ジムⅡ

登録日:2011/12/26 Mon 13:24:30
更新日:2024/04/21 Sun 08:54:45
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速い!こんな旧式のジムじゃ追いかけられない!



ジムⅡとは、ガンダムシリーズに登場する機動兵器である。





【性能諸元】

型式番号 RGM-79R
RMS-179
所属 地球連邦軍
ティターンズ
エゥーゴ
カラバ
マリア・シールド社
ナイトイェーガー隊
開発 地球連邦軍
生産形態 量産機(改修機、新規生産機の混成)
頭頂高 18.1m
本体重量 40.5t
出力 1,518kw
推量 62,000kg
センサー有効半径 8,800m
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
武装 ビームライフル
ビームサーベル
バルカン砲 ×2
シールド
主なパイロット ジャック・ベアード
エンデ・アベニール
ユーディン・トーパナム
ブレイア・リュード
イング・リュード
レックス・ファビオ
エゥーゴ一般兵
カラバ一般兵
ティターンズ一般兵
地球連邦軍一般兵
ダカール防衛隊
トリントン基地



【機体解説】

機動戦士Ζガンダム』などのシリーズに登場するモビルスーツ(以下MS)。
地球連邦軍一年戦争の勝者の座へと導いた名(迷)MSジムの発展型及び改修機。
型式番号が複数存在するが、これは既存のジムを改修した機体と最初からジムⅡとして新規生産された機体の2種類が存在するため。詳細は後述。


一年戦争終結後、ジオン公国軍の技術を入手した連邦軍では連邦・ジオン両技術を結集したハイザックやジオンが遺したMSを改修・量産したガルバルディβなどジオン系をベースとした量産型MSの開発が盛んに推進されていた。
その一方でジオン系の採用に反発する派閥も一定数存在してはいたが、連邦系純正の主力量産MSは相変わらずジム改で、最新鋭のジム・カスタムは量産にはやや不向きな上に生産ラインをティターンズに独占されてしまっていた。

そこで、大戦中に大量生産された初代ジムに戦後に培われた最新技術を以てマイナーチェンジを施す「GMⅡ計画」を発動。
結果として、ある程度の性能を確保しつつ安価かつ効率的に調達出来るジムⅡとして完成を見た。


主武装がビームスプレーガンからAEボウワ社製の内蔵E-CAP式BR-S-85-C2型ビームライフルに変更されたのをはじめ、
脱出ポッド兼コックピットの全天周囲モニター・リニアシートの採用、
ジェネレーターの換装、サブセンサーの設置・増設……などなど、様々な面で近代化改修が行われている。
ジムはガンダムの運用データを元に開発された機体とは言え、コストパフォーマンスを優先し性能を犠牲にした一面が強かったため、ジムⅡはそれを補う改修を行っている。
操縦性周りも素直で初心者にも扱い易く、テックスペック上では装甲以外の点で、あのマグネットコーティング込みのRX-78-2ガンダムを上回る。*1


…上回ってはいるのだが、グリプス戦役時においてはどうも旧式化は否めず、マイナーチェンジの域を出ない。というか普通に弱い。
そもそもガンダムより性能のいいMSは一年戦争期にもゲルググジム・スナイパーⅡなどを筆頭にそこそこいたし、あの脅威的な戦果はアムロ・レイの卓越した才能あってこそであった。
ビームライフルも威力不足の上に、総推力などの一部スペックもジム・カスタムやジム・クゥエルに負けている始末。

我らが兄貴、出戻りのジェリド・メサ中尉殿からも
「時代は変わったんだ!オールドタイプは失せろ!」
と言われ容易く蹴散らされてしまった。


ただし、大規模な戦闘のない戦間期の繋ぎと見れば間尺に合っていた事は間違いない。
軍縮の空気の中で宇宙世紀MS最多の10000機を超える生産数からも、コストパフォーマンスに極めて優れていた事が窺える。
配備当初の仮想敵はビーム兵器もまともに運用できないジオン残党であったため、「一年戦争中に生産されていたジムをアップデートする」という条件を考えれば十分時代に合ったものと言えよう。
(ちなみに初代ジムとはジェネレーターも交換しているのだが、取り外された初代ジム用のジェネレーターは軍事機密部分を排除した上で、民間に払い下げられ、各地で発電施設として戦災復興に活躍したという、ちょっといい話がある。特に火星開拓団など辺境では重宝されたとのこと)

