グレンダイザー(機体)

登録日:2010/11/27 Sat 02:09:20
更新日:2024/03/27 Wed 13:00:16
所要時間:約 7 分で読めます





  • グレンダイザー

「グレンダイザー(GREN DIZER)」は、アニメ作品『UFOロボ グレンダイザー』及び、その原作作品に登場する架空の兵器
「宇宙の王者」の異名を持つ「スーパーロボット」である。
尚、『マジンガーZ』から始まるマジンガーシリーズ最終作の主役機という事から、
現在ではマジンガーZグレートマジンガーと併せて「トリプルマジンガー」と呼ばれる事もあるが、
アニメ作品主導で設定を作られた事もあり、マジンガーとの繋がりは武装の類似以外には極力廃されているというのが事実である。
ここでは、主にアニメ作品での設定と誕生経緯を紹介する。

尚、グレンダイザーとは「ダイザー(ロボット)」と「スペイザー(支援メカ)」の合体した形態を指していたのだが、
現在ではロボット単体を「グレンダイザー」と呼び、スペイザーは「スペイザー」と呼ばれているのは周知の事実である。


【出自】

パイロットを務めるデューク・フリード(宇門大介)の父・フリード星王がフリード星の守護神として作り上げた。
しかし、一方では仇敵であるベガ大王の命令により作られたという発言もあり、その出自に関しては今以て不明な点が多い。
アニメ本編ではベガ星連合軍への明確な反抗の標としてデュークの力となった。
マジンガーに類似するデザインと武装があるのは偶然の一致である。

全高 30メートル
重量 180トン
光量子エネルギーで駆動し、宇宙合金グレンの装甲で守られている。

サイズはともかく、重量がマジンガーに比べて9倍もあるが、単に差別化を図っただけの設定なので作劇上で活かされた事は無い。*1
マジンガーを身長150㎝、体重40㎏の中学生とすると、グレンダイザーは身長250㎝、体重360㎏の巨人ということになる。うーん…。

光量子エネルギーは恒星のエネルギーを吸収し、エネルギーに変えると説明されており、180万馬力を誇ると設定されている。
(グレートマジンガーよりも圧倒的にパワーが有る)

宇宙合金グレンは前作までの流れから強硬な金属(鉄の5000倍の強度と言われている)として扱われる事が多いものの正式な説明はされておらず、
概ねグレートマジンガーの装甲材の超合金ニューZと同レベル*2であるとしか描写されていない。
なお、フリード星王家の人間しか搭乗出来ず(他の人間が近付くと攻撃する)、デューク・フリードに「変身」した宇門大介がシュートインする事で起動する。


【武装】

  • ダイザービーム
目からの破壊光線。
ゲームでは割愛。

  • ハンドビーム
手甲から放たれる三本の破壊光線…こちらは有名。マジンガーZの光子力ビームの2倍の威力を持つ。

  • ダイザーパンチ
所謂一つのロケットパンチ。

  • クラッシャーパンチ
デコレーションを90度展開させてのパンチ。
…風圧受けて威力が下がる様な…。

  • スクリューパンチ
デコレーションを90度展開させ、回転させて放つ。
威力はともかく貫通出来ない様な…。

  • スクリュークラッシャーパンチ
デコレーションを180度展開して放つ貫通力と破壊力を併せ持つパンチ
最強型にして、基本的にこの形で使用される。
発射せずにドリルの様に使用した事もある。

  • 反重力ストーム
胸から放たれる七色の重力光線
敵を巻き上げ、落とす事でダメージを与える(ただの破壊光線と化している時もある)。
部位的にはブレストファイヤーだが、武装の特徴を考えるとインパクトは今一つ。

  • スペースサンダー
ダイザー単体での最強武器。
宇宙の雷を召喚する…という説明がされたりしている事もあるが、実際には角から放たれる6万度の雷型の熱線である。
グレートのサンダーブレークと微妙に同じ。(威力は上)

  • ダブルハーケン
ダイザーの代名詞。
両肩にマウントされた三日月状の鎌を連結し、両端に刃を持つ巨大なの様にして使用する。
連結させない場合は「シングルハーケン」、刃だけ飛ばす場合は「ショルダーブーメラン」と呼ばれる。
スパロボでは当初は単なる武器攻撃扱いだったが、原作を見直すと意外とフィニッシュ率が高かったことから後に必殺技クラスに格上げされた。

