剣道(武道)

登録日:2012/05/25(金) 12:45:10
更新日:2023/09/21 Thu 14:25:04
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ヤーメーンコテメーンドーメーン


剣道とは日本九大武道にも数えられる、メジャーな武道の一つ。
中学、高校の体育で経験した人も多いのではないだろうか。

○概要

言わずもがなわかる通り、竹刀でお互いに打ち合う武道である。
発祥はかなり古く、室町から戦国時代の木刀を用いた仮当て稽古が主体だった頃に、袋竹刀という原型を考案したことから始まる。
今のような防具が発達し始めたのは江戸時代から。
現代の剣道のような技法やルールの原型を考案したのは北辰一刀流開祖、千葉周作である。

日本刀(平安以降の湾刀)は「引いて斬る」ように出来ているとか構造上の問題もあるにはある。
ただし、剣道の源流である一刀流は深く切り込むことを重視せず、すばやく小さく要所に切り込むことを目標とする剣術だった。
そのため、その一点が大きく乖離した訳ではない。

最大の問題点は、異常なまでのルール上の禁止項目である。
下段その他構えの禁止、有効打突部位の限定、脛払い禁止、強く大きく音が出るような激しい打ち込みでないととらない、
相手の剣を抑えるの禁止ともはや剣術としての形態をほとんど残していない。
本来ならば一刀流の理合(籠手や面などに相手の変化を無視してすばやく打ち込む)を効率よく習得するための方法論が禁止論にすりかわってしまっているのだ。

もちろん高段者の中には試合でこそ使わないものの、本来の一刀流などに近い小さく強い技を使う人間も居る。
そうした人は、剣で斬ることを意識して、打ち込み時に「竹刀が当たる際に切り下ろすように押す」ように意識するよう指導する傾向がある。
が、そうした指導者は少数派なのが現実である。

例えば防御面にしても、面に打たれなければ問題無いため、相手の打ち込みから頭を反らして、防具で守られた肩で竹刀を受ける、
といった光景は剣道の試合でよく見られ、大事な技術の一つではある。
だが、一太刀を先に受けて相手の勢いが落ちたとしても、相手の真剣や木刀による攻撃を肩でモロに受ければどうなるかなぞ想像するまでも無い。
本来の一刀流の極意である、最速の一手で敵を制する姿勢は有用なものだが、相手に打たせず勝つ、という観点は欠落してしまっている。


ただ、所謂激しい打ち込みでないととらないと言った問題については、既に戦国末期から存在している。
これは剣道の問題と言うより竹刀、あるいは実戦から遠ざかった剣術全てに言える問題かもしれない*1


また、このルールによる枠は剣道の実質的な太刀筋の幅も大きく狭めている。
例えば、剣道経験者に見られる傾向の一つとして
「剣道で慣れた真っ直ぐ振り下ろす太刀筋であれば、日本刀に不慣れな剣道経験者でも日本刀で簀巻きを斬れる。
が、太刀筋(入射角)を変えて斬るように指示すると、途端に刃筋も立てられず斬れなくなる」
というものもある。
袈裟懸けで胴体を狙う場合であれ、太刀筋は無論、実際に刃が当たるまでの距離が、普段慣れたポイントから数十cmずれるだけでも影響は大きく出る。

幕末において最後にして最強の剣客集団とも言われる新撰組の永倉新八は、回顧録にて池田屋について言及した際に
「腕や足、頭部の一部等が切り飛ばされて散乱した、惨憺たる光景だった」
と述べており、昨今では「そもそも実戦で仕掛ける余裕があるのか?」と疑問視されることもあった下段への攻撃も、実戦において極めて有効な攻め手だったことが窺える。
それらを総じて度外視するデメリットもまた大きい。

剣道メインの人でも、同時に居合道を嗜んでいる人も多く、その場合は上記のような例には当て嵌まらない。
実戦的な刀法を学びたいなら居合の方がいいだろうし、可能であれば両立させると良いだろう。


○技

剣道を全く知らないという人は少ないと思うので、ここからは掻い摘んで各技について説明していく。

基本

相手の頭頂部を竹刀で打つ技。
左右面、片手面、抜き面、切り落としなど割とバリエーション豊富。
危険度は低いが人によっては物凄く痛いし、外れて肩に入った場合は鎖骨を折る可能性がある。