とはいえ残念ながら、量産機の宿命というべきか、実戦投入しばらくしてMSが加速的に進化していく嵐の時代に突入してしまう。
調達の簡単さからグリプス戦役初期こそ連邦軍およびティターンズ、エゥーゴ&カラバなどの両軍で使用されたものの、次第にマラサイネモなど上位の量産機に主力機の座を奪われていった。

もっとも完全に姿を消した訳ではなく、旧式化した後もジェガン等の新型機の配備が間に合わない辺境施設などで使用された。
10年近く経ったラプラス戦争時にもダカール防衛隊やトリントン基地所属の機体が確認されている。
運用・コストパフォーマンス面から好んで使用する者もいたようだ。


なお、改修素体は初代ジムが殆どのようだが、『A.O.Z Re-Boot』の系譜図にはジム改から改修されたと思しき機体がジムⅡとして記載されている。
更にそのジムⅡの横に描かれたジムⅢもパーツの一部がジム改と同じになっており、どうやらジム改 → ジムⅡ → ジムⅢという経緯で改修された機体もいたようである。




【武装】

  • 60mmバルカン砲
頭部に2基設けられたおなじみの機関砲。主に牽制や迎撃に使用される。
メインセンサーと連動しており、頭部そのものが一種の自律砲台としても機能する。


  • ビームライフル
    型式番号:BR-S-85-C2
ボウワ社が開発した内蔵E-CAP式の汎用ビームライフル。1チャージあたりの最大射撃回数は24発。
ガンダムが使用していたXBR-M-79-07Gの簡易生産型で、長距離での命中精度は悪いが出力は僅かながら上。
またXBR-M-79-07Gをカービン化したようなショートバレルライフルなので取り回しも良く、ビームスプレーガンの生産ラインを流用しているのでコスパも良い。
機体の維持すら難しいジオン残党軍や宇宙海賊のような小規模な組織が相手ならば、大きなアドバンテージであったことは想像に難くない。
だがビーム兵器が普及したグリプス戦役時のMS相手には既にパワー不足で、継戦能力にも欠けていたのが実情であった。
しかしコスパはもちろん汎用性の高さやビームスプレーガン譲りの生産性の高さにより、多くの機体に普及して主力に用いられるロングセラー品となった。
ネモのような最新鋭からジム・カスタムやジム・クウェル、ジム・キャノンやガンキャノン重装型のような旧式まで標準装備している。

これの改良型としてT3実験部隊が使っていたEパック式に改良したモデルやロングレンジ対応のBR-S-85-L3型*2、ジムⅢ用のアップデートモデルが存在する。


初代ジムと同様にバックパックに1基だけマウントしている。
機能的に何ら変わりはないが、ビーム発振器などの機材が更新されている。


  • シールド
初代ジム譲りのルナ・チタニウム合金製の盾。
こちらも機材やコーティング材が更新されている。
エゥーゴ・カラバの所属機はこれの連邦マークを赤く塗り潰して使っている。
裏面は保持用のグリップをそのままに、腕部へのマウントラッチ式にも対応可能となっている。


  • ハイパーバズーカ
    型式番号:HB-L-07/N-STD
ジム改やガンダムMk-Ⅱ等が用いている、一年戦争終結後に開発されたカートリッジタイプのバズーカ。
『U.C.ENGAGE』にてオーガスタ基地に侵攻した機体が使用。ジムⅡにしては珍しくマラサイを撃破する活躍を見せた。


  • その他
ジェガン等が用いる汎用バズーカやアクアジムのハープーンガンなど、連邦軍規格のMS用火器はおおむね使用できる。

また『UC』では、ジム改等が用いていた連邦マーク無しの後期型の廉価盾(チタン・セラミック複合材)や、陸ガン陸ジム用のショートシールドを装備した機体が登場。だが後者はジュアッグのロケットランチャーを防ぎきれずに諸共撃破されていたのでやはり防御力は心許なかった様子。




【型式番号について】

ジムⅡの型式番号が「RGM-79R」と「RMS-179」の2つあるのは、機体の誕生経緯が複数存在するためである。

まず0083年に「GMⅡ計画」が発動。
これは「戦時中に急いで作った為に、製造時期・場所によって性能にばらつきが出ているGM」を全て一まとめに改修して性能の向上と均一化、運用面での効率化を図るものである。
(0080年10月に可決された「連邦軍再建計画」の時点でジムのアップデートが決定していたとも言われる)
一年戦争を生き延びたGM*3は順次改修され、“RGM-79R”ナンバーのジムⅡとなった。
また一年戦争終結時に生産途上だった機体も、終戦中に一時建造を止め、ジムⅡ設計後に仕様変更されて建造されたと思われる。
『戦略戦術大図鑑』の記述では、終戦時にMS類は実働可能機が8000機以上、生産中の機体が4000機とのこと。この「MS類」にはボールが含まれるのだが、仮にざっと半分がジムと仮定しても6000機がジムⅡの素体となるだろう*4

