では魔法を使おうとしたシーンが追加されている。これがまた結構カッコイイ。
そして特別編集版DVDでも魔法シーンが再現されている(詳細は『集められた名探偵!』の項目を参照)。

なお、無印版で紅子を演じた沢城みゆき氏はのちに『コナン』本編でリメイク版『ピアノソナタ「月光」殺人事件』で浅井成実を演じている。


・桃井恵子
CV:岩居由希子(コナン219話)、茅野愛衣(無印)、種﨑敦美(1412)
快斗達のクラスメート。
茶髪でツインテールのメガネっ子。
『コナン』でいう園子ポジションのキャラだが、あちらとは違い普通の家庭の女の子。


・紺野エリカ
CV:進藤尚美(無印)、ゆきのさつき(1412)
快斗達のクラスの数学教師。
無印までは名前が設定されていなかったが、『1412』で名前が設定された。
中森警部の部下と同じ苗字だが、関係は不明である。
なお、『1412』での中の人は『コナン』本編では大岡紅葉を演じている。

・黒羽盗一
CV:池田秀一
快斗の父親であり、初代怪盗キッド。
キッドと名付けたのは工藤新一の父・工藤優作。
8年前に脱出マジックの失敗により死亡したと思われていたが……。

『名探偵コナン』ではある主要人物2人(引退女優休業女優)を弟子に持っていた設定が追加された。
中の人は『コナン』でも重要キャラを担当している(盗一自身もコナンに登場)。


白馬探
CV:石田彰(コナン・無印・犯沢さん)、宮野真守(1412)
イギリスに留学していた帰国子女の高校生探偵。イケメン。
父親は警視総監でもある。時間に非常に細かい。
犯人を暴いた後は「何故こんな事を?」と動機を聞き出すのが常だったようだが、最近はキッドにかかりきり。
登場当初はよくホームズの格好をしていた為、中森警部は彼のことを陰で「コスプレ探偵ボウズ」と言っていた。

快斗と幾度となく対決するライバル的存在。
快斗にジイちゃんがいるなら、白馬にはお付きのばあやがいて何気に対比されている。
キッドの正体を掴むも、証拠が無い&探偵としてのプライドからか現場以外で捕まえようとはしていない。
コナンとの対決以外の現場には大抵いるらしいが作品内では作劇上不在も多く不憫な探偵である。
『コナン』にもゲスト出演しているが、よくよく考えてみると、その度に犯人の目的のとばっちりで危うく命を落とすような事態に巻き込まれているのでますます不憫である。

1412では宮野氏が白馬を演じていたが、『コナン』のスピンオフ作品である『犯人の犯沢さん』では石田氏が再び白馬を演じている。


寺井黄之助
CV:肝付兼太(コナン219話)、矢田耕司(無印)、羽佐間道夫(1412)、野島昭生(犯沢さん)
元盗一の付き人で、現在はキッドの手下(という認識をされている*2)。
快斗の事を坊ちゃんと呼び、また彼の最大の理解者でもある。快斗からはジイちゃんと呼ばれる爺さんの寺井さん。「笑っちゃうだろ」by快斗
普段はビリヤード場「ブルーパロット」を営んでいる。
キッドとして動く際には過労死しそうな大掛かりな仕掛けを用意したり作動させたり、度々大仕事をこなしている。

『コナン』ではあくまで正体不明な為か素顔は登場していない(登場そのものはしている)。
「ブルーパロット」は『コナン』にも登場したことがある。のでお察しの通り殺人事件の血塗られた現場となってしまった。


・黒羽千影
CV:富沢美智恵
快斗の母親。初期と近年では容姿と設定が大きく変更されているが、盗一が怪盗キッドであることは初期設定でも知っていた。
20年前までは、ホラーチックな手口を使う「昭和の女二十面相」こと「怪盗淑女(ファントム・レディ)」となり、悪どい稼ぎをする連中を狙って活躍していた。
「昭和」が何年前なのかなどという計算をしてはいけない
最後となった仕事で危うく始末されかけたところを、偶然居合わせた盗一に助けられ、この出来事がきっかけで盗一と結婚をした。

現在はとある理由で海外に渡っている模様。


・茶木神太郎
CV:田中信夫
警視庁捜査二課知能犯係の警視。中森警部の直属の上司。
話の冒頭で登場する事が多い。
元は『コナン』の登場人物だったが、『まじっく快斗』にも登場するようになった。


・紺野刑事
CV:中谷一博
警視庁捜査二課の刑事。中森警部の部下。
『コナン』でいう高木君ポジのキャラ。捜査情報をつい漏らしてしまう所も似ている。
アニメ版で名前が設定され、出番も増えた。
苗字がエリカと同じだが、関係は不明である(名前が設定されたのはこっちが先)。


