人造人間

登録日:2011/04/14 Thu 10:12:48
更新日:2023/12/13 Wed 14:40:31
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It's alive! It's alive!(生きている! 生きているぞ!)

ワタシハ ダレ ダ?



人造人間(じんぞうにんげん)とは、人の手によって作られた生物ないしは機械のうち、人の姿を模したもののこと。
ロボット』『アンドロイド』『ガイノイド』『バイオロイド』などの総称である。
また、創作界隈では『ホムンクルス』『オートマタ』などとも呼ばれる。
「~ロイド(ノイド)」という表現は、英語の接尾辞「~oid」(~のようなもの、もどき)の組み合わせ。要するに人間モドキという意味。


有機的人造人間無機的人造人間



有機的人造人間

『バイオロイド/バイオノイド』『ホムンクルス』がこれにあたる。
錬金術や科学技術により造られた人工生命体を指す。
主に科学技術で造られたものがバイオロイド、錬金術によるものがホムンクルスとされる。
最も有名なものはフランケンシュタインの怪物だろう。

また、遺伝子操作によって新たな能力や耐性を付加されて生まれてくる、所謂「デザインドベイビー」も含めることがある。
ただしこの場合、作中で厳密な法的定義として「人間ではない」と区別されている必要がある。
におけるコーディネイターなど、非人間認定が一切されていない者を扱うことは通常ない。
未来SFでは「バイオロイド」、中世〜近代SFでは「ホムンクルス」の呼び方を使う事が多い。
改造人間(サイボーグ)」との違いは、サイボーグが「人間に機械を足したもの」というのに対し、人造人間は「最初から全て意図的に造られたもの」という点。
ただし『ベース』ではなく『材料』として人間を使う場合(要はフランケンと同じ)は人造人間になる。


無機的人造人間

『自律式人型ロボット』や『アンドロイド』がこれにあたる。
ロボットの中でも特に人間に近いものをアンドロイドと呼ぶことが多く、両者の違いは外見を除いてほぼない。
創作では心を持つという場合も非常に多いが、思考の論理性等に大きな差異があるケースもある。
中世〜近代SFで「ロボット」という言葉や定義がない場合は、「オートマタ」「オートマトン」と呼ぶ事もある。
また、マシンロボやトランスフォーマーのような「機械生命体」は『そういう種族』であり、基本的には人造人間には入らない。
あくまでも「何らかの用途を求めて意図的に造り出された存在」が人造人間のポイントである。
なお、人造人間のうち特に女性を象ったタイプは『ガイノイド』とされるが、いまいち周知はされていない。



どちらに該当するか曖昧な場合は、「脳」の有無の違いが大体の区別ライン。
逆に言えば全身が機械であっても脳が機械ではない場合、基本的には「改造人間(サイボーグ)」として扱われる。
また、人体ないし生物の肉体を利用し脳だけ機械に置き換えた場合は、人造人間と言うよりは『機械型ゾンビ』の範疇である。
ただし『銃夢』のザレム人のように『人間であった記憶を機械に入れ替えられた脳だけ機械の体は人間*1』は物凄く微妙なラインと言えるだろう。

ロボコップのように
  • ロボットを作るのに技術不足で人間の脳が部品として必要だった
  • 9割機械で死者の脳を制御用に用い、普段はAIで対応するが生前の記憶と人格も残る
  • 劇中での扱いもロボット(アンドロイド)扱いと人間(サイボーグ)扱いで分かれる
という場合、人造人間なのかサイボーグなのか機械型ゾンビなのか、人造人間だとすれば無機型なのか有機型なのか…
彼の場合、一応顔の皮膚と消化器官も生前の有機体パーツの再利用品だが…

それと大前提ではあるが人造“人間”である以上、ヒト型であるのも条件と言える。
ただし“人造”人間ではあるが、人に限らず人外や機械に造り出された場合も含まれる。

○創作における人造人間

▽創作における有機的人造人間

外見から機能まで人間そっくりであることが多く、その存在自体が物語の鍵であることがある。
何らかの理由によって人間よりも長命、あるいは短命である傾向がある。特殊能力を付与されているケースも。
また生物である故に普通に自我を持っている事がほとんどだが、人間と違い人権がない事も多い。
その見た目のせいもあり、無機質な使役ロボットよりも扱いに倫理観が付きまとうのが特徴。
人間そっくりなこともあり、自分自身が人間だと思っていたが後々人造人間だと判明するケースも多い。
ただし「ミュータント」のような人間からの突然変異体は『人造』ではないので基本的には含まれない。



