追憶の戦機

登録日 :2011/02/28(月) 05:18:06
更新日 : 2017/09/22 Fri 15:46:07
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戦う司書に登場する七つの戦機。

『常笑いの魔刀(とこわらいのまとう)シュラムッフェン』
『常泣きの魔剣(とこなきのまけん)アッハライ』
『大冥棍(だいめいこん)グモルク』
『彩なる砂戦艦(あやなるさせんかん)グラオーグラマーン』
『韻律結界(いんりつけっかい)ウユララ』
『自転人形(じてんにんぎょう)ユックユック』
『虚構抹殺杯(きょこうまっさつはい)アーガックス』
の七つである。


楽園時代、未来管理者オルントーラは人々を正しい未来へ導いていた。

人間の声ではなく、思考共有の通信でもなく、伝達を伴わずに直接理解に至るような不思議な力を遣い、オルントーラは人々に囁く。


夫婦のいさかいには歩み寄るための言葉を。

村同士の揉め事には互いに損をしない妥協点を。

強き者には謙虚さを。

弱い者には励ましの言葉を。


ほんの小さな、当たり前のような事柄をオルントーラは囁き、そのごくごく小さな、当たり前の事の積み重ねが世界を楽園に変えていた。


だが、人々は次第に、少しずつオルントーラの囁きを無視するようになる。


一度くらいオルントーラの命令に背いたところで世界が楽園でなくなるわけがない。

一度きりの人生だ。楽しむのが一番じゃないか。


そう思い、オルントーラの正しい未来を忘れていく。


そして、犯罪、戦争、国家、民族、対立、差別が生まれていった。


王と名乗る者が一人では使い切れない財産を持ち、人々の命すら握っている。

貴族と呼ばれる者達が、そのおこぼれに預かっている。

ごく当たり前に働いていれば手に入るものを、他人から奪おうとする者がいる。

自分の心の痛みを、他人にぶつけることで紛らわす者がいる。

自分の強さを、他人を虐げることで見せつける者がいる。


もはや、オルントーラの囁きに耳を貸す者はなく、いつしか声すら聞こえなくなっていた。



バントーラやトーイトーラと共に、オルントーラは全力を尽くしてきた。

だが、人々は堕落し、このままではこの世界はどうしようもない最低の世界になる。


オルントーラはついに、正しい未来を導くために、暴力を用いる事を宣言した。

逆徒達を滅ぼすために、七体の懲罰天使を使わせたのだ。


懲罰天使は、全身が輝くような白金でできた、とてつもなく精巧な、美しい女性の像だ。

光に透ける薄布を纏い、背中には同じく白金の羽が生えている。

その顔は美しく端正で、それぞれ異なる道具を手にしていた。

それが、追憶の戦機と呼ばれる七つの戦機だ。



全ての追憶の戦機には神々の力が込められ、常世の呪いがかけられており、人間に追憶の戦機を壊す事はできない。

それぞれ意思を持っていると言われている。





それでは、各追憶の戦機についての説明をする。



【常笑いの魔刀シュラムッフェン】
柄は写実的な蜘蛛の彫刻。
使うときは蜘蛛の足を自分の腕に噛ませる。
すると、蜘蛛の糸を模した、蜘蛛の糸のように細い刀身が、蜘蛛の尻からするすると伸びる。

シュラムッフェンの能力は因果抹消攻撃。
行為と結果の関係を抹消し、振るうだけで離れた所にある物体を切り刻む。
形あるものならば、シュラムッフェンに切れないものはない。

その破壊力は使用者の邪悪さによって変わり、シガル様が使えば最大限の力を発揮する。
正義感の強い女性が使用しても、車を破壊する程度の威力は発揮できる。

防御機能も備えており、使用者に対する攻撃は、たとえ使用者が認識できずとも自動で守る。
近距離からのハミュッツの高速の礫弾すら粉微塵にして防いでしまう。

だが、シュラムッフェンは追憶の戦機の中でも下級の武器で、弱点もある。

まず、因果抹消攻撃は『対象』ではなく『空間』を切るもので、攻撃発動までに若干の時間を要する。
つまり、例え相手がシュラムッフェンを振った後でも、自分のいた空間から離れれば避ける事が可能なのだ。

音速で動き回るとかすれば!

武装司書最速のハミュッツですら、最初こそ回避できていたが次第に追い詰められ、ずたぼろにされてしまった。

射程も五、六十メートル程。

防御機能も完全ではなく、シュラムッフェンを所持していなければ当然発動せず、使用者が相手の攻撃に無警戒等の隙があっても発動しない。

更に、『切る』事しかできないため、液体や気体のように切れないものは防げない。

上空から苛性ソーダをかけるとかすれば勝てるだろう。

攻撃と防御を同時には行えず、切り替えの際に一瞬だけ隙ができる。
だが、その隙をつくのはマットアラストのような完璧な予知能力でも持ってなければ難しい。





【常泣きの魔剣アッハライ】
中指ほどの長さしかない、芋虫を模した短剣。
シュラムッフェンと同系統の力を持つが、その威力はシュラムッフェンを上回る。





【大冥棍グモルク】
黒い霧に覆われた質素な棍棒。
手触りから形状を推測することはできるが、実際に見ることはできず、直接目にすれば視力を失うと言われている。
不可視の巨大な打撃力を生み出し、一撃で大地を割り砕く。





【彩なる砂戦艦グラオーグラマーン】
短剣ほどの大きさの鉄片が無数に寄り集まり、持ち主の意思で動きその姿を変える。
空中に浮かぶ要塞のような船。





【韻律結界ウユララ】
蔦(つた)の紋様をしている。
この紋様を宿している者が戦う意思を持っていない時に限り、無敵にして絶対の防御を行う。





【自転人形ユックユック】
羽の生えた、少年とも少女ともつかないうずくまった人形。
この追憶の戦機だけは複製が作られ、複数個存在している。
複数人の魔法権利を一つに束ねることができる。
その結果、一人では到底公使できないような強大な魔法を発動させる事ができるのだ。
人数と時間さえかければ、光速で石を放つ魔法を発動する事も、その魔法が永遠に使用されない魔法を発動させる事も可能となる。





【虚構抹殺杯アーガックス】
この世に二つ存在する杯(さかずき)。
この杯に水等の液体を入れ、消したい記憶を呟いてから飲むと、その記憶を消す事ができる。
呟いてから液体を別の器に移したり、呟いた本人と違う人物に液体を飲ませても効果を発揮する。







これらの追憶の戦機の名称は、ミヒャエル・エンデのはてしない物語からとられたもの。


追記、修正は因果抹消攻撃を避けてからお願いします。


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【過ぎ去りし石剣ヨル】
八つ目の追憶の戦機。
司書天使が所持していた短剣。
現在はラスコール=オセロが所持している。
樫の木でできた柄は人間の腕を模し、苦悶に喘ぐ人間が空を掴む瞬間のような手の形をしている。
刃は肘のあたりから伸びており、柄と同じ長さの、石でできた両刃の直剣である。
この石剣を死者、或いは死亡した場所の近くに突き立てる事で、即座に『本』を取り出す事ができる。





追記、修正は懲罰天使に勝利してからお願いします。
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