サイボーグクロちゃん

登録日:2010/12/26(日) 21:03:35
更新日:2024/04/23 Tue 02:16:19
所要時間:約 6 分で読めます




★概要

コミックボンボンに連載されていた横内なおき先生の漫画。全十一巻。
末期のボンボンにおける隆盛期において最も人気を博した作品と言っても過言ではない。タイアップメインだった同誌でへろへろくんと並んで珍しいオリジナル漫画としても有名。

現在単行本は絶版しているがなんとこの度異世界サバイバル編などを再録した『復活!サイボーグクロちゃん ガトリングセレクション』の発売が決定した。
2012年1月23日に発売、お値段は1200円である
人気のため増刷が決定し、さらに第二弾も登場した。一部のシーンが作者によって描き直されたり、描きおろし漫画があったりするので、コミックス全巻所持者も買って損はない。
ただし現代目線で使えないネタが修正されたりしているので単行本にも価値はある
2015年にはついに本編を全て網羅し各巻に書下ろしおまけ漫画、
更にガトリングセレクション書下ろし漫画も収録した新装版が全6巻で発売。
なので今から集めるならコレクション目当てでなければガトリングセレクションはおすすめしない


世界征服をたくらむ悪の天才科学者・ドクター剛によりサイボーグに改造された主人公の黒猫・クロと、その仲間達が繰り広げるドタバタバトル人情コメディ。

ジャンルがよくわかりにくく思えるが、作者が多面性のある作風を得意とするため、実際にこの作品を一言で表すとそうなるのだ。

バトル要素もあるし、ギャグ要素もある。
人情話もあれば、終始シリアスに徹する回もある。

この、見ていて次の展開が予想できない、常にワクワクさせられる構成が、サイボーグクロちゃんの魅力の一つと筆者は思う。
ギャグに対するツッコミや、作者が全作品通じて得意とする「はみ出しもの、鼻つまみものが自分なりの居場所や生き方を見つける」という点もこの頃から完成している。
児童虐待や動物虐待など社会問題に密接した話を描くこともあり、児童漫画としてはシビアな一面も持っている。

ただし、全体を通した一貫したストーリーとしては結構な矛盾点があり、特にマタタビ関連については回想で触れられた内容と実際のキッド編での過去が全然違うものになってしまっている*1

五巻では異世界編。八巻ではクロの過去を丸々一冊使って描いている。

後半の鬱展開で読者離れを起こしたと言われ、作者もそう認識していたという。
しかし、いざSNSを始めてみると、それらの展開にも好意的な意見が多く寄せられたとのこと。
さらに鬱展開と言ってもゴロー編は背景こそ暗いが、ギャグについてはよりキレが増しているため、食わず嫌いせず見ると楽しめるはず。
なお次作品のウッディケーンにもまったく同じ意見の批判点があり、しかし実際はファンの声の方が根強かったとのことで、
作者は自己評価の低かったこれらの作品について、自己認識をある程度改めたという。

ちなみに余談だが、サイボーグクロちゃんの舞台である桜町は、原作漫画では北海道にあるとされている。つまりサイボーグクロちゃんは初音ミクと同じく北海道生まれなのである。
なおTV版では東京であると明示される回がある。

★登場人物紹介

●クロ
CV.坂本千夏
我らが主人公にして史上最強のサイボーグキャット。『破壊のプリンス』の異名をもつ。
元は野良猫だったがジーサンとバーサンに拾われ、飼い猫となっていた。
留守を預かるセキュリティとして異常な能力を発揮していたことから剛くんに目をつけられ、改造されサイボーグとなった。

「クロ」の名はジーサン&バーサンに拾われてからのもので、野良時代の名前は「キッド」。またサイボーグ化時メタリックな外見になったため、普段はクレーンゲームから強奪した黒猫着ぐるみスーツを着て偽装している。

トレードマークのガトリング砲は秒間600発。どうやって装填しているかは定かではないが、この作品でそういうことを気にするのは野暮というものである。
白兵戦では「何でも切れる剣」(とたまに爪)を振るう。

改造によって頭脳は強化され、日本語を普通に話せる他、自分で自分の身体を修理できるし、家電製品も直せるようになった。
よってジーさんにいいように使われていたが、序盤以降はほとんど設定として描かれなくなった。