▽創作における無機的人造人間

有機的人造人間と同じような場合が多く、設定による細かな差異が見受けられる程度。
ただし、その差異を一部テーマとして取り入れている作品もある(スターウォーズにおけるクローン兵とドロイド兵など)。
また、生物ではない故に自我を持たない、もしくは思考パターンが合理化されているケースが多い。
更にその逆で「キューティーハニー」の如月ハニーのように『自分がアンドロイドだという事を知らなかった』というパターンもある。
こういう場合は特に自我や心を明確に持っている場合が多く、自分がロボットである事にショックを受け、最悪の場合は狂ってしまうケースもある。


どちらも共通して、生物、あるいは人間としての葛藤が描かれることが多い。
その場合、人間や動物との触れ合いを通じて感情を獲得することがある。
感情については思考回路の性能による差が非常に大きいため、設定次第な部分がある。
また、人間そっくりな事から生まれる倫理観が、人造人間自身だけでなく周囲の人間に葛藤を与える事も多い。



○現実における人造人間

▽現実における有機的人造人間

有名なものではクローンの製造可能性が挙げられるが、倫理的に大きな問題となっている。
臓器や手足などのためのスペア人間という発想はあるものの、現在では技術の進歩とそれに伴うコストの変動もあり余り現実的ではなくなって来ている。
(脳を含めた「維持システム」を用意するより、培養細胞を栄養液に入れておくといった方式の方が安上がりであるため)
現在の再生医療でもっとも有名なものは山中伸弥教授が生み出した人工多能性幹細胞、いわゆる「iPS細胞」が推進されている。


▽現実における無機的人造人間

こちらは災害救助など、人間にとって危険な作業を代わりにさせる為の研究が盛んである。
人間の代替えとしては軍事利用を除いて倫理的な問題が挙げられることは少ない。
『ペッパー君』のようにすでに接客やガイドなどで活躍している個体もいる。
ただしASIMOやペッパーを人造人間の範疇に入れるかどうかは議論が分かれる。
例えばASIMOは二足歩行は出来るが自律性はなくラジコンに近く、ペッパーは足のない半人型の上、こちらも自律しているわけではない。
看護などの現場では無機質なイメージを払拭すべく、見た目も人間そっくりのアンドロイドを求められている。
しかし今のところ一番の壁である『不気味の谷現象』を越えられた個体は出ていない。
また、頭脳についてはAI(人工知能)のレベルによるが、将棋やチェスのような一定ルール下におけるパターン算出には強い。
だが「瞬時に何かと判断できる」生物の持つ識別能力、それによる「レスポンスの早さ」には遠く及ばない。
恐らく現在最高峰と言えるのは、人工知能ロボットとして世界で初めて市民権を取得した『ソフィア』だろう。


○著名な人造人間

以下、各メディア別に記載。編集者視点で出来るだけ似たジャンル系統をまとめる。
(有名な作品やキャラを優先、シリーズは旧作を優先、似た作品ジャンル、人造人間の運用傾向でまとめた)
尚、その事実が伏せられている場合はネタバレを含む為に閲覧注意。また、本人が自分の正体に気付いていないものは別項目に記す。

▽著名な有機的人造人間

※クリックで展開します

▽著名な無機的人造人間

※クリックで展開します



▼自分が人造人間だと知らなかったキャラ一覧(ネタバレ含む)

前述にもある通り、「キューティーハニー」の如月ハニーのように『自分が人造人間だという事を知らなかった』というパターン。
これは『人造人間』という存在に自我があるからこそ起きる現象であり、基本的にそうでないもの(ただの基礎AIなど)は含まれない。
以下深刻なネタバレ(閲覧は自己責任)

  • 総評:物語の核心を突く存在である者が多く、必然的に正体が明らかになるのは終盤
    • 逆にそれ自体が前面に押し出された作品の場合、比較的早い段階(早ければ第一話でも)で正体を明かされる
  • 総評:比較的早い段階で第三者(もしくはメタ視点の視聴者)には正体が判明している者が多い
    • 場合によっては人造人間だと認めない、または認識できない(自分を人間だと思い込んでるロボット)タイプもいる