  • ダブルハーケン・ストーム
ゲームから生まれたダイザーの最強必殺技。
反重力ストームで巻き上げた敵にダブルハーケンを投げ付ける。
なお、名称はダイナミックプロ公認……だが、『スーパーロボット大戦Z』では削られていた。


補佐メカ

・スペイザー

ダイザーのサポートメカとなる円盤型メカ。
ダイザーはこれとドッキング...と言うより中に入る事により大宇宙と大空を駆け抜ける「UFOロボ」となる。

スペイザー単体の装備は、両翼の小型円盤を展開した回転ノコギリ「スピンソーサー」及びソーサーに内蔵された「スピンドリル」、スペイザー本体から発射される液体金属「メルトシャワー」。

速度は大気圏内でマッハ9(!)
宇宙空間では何と光速(!!)、というか計算すると「ワープしてんだろ」としか思えないレベルの速さ。

ダイザー単体に飛行能力は無いものの、このスペイザーを利用した変幻自在の戦いが可能。
ガンダムシリーズのサブ・フライト・システムのように、ダイザーがスペイザーの上に乗って戦うこともあった。
…ただし、合体に6秒も時間が掛かる事と、機体の部位の殆どが隠れる事により一部武装が使えなくなるという弱点がある。
そこを突かれる場面も見られる様になったため、以下の地球製スペイザーが作られる契機となった。以降は状況に応じてスペイザーが使い分けられる

ちなみにRIOBOT版のスペイザーは強化アーマーに変形できるギミックが追加されており、アーマー形態のスペイザーを装着したグレンダイザーはヒュッケバインボクサーのような4本腕のマッシブな姿となる。


・ダブルスペイザー

兜甲児が設計、完成させた支援戦闘機。(そこまでに失敗作が一個挟まっているらしい)
言わば有人スクランダーで、単機でも高い戦闘能力を有する。
光量子エネルギーで稼動し、超合金ニューZで作られたハイブリッドマシーン。これは地球製スペイザー共通である。
飛行速度マッハ6と、グレートブースターよりも速い。
ダイザーとのドッキング時の飛行速度はマッハ4とスペイザーより遅いが、合体所要時間は半分ほどに短縮されている。

装備武器は側面から発射される「ダブルミサイル」、主翼両端を射出する「ダブルカッター」、主翼からの光量子ビーム砲「サイクロンビーム」。

『UFOロボ グレンダイザー』での甲児は前作までのボスが担っていたコメディリリーフの3枚目キャラとして知られているが*3
同機の完成後は過去を思い出したのか、本来の二枚目キャラとしての片鱗を見せ、ダイザーを食う活躍もする事が多くなった。


・マリンスペイザー

牧葉ひかるがメインパイロットを務める、その名の通り水中用のスペイザー。
水中用とは言いつつも飛行可能な万能機。
ドッキングの際にはダイザーの体の大半を覆う等、ダブルスペイザーよりも大型。
飛行速度マッハ4、水中潜航速度40ノット、最大深度400メートル(あれ?浅い?*4)

装備武器は両翼から発射される「マリンミサイル」、尾翼を射出する「マリンカッター」、本体から発射される「マリンビーム」。


・ドリルスペイザー

その名の通り、ドリル地中に潜る能力を持つスペイザー。
マリンスペイザー同様に大型。合体するとダイザーの腕は使えなくなるが、機体の性格上最も合体による攻撃力が高くなるスペイザーである。
当初は甲児がダブルスペイザーと併用していたが、生き別れのデュークの妹、グレース・マリア・フリードが登場して以降は、彼女がメインパイロットを務めた。
尚、当初はボスを換骨奪胎したキャラクターである荒野番太がパイロットを務める筈だったのだが、
デブキャラを入れると何となくゲッターチームに似てしまうので、差別化のために、急遽美少女(マリア)が乗る事になったのだという。
飛行速度マッハ4、地中進行速度マッハ2(速っ!)