小手

相手の右手首を打つ技。
出が非常に早く、相手の面にカウンターで合わせやすい。俗に言う出端小手。
相手が上段に構えている際は左手首が有効部位になる。
危険度は低いが剥き出しの地肌を打たれると内出血を起こす。なお防具越しでも起きる場合がある(大抵は安物の防具のせいでもあるが)。

自分から見て相手の左胴を打つ技。自身の腕がクロスすると言えば分かり易いか。
逆胴は余程の打撃でないかぎり一本にならない。(鞘や脇差がある位置で致命傷にならないから)
野球部は授業でよく逆胴を打つが、それはヒッティングと同じスイングになるから。
危険度は低いが腋の下へ外れると激痛+右腕全体の感覚の消失が起こる。

突き

相手の喉元を突く技。
大きく分けて諸手突きと片手突きがあり、諸手は入れたら直ぐに手前へ引かないと危険。
危険度が最も高く、悪ければ死ぬ可能性もある。首を捻って避けた場合は首の皮が擦れて裂けたり、鎖骨に入って骨折することもある。
防具の突き垂は突き対策用に防具の中でも特に頑丈に作られているので、これで受ければ大した衝撃や痛みも受けない。
怪我を防ぐ為に、下手に避けずに綺麗に受ける、という競技としての剣道の特徴が現れている技でもある。
怪我をした時のリスクの高さや剣技の拙い小中学生の試合では禁止技(教える事自体が禁則行為の為使ったら師の側も相応に罰される)になっている。


その他

【体当たり】

相手を吹き飛ばす技で一本にはならないが、相手の体勢を大きく崩せる。
よく鍔迫り合いに発展するが、粘着すると審判から注意を受ける。

【投げ】

公式には認められておらず、一種のテクニック。
鍔迫り合いから体を入れ替える際、膝を合わせて竹刀を相手の首筋に当て強引に振ることで転倒させる。
ちなみに倒れている相手への打突は有効(審判から「止め」の合図がかかるまでの間)。
審判によっては反則をとったり、失格にされる場合もある。

【巻き上げ】

表現が難しいが、使われた時のイメージは相手の竹刀がこっちの竹刀を握り、そのままもぎ取られたような感じ。

【気迫】

「虚実」とも言う。
相手の喉元へ向けて面を打ち込む際の気迫を送ることで防御させる。
これにより手元が上がるので出端小手を打ち込める。

【胸突き】

かつては公式に認められていた技。
上段対策として採用されたが、相手の突進を突きで牽制しまくり試合が成立しなくなる点と、
便利さの割に心臓や肺に衝撃が行って危険を伴う行為だから、
という理由でルールから除外された。
現在では、不意に当たってしまった程度ならまだしも、故意にやると反則になる。


○稽古について

剣道と言えば訳が分からない程キツイ稽古が有名だろう。

もちろん、夏場でも長袖の胴着に袴を着込んで、重たい防具を身に付けるという意味でもキツイ。

しかし、それだけでなく一部キチ○イじみた稽古がある。


その1:掛かり稽古
二分間〜十分間程度の間、基立ち(打ち込まれる側)が指示する箇所へ打ち込んでいく。
この間、極力息継ぎをせず、可能なら一息でそれを行う。
もちろん、手抜きは許されず高速で打ち込む。酸欠要因。
この他にも相撲の「かわいがり」の様に相手をとっかえひっかえ延々と
疑似試合的に相手と打ち合いを行うのもかかり稽古と呼ばれている

その2:合い掛かり
上記の掛かり稽古を互いに行う。
相手の隙を狙って打ち込むわけだが、手数重視のため割と外れる。
酸欠要因。

その3:千本素振り
その名の通り、千本正面素振りを行う。
ただし、全ての稽古が終わった後の整理運動に組み込まれている。ふざけんな。

多分、探せばまだまだある。
ただしこの辺の一部は旧帝国陸海軍や警察の体力錬成用の競技であった際に「シゴキ」の一部として採用されていた物がその実態を理解しないまま
訓練内容として取り入れられた物も有るので注意。またそんな軍隊や警察に採用されていた頃でも
本物の諸剣術流派を習い修めていた者の方が剣道しかやった事の無い者より強かったのはごく普通だったりする。