▽人造人間に似た存在

非人型
あくまで人造“人間”なので、頭脳が極めて人間に近い非人間型


<非常に微妙なライン>
人型を模し頭(顔)、胴、手足で構成され二足歩行するが、人間と呼ぶにはかなり違う



ヒューマノイドロボット
人型、もしくはそれに近いデザインではあるが自律性がないただのロボット

ミュータント
“人造”ではなく何らかの原因により自然発生した突然変異の人型種族

機械生命体
「何らかの用途を求めて意図的に造り出された存在」ではない、元々そういう種族

全身機械化サイボーグ(元人間)
元々は人間だったが脳まで機械化したサイボーグ

not人造人間
人造人間のようで人造人間ではない珍しいパターン
  • 巳真兎季子(KEY THE METAL IDOL)
    • 「キィ」の正体。ある副作用と機械やからくり人形に囲まれた家で育つ中で、自分をロボットと思い込むようになった。
  • アリスウェイド・フォン・ユリシーズ4世(パタリロ!)
    • ただの人間だが記憶を封じられて人造人間と思い込まされた。
  • 神谷シノ(正義警官モンジュ)
    • 事故で記憶喪失になった際、自分の事をアンドロイドだと思い込まされた。
  • 住友みのり(こはるびより)
    • 人間の少女だが、彼女をモデルにしたという設定のメイドロボ「みのり」に化ける。
  • ハル(映画「ハル」)
    • 冒頭で死亡した少年「ハル」を模して造られたケアロボット…と思われていたが?*25
  • アジ3/ジア(ロボットじゃない君に夢中)
    • 人間アレルギーの御曹司が注文したロボット…が納入直前で故障してしまったが為、外見のモデルとなった人間の女の子ジアがそのふりをしている。
  • 衛宮切嗣衛宮士郎(Fate/stay night)
    • 士郎は「人間のふりをするロボット」、切嗣は「ロボットのふりをする人間」と呼ばれている…が、両者ともにちゃんと人間。
  • マリー(機械じかけのマリー)
    • ロボットのフリをしたロボット並に頑強かつ感情が乏しい少女*26

識別困難
詳細が不明なため、この項目では判断が難しい存在


○アンドロイドと人間の境界

SF、サイバーパンクの世界で取り上げられることの多いテーマ。
人間の頭脳とAI(人工知能)の境界がどこにあるかは現実でも論争が絶えず、哲学、科学双方において大きなテーマとなっている。
現在では、完璧な(人間と同等な)AIは実現不可能と言われている。ただし脳機能の一部を代替えする物はすでに開発されている。*27
これはエキスパートシステムを用いて可能な限り人間に近い判断を算出する教育をする事は可能だが、クオリア(自我)を持たない為。
しかしクオリアの存在の有無を証明する方法は今のところなく、哲学的ゾンビの証明同様に机上の空論と化している。
「自我」「無意識」を科学的に証明できる術ができたならば、フィクションのような世界も夢ではないかもしれない。


○属性としての人造人間

アンドロイド(萌え属性)
昨今では所謂一つの萌え要素。
無口で無表情、ロボットなので感情がないというのが定番の設定。
製作者に従順であるというのも定番。

自分が人間でないことを引け目に感じているが、それを受け入れてくれる主人公にデレるというのもベタな展開。感情の獲得が泣き要素になる場合も。
泣きたいが泣けないor泣いているが理由がわからない。など。
無反応からデレに転じる様にはツンデレともまた違った喜びがある。

例)「人間がなぜ泣くのか分かった。……俺には涙は流せないが」
私にも『愛』がなんなのか分からないの!





人間がなぜ追記・修正をするのか分かった……。
俺にはできないが。

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最終更新:2023年12月13日 14:40

*1 しかも成人の儀式で本人の知らない間に入れ替えられてしまうので、勝手にサイボーグにされた鋼鉄ジーグの宙と逆パターン。これは思考統制の為であり、レプリカントに近い。また続編で明らかになる事だが、ザレム人自体が「ある目的」の為にDNA工場で造り出されている人造人間(生殖機能を持たない)である事も判明した。