一方、“RMS-179”ナンバーの機体は新規生産品となる。
もっぱらティターンズの戦力拡大の目的で正式採用され、“RGM-79CR ジム改高機動型”を経て、グリプス開発基地で9番目に開発されたMSとして“RGM-179”の型式番号が振り当てられた。
性能も改修組より若干上らしい。

しかし新規生産された機体にも“RGM-79R”のナンバーが付けられたケースもあり、必ずしも型式番号で機体の判別が出来るという訳ではないようだ。



【設定の変遷】

『Ζガンダム』放映当時、このジムⅡは

  • 「先代ジムとほとんど変わってない」「どこが変わったのかさっぱりわからない」
  • 「ビームライフルが使えるようになって少し強くなっただけのジム」
  • 「アニメ開始時点で既に旧式」
  • 「悪いところもなければ良いところもない」
  • 「普通に弱い」
  • 「前線で戦えないので支援機と言った方がいい」
  • ネモハイザックマラサイバーザムでようやく量産機らしい活躍ができる*5

等、視聴者から散々な言われようだった。
ジェリドらが乗った上あらゆる作戦で多用されたハイザックやマラサイと違いネームドが乗ることも無く、
影の薄さで逆に有名になったバーザムの様なネタも探す方が難しく、
続編の『ΖΖ』でジムⅢが「ガンダムMk-Ⅱを参考に開発・改修したのでそこそこ強い」となったため、初代・Ⅲと比べると時代に比して最も旧式という扱いで、一番活躍しなかったいいとこ無しの雑魚機であった。*6

しかし90年代に入る頃、『0080』『0083』等のOVAでジムの新たなバリエーションが登場して年表の間隙に挟まった結果、
一年戦争時点で既に初代ガンダムに迫る性能のジムが存在し、0083年頃にも高性能なエース向けのジムがいた」という事になり、
更に伝説的な初代ガンダムも「強いことは強いが、それはアムロの能力とマグネットコーティング改修のおかげ」と立ち位置がデフレしていき、
いつの間にかジムⅡも棚ぼたで「使用している装甲材の関係でガンダムより脆いものの、その他の性能はガンダム並かそれ以上」と扱いが向上していった。

また、実は同時期の量産機のハイザックと比較した具体的な優劣の差が言及された資料はない。
スペック上はジェネレーター出力はジムⅡが、重量と総推力はハイザックが上回るものの、操縦性やコスト周りなどに関する性能差は不明。

  • ハイザックは構造上ビームライフルとビームサーベルの同時運用が制限される(ゆえにジムⅡの方が上とする説)
  • ハイザックは連邦内で幅を利かせていたティターンズに優先で配備されている(ゆえにジムⅡの方が下とする説)

といった考察があるが、いずれもどちらが優れているかはファンの想像に過ぎない。

この辺りは曖昧な資料も多く、既存ジム改修計画・新規製造の数年に渡る中間にハイザックが挟まれている点が混乱を助長する。
ジムⅡ改修がハイザックの数年前から進んでいるのに、ハイザックの欠陥からジムⅡの評価機運が高まり、しかも改修機と新規製造機にスペックの違いがないらしい。
つまりジムⅡ改修が進んでいるさなかに、(この時代に外部動力パイプ必須という)欠点丸見えのハイザックを、ジムⅡを押しのけてティターンズが優先運用するという奇妙な状態。
しかもハイザックの試験機にはAEとティターンズも関わっている。
試験して量産して配備して運用してようやく「数年前から進めてるジムⅡの方が優れてるじゃん!」と気付いたとしたら、まさにエリート(笑)である…。
作品によってはハイザックのテストパイロットはコウとキースだったりするが。ちなみにこの2人はハイザックを高評価している

0083~0084年に改修されたGMⅡを見た・操作した一部兵士からは大した評価を得られなかったようだが、
0085年に再度「リニアシート・全天周囲モニター」を追加して更に改修したジムⅡは扱い易さが格段に向上したため、新型のMSが回ってこないトリントン基地等の僻地の基地で重宝されたという。
スペックの違いあるじゃねえか!

