マティルダ・サントメール

登録日:2011/01/28(金) 18:00:04
更新日:2024/01/18 Thu 20:25:49
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あなたたちに、天下無敵の幸運を


灼眼のシャナ』の登場人物。
アニメCV.岡村明美(ちょろっとしか喋ってないが)


"天壌の劫火"アラストールのフレイムヘイズ。
初代炎髪灼眼の討ち手にして、シャナの先代に当たる人物。
神器“コキュートス”はシャナとは違い、指輪型。利き腕は左。

16世紀に起きたフレイムヘイズと“紅世の徒”の争い、『大戦(おおいくさ)』で活躍した英雄の片割れ。

アラストールの力を完全に引き出し、数多くの紅世の徒を葬った『当代最強のフレイムヘイズ』である。
生前はどこかの騎士団に所属していたようで、敗戦あるいは無実の咎で処刑されそうになった所をアラストールと契約したようだ。

ちなみに劇中では戦闘中の姿しか描写されていないため、素の髪と瞳の色は不明。
「ES」を信じるなら元から赤系統だった模様。

年齢は不明だが、イメージとしては「吉田より上で、千草より下」とされている。
つまり高く見積もっても、契約時は20代前半となる。

◆人物

いい意味で自分本位な性格で、己の道を己の力で切り拓き、いざという時助けてくれる仲間がいることも含めて「己の力」であると豪語する。

経歴が経歴ゆえか、貫録と存在感が圧倒的で、見る者すべてに「敵し得ない」と感じさせる女丈夫。
捕らわれた事で無力にされた自身を嫌い、フレイムヘイズになった事で「闘う」と言う選択肢を得た事に至上の喜びを感じる。闘う事が大好きな一種の戦闘狂で、討ち手であることを最上の幸福と認識している。

が、フレイムヘイズは元々存在の始点がマイナスであり、力尽きて死ぬか戦って死ぬか悟りの境地に入るか、の三択しか末路がない討ち手たちには当然のごとく理解されない奇妙な性質で(一応「マティルダはそういう女である」と理解はしている)、唯一の理解者であるアラストールに深い愛情を持っている。ヴィルヘルミナの方は理解というより、そういう人だからしょうがないと開き直って付き合っている。

契約当初はアラストールに即契約を後悔されたほど相性が悪かったらしいが、共に闘う中で思いを通じ合うようになり、相思相愛になったようだ。

自身の性質こそ理解されなかったもののカムシン、ピエトロ、ゾフィーと数多くの交友関係を持ち、持ち前の魅力から彼らを惹きつけた。

特にヴィルヘルミナとは唯一無二の親友で大戦時には常に共にいた相棒。「大戦の英雄」と言えばマティルダとヴィルヘルミナの二人を指す。

敵である『とむらいの鐘』の最高幹部『両翼』メリヒムに想いを寄せられており、彼とは「勝った方の言う事を聞く」という条件を受け入れ争う好敵手。

本人的には自分を愛していると言うメリヒムには割と好意的ではあったが、誰かに捕らわれ自由を奪われる事を嫌う彼女に取って、メリヒムの愛を受け入れる気は湧かなかった(ちなみにマティルダの恋愛の理想像は、「尊敬に値する志を行動で示す男」である。アラストールがそれに的中したのは当然の帰結であろう)。
そのため、メリヒムを愛している友人のヴィルヘルミナの恋が叶う事を願っていた……が、当然ながらその関係上、マティルダ周辺の恋愛事情はどういう経緯を辿っても交錯するのが戦場であり、最後までこれには悩まされていた。

ちなみに結構な酒好きであり、酒樽を抱えて酔いつぶれたり、酒場に入ろうとしてヴィルヘルミナに止められたこともあった。

討ち手としての「器」の程は不明だが、少なくとも、発動すれば「器」が砕けるとされた“天破壌砕”を使用した後、破壊されるのではなく、歌を口ずさみながらアラストールの炎に呑まれて消えていったことから、シャナに匹敵するレベルだったことがうかがえる。 

自在法

  • 「騎士団(ナイツ)」
生前の彼女の象徴。強さのイメージである「自らの率いる軍勢」をアラストールの炎を媒介に具現化したもので、一騎一騎が並のフレイムヘイズに匹敵する炎の軍勢を無数に生み出す。
小説版で発動した際は怪物や獣型の軍勢の描写があるが、漫画版では兵士で一本化されている。