よくも悪くも中身は猫であり、怒りのままに破壊活動を繰り広げたり、破壊という行為に快楽を覚える危険な面もある。
アニメの初期ではサイボーグになったことで食事が出来なくなったと設定されていたが、コタロー登場編にて
原作と同様に食事を取ってからはその設定はなかったことにされた。

面倒なことに絡まれるのを嫌う一方で、オス猫の誇りとして義理に厚く、世界から拒絶されて緩やかに死を迎えようとしていた自分を拾って面倒を見てくれたジーさんバーさんを守ろうと決めていた。
なおこれについてはジーさんバーさんが「あの二人はオイラより不死身」ということでほとんど面倒を見られなくなったが、
一方で仲間の揉め事を聞かされると「しゃーねぇ」と言いつつ助けに行くこともある。ただその大変の動機は「暴れたいだけ」だったりすることも多い。

猫らしく気まぐれで面倒くさがりだが、最終的には誰でも助ける、助けずにはいられない性格。人はそれをツンデレという。俺たちの永遠の師匠である。

また、作中では何人もの登場人物に大きな影響を与えている。戦闘力のみならず、キャラとしての強さという面でもその存在感は非常に大きい。

ナナのことは毎回うっとうしく扱っているが、なんだかんだでラブラブでどう考えても相思相愛。

ミー
CV.手塚ちはる
通称はミーくん。
クロちゃんの永遠のライバルで剛くんの嫁。特技は料理、剣技。
トレードマークは何でも切れる剣だが、真の獲物は包丁。何でも切れる剣に比べて明らかに切れ味がよく、
なんでも切れるはずなのに切れなかった地底人の遺跡の扉をこじ開けていたなど、戦闘力が増している。

やはり剛くんによって生み出されたサイボーグ猫であり、クロよりもずっと先に改造された。
アニメでは時系列的にそう年齢は変わらなそうだが、原作だとクロより少し年上な可能性がある。
彼が今の身体になり、世界征服を目指していたのは、壮絶な過去がきっかけとなっている。

好きなのは何でも切れる剣、得意なのは包丁と特殊な戦闘センスの持ち主。
さらに悪魔のチップの搭載によって、機械を取り込んで再構築する能力が身に付いた。

詳しくはリンク先へ

ニャンニャンアーミー
剛くんによって改造された大勢いるサイボーグ猫の軍団。(ただし顔は4種)
ミーがリーダーだが殆どクロに倒された。

剛万太郎
CV.古澤徹
通称ゴー、剛くん、ゴー博士。毬のような体型の天才博士。
かつてはロボット工学を専攻する学生だったが、ド貧乏であり学費が払えず大学を中退。
そのまま現在に至るまでホームレスとなっている。

クロをサイボーグに改造した張本人。
天才は自称だが開発力・知能自体は非常に高いので客観的に見ても天才といえることができる人物。
当初はミーくんや大勢のニャンニャンアーミーを率いて世界征服を目指しており、第1話ではいかにも悪の科学者といった風貌だったが、
再登場した時にはほぼ別人と化しており、卵のような体系へと変化していった。
世の中から虐げられ続けてきたことから「この世の壁を叩き壊す」という案外真っ当な目標を立てたうえで世界征服計画を進めようとしている。
過去の辛い経験から着実に性格は悪くなっていたが、クロちゃんの影響を大きく受けた人物の1人であり、
巻数が進むに連れヘタレ化・中年化・体型の毬化が進む。当初掲げていた世界征服の野望も、いつの間にかうやむやになってしまった。
最終編ではそういった平穏に慣れていく裏で社会に対する恨み辛みは忘れていなかったようで、怪物ゴローに取り込まれた際は
過去に対立してきた人々を強制的に思い出すことになり、その怒りから世界征服を口に出したこともある。

ミーくんとは相思相愛の仲。
ちなみに中の人はデッカードイングラム少佐と同じ人。
後述するが声優を続けるか否かというくらいの鬱病時代に説得されてこの役を得たらしい。
そのため思い入れが強く、クロちゃんの復刻本発売記念のイベントでは出演を快諾した。

●コタロー
CV.小松里歌
クロちゃんに憧れる天才少年にしてゲーマー。
その能力は間違いなく本物であり、「クロちゃんスーツ」(絶縁・防弾仕様)な着ぐるみを着ながらPC1台で米軍の原子力空母を乗っ取り、占拠していた。