こうしてジオン残党向けにパワーアップを果たしたものの、哀しいことにティターンズとエゥーゴの紛争はMS開発競争を促し、更にアクシズ軍が質重視の高性能MSをどんどん投入した結果、アホみたいな性能のMSが次々と前線に出てきたため、歴史に残るような過酷な前線からひっそりとその姿を消し、ジムⅢやジェガンに連邦主力量産機の座を渡した後は地方基地の護衛機として過ごす事になった…




【劇中での活躍】

映像作品では主に『機動戦士Ζガンダム』、『機動戦士ガンダムUC』に登場。

『Ζ』では初っぱなから新型のリック・ディアスとの性能差を見せつけられてフルボッコにされる。
劇中でも散々旧式であることが強調されて作中での立ち位置を確立した。
一応ロベルトをあと一歩まで追い詰める手練れがいたものの、やっぱりサクッとやられた。
以後は カトンボ だの オールドタイプ だのと敵味方に罵られながら格上への(時々格下からも)生け贄として散っていった。
連邦軍/ティターンズ所属機は序盤のみ登場、エゥーゴ所属機は中盤まで前線に駆り出されていたものの、終盤にもなればもはや戦力足り得なかったのか殆ど登場しなくなる。


『ΖΖ』ではグラナダ市の港湾警備を行なっている様子が僅かに確認出来るので、やはり後方に回されるかジムⅢへのアップデート中であったと思われる。


『UC』でも立ち位置はほぼ変わらず、袖付きの新型やアクシズのMSはおろか、ゾゴックに串刺しにされるわ、シュツルムファウストで爆散するわで、碌に整備も出来ていなかったであろうジオン残党にすら腕前の差で血祭りに上げられる始末であった……
合掌。




【カラーバリエーション】

と白が連邦/ティターンズカラー、と白がエゥーゴ&カラバカラーといった風に区別が成されている。

これら以外にも『Ζガンダム』では下半身だけチラッと映った濃紺のティターンズカラーの機体や、割と有名な“ネモカラーのジムⅡ”が登場。
逆に鹵獲されたネモが連邦軍ジムⅡカラーに塗装されていたりエゥーゴジムⅡカラーに塗装されていたりした。
『UC』ではダカール防衛隊所属機は連邦カラー、トリントン基地所属機は砂漠の基地だけあってデザートカラーに塗装されていた。

また、外伝漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』第6話では胸部カラーがブルーで塗装されたラプターブルー隊のジムⅡが登場。
その中の1機は同話の主役を務めた。


ちなみにネモカラーのジムⅡが登場したのは第12話と第32話の2回だが、その2回では微妙にカラーパターンが異なっている。
後付けの設定だが、最新鋭のネモにあやかってネモカラーに塗装したパイロットがいたんだとか。
眼の肥えたジムスキーなら見比べてみよう!




【バリエーション】

ジム改高機動型

型式番号 RGM-79CR

正規軍での採用が内定していたジムⅡをティターンズでも採用するかどうかを検証する為、ジム改をⅡと同仕様に改装した試験機。
本機での試験を経てグリプス製のRMS-179が新規生産された。

詳しくはジム改のバリエーションの項目にて。



ジムⅡ中距離支援型 (キャノンタイプ)

GM Ⅱ with CANNON UNIT

型式番号 RGM-179

ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗の下に』より。
T3部隊で運用されたジム改高機動型の中距離支援ユニットを制式採用したもの。
こちらは制式化に伴い通常のジムⅡにキャノンパックと汎用ミサイルポッドを装備、砲撃戦能力が強化された。

多くはティターンズで運用され、同時採用のジム・スナイパーⅢに倣い、公式だが「ジム・キャノンⅢ」の愛称で呼ばれていた。



ジム・スナイパーⅢ(量産型)

GM SUNIPER Ⅲ

型式番号 RGM-179SR

こちらもT3部隊で運用されたジム改高機動仕様の狙撃仕様(ジム・スナイパーⅢ)を制式採用したもの。
ジムⅡをベースとして装備は高機動仕様を参考にしており、頭部バイザーセンサー、ハイザック・カスタムの高機動バックパックと脚部スラスター、予備バレルをマウントしたガルバルディβのシールドを装備しているのは試験機と同じだが、ライフルは新たにハイザック飛行型(ヴァナルガンド)から流用した長銃身ビームライフルにスコープを追加したものを用いる。