マティルダ自身が用いる武具として炎の大剣や斧槍、弓矢、乗騎に至るまで全てがこの自在法で賄われる。
炎に変換して爆弾のように使うことも可能。

様々な武器を生み出し、それら使いこなす技量も持ち合わせており、最強のフレイムヘイズに恥じない強力な自在法である。
ちなみにシャナの「真紅」も理屈はこれと同じで、あちらは「強さの証である自分自身」をアラストールの体を模倣する形で具現化したもの。

弱点としては防御面が薄いことと、強化が付随しないため使い手自身の実力に戦力が左右されること。
このためゴグマゴーグやイルヤンカのような「でかくて硬くて重い」相手は天敵。

なお、後にヴィルヘルミナはオルゴンの自在法「レギオン」をこの自在法の猿真似扱いしていたが、向こうは本質の顕現なのでまるで異なる。


▲活躍

「大戦」時は開戦前に『九垓天秤』の一角“戎君”フワワと“天凍の俱”ニヌルタを討ち取る大金星を挙げ、フレイムヘイズ戦団に大きく貢献した。

最終決戦はモレクの自在法「ラビリントス」を攻略し、モレクを討伐。
そして、宿敵メリヒムとは互角の死闘の末に僅差で勝利を納めるも、直後にチェルノボーグの奇襲を貰い、メリヒムとの死闘のダメージもあって戦闘不能の状態になる。

愛するマティルダを生かすために必死に止めるメリヒムに対し、約束の「勝った方の言う事を聞く」から三つの条件を出す。
自分の後釜を託した彼女は別れを拒むメリヒムに別れを告げ、『とむらいの鐘』の首領“棺の織手”アシズの元に向かった。

「待て――待ってくれ!!」

「いやよ、待たない。さよなら、なの」

「マティルダ――――ッ!!」

「゙虹の翼"メリヒム、さよなら――」


そして、遂にアシズと対峙し、マティルダとアラストールとの間に「両界の嗣子」を造り味方と引き入れようとするアシズの誘いを断り、
自らの死を覚悟の上で紅世の魔神アラストールの神威召喚"天破壌砕゙を行い、アラストールにありったけの愛を告げてその生涯を終えた。



「さようなら。あなたの炎に、永久に翳りのありませんように」


「もう一度だけ、言わせてね」


「愛しているわ、"天壌の劫火"アラストール、誰よりも―――」


神威召喚されたアラストールはその圧倒的な力でアシズを討滅し、その号砲をもって大戦は終結を迎えた。

そしてアラストールの内には、常の召喚時の祝詞ではなく、マティルダの歌声が響き続けていた。



( 新しい 熱い歌を 私は作ろう )


(風が吹き 雨が降り 霜が降りる その前に )


( 我が恋人は 私を試す )


( 私が彼を どんなに愛しているか )


( どんな諍いの種を 蒔こうとも無駄 )


(私は この絆を解きはしない)


(かえって私は恋人に全てを与え全てを委ねる)


(そう 彼のものとなっても構わない)


(酔っているなぞとは 思い給うな)


(私があの美しい炎を愛しているからといって)


(私は 彼なしには 生きられ ない)


(彼も愛の側にいて そ ほど わたしは  )


歌はここで終わっている。
後にこの歌「私は他の誰も愛さない」をヴィルヘルミナから聞かされていたシャナが歌ったのは、物語の最後であった。*1


「ES」ではこの前日談として、“盤曲の台”ゴグマゴーグ率いる[巌窟院]との戦いが描かれている。

その他

本編の時系列では既に死亡している過去の人物だが、登場人物による演劇、という体の「世界のお話パロディ」では終始ハイテンションかつフリーダム。
0巻収録の「しんでれらのしゃな」では先王妃役(この時さらっとヘカテーを乗っ取っている)、「かぐやひめのしゃな」ではお婆さん役、「おじょうさまのしゃな」では家政婦役、とかなり自由。
最たるものは「さんじゅうしのしゃな」で、幕間に登場して池たちを相手にハッチャけぶりを披露していた。




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最終更新:2024年01月18日 20:25

*1 ヴィルヘルミナとの会話の内容からするに、『无窮の聞き手』ピエトロ・モンテベルディから教わった歌を元に、マティルダがアラストールへのラブソングとしてアレンジした模様。ちなみに当のアラストールはマティルダがピエトロに言い寄られていたのに動揺しており、御崎市でヴィルヘルミナから聞くまでタイトルをすっかり忘れていた。