牙狼-GARO- 妖赤の罠(小説)

登録日:2012/07/19 Thu 01:16:57
更新日:2023/01/22 Sun 20:30:27
所要時間:約 7 分で読めます






ソウルメタルをすべて奪われた時、
最後に勝利する者こそ、最強の魔戒騎士である。

――サバックに伝わる魔界の格言




雨宮慶太原作・監督の特撮番組『牙狼-GARO-』を原作とする小説。
特撮情報誌『宇宙船』vol.120からvol.130まで連載された同タイトルの小説(全11章)を単行本化し、2010年にホビージャパンから出版された。
6年後の2016年9月24日にて、株式会社ホビージャパンから文庫版が出版。巻末には2010年当時の雨宮監督のあとがきと共に、文庫版にちなんだ小林氏のあとがきも執筆されている。

小説作品としてはTV第1シリーズを原作として書き下ろされた小説『牙狼-GARO- 暗黒魔戒騎士篇』に続く第2弾であり、作者は引き続き牙狼文芸部に参加しTV版の脚本も手がけた小林雄次氏。

時系列では『白夜の魔獣』と『RED REQUIEM』の間に位置する。

単行本化と『RED REQUIEM』の劇場公開が奇しくも同時期になってはいるものの、第1章が掲載された『宇宙船』vol.120の発売は2008年4月1日であり、決して劇場公開に便乗したノベライズではない事を巻末の寄稿文で雨宮監督が述べている。


【DESIGN】
『暗黒魔戒騎士篇』と同様に、本編中に挿絵こそないものの各章冒頭にはおなじみの墨絵&サブタイトル題字、冒頭のカラーページには表紙に使われている牙狼(ガロ)絶狼(ゼロ)打無(ダン)がノンクレジットで。
今回は残念ながら登場人物紹介などはない。

また、中表紙には雨宮監督の描き下ろしイラストが描かれている。
本作で新たに登場した灼熱騎士・夜射刃(ヤイバ)が鎌状の魔戒剣・紅蓮斬を携え、見据える先には暗黒騎士・呀(キバ)の姿。そして彼らを隔てるように周りには無数のホラーと、イヤリングをした一人の女が。
本編を物語るような象徴的なイラスト。


【CONTENTS】
今回は、前作にはあった各章冒頭の『魔戒詩編』はカット。非常にシンプル化されている。

  • 第1章『死霊』
とある満月の夜。レギュレイス一族の復活を阻止し、魔戒法師の里・閑岱(かんたい)から戻ったばかりの冴島鋼牙は林の中でホラーの気配を感じ取る。
その途中、鋼牙が出会った一人の女――眼球を模したイヤリングを付けた「ミサキ」は魔戒騎士やホラーについて知っていた。
大切な人を失い、復讐心に囚われているミサキを同じ経験のある鋼牙は諫めるが、彼女は聞き入れない。
そんな中で始まる死肉ホラー・ゾルバリオスとの死闘。
戦いが終わった時、ミサキの姿は消えていた……。

  • 第2章『複眼』
銀牙騎士・絶狼の称号を持つ涼邑零は、東の番犬所から群蟲ホラー・デライボー討伐の指令を受ける。
路地裏で目的のホラーと見定め、魔戒剣を突きつけた相手は閑岱で出会った山刀翼の弟子・暁だった。
レギュレイスの一件から暁は零を慕い、師匠である翼の許しを得て、零の下で修行したいとやってきたのだった。
紆余曲折を経てデライボーを討伐した零は暁を弟子に迎えるが、そこにまた新たな指令書が届く。
それは、最強の魔戒騎士を決める大会「サバック」開催の通知だった。
そして、ミサキの事で気が晴れない鋼牙の下にも一通の指令書が届く。

  • 第3章『礼樂』
閑岱では、白夜騎士・打無こと山刀翼もサバック開催の通知を受け取る。
邪美や我雷法師らが翼を激励する中、翼の妹で法師見習いの少女・鈴はその輪の中に入れないでいた。
そんなある日、閑岱の魔戒蔵から魔導書が盗まれる事件が発生。それまでの言動から鈴は、第一発見者でありながら兄である翼に疑われてしまう。
ショックからその場から駆け出した鈴の前に白蛇ホラー・シュレイタンが現れる。
死を覚悟した鈴を救ったのは翼だった。豪雨の中、翼は鎧を召喚して戦うも、シュレイタンに追いつめられてしまう。
だが、その場に血のように赤い鎧を纏った魔戒騎士が現れたかと思うと、シュレイタンを屠って爆炎と共に立ち去っていく。
その後、魔戒蔵の周辺に残っていた見知らぬ足跡が一致したことから魔導書を盗んだのは赤い魔戒騎士である事が判明する。
鎌状の魔戒剣には魔導文字で「ヤイバ」と刻まれていたが、果たして謎の魔戒騎士の正体とは……?