やはりティターンズを中心に配備されたようだ。



ジムⅡ・ラーⅡ・アクア

GM Ⅱ RHA Ⅱ AQUA

型式番号 RMS-179+ARZ-124HB Ⅱ M

水中強化ユニットのアクア・ハンブラビⅡと合体した状態の水中戦対応型ジムⅡ。
アクアジムの後継機として想定されていたらしい。

このアクア・ハンブラビⅡは、『A.O.Ζ Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢』に登場するガンダムTR-6[ハンブラビⅡ]の水中用ユニットであるが、TR-6以外のMSとの合体や単度運用も可能となっている。

なお、公式の系統図ではティターンズ仕様で描かれているが、アクア・ハンブラビⅡの型番がレジオン仕様となっている。



ジムⅡ・セミストライカー

 GM Ⅱ SEMI STRIKER

型式番号 RMS-179
所属 地球連邦軍
開発 地球連邦軍トリントン基地
生産形態 現地改修機
頭頂高 18.1m
本体重量 43.5t
出力 1,518kw
推量 62,000kg
センサー有効半径 8,800m
装甲材質 チタン合金セラミック複合材(一部ガンダリウム合金)
武装 60mmバルカン砲 ×2
ビームサーベル
ツインビームスピア
小型シールド


『ガンダムUC』に登場。トリントン基地に配備されている現地改修機である。

手にツインビームスピアを装備しているのが特徴的。両肩と左前腕部に既存の機体の補充パーツを利用した増加装甲が施してあり、前者はジム・ストライカーのウェラブル・アーマーに、後者はフルアーマーガンダムの小型シールドに似ている。但し前者は対衝撃性能は無く、ただのレプリカである。後者もガンダリウム合金で出来てはいるが、本物かレプリカかは判然としない。

OSも書き換えられており、本機のパイロットが接近戦で最大限の力を発揮できるようになっている。そのせいで他のパイロットが乗っても立ち上がらせることすら出来ない。
ここまでのカスタマイズはエース用機体に対してすら行われた例はなく、まさに「完全な専用機」と言える。

これほどまでに改修されたのは、トリントン基地が戦略的価値の低い施設だったせいで新型機が配備されなかったのが原因。
そのため、いつか現れるかもしれない敵にいつでも即座に対処でき、そして生き延びられるよう、長い付き合いである「相棒」へと愛情を惜しみなく注ぎ込んだ結果がこの機体なのだ。
パイロットは同じくストライカー乗りであったユージ・アルカナの弟子であった事が外伝漫画『ストライカー イン トリントン Ninja of the Torington Base』で明かされている。

しかし、劇中ではろくに活躍しないままジオン残党のイフリート・シュナイドとの戦闘で胸部ダクトを刺され*7機能停止してしまった。
この時の明らかに当たっている攻撃をすり抜けられて刺されるシーンの理不尽さ*8はある意味語り草。



ジムⅡ ラプターブルー隊 エンデ・アベニール中尉機


接続はかなり強引に行われたようで片目には光はなく
よく見れば首元から数本のケーブルが繋がれないままに機外へ露出している

コックピット内の全調モニターにもその影響は甚大であり
万全とはほど遠く…


外伝漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』に登場。
工業コロニー・インダストリアル7にあるアナハイム工専実習場の警備を行っていたラプターブルー隊の使用するジムⅡで、形状・性能共に至って普通だが、1年戦争でアムロ・レイの同僚だったパイロットをあやかって胸部が青く塗装されてガンダムっぽいカラーリングとなっている。

U.C.0095年、アナハイム工専実習場の警備任務中にジオン共和国の右翼団体「風の会」のハイザックの襲撃を受ける。
かつてガンダムに命を救われ*9、ガンダムのパイロットになりたくて連邦軍に入隊したものの夢を果たせずにいた同隊のエンデ・アベニール中尉は自機が実習生の教材として頭部を分解整備させている最中で、
僚機が無力化されて3対1の極限状態に追い込まれ、メインカメラどころかセンサー類がほぼ無いままコックピット解放状態での出撃を余儀なくされる……筈だった。

そんなギリギリのタイミングで実習生達が持ってきたレプリカの実習用ガンダムヘッドを無理やり乗せて出撃したのがこの機体である。

仮付け頭部は上記の様な有様で、デュアルアイの右目もモニターの半分も仕事をしていないが、頭と色が違うだけで思った以上にガンダムしている。
そしてシリーズでも度々言及されてきたように『ガンダム』の姿が相手に与えるイメージは絶大。
実際、実戦経験皆無のなんちゃってジオニスト集団である風の会はまさかのガンダム登場にビビりまくりまともな反撃すらできず、エンデは無事にハイザックを撃退して実習場の防衛に成功した。