このように非常に辛く厳しい剣道だが、多くの人はめげることなく、今日も稽古に励んでいる。

何故続けるのか、その理由は人それぞれあり、
礼儀を重んじながら互いに切磋琢磨する、その剣道の在り方そのものに惹かれて続ける人。
気弱な性格を直すため、一種の修業として続ける人。
先輩に誘われて辞めように辞めれなくなっている人。
など、実に様々。

中には相手を打ち負かした時の爽快感が理由、という人もいるだろう。


たまに「刃先がカチカチ当たりまくってるのに何の考慮も無く試合続行とか意味不明」
「あの奇声に意味あんのかよw」
等と冗談交じりに言われることもあるが、実際問題競技としては、審判基準の曖昧さ等が経験者から批判の対象となることもある。


だが、剣道の目的は稽古と礼儀作法による人間形成とされている。
全日本剣道連盟によれば、剣道の理念は

剣道は剣の理法の修錬による
人間形成の道である

とされており、*2それは、
  • 脱いだ靴はしっかりと揃える。
  • 道場へ入る際は礼を忘れない。
  • 先輩、先生方への尊敬と感謝の念を忘れない。
  • 後輩達への愛のある指導を惜しまない。
などの基本所作に現れている。


そして奇声についてだが剣道には《気剣体の一致》という教えがあり声はその中の気(打突に応じた気迫)に相当する部分であり、
これがないと有効打突(一本)として認められないのである。
というか剣術でも薬丸自顕流の「猿声」の様に珍妙な気迫の大声を発する所作などは諸流派に幾つかあるので別に剣道だけの問題ではない。
武道場で隣で練習する柔道部員、外周中に聞こえた奇声に思わず笑い出してしまった他の運動部員諸兄、
彼らは至って真面目にやっているのだということを理解してあげて欲しい。
そして何を言ってもいいとうわけではなく、審判の判断で侮辱行為に当たると見做され反則や注意とされる場合もあるので現剣士の諸兄は注意されたし。

剣道は人として然るべき正道を示してくれる。

理由は人それぞれだが、根幹の目的が人間形成であることは忘れてはならない。

いくら強かろうが礼節を重んじない時点で人として負けているのである。

だから倒れた相手を追い打ちしたり死体蹴りしてはいけない。


○剣道をしているキャラ

漫画やアニメなどでの扱いは良く、実家が剣道の道場を開いていたり、ヒロインが剣道少女で侍属性をもっていたりする。
なお、そういったキャラクターの多くが何故か竹刀袋へ日本刀を所持していたりするのだが、
竹刀と日本刀の扱い方は全くの別物であり、剣道を習っていたとしても真剣は扱えない。
キャラ名等 登場作品等 備考
服部平次 名探偵コナン
宮沢謙吾 リトルバスターズ!
青山素子 ラブひな
島津由乃 マリア様がみてる
有馬菜々
篠原夏希 サマーウォーズ
水原可奈 Q.E.D. 証明終了
長野原よしの 日常
立花みさと
立花みほし
岡島小太郎 おジャ魔女どれみ
神谷薫 るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
明神弥彦
篠ノ之箒 IS(インフィニット・ストラトス)
火向井ゆり バトルガールハイスクール 過去に全国大会で優勝した経験がある
大村白菊 球詠
高坂穂乃果 ラブライブ! 漫画版のみ
園田海未


○余談

頭へ強い衝撃を受けるため、将来的にハゲる可能性があるひとは要注意である。





キェェェェエエエエアッ! エェェェンッ!! テェ!! エェン!! オオオォォオ!! エェェエェェエンッ!!
(訳:追記・修正お願いします。)

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最終更新:2023年09月21日 14:25

*1 かの剣豪疋田分五郎が諸国を回っている際の他流試合で竹刀でぽんぽん打ち込んでも相手が浅いしこんなのは実戦では斬れないといって負けを認めないで困ったという記録がある。疋田先生はどうしたかと言えば、しょうがないから気絶するほど激しくぶち込んだという。

*2 https://www.kendo.or.jp/knowledge/kendo-concept/