初登場時は自身の退屈な日常をクソゲーにたとえ、その閉塞感を破壊するために核ミサイルを東京に落とすという大惨事を起こそうとしていた。
クロちゃんの介入と説得によりその企みは頓挫し、改心することとなる。
特にクロちゃんの漫画が連載されていた時期には酒鬼薔薇聖斗による神戸連続殺傷事件や西鉄バスジャック事件といった少年による凶悪事件が現実に起きていた事もあり、ある意味タイムリーなキャラクターでもあり、今なお児童誌に出てくるとは思えないキャラクターでもある。
メカを作るのが得意でただの電気スタンドだったナナをロボットに生まれ変わらせた。
上記の通り、剛くんより遥かに凶悪なマッドサイエンティスト。マッドな父が「世界を平和にする」と家を飛び出したことが内心傷となっている。
演じていた小松里歌は後年アニソンアカデミーに出演した時に、印象深い役としてコタローを挙げ、アニメ版OP「ぐるぐるクロちゃん」を流した。

●マタタビ
CV.大本眞基子
クロちゃんの「キッド」時代からの旧友にしてライバル。
クロちゃんによって片眼を奪われた過去があり、復讐を果たすべく放浪していた。

一切の改造は施されていない野良猫だが、サイボーグであるクロちゃんと生身で渡り合える。
その実力たるや、相手が生身であろうと武器の使用を辞さないほど。
ちなみに日本語もしゃべれる(根性で覚えた)。
時代劇で日本語を覚えたため口調は古風な感じであり、一人称は拙者。

一方でそのハードな雰囲気に反し、快楽耐性は無いに等しい*2
一時的に金持ちに拾われた際は見事にデブ猫と化した他、過去には植物の方のマタタビに嵌っていた時期がある。

メインウェボンは「すてるすブーメラン」。かすめた物体を何でも切断してしまう恐るべき切れ味を誇る。

初登場時はマントを纏っており、その中には4次元ポケットのごとく大量の武器を隠し持っていた。
彼の所持する武器の量は明らかに物理法則を度外視したものである。「質量保存の法則なんて飾りです」を地でいくチート猫。

かつて出会った大工の棟梁との関わりを経て大工道具の扱いにも長ける。クロちゃん達の騒動によって破壊されたジーサンとバーサンの家を再建するのが主な役割となっていった。

重ね重ね書くが、彼は一切改造の類は施されていないただの野良猫である
演じていた大本眞基子は当時甲高い女の子や少年を中心に演じていた声優だったが、まさかの起用。
そして音響監督の松浦から「君ならもっと低い声が出せるはず」と指導を受けて、自分の声優史上最も低い声で演じたとのこと。

●鈴木一郎
CV.森川智之
通称:ジム
小学校の教師。通称の「ジム」は生徒達から大して役に立たない大人としてつけられたものだが、本人は気に入っている*3。クロちゃんとは「地獄のハイウェイ」の話で知り合い、その場で衝動的に弟子入りして以降は師匠と呼んでいる。

特技は車の運転で、「史上最大の鬼ごっこ」ではその腕を存分に振る舞っている。
当初はヘタレな面が目立っていたが巻数を重ねるにつれてだんだんと逞しくなっていき、終盤になると、対クロちゃん用に車を防弾仕様にし、540度回転→突撃という荒業まで取得。ある意味一番クロちゃんに影響された人。

ガン〇ムヲタクで、休職処分を受けた時は家でガ〇プラを作っていた。
実は祖父が遺した山を所有しており、ある話の舞台となった。
しかし金持ちのボンボンと持て囃される割には家柄はそこまで裕福でなく、独身時代はボロアパートに住んでいた。

後述のベビーを手なづけられるのは彼だけ。何故か彼の生徒は裸になる事が多い。

●めぐみ
女性消防士。初登場は「消して燃やして大騒動!」で、この時鈴木とNTのような何かで会話している。鈴木と同じくガン〇タなのだが、ガ〇ヲタ同士だとこういう芸当も可能なのだろうか。
愛車である消防車:めぐみカーには豚鼻が付いている。ちなみに一回だけ消防車がゲ〇ググになったことがある。
生身でクロちゃんに殴り掛かれる唯一の人間であり、後半においてもクロがろくでもないことをすると、
容赦なく攻撃を仕掛けたこともあるくらい、ある意味最強格の人類。
原作では鈴木が少しアプローチしていたくらいでそこまでラブコールしているわけでもなかったが、アニメ版では鈴木のめぐみに対する好意がしばしば描かれていた。
最終回ではついにジムの嫁に。ジム爆発しろ。