例え偽物でも…否、夢を叶えたエンデが乗り、任務を果たし子供達を守ったその姿はまさしく本物のガンダムであった*10


ちなみにその後エンデはロンド・ベルの配属になり、Ζガンダムの子孫であるリゼルのパイロットとなった。
エンデ本人は映らない間接的な描写ではあるが、アニメUCでも*11登場している。


なお、エンデの活躍は人から人に伝えられる内に「アクシズで消息を絶った英雄アムロ・レイはかつての愛機ガンダムに乗って人知れず市民を守っている」という都市伝説に変化して人々に語り継がれていったようだ。



ジムⅡ マリア・シールド社仕様 / ジムⅡ フェイス・ハイダー

 GM Ⅱ MARIA SHIELD co. / GM Ⅱ FACE HIDER

小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場。
名称は初出時が前者、現在は後者が使われている。

新興[[PMC>PMC(民間軍事会社)「マリア・シールド社」の使用するジムⅡで、同社のカラーである純白の機体色と、顔面を覆うのっぺらぼうの様なバイザーが特徴。
視界ゼロになりそうな面だが、このバイザーによって中距離支援機並みのセンサー性能があるという。
またバックパックも換装され推力が強化されている。

PMC用に払い下げられた機体なのでビームライフルは無いが、ビームサーベルやジム・マシンガンの改良型を装備している。



ジム・ナイトシーカー(ナイトイェーガー隊機)

 GM NIGHT SEEKER

型式番号 RGM-79V

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』より。
ナイトシーカー自体は一年戦争末期から稼働しているが、宇宙世紀0090年の時点で特務部隊ナイトイェーガー隊によって運用されている機体はジムⅡがベースとなっている。*12
外観は殆ど変わらないが、腰部アーマー側面にビームダガーを装備している。

なお、型式番号が「RGM-79V」のままなのは味方のIFFへの欺瞞工作の為。
連邦軍の内紛であったグリプス戦役の後では身内すら敵となる可能性が高かったのであろう。



ジムⅡ(TYRANT SWORD版)

型式番号 RS-82B

雑誌企画『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』に登場した別世界のジムⅡ。
本作ではジムのマイナーチェンジではなく完全な新造機で、中途半端な性能のRS-81ネモ(本作では連邦軍の開発)に代わる主力機として開発・配備された。
その性能は「ガンダムに匹敵する」*13高性能機とされる。

実はジムの系列ではないようだが、完成した姿が初代ジムに似ているから「ジムⅡ」と名付けられたとされる。



ジムⅡ改

型式番号 RS-82B-R

タイラント・ソード版ジムⅡの改良型。
アステロイドベルト周辺で活動する辺境守備艦隊向けにジェネレーター出力や索敵能力、機動性などを強化したもので、その性能はマラサイ(本作ではネオ・ジオンのMS)を上回る超高性能機であるらしい。
この世界ではガンダムMk-Ⅱも本機がベースとなっていて、ティターンズではジムⅡ改をベースとしたサム(型式番号:RX-86)を主力機としているという設定。




ゲームでの性能】

昔からシミュレーションゲームや『Ζガンダム』をタイトルにした物では出番があるが、アクション系のゲームだとネモ・ジムⅢで十分なせいか居ないことも多かった。
『Ζ』シナリオ最弱のポジション、それがジムⅡだった。
しかしPS2の『エゥーゴvsティターンズ』辺りから、「癖がなく使いやすい、それでいてコストが低い」と初心者にお勧めできる良機体としてにわかに注目を浴び、以後アクションゲーム等で出演する時は「耐久力・攻撃力共に低いが使いやすい」と言うポジションを確立した。
特にガンダムオンラインでは撃墜されてからの再出撃時間が短く、低コストながらそこそこの強さと使いやすさ、ジムⅢを上回る機動力と脚周りでまさかの人気機体となっている。

シミュレーション系のゲームでも『ギレンの野望』では、初登場の『系譜』にて、次世代機ゆえに「ガンダム3機スタックしてる」と言われる数値をプレイヤーに見せ付けて驚かせた*14
『脅威』以降では、同期に高性能化を果たしたハイザックが来るようになってしまった。しかし「安さ」を売りにして大量配備ができるようになり、財政難が続く上、リック・ディアスがかなり微妙な立ち位置になってしまったエゥーゴなんかでは、数を力に大暴れできる。