装備武器は両翼から発射される「ドリルミサイル」、尾翼からの光量子ビーム「スパークボンバー」、先端のドリルでの突撃「ドリルアタック」。



【ゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」での扱い】

初登場は初期シリーズにまで遡るが、奇しくも声による演出が付いた頃にデューク・フリード役の富山敬氏が癌で死去(本人は快諾しており、ノリノリで演ずるつもりだったとの事)。
第4次S』では声付きスパロボに参戦となったにも関わらずデュークは声無しになってしまった。
IMPACT』以降は代役を山寺宏一氏が努めているものの*5、しばらくボイス付スパロボには参戦出来ないという状況が続いてしまった(コンプリートボックス版のみ堀内賢雄氏が代役)。

その性能は基本的にはマジンガー系と同じように硬くて倒れにくく、低気力でも使える必殺技を持つが、スペイザーへのドッキング(ゲームシステムの都合上「変形」扱い)やスペイザーチームとの合体能力を持つ等、原作を活かした性能で他のマジンガーと差別化している。
ちなみに多くの作品で乗り換え不可。設定上マリアも乗れるはずだが、乗り換えできたのは『D』だけ。

旧シリーズではUFOロボ故に宇宙適応が高いという特徴があり、軒並み宇宙Bなマジンガー勢の中では安定して強いのが売りだった。
しかし、実はどの作品でもデュークの覚える精神コマンドが微妙になりやすいという弱点があり、そんな時はスペイザーとの合体能力で得たサブパイロットの精神コマンドで補助しなければ真価を発揮できない。そのため出撃枠の厳しい作品では2軍に行きやすいこともある。微妙なだけだった旧シリーズの鉄也よりはマシな扱い

旧シリーズより後の作品ではIMPACT第2部での活躍が有名。
第2部はスーパー系のユニットが少なく、その中で序盤からいる貴重なスーパー系でしかもデュークがレアスキル「統率」を初期所持という第2部自軍の中核ユニット。
第2部のボスキラーとしても当然最強格であり、多くのプレイヤーが熱血統率ダブルハーケンでボスを沈めていった。
他のスーパー系と比較すると最強武器ダブルハーケンの火力がやや低めだがその分EN消費が異常に低く、そもそも統率持ちな上に最終的にデュークが魂を覚えるため第3部になっても活躍の余地は十分にある。
またルートによっては第1部で改造タイミングがあり、ここで改造しておくと第2部序盤では無敵の存在と化す。

その後のシリーズではZとグレートにダメージアップの特殊能力「マジンパワー」がついたため最大火力では2機に劣るということも増えてきた。

なお
  • グレンダイザーが参戦出来ない事によるマジンガー系の戦力不足
  • ゲッター系最新最強の真ゲッターロボゲッターロボGのさらなる後継機として参戦する様になった事の二つが『F』においてマジンカイザーを生む原因となった。
両者の共演は下記の『X-Ω』まで適っておらず、ダイザーが復活参戦した後はトリプルマジンガーとしてユニット扱いされるのに対し、カイザーが参戦した際には存在が無かった物とされてしまう事が多い。
しかしながら開発側としては、下記の誕生経緯を踏まえたものでは無く、参戦作品の都合上のたまたまであるとの事。*6

その後、『スーパーロボット大戦X-Ω』にてようやくマジンカイザーとの共演が実現した。
CS版のようなシナリオ形式としては『スーパーロボット大戦DD』で共演を果たしたが、OVAカイザー世界とグレンダイザー世界は別の並行世界であり、ダイザーの世界には『Z』や『グレート』は存在しない。

長らくマジンパワーが無い為、最終的な決定力に欠ける等と評されていたが『スーパーロボット大戦Z』では「ダイザー・フルパワー」という特殊能力をゲット。
機体性能もZ、グレートとほぼ互角で純粋にユニットとしての性格が違うという扱いになった。ただし、甲児、鉄也、デュークのキャラ性能も併せて一般的な評価はZ→グレート→ダイザーであった。