ナナ
CV.綱掛裕美
クロちゃんの嫁。一人称はアタイ。
元々は単なる電気スタンドだったが、それをコタローがお手伝いロボとして改造し、自我を持ったロボットとなった。しかし家事はできない。
何気に姉御肌な面もある。クロちゃんとおそろいのガトリング砲を所持している。ちなみに冥殿ちゃんの嫁でもある。
家出した際寝床にした電車を持っている。

●ロミオ&ジュリエットwithベイビー
狂暴な宇宙人の召し使いロボットであり、電信柱のような細長い体を持つ。
かまってちゃんな性格であり、クロちゃんやミーくんに相手にされないと分かるや逆ギレして街1つが壊滅しかけない騒動を起こす。
当初はロミオのみので鼻を回すと足が回る。

後に同じ召し使いロボットのジュリエットと結婚しベイビーが5匹登場した。
産んだのか取り寄せたのかは不明。
ベイビーは鼻から破壊光線を出す凶悪な子供。ゲハハと笑う。
後の新装版コミックスで彼らの種族の過去が明かされている。

●ダンク
コタローの友達のライオン。
檻の中から逃れるべく動物園から脱走し、コタローやクロちゃんたちと密航しようとする。
その最中に銃で撃たれ重傷を負うが、剛くんによってサイボーグに改造され復活。
コタローの父に改造され、カンペのようなものを額から出すことで意志疎通できるようになった。
ビートたけしの「コマネチ!」のポーズをとることができる。

●ジーサン&バーサン
名字はフジ井でクロの飼い主。
後にマタタビ(トラ)の飼い主にもなる。
どんな事がおきても全く動じない適応力を持っており、サイボーグ化したクロちゃんの毛皮がぬいぐるみ用スーツと化しても「ちょっと変わったなあ」で終わってしまったし、
メイドインチャイナのタグが付いているのを見て「中国人じゃったんか!!」「ニイハオ!」と驚くだけに留まっている。
おまけに潮干狩りに行くつもりがいつの間にか異国に流れ着いたりするが、そのたびに無事帰ってくる。「オイラより不死身」とはクロちゃんの談。
ちなみに初期設定ではキャリーフレディという名前が付けられていたが、没になった。没になって本当によかった。

●岡田チエコ
超能力を使える少女。
初デートでトイレにいった際、暴走したクロちゃんに遭遇。(アニメ版だと真・暴走クロちゃんが犯人)
初の恋人相手にプリケツを見られて爆笑され、百年の恋が吹き飛んだことでクロをかなり恨んでいる。
ジムの小学校に転校してきて一騒動おこした。ゴローとは友達。
超能力を持っていたことで周囲から白い目で見られて、同じく超能力を持つ母がバッシングを受ける中、簡単に二人を捨てた父親を毛嫌いしている。
しかしクロ達と絡んでいるうつに性格が丸くなり、ゴローのためにゴローの父を殺害しかけたが思いとどまっている。

●ゴロー
ロボットの少年でチエコの友達。元々はレーサーになるのが夢で、少しヤンキー気質をもった生身の少年だったが、
山火事の消化活動を手伝ううちに、夢中になりすぎて大木の下敷きになって死亡。しかし死ぬギリギリで魂をタコメーターに移したチエコの願いもあって、
ゴローの魂の入ったタコメーターをバイオメタルボディに移植することで魂を移す。
しかし「ビガー」としか喋れなくなり、生身の人間の時以上に傍若無人となる。。
ハンバーガーが大好き。彼には悲しい過去が…

●シスカ(フォックス)
異世界サバイバル編に登場する砂上海賊船の女船長。鉄くず集めで生計を立てている。女だてらに海賊をやっているせいか非常にシビアでたくましい性格をしているが、時折脇が甘く未熟で無鉄砲な一面も覗かせる。

正体はこの世界をかつて統治していた王の娘で、民を救うための研究に一生をささげた父を尊敬している。父の死後覇権を争い人々を巻き込んだ壮大な『兄弟喧嘩』を繰り広げる将軍たちを軽蔑しており、その争いから距離を置くために孤独な海賊生活を送っていた。