  • 第4章『儀式』
南の管轄のとある荒野から、一人の男が異空間にあるサバックの会場へと向かった。
そこには並み居る魔戒騎士の強豪たち――涼邑零だけでなく山刀翼の姿もあった。
素性の知れぬ男を不審がる彼らに、男は自らを異国の魔戒騎士「椿フブキ」と名乗る。
その後、サバックの責任者である元老院議長の朱雀が現れ、サバックの概要を改めて一同に説明する中、「最強の魔戒騎士である黄金騎士・牙狼」という表現に異論を唱える一人の騎士がいた。
その騎士の名は「五道アキラ」といった。

サバックの優勝者にはその者が会いたいと願う人物――たとえ死者であろうとも――に会う権利が与えられる。
フブキの「会いたい者がいるのか」という問いに、アキラは「師匠に会いたい」とだけ言い残して立ち去る。

実は、フブキの正体は変化の秘薬によって顔を変容させた鋼牙。
番犬所から極秘の指令を受けた鋼牙は、本来『牙狼』の称号を持つ魔戒騎士には参加資格のないサバックに「椿フブキ」の偽名を使い、別の魔戒騎士になりすまして潜入していた。
なお椿フブキ自身は議長朱雀の友人の魔戒騎士で実在はするものの遠方に別任務で出かけており今回の任務ではちあわせる様な心配はせずともよいとの事。

  • 第5章『円陣』
ついにサバックが始まった。初陣の暁の相手は五道アキラ。
緊張、焦り、怒り……自分を見失った暁はアキラに敗北を喫する。

サバックの1日目が終了した夜、フブキとしてではなく鋼牙として本来の活動を開始した彼の前に、赤い魔戒騎士――ヤイバが現れ、理由は不明だが鋼牙に襲いかかってきた。
鋼牙も鎧を召喚し応戦するが、ヤイバはイヤリング型魔導具に促される形で戦いを中断すると踵を返し姿を消してしまう。
逃がすまいと追いかける鋼牙には、ヤイバの正体に思い当たる節があった。ヤイバの太刀筋はサバック会場で見たアキラのものに酷似していたのだ。
今度こそ問いつめてやる――ヤイバが逃げ込んだ岩陰に駆け込む鋼牙。だがそこにヤイバの姿はなく、代わりにいたのは第1章で姿を消したはずのミサキだった……。

ミサキはヤイバと同じく眼球を模したイヤリングを付けていた。だが、女は魔戒騎士にはなれない。果たしてヤイバの正体とは?そしてミサキとは一体何者なのか?

……この続きは是非とも小説を手にとって確かめていただきたい。
この調子で書き進めたら文字数が足りなくなるとか理由はいろいろあるが……どうか察してください。

ちなみに第6章以降の構成は

  • 第6章『闘将』
  • 第7章『邂逅』
  • 第8章『妖光』
  • 第9章『奈落』……※MAKAISENKIではない。
  • 第10章『前夜』
  • 第11章『死闘』

……となっている。


【関連用語】
  • サバック
東西南北、それぞれの管轄から多くの魔戒騎士が集い、7日間かけて最強の魔戒騎士を決める武闘大会。
勝負は1対1のトーナメント方式で、魔戒騎士たちは本来の武具であるソウルメタル製の魔戒剣ではなく、支給された鉄製の武具で戦う。
鎧の召喚、魔戒獣の召喚、魔導具の助けを借りる事は禁止されている。
審判役は元老院議長の朱雀。

もともとサバックはホラーの始祖を初めて倒した『牙狼』の称号を持つ黄金騎士に敬意を込めて始まった大会であり、それゆえ『牙狼』の称号を持つ者が参加する事はない。
これは、そもそも魔戒騎士の最高位『牙狼』の称号を持つ騎士は別格であり、サバック優勝者ですら『牙狼』の称号を持つ者には敵わないとされるがゆえ。
サバックは実質ナンバー2を決める大会。
サバックの前身は、古の時代にホラーと戦う人間を選抜する武術大会であり、当時は対戦相手を殺す事が勝利条件であった。その後、魔戒騎士が誕生し大会自体の意味合いが変化した歴史を持つ。


「鋼牙、指令書だ!」

『災いの兆しあり。wiki籠りの陰我が生みしホラー、直ちに追記・修正するべし』

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最終更新:2023年01月22日 20:30