『SDガンダムガチャポン戦士3 英雄戦記』ではなぜかジムのポジションでジムⅡが出てくる。ユニオン側の機体としては最弱でグフと同程度の性能しかない。肩の色くらいしか違いはないだろうになぜジムⅡになったかは不明。

Gジェネでは…とくにこれと言った特徴のない雑魚である(無情)。
ジム系は世代交代が早く登場機会も多いので鹵獲の重要性も高くない。

意外にもスーパーロボット大戦には出た事が無く、派生作品の『リアルロボット戦線』に出た程度である。


  • ガンダムバトルオペレーション2
300コストの汎用機。地上・宇宙共に出撃可能だが適正はない。
第3回ランク戦で報酬で参加賞としてLv1が、成績によってLv2~Lv3が配布された。
性能はバランスの良い連邦汎用と言った感じで、特徴として前線維持支援システム*15を汎用機としては珍しく所持。支援機と違って頭数を揃えやすく、仮にそうした場合ほぼ待ち時間なしでリスポーンが可能。
ただし2020年9月現在、このコスト帯を半年以上に渡って席巻しているアッグガイに対する抑止能力が少ない。アッグガイを止められない事を除けば最優秀汎用だがアッグガイを止められないデメリットが無視できない、と言った位置づけ。
主兵装のジムⅡ用ビーム・ライフルはチャージ無しの即よろけ兵装として300コストでは唯一無二。ヒート率90%なので扱いにくい面もあるが、ジム・カスタム/ジム・クゥエル等の400コストにも出張できる。




ガンプラ

『Ζ』放映時に1/144が発売。その後長らくキット化されなかったが、『UC』への出演を契機に複数が発売されている。
ただし、その殆どがプレミアムバンダイ限定であるので、HGUC以外の入手難易度は高い。

1/144 ジムⅡ
『Ζ』放送当時に発売されたキット。
白の単色成型でキットの構成はMSVの頃と殆ど変わっていないがそれ自体の出来は良く、間接がポリキャップとなっているのがガンプラの新時代を感じさせてくれた。
値段も400円とリーズナブル。

HGUC 1/144 ジムⅡ
発売が2011年10月と26年振りのキット化。
先に発売されたジムⅢからのパーツ流用が多く、細かいモールドが原型と違う(特にスリッパ正面は目立つ部分なので修正必至)他、
パーツ分割の都合からか肩のスラスターダクト中央の仕切りがなく、内壁の両サイドに凹みがある。
またジムⅢに付属したガンダム、ジム系共通手首パーツがオミットされた上に定価1,512円(税抜き1,400円)と割高。
付属するビームサーベル刃部は黄色で一本余る。ガフランを初めとするヴェイガンのモビルスーツに流用するといいかも知れない。

余談だが、ジムⅢと共通パーツである為に上半身胸部やスリッパのパーツをジムⅢのものと入れ替えると「なんちゃってエゥーゴカラー」が出来る。
プレミアムバンダイのエゥーゴカラーとは色合いが違うので、試してみてはいかがだろうか?

HGUC 1/144 ジムII(エゥーゴカラーVer.)
プレミアムバンダイ限定で発売されたエゥーゴカラー。
カラーリングが変わったのみで内容物は変化なし。
シールドの連邦マークはそのままなので劇中再現するには塗装が必須。

HGUC 1/144 ジムⅡ (デザートカラーVer.)
こちらもプレミアムバンダイ限定品。
成型色がジム改っぽいクリーム色と濃紺のデザートカラーに変更、色分けの都合で首元のパーツが2色封入されている。
また、細かい点だがビームサーベルのエフェクトパーツがピンク色に変わっている。

HGUC 1/144 ジムⅡ・セミストライカー
やはりプレミアムバンダイ限定商品。
HGUCジムⅡに新規パーツを追加したもので、HGUCジム・ストライカーからツインビームスピアを流用した都合でジムⅡ&Ⅲ、ジムストなどからの余剰パーツが多めだが、素ジムⅡのパーツが揃っているのでデザートカラーのジムⅡとしても組める。