【余談】

本来のマジンガーシリーズ完結編は兜甲児がミケーネ帝国との最終決戦に挑む『ゴッド・マジンガー』となる筈だったが、計画は頓挫。
映画『宇宙円盤大戦争』のアイディアをマジンガーシリーズに合わせてアレンジし、
TVシリーズに再構築した『UFOロボ グレンダイザー』が製作される事になった(パイロットフィルムとして位置付られる)。
完全なアニメ主導の企画であるだけにアニメ企画に関わって来た元ダイナミックプロの団龍彦は
同作に対して複雑な心境にある事を著作『スーパーロボット大戦(小説)』の後書きにて明かしている。
(原作者の永井豪も後年、ゴッドのアニメ企画の頓挫を大いに悔やんでいる旨の発言をインタビューで語っている)

『ゴッド・マジンガー』はマジンカイザーのイメージの原点とも言える存在だが、そのデザインは大幅に異なっており、シンプルなデザインに仕上がっている。
ダイザーのスクリュークラッシャーパンチのアイディアは、この企画が元になっている。
(だが、企画頓挫の要因はその従来との連続性がないデザインでもある)

永井豪によるコミカライズ版では上記設定に関わらず甲児がダイザーを操縦する描写がある。流石は永井豪、粗い…
一方、石川賢によるコミカライズ版の方では甲児がマジンガーZに乗り込み、鉄也もグレートに乗り込んで共闘するシーンもあり、
トリプルマジンガーの連携プレイを見せてくれた。流石は石川賢…心を掴むのが上手い。
永井版ではグレートが2回も強奪されてるのは禁句
てか、TVでも乗れよ甲児!!
※東映が許しません。

冒険王に掲載された桜多吾作氏によるコミカライズでは地球版のグレンダイザーとも言うべき古代ミケーネの「守護神ラーガ」が登場。
見た目や能力も酷似しており、偶然キーとなる指輪を拾った弓さやかが搭乗。
グレンダイザーと共闘するもののベガ星連合軍による工作で米ソ両大国が核戦争を始めてしまい地球はほぼ死の星に。
重大な過ちを犯したとして地球人類をベガ星連合軍諸共丸ごと粛清。文明を崩壊させた。

ちなみに本作独自の設定としてフリード星、ベガ星連合、地球、古代ミケーネといったマジンガーシリーズに登場した勢力は
全て共通の祖先「シグマ文明」を持っているという設定で、グレンダイザーとラーガの見た目が酷似しているのはその為。
マジンガーZを作った兜博士が古代ミケーネの遺跡発掘に参加していた事を考えると
マジンガーとグレンダイザーの類似性は先祖帰りなのかもしれない。



追記・修正、ゴー!!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ダイナミックプロ
  • 宇宙の王者
  • 異母兄弟? いや従兄弟 んにゃ再従兄弟
  • トリプルマジンガー
  • 優等生
  • 外様
  • アニメ主導
  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • ゴルドラック ←フランスやイタリアでは伝説
  • スパロボ
  • スーパーロボット大戦
  • 身持ちが固い
  • デューク・フリード
  • 紅蓮魔獣ダ・イーザではない
  • グレンダイザー
  • スペイザー
  • UFOロボ
  • グレンダさん
  • ダブルハーケン
  • UFOロボ グレンダイザー
  • 主人公機
  • ダイザーフルパワー

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月27日 13:00

*1 機械獣や戦闘獣は300t以上あるのがザラであるが、作中でそれについて触れられたことは無い。

*2 劇中ではベガ星連合軍が超合金Z製のTFOを容易く撃墜しても、グレンダイザーにはダメージがない事から、当時からニューZと同レベルとされていたようだ

*3 スパロボでの賢く、勇気のある甲児はオリジナルである

*4 ガンダムF90 Mタイプと同じ潜航深度である。

*5 旧シリーズ当時は代役を立てない方針だったが、冨山氏を含め、流石に物故者や引退者も出るようになった放映当時からの年月経過を無視できなくなったため、『IMPACT』時に、冨山氏に声が最も似ていると業界内で知られていた山寺氏に白羽の矢が立てられた。

*6 『スーパーロボット大戦Z』において、グレンダイザーのキャラの没ボイスにマジンカイザーの武器名を叫ぶものが確認されているので、当初は同時参戦の予定であったのが窺える。その後、アナザーストーリーと言える真マジンガーの登場で、グレンダイザーとマジンカイザーはZシリーズにおいての共演は叶わなかったが、両者の共演を望む声は今なお多い。