コタローとともに異世界の謎を解き明かす役割を担った。

バイス
異世界サバイバル編に出て来た、語尾が「~ズラ」の喋るロボット。異世界に存在する遺跡“タブー”を管理する存在。

しばらくの間クロちゃんと行動していたが、最後にタブーの管理を放棄する為に死に場所を求めナナを人質にしてクロちゃんと闘い、敗れた。
ギャグ抜きのガチバトルでクロちゃんを追い詰めた&クロちゃんの本名を知った数少ない人(ロボ)。

★テレビアニメ版

1999年10月2日から2001年1月6日まで放送されていた、パブリック&ベーシック+テレビ愛知製作のアニメ。全66話。
放送時間は土曜の朝、しかも週休二日制でない頃の放送だったのにも関わらず、その時間帯としては予想外に高い視聴率を獲得。
制作会社にはFAXで朗報が届き、その人気のために従来半年だった放送期間が1クールずつ延長された。最終的には同時間帯のアニメとしては比較的珍しく約2年間放送されていた。
それまでがよくて2クールだったのを考えるとかなり異例の措置であり、平均視聴率3.6%、最高視聴率5.9%は週休二日制当時の日本において、
かつテレビ東京系列ということを考えるとかなりのスコアであった。

なお、原作者も積極的にアイデアを出しており、放送コードに引っかからないようにマタタビの右目の眼帯に白い紐を付けたり*4(そして実は右目は無事という裏設定)、
ドクター剛の右手の機械化された部分も実はファッションで、奥の方に本当の手が残っているなどの変更が加えられている。

キャストは朝アニメとしては驚くほどに豪華。また、まだ若手だった森川智之がレギュラーの鈴木以外にもいろんな兼役をやっていたり、
こおろぎさとみが老婆役を演じるなど、珍しいキャスティングもある。

この時代としては珍しくセルアニメによる製作が半分以上を占め、54話でようやくデジタルアニメに移行した。

打ち切り

人気は高かったはずなのだが、制作会社がまさかの倒産。そのため第66話「買い物デート大決闘!」で突然放送打ち切りとなった。
理由は判然としないが、放送以前における新聞によれば沖縄の企業を中心として組織された出資方式による製作委員会を設立。この影響で放送局外であった沖縄でも沖縄テレビ放送による時差ネットで放送された。
打ち切りはこの方式での製作により資金繰りに行き詰まったから、という説が濃厚。「元々計画倒産を考えていた」などの嫌な話題が聞かれるが、恐らく誇張されたものと思われる。
スタッフやキャストからすれば正しく青天の霹靂の事態だったといい、71話まで絵コンテが完成し、テレビマガジンにはこの時期に登場する予定だったアニオリキャラが紹介されていた。
「ギャラも支払えないような状態」という噂まで当時は飛び交っていたが、少なくとも道半ばで終わったことに対して、音響監督の松浦典良*5からキャストへの謝罪があったという。
ちなみに倒産しなければ、再放送分の放送枠を考えると最低でも全78話までは予定されていた。打ち切りとなった66話以降はサイボーグクロちゃんセレクションという名の再放送で埋められ、第1話からデビル・ミー回まで放送された。

朝アニメ向けの改変

朝アニメということもあり、過激なネタや描写、際どいパロディはカット・改変された。ただし「アムロ行きまーす!」だけは音響監督の縁故(先述)からなのか何故か採用された。
キッド編に至っては元々「朝アニメでこの内容は無理だからやっちゃダメ」というお達しが出ていたのだが、「猫狩りを猫キャッチにしてトリモチに変えるならOK」ということで熱心に説得し、ようやく実現した*6
当時担当した演出家は最後まで「朝アニメとして出来る限りマイルドにするので原作通りにやらせて欲しい」と粘ったのだが、改変を条件にゴーサインが出たので思いは叶わなかった。
この回でアニメオリジナル展開で天童が登場するが、脚本の段階にはなかった。
これは演出家が「何故ネコを捕まえるのか?」という理由付けのためと、クロちゃんとミーくんの親の敵が同じという運命の皮肉をアニメなりに付けたかったからとのこと。
ゴローにまつわるエピソードは、児童虐待を受けた子供という設定上、改変出来ない(したら別人になってしまう)ことから既に制作サイドからはアニメ化を諦められていた。
その代わりに登場したのがアニメオリジナルキャラクターのヤーヤーヤー星人で、最終回まで登場した。