工藤新一
CV:山口勝平
『名探偵コナン』でお馴染みの高校生探偵。
謎めいた殺人事件を幾つも解決しており、それを聞いた中森警部に「課が違うじゃないか!」と言われた事も。
そもそも民間人なので課もクソも連れてくるなという話なのだが。
その存在は紅子に「悪魔のような狡猾さで人の心を見透かす慧眼の持ち主」と恐れられるほど。

『ブラック・スター』にて持ち前の優れた推理力で快斗を追い詰めるも結局は引き分けに終わった。
快斗もこの件について「すげーやばかったヤマ」と記憶している。
新一の方は対決相手にそれほど興味がなかったのか、その時に怪盗キッドの名前を聞きそびれていた為、江戸川コナンとして再会するまでキッドの存在を知らなかった。

アニメ『1412』では「江戸川コナン」としても何度か対決しており、いずれもキッドをあと一歩まで追いつめている。
特に第16話に至っては明らかに爆殺しようと試みており、「ついにコナンが直接手を下した」とネタにされた。


目暮十三
CV:茶風林
『名探偵コナン』でお馴染みの警視庁捜査一課の警部。
新一にヘリに乗せる約束をしていたらしく、ついでにキッドの捜査に参加していた。
中森警部とは同期。






以下、ネタバレにつき注意






・謎の組織

初代キッド、つまり盗一を殺害した張本人。
ビッグジュエルのどれか一つに眠る伝説の宝石“パンドラ”の入手を目的とする。どんなに汚い手でも使う外道集団。
『コナン』の黒の組織との関連は不明。

・スネイク
CV:石井康嗣(OVA)、大塚芳忠(無印)、小杉十郎太(1412)
組織のメンバー。
あの方(『コナン』の"あの方"とは別人……と思われる)の命令で“パンドラ”の入ったビッグジュエルを探しており、同じくビッグジュエルを狙う快斗と幾度となく対峙する。
『コナン』でいうジンのような存在とも言えるが、あちらとは違い詰めが甘く、快斗の策略に簡単に引っかかる事が多い。
また、一般人に犯行を見られても口封じは行っていない模様。
『コナン』ではほとんどの確率で死ぬシーンでもスネイクは何回か生還している(いわゆるギャグ補正)。


・スパイダー
CV:浪川大輔
無印アニメ版オリジナルキャラクター。あの方が快斗に差し向けた殺し屋。
表の顔は「ギュンター・フォン・ゴールドバーグ二世」と名乗る世界最高峰のイリュージョニストだが、この名前も偽名に過ぎない。
そのイリュージョンの腕を駆使し、快斗や白馬、更には魔女である紅子をも術中に陥れる。
その後のアニメシリーズである『1412』は原作基準という事もあり一切登場せず、完全に存在は無かった事になってしまった。

なお、スパイダーを演じた浪川氏は後に『コナン』のキッド登場回である『キッドvs高明 狙われた唇』に宝石ブローカーの鳥越苗路役でゲスト出演した。


快斗は父の復讐の意味も込めて、彼等より先にパンドラを手に入れる為にビッグジュエル専門の怪盗となった。

パンドラの眠るビッグジュエルは、月にかざすと中にある赤い姿が見えるという。
この設定は『コナン』でもしっかり生きており、毎回さりげなく宝石を月にかざしている。



☆余談

3巻と4巻の間はリアルで10年。つまり3巻が発売されて10年後に4巻が発売されたという珍しいことに。そして4巻が発売された約10年後に5巻が発売されている。ということは6巻が発売されるのは…
鉄刃は『YAIBA』からの、工藤新一と目暮十三の2人は『名探偵コナン』からのゲストだが、実は名前に色がしっかり含まれている。

鉄→くろがね色
工藤→藤色
目暮→グレー→灰色

一方で、『コナン』初出の茶木は名前に色が含まれるのと同時に、多くの『コナン』のキャラが推理作家や探偵の名前をモチーフにしているように探偵のブラウン神父も由来の一つであり、色と探偵の名前を含んだダブルミーニングとなっている。


アニヲタWikiに眠るビッグジュエル“追記・修正”を頂きに参上する


怪盗キッド

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最終更新:2024年04月14日 11:58

*1 灰原が後ろ姿で登場した事も。

*2 基本的に協力者は彼だけなのだが、紅子もキッドを助けたことがあるため、警察からは「老人か女かハッキリしないが部下が1人いることは確か」という認識がされている。