*2 尚、人造人間17号・18号は名前こそ人造人間だがサイボーグである。

*3 劇中では「改造人間」と呼ばれるが、バーソロミュー・くまのクローンを量産し改造した「人間兵器」であり、ほぼ機械化され自我も無い。

*4 基本的には「宇宙人」として扱われるが、一応情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。

*5 作者の長谷川裕一氏による造語。有機的・無機的問わず「造られし者」全般を指す。

*6 ゲーム中では「サイボーグ」「アンドロイド」など色々な呼び方をされるが、すでに完成した人体に手を加えたものをサイボーグ、一から作り出された人間をアンドロイド(広義のバイオロイド)と呼び区別している。この定義上2つを両立することもでき、シリーズにはアンドロイドとして製造された後さらにサイボーグ化されたキャラが多数登場する

*7 彼女はデザイナーベビー(試験管ベビー)でありホムンクルスではない

*8 「ロボット」という言葉を創り出した作品。ただし本作では脳・内臓・骨といった人間に近い生体を持つ人造人間(バイオロイド)。

*9 ザコ構成員のパンサー団員は有機的人造人間

*10 彼の場合は特殊で、天野博士が作ったアンドロイドにエネルギー生命体のファイバードが融合している

*11 人造トランスフォーマー。TF自体は機械生命体なので、彼は人造機械族人というややこしい存在になる。

*12 8マンの続編作品

*13 作品説明では「バイオロイド」とされているが、精巧な人工皮膚に人工血液を流しているだけで、中身はほぼターミネーター。

*14 このゲームの機械生命体は、エイリアンが地球侵攻と人類殲滅の為に造り上げた無機戦闘生命体。

*15 読者視点では人造人間という真実は明かされていたが、当の本人は製造者やそれを知った善意の第三者の思いやりからそれを後半まで誰にも教えてもらえず、しかし製造者の死後に事情を知った人物からの半端な言い訳から真実を知る終盤まで「自分には本当の親がいる」と勘違いしてしまった。

*16 通常レプリカントは疑似人格と嘘の記憶を与えられて、自分の事をレプリカントだとは知らないし自覚はない。

*17 正確には、氷室遼三が世界征服のために作り上げたゼオライマーを強奪し妻の美久もろとも裏切った若槻魔沙鬼を抹殺した後、鉄人帝国ネマトーダの蘇生技術で胎芽の状態に戻した存在。氷室は前世の記憶を消した彼らを利用してネマトーダを滅ぼし、世界を我が物にせんと目論んだ。

*18 デコイは機械と生物の融合体で、人類再生計画の実行まで地球環境を維持させるための仮の住人として「マスター」により造られた人工生命体。この作品の登場人物はマスター以外全てデコイ。

*19 ゼノギアスの世界の人間は全てこのスファラディーを増やす為に地球人に模して造られた存在。

*20 死刑執行されて一度完全に死亡した死刑囚の脳と心臓(心も)だが、本人由来なのでサイボーグと見るべきか、死体を再利用しているだけなので人造人間と見るべきかは議論が分かれる。

*21 正確に言えば『自分を本物のロックマンだと思い込んでいたコピーロボット』である

*22 姉妹ロボットの片割れで、鉄人28号のような見た目をしているが、妄想世界に浸っており自分の事を悪い魔法使いにロボットの姿に変えられた美少女姉妹の妹だと思い込んでいる。なのでロボットと言われても頑なに否定する。なお、姉のアンは事情も全て把握しており自分がアンドロイドだと知っている。こちらは少女の姿。

*23 シンバルはほぼ二足歩行のドラゴンなので除外。ピアノは小さいバラモスのような半人半竜型、ドラムも人型の部分が多い。

*24 正確には、死亡した東八郎本人の記憶・人格を既に完成していたロボットボディの電子頭脳に移植した存在。後に制作された続編では、8マンのように『(人間に限らず、イヌなどの動物を含めた)生身の生物の記憶・人格等をロボットのコンピューターに移植した存在』を指して『マシナリー』と呼称している。

*25 実は死んだのはケアする側だった人物の方であり、ハルはその死を受け入れられず死んだのは自分で自身をケアロボットだと思い込んでいた。

*26 常に命を狙われる御曹司が人間不信から人間のメイドを信用できず、ロボットメイドを所望…しかし人間そっくりのメイドロボを作る事ができず、急遽彼女を雇って誤魔化すことになった。

*27 19年に東芝とジョンズホプキンス大学が共同で小型の脳型AIハードウェアを開発し、海馬の空間認知機能の一部を模倣・再現することに成功した。