HG 1/144 ガンダムベース限定 ジム/ジムⅡ/ジムⅢ セット
ガンダムベース限定商品の歴代ジム詰め合わせセット。
他2機と同じく成形色とマーキングシールが水転写デカールに変更されており、ジムⅡは白い部分がやや緑がかった色となり、赤い部分は鮮やかになった。
だが、ベースキットがセンサー等や首元もホイルシールではなくマーキングシールで色分けを再現していた(ジム、ジムⅢは元キットのホイルシールがそのまま残されている。)のが祟って、セットの中で唯一色分けをデカールか塗装で再現しなければならなくなってしまった。

MG 1/100 ジムⅡ
例によってプレミアムバンダイ限定品。
ジムⅡ初の1/100キットで、MGジムVer.2.0をベースにジムとは形状が違う箇所のパーツは全部新規金型で製造されており、HGUCでは手抜きだった肩アーマーのダクトも形状が完全再現されている。
可動なども元の元であるMGガンダムVer2.0準拠の優秀なキットである。
なお、マスターグレードのジムⅡはどれもランナーの関係で余剰パーツがわんさか出るので、リアルタイプカラーっぽい紅白の初代ジムとして組むことも可能。

MG 1/100 ジムⅡ(ユニコーンVer.)
もはや説明不要のマスターグレード3発目で、例によってプレバン限定。
基本的な部分はΖ版のジムⅡとほぼ同じだが、一部のパーツやカラーリングが『ガンダムUC』準拠の新規造形となっていて、単純な流用キットではない。
こちらもジムのパーツが残っているが、完全なジムとしては組めない。

MG 1/100 ジムⅡ(エゥーゴカラーVer.)
やや遅れて発売されたΖ版のリカラーでプレミアムバンダイ限定。
HGUCと同じくシールドの連邦マークが黄色いまま。
色分け再現の為に更に余剰パーツが凄いことになったが、その代わりにエゥーゴカラー?の初代ジムとしても組める。

MG 1/100 ジムⅡ・セミストライカー
プレバンにて限定販売。
こちらにはユニコーンVer.に新規パーツを追加したもので、新規武装としてツインビームスピアの他にも港湾基地でジムⅡが使用していたジェガンのバズーカ(MGジェガンD型には付属していない)が付属する。
もちろん余剰パーツも豊富なので、デザートカラーのジムⅡとしても組める。




【余談】

  • デザインは近藤和久氏の画稿を素に藤田一己氏がクリンナップしたもの。
    実は最初からジムⅡとしてデザインされていた訳では無く、初代ジムのディティールアップ稿として描かれていたが、差異が多かったので別の機体とされたようだ。






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最終更新:2024年04月21日 08:54

*1 ちなみにマグネットコーティングはこの時期のMSには標準装備である。

*2 ジャブロー防衛隊のジム・スナイパーカスタムが持っていたライフル

*3 これにジムコマンドや改が含まれるのかは記載がない。また映画版Ζガンダムではエース向け高性能GMは後の時代でも使いまわされている機体も確認できる

*4 実際のジムの比率は不明。ただ、ボールは地上部隊には配備されないため、ジム系はかなり多いと思われる。

*5 当時のネモは高性能量産機であるという意識が薄く、出来るパイロットが乗ればようやくまともに動けるという程度の扱いだった。

*6 ただしTV版ではよー-く見るとネームド相手に善戦してる機体がちらほらいたりする。特に一見すると何の機体だか良くわからなくなっているネモカラーのジムⅡの隠れた活躍っぷりはたまに話題になる

*7 よく勘違いされるが、よく見るとコックピットではなく、ダクトを刺されている

*8 単なる作画か演出のミスなのだろうが……

*9 この時のガンダムのパイロットについては特に語られていないが、読者の間では「鋼鉄の貴公子」ことカムナ・タチバナだったのではないかと言われている

*10 エンデは上記のコクピット解放状態での出撃を思いついて、たった一コマ迷う描写を挟んで「やるしか…ないか…」と覚悟を決めており、「その瞬間にエンデは既にガンダムになっており、ガンダムヘッドはガンダムになったエンデのために与えられた」と評する意見もある。

*11 話のラストで最終決戦で、シュツルム・ガルス戦後ユニコーン・ガンダムが持ってた下半身と左腕を失ったリゼルのパイロットだった事が判明している。

*12 隊長のヤザ…ヴァースキ大尉の機体のみジムⅢがベース

*13 本家ジムⅡもガンダム以上であるが、こちらは初代ガンダムがやたら高性能扱いされていた頃の名残なのでかなり強い

*14 流石に0093までを含んだ後のシリーズでは弱体化するが

*15 機体のリスポーン時間を短縮。通常は支援機が持つことが多い