縁遠いソフト化と配信

映像ソフトはセル版が第27話までがリリースされた段階でストップ。レンタル版は54話までリリースされたものの、なぜか53話が歯抜けとなっていた。
しかも歯抜けとなった53話は前・中・後編の前編、つまり中編しかソフト化されていないという謎采配である。(ついでに言うと53話は最後のセルアニメ回)
その後デジタル化した後半分の多くは制作会社の倒産により製造本数が非常に少ない。

再放送はアニマックスが実施したぐらいで、権利もどこが保持しているか不明となっていたが、2010年にテレビ愛知がローカル枠で49話まで再放送を実施したことにより、少なくともテレビ愛知は権利及び放送テープを有していることが明らかとなった。

DVDやBlue-rayはリリースされていないが、映像配信は様々なプラットフォームで実施されていて、視聴自体は比較的容易だった
…そう、だったのだが2019年頃より再び止められてしまった。権利関係から起こる問題は未だに深刻なようであり、ソフト化が望まれる。

……が、アニメ放送から約20年経った2020年。
ソフト化は未だに叶っていないものの、配信という形でdアニメストアで念願の全話配信が解禁された!
それは突然の事であり、これに気付いたクロちゃんファン達は長い時を経たクロちゃんとの再会に歓喜した。
権利問題がどうなっているかは定かではないため未だソフト化の目処は不明だが、少なくとも配信では再びクロちゃんの勇姿を拝めるという事である。
とはいえまたいつ外れるかわからないのがサブスクサービスなだけあって、現在でも映像ソフト化を望む人は多い。

余談

2016年1月23日に新装版が発売された際、刊行記念としてアニメ版初のイベントが開催された。出演者は古澤徹と監督の高本宣弘のみだったが、交渉の末に大本眞基子が追加。
さらにイベント中、スケジュール上来られないはずだったクロちゃん役の坂本千夏が飛び入り参加。他にも当時のスタッフがこっそり紛れたりなど、
あまり内情が話されてこなかったアニメ版に関して少しだけ明かされた部分もあったイベントだった。
(流石に守秘義務もあって、打ち切りの正確な経緯は話されていないが、あまりに突然で青天の霹靂だったらしい)
またアニメをやりたいと監督の高本が発すると坂本千夏が乗り気になったりなどしていたが、残念ながら以降アニメ版の企画は立っていない。

サイボーグクロちゃんのアニメ化に名乗りを上げた会社はこれ以前にもいくつかあり、その一つとして原作初期の絵柄を中心とした企画のアートが残っている。


ゲームソフト

ボンボンのオリジナル漫画としては異例となる3作品のゲームが出ている。
内訳はGB版のシューティング「デビル復活」と「ホワイトウッズの逆襲」、アニメ放送終了から2年後にPS版のアクションシューティングとなる「帰ってきたサイボーグクロちゃん」の3つ。
さらにPS版の発売前くらいにCRサイボーグクロちゃんが何故か登場している。メーカー(奥村遊戯)側が作品に一目惚れして作ったらしい。


ついでに言うと、新装版刊行以降はコラボでゲーム出演する機会が多く、2017年にはキャットバスターズとコラボし、
2022年・2023年には同郷漫画のよしみかメダロットSと二度コラボしている。


『追記・修正しちゃいけない』ってルールはなかったぜ!


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最終更新:2024年04月23日 02:16

*1 回想では「果し合いの末クロ(キッド)が片目を奪い、その片目はクロが所持」となっているが、キッド編では「キッドがマタタビの片目を奪ったのはその場の弾み・完全な事故であり、失われた片目はそのまま打ち捨てられている」と事の経緯が全く異なる。目玉は後々回収したのかもしれないが決闘については完全に矛盾。

*2 クロ曰く「世界一快楽に弱い猫」

*3 単に機動戦士ガンダムが由来のあだ名だからという説もあるが、ジムは作中ではやられ役としての描写が目立っていたが、基本性能は優秀であり一年戦争での地球連邦軍の勝利に多大な貢献を果たした機体でもある。

*4 目が空洞である、と誤解されないための措置とのこと。

*5 TV版ガンダムの音響監督で、劇場版で降りるとなった際は古谷徹達も降りると言ったほど慕われていた。後に星のカービィを担当し、F-ZEROファルコン伝説を手掛けた後に逝去。

*6 一応終盤に本物の拳銃を使おうとするシーンがある