フィオネ

登録日:2010/08/15(日) 01:53:21
更新日:2024/01/09 Tue 19:56:04
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フィオネとはポケットモンスターシリーズにダイヤモンド・パールから登場するポケモン

■データ


全国図鑑No.489
分類:かいようポケモン
英語名:Phione
高さ:0.4m
重さ:3.1kg
タマゴグループ:水中1/妖精(性別不明)

タイプ:みず
特性:うるおいボディ(天候が雨の時、ターン終了時に状態異常が回復する)

HP:80
攻撃:80
防御:80
特攻:80
特防:80
素早さ:80
合計:480

努力値:HP+1


■概要


マナフィの卵から産まれる幻のポケモン
伝説・幻のポケモンの中で卵から産まれるポケモンは彼だけである。

ちなみにマナフィは性別不明なので卵を産ませるにはメタモン育て屋に預けないといけない。

マナフィ同様クリオネのような姿をしているが実際のクリオネとは逆に温暖な海を好む。
頭の浮袋を使い集団で海を漂い、どんなに遠くに流されても必ず産まれた場所に帰ってくる帰巣本能も持つ。

そのマナフィをミニマム化したような姿やマナフィの卵から産まれる点から、
マナフィの進化前なのは誰から見ても明らか……なのだが……なんとこいつ……。




進化しない。






進化しない。




大事な事なので2度言いました。
なんならもう1回……。

この事実にフィオネ進化法を模索していた多くのトレーナーが絶望したとか。
冷静に考えると進化したら幻のポケモンであるマナフィのレア度が著しく下がる為当然っちゃ当然だが、
それなら何故こいつを作ったと言いたい。

……が、そもそもマナフィの下位互換的存在として作られた可能性が高く、フィオネの存在自体がアイデンティティとも考えられる。
というのも、マナフィというポケモンは特殊なものとはいえタマゴから生まれるという配布形式の関係上、幻のポケモンなのだが、タマゴグループに所属している必要がある。*1
つまりそのままメタモンとマナフィを預けてしまうとマナフィはタマゴを量産できることになってしまうというわけである。
これでは先述の通りマナフィは幻のポケモンにも拘わらずレアリティが著しく落ちてしまうことになってしまう。
特にマナフィの最初の配信はDP発売前に映画が公開された関係で、わざわざ本編と関係ない外伝作品を購入してそれを最後までクリアして映画館で配布されているものを送らなければならない(しかも1データにつき1つ)という非常に金と手間がかかる極めて不親切なものであった*2
もしこれでマナフィをタマゴで量産できてしまえば、興味が無いのにマナフィが欲しくてわざわざ買った人からの反感は避けられないだろう。そこでフィオネというポケモンを用意し、マナフィから作られたタマゴから発生させることでマナフィのレアリティを保証し、なおかつタマゴグループの矛盾を解消するという意味で必要なポケモンなのである。
幻のポケモンから派生したポケモンを作る、という実験的な遊び心もあったのだろうが、これが後述の悲劇を産むことになる。

当然だがそんなポケモンがマナフィより強かったり、マナフィには及ばないとしても非常に優秀だったりするとゲームバランスと入手性の問題が出てきてしまうため、「絶対に弱くする」というバランス調整が行われることになる。これがフィオネのボロクソな評価を完全に決定づけてしまった。
さらに後に通常入手が可能になったりゲームソフトとネット環境があれば無期限かつ無限に入手できたり携帯作品と連動すれば無限に入手できる幻のポケモンが出てきてしまった為、当時としてはこの理由は確かに必要だったのだが現在ではほぼ意味がなくなってしまった。

おい、進化しろよ。
ちなみに何故かマナフィよりも大きい。


アニヲタwikiのように閲覧層に物心がついた層が主流となるサイトならこのように「進化しない」ことが笑い話になるのだが、実は登場した当時はまったく笑い話にならないパターンがあった。
フィオネは非常に入手しやすい。なんならフィオネからタマゴを産ませることもできる。つまり元手をかけずに量産が可能である。
この性質を利用して、悪知恵の働く小学生が同級生や下級生にシャークを仕掛けるという事案が各地で発生した。
「このポケモンはマナフィに進化する」
「非常に稀だがマナフィのタマゴを産むことがある」
という謳い文句で、相手から伝説のポケモンなどを奪い取るのである。

「攻略本や攻略サイトを見れば騙されるわけがない」という意見もあるだろうが、シャークを仕掛ける側もバカじゃないのでインターネットを自由に使えないような子を狙う。
さらにこの時期にはなぞのばしょバグという、攻略本に載っていないポケモンの入手方法が存在していたのがまずかった。
ダークライシェイミと同じで、これは攻略本に載っていない裏技なんだ。だからいいだろ?と持ちかける。そういったトレードに乗ってしまった層からすれば、このポケモンは苦い思い出の象徴なのである。


もうひとつがポケモンを知らない親御さん。
今でこそまっとうに生きたポケモンキッズが結婚して子供を産むということも当たり前なため、ある程度ポケモンになじみがあるものである。しかしフィオネが登場したのはそういう世代が親になるにはちょっと早い時期だった。
そのため「フィオネはマナフィに進化するポケモンなのだろう」とか「マナフィのバッタモンである」といった憶測が成り立ってしまうのである。ちびっ子からすれば親の言うことなんて全知全能の絶対なので、そういったものに振り回される子も多かった。他にもマナフィグッズを調達する際に間違えてフィオネを選んで子供にへそを曲げられたり。


もちろんみんながみんなそうだったわけではないのだが、最近のポケモンだとこういう事例は大きく減っている。
つまり開発側が遊び心で追加したフィオネは、想定よりはるかに悪い方向に評判を広げてしまったのである。
そもそもマナフィの入手方法がやたらえげつないのに、そこにタマゴなんて追加すりゃそうなるよ……。


こういった諸問題は開発側に大きな教訓を与えたようで、たとえば第6世代の幻のポケモンディアンシーは一般出現するポケモン「メレシー」の特殊な個体であるという設定になった。
また、配布ポケモンに関しても過去の幻のポケモンの色違いなどを配布するようになっている。


■対戦でのフィオネ


種族値がそれぞれ全てマナフィよりも20ずつ低くタイプも特性も一緒な完全劣化マナフィ
色々アレなセレビィから「禁止級最弱」の称号を譲り受けた存在でもある。

同時期に劣化ポケとして有名だったゴローニャバシャーモ等ですら何らかの差別化になる技や特性を所持して劣化を脱したが、
こいつの場合はそんな技は一切無い

マナフィが覚えなくてフィオネが覚える技など一切存在しないのだ。
それどころか「めいそう」や「ほたるび」等のマナフィが使える優秀な一部の補助技をフィオネは覚えてくれない。
第8世代では「ほたるび」が廃止されたので少しマシに……と思いきやBDSPでしっかり復活する始末。


さらにマナフィを介して入手する為かこんな能力値に関わらず幻のポケモン、
つまり禁止級のポケモンとしてカウントされているのでバトルフロンティアや公式大会では一切使えない。
ランダムバトルでもしっかり弾かれます……。

オニゴーリと同等という一般ポケ並の能力値なのに化け物揃いの伝説だらけという環境でしか使えないとか酷い……。

無論、幻のポケモンなのでGSルールには出られない。
出られてもガチバトルで使う人はいないと思うが……。

また進化しないので飽くまでマナフィとは別系統と扱われる為リトルカップにすら出られない
しんかのきせき」ももちろん効きません。


マナフィに勝っている点を挙げるなら厳選が楽だという事だが実際の能力値は
個体値Vフィオネ<<個体値0マナフィ
な為どう頑張ってもマナフィのステータスは越えられない。
種族値1つあたり20の差は厚い……。
また孵化歩数が一万越えと卵から産まれるポケモン中最も多い為、結局厳選の難易度は一般ポケ以上。

でっていうとか言わない。

一応マナフィよりも遅いので後攻「とんぼがえり」やトリパで利用出来なくは無いが正直無理矢理過ぎる感が否めない……。
後攻「とんぼがえり」なら「こうこうのしっぽ」を装備すれば良いだけだし、トリパで使うには火力も素早さも中途半端。

もしフィオネをガチで使うなら、友達との対戦でフィオネの禁止級制限だけ外してやるくらいだろうか……。
一般ポケ戦に混じる事が出来ればマナフィ同様に特性「うるおいボディ」と「ねむる」による無限再生型で活躍出来るはず。
いやそうに違いない……。
XYで天候特性が弱体化したって?何のことやら…


よく劣化マナフィと言われるが、その劣化というアイデンティティのおかげで一般戦で解禁するローカルルールが存在した。
ローカルルールというと最近のプレイヤーは「なんだ、一部の話だろ?公式ルールじゃなくちゃ意味ねぇわ」と思うことだろうが、たとえばランダムマッチツールとしてよく使われたバトレボでは色違い伝説満載というあからさまなキッズがよく殴り込みをかけてきたことからも分かるように、禁止ポケモンを出入り禁止にする処理がなされていなかったのである。当時はまだルールをガチガチに決めて戦うということが主流ではなかったのだ*3
さらに厨ポケを自重するという風潮があったため、そういう環境下では禁止ポケモンであるフィオネを出してもむしろ歓迎されるという空気があった。
さらにマナフィのみが覚える技に「ほたるび」や「ハートスワップ」が存在する。マナフィを使うからにはそれらのわざを使った方が断然強いし個性化も可能。もちろん気分的な領域の屁理屈ではあるが、そういう意味では差別化はできていた。
つまりマナフィはNGだがフィオネはOKという対戦環境がなんとなく存在していたのである。そもそも初期は配布方法がえげつなさすぎたせいでマナフィを持ってないって人の方が多かったし。

肝心の使い道だが、「うるおいボディ」+「ねむる」による耐久戦術が主流……というかそれしかできなかった。
しかし「とける」「アクアリング」などの耐久に向いた技を覚えるため、「HD特化でとけるで防御面を補強する」という戦術が成り立つ。ダメージソースは「どくどく」やあらかじめ撒いておいた「どくびし」、ちょうはつ対策の「なみのり」など。
そしてタイプが水単なので弱点が2つしか存在せず、ハマってしまうと相手を詰ませるくらいのポテンシャルは存在した。少なくとも第4世代の頃はランドシェイミやセレビィ、オニゴーリ*4などよりよほど戦える存在だったのである。

ちなみにこの場合、マナフィよりむしろシャワーズスイクンがライバルになる。つまりここまで必死こいて擁護しても、結局誰かの劣化という評価が覆せない
戦術自体の弱点を指摘するより先に「たとえマナフィと差別化できても前途多難」という、これまたフィオネらしいオチがつく。

まあそもそもフィオネは存在自体がアイデンティティなので(ry


第4世代のポケスロンではフィオネがマナフィより優れているステータスがある。なお
ほんとにどこまでも報われないやつである。

もしこいつを救済するとすれば、
  • 分類を一般ポケモンに落として通常のレート戦で使えるようにする
  • 特例として「しんかのきせき」を適用させる
  • この際「うらみ」でもいいからマナフィと完全に個性化できる技を配る
あたりだろう。どうせ種族値低いから使わないんだし


■アニメでのフィオネ

ごくごく一般的なゲストポケモンとして登場。つまりポジション的にはレディバとかシシコとかとあまり変わらない。
マナフィとの関係は完全に黙殺された。マナフィに似ているとすら言われない。なぜなんでしょうねぇ……?

実はポケモン世界には「ポケモンが子作りをしている」という設定はなく、「ポケモンを2匹預けていたら偶然タマゴが見つかった」という風に非常にボカしている。
そのためマナフィとフィオネの関係を言及「できない」という作品事情があったのだが、それにしても……幻のポケモンの姿か?これが……


■ポケモンカードでのフィオネ

こういった不遇なポケモンが外伝作品で救済されるのがポケモンというメディア。
フィオネはというと、「ひきよせのうず」という特性を持つカードが非常に優秀。
このポケモンがベンチにいるなら、自分の番に1回使える。相手のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替える(バトル場に出すポケモンは相手が選ぶ)。その後、このポケモンについているカードをすべてトラッシュし、このポケモンを山札の下にもどす。

相手のバトルポケモンをどかすという重要な役割を担う。さらにポケモンなのでサーチがしやすく、スタジアムの影響を受けられ、さらに勝手にベンチから引っ込んでくれるので盤面を圧迫しないといいことづくめの超優秀な補助役で、当時は様々なデッキでグッズ枠のように活躍したという。
最近ではもっと優秀なカードが増えてきたようだが、まだ選択肢に入るのだとか。実にフィオネらしい活躍である。


■ポケとるでのフィオネ


タイプ:水
初期攻撃力:60
技:むれをなす(フィオネが多いほどダメージが上がる)

ポケモンサファリ第三弾にて登場
…したものの僅か1%という超低出現率に加え(しかし捕獲率はかなり高め)、サファリ解禁当初は公式から存在を伏せられるというあんまりな扱いを受けていた。
これによりフィオネの存在を知らないまま翌週のメガガブリアスのランキングステージでフィオネが必須だという事実を知り、涙する人が続出した。

さて肝心の性能だが…非常に優秀である。














非常に優秀である。
※大事なことなので二回言いました
初期攻撃力は60と控えめでここまでならまたもやマナフィの劣化(マナフィは初期攻撃力70)となってしまうが、発動すればダメージが数倍に跳ね上がるチート技「むれをなす」でマナフィどころか他の一線級の水タイプと同等以上に立つことができているのである。

本編では最底辺の不遇な扱いを受けているフィオネだがポケとるではかなり報われていると言っていい。
よかった…よかった…


とか思ってたら最近同じタイプ、能力でフィオネの攻撃力を10上回る完全上位互換であるニョロトノが登場。
さらに群れをなすのスキル自体の価値がアップダウンなどの存在により低下してしまった。
一部低性能ポケモンへの救済策である『マックスレベルアップ』(以下MLU)や『スキルチェンジ』などもフィオネには未だに与えられていないので今のところポケとるでも没個性臭が激しい。
因みに親のマナフィはスキルチェンジ(ふりはらう++に変更可能)やコンパチver(初期70、いわをけす++、MLU使用可能)の登場によりフィオネの仇討ちのごとくニョロボンオムスターの息の根を止めている。



■余談

名前は「マナフィ」+「クリオネ」あたりからだと推測できるが、この名前の響きが和製ファンタジーのキャラクターの名前っぽいせいで名前を間違えられやすい。
フィアナだとかフィオナだとかファイナだとかフィオネだとか……
ぶっちゃけポケモンをそこまで精力的にやっていない層を相手に会話するときは偽マナフィとでも言った方が通りがいいだろう。

この「何をやってもだれかの劣化」という特異な性質から、アニヲタwikiに限らず様々なサイトでボロクソに言われるという歪んだ愛され方をしている。
時には「何をやっても誰かの劣化になってしまう」ものの比喩としてフィオネが使われることもある。
「お前ってフィオネみたいなやつだよな」
「へ、ヘイトスピーチ……!」
さすがに言っていいことと悪いことがあるので、この辺は空気を読んで使おう。
にしても例えるだけで暴言扱いになるって…

ちなみにポケスロンでは一応マナフィに一部ステータスで勝っていたりする

上述のようにとにかくその存在意義があんまりなせいで、Googleのサジェストでも「なぜ産んだ」という映画のミュウツーじみた疑問が投げかけられる存在になってしまっている。
しかし第3~第5世代はフィオネに限らず配布ポケモンで非常に多くの問題を起こした混迷の時期だったが、この負の遺産はディアンシーの設定なども含めて着実に経験として生きている。
そういう意味ではフィオネには確かに産まれてきた意味はあったのだ。とでも言っておけばフィオネも許してくれるだろ


ひまな じかんが おおくなると あたまの ちしきを ふくらませて こうもくを ついきしゅうせいして すごす。


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最終更新:2024年01月09日 19:56

*1 実際にはシント遺跡イベントのように、タマゴ自体が特別であるという設定を付与すれば何も問題はなかったりする。なんならそもそもベビィポケモンと同じ処理をすれば…

*2 当時は正規のマナフィが極めて入手しづらいポケモンで、映画マナフィをあきらめた人も非常に多かった。そんな中でマナフィを入手したプレイヤーは、図鑑を集めるために知人間で交換で引っ張りだこだったという

*3 この時期の対戦ルールとして主流で、第四世代のシングルの対戦環境を語る際に基準となる「6350、道具催眠重複無し」というルールは公式ルールではなく、「単にポケモンスタジアム時代のルールのバランスがいいから日本で主流化したローカルルール」である。そもそもルールをガチガチに固めて遊ぶのであればフィオネどころかマナフィだって第四世代期には使えるルールがひとつもなかった。

*4 当時はまだムラっけが